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2009.10.20

コンビニの商品価格から学んだこと

 「値段がバラバラなんですよね~」。それは弊社スタッフの何気ないひと言から始まった。

 グリコ乳業の「スイートオレンジ」。一般的な濃縮還元オレンジジュースながら、完熟オレンジに熊本・鹿児島県産の温州みかんのストレート果汁をブレンドしたという味わいは、果汁好きにはたまらない逸品だ。それでいて、今時うれしいお値段84円(税込み)。

 コストパフォーマンスの良さでも愛飲していたというスタッフは、あるときJR品川駅のコンビニ、ニューデイズでグリコ・スイートオレンジを購入したところ、価格が105円(税込み)であった。スタッフは「値上げした!」と口をとがらせた。
 後日、ところは関西。あるコンビニで再びスイートオレンジ購入たところ、そこでは84円の値段がついていたという。これは関西価格なのか?

 価格設定の方法の一つに「需要志向」の価格設定というものがある。顧客がその製品にいくらまでなら払ってくれるかを予想して値付けをするものだ。さらに細かく見れば、その中に「需要価値価格設定」という方法もある。「需要価値価格設定」は市場セグメントごとに価格を変化させる方法だ。セグメント軸としては、学割や子供料金、シルバー割引といった顧客属性や、飛行機の早割などの販売時期、休日料金や深夜割増などの提供時間帯、S席・A席や自由席・予約席・グリーン席などの提供場所などである。
 わかりやすい例を挙げるなら、日本マクドナルドでが2007年6月から導入した「地域別価格設定」が地域というセグメント軸を使った代表例だといえるだろう。「いくらまで払っていいか」と感じる「需要志向」の感覚の差異を綿密にシミュレーションするのである。

 さて、「地域別価格設定」で、関西なら84円、東京では105円の価格になっているのかといえば、実はそうではなかった。都内数店のコンビニで再度価格調査をすると、84円であった。さては、ニューデイズは値付けを間違えたか?と、現地調査のために品川駅に向かった。

 果たして、そこでナゾが解けた。
 品川駅には、改札内と改札外に各々ニューデイズがある。その2店舗とも価格は105円。しかし、購入してまじまじと見ると、84円の商品パッケージと何か少し違う気がする。
 容量が違っていたのだ。84円の商品は内容量270ml、105円は320ml。パッケージデザインも微妙に違っていた。
 コンビニの中でニューデイズだけが容量の大きなタイプを扱っているのは、特に改札内などの狭小な店舗において、「坪単価」を上げ売上げ全体を高めることを狙っていると思われる。商品パッケージのサイズはどちらのタイプも底面が57mm ×57mmで、高さだけが異なっていて270mlは121mm、320mlが137mmである。棚の同じ幅で高単価にすることができるのだ。
 
 グリコ・スイートオレンジの価格の謎解きはここまでだが、さらに考えを進めると、食品メーカーが「量目調整」という方法によって実質値上げを図る理由がよく分った。
 食料の原材料高で値上げが相次いだ昨夏、ウィンナーソーセージの定番・日本ハムのシャウエッセンは内容量を減らした実質値上げをした。しかし、店頭価格277円から271円と、見かけ上6円の値下げをした結果、売り上げが9%上昇したという。
 筆者とスタッフは両名とも商売柄、観察眼には自信がある方だ。・・・と思っていた。しかし、それでもグリコ・スイートオレンジの2つのタイプの違いはほとんど気付かなかった。このケースでは270mlだと約3.2円/ml、だと約3.0円/mlと単価的にオトクになっているので問題はないが、例えば、320ml・105円が、価格はそのままで容量を270mlに減らされたとしたらどれぐらいの人が気付くだろうか。しかも、両タイプのデザインも同じだったとしたら。
 量目調整は消費者に値上げを感じさせないため、反発が出にくいうまいやり方であるといえる。グリコ乳業がそんなことをするとは思えないが、どこでそんな事例が潜んでいるとも限らない。消費者が「賢くあること」が求められる時代である。さらなる観察眼、分析眼を養う精進が必要だと思った次第だ。

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