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【マーケティング講座】

お勧めマーケティング関連書籍

  • 金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)

    金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)
    「マーケティングって、なんとなく知っている」「マーケティングのフレームワークは、わかっているつもりだけど業務で使いこなせていない」・・・という方は意外と多いのが実情です。 「知っている」「わかっている」と、「使える」の間には、結構大きな溝があるのです。 その溝を、最低限の9つのフレームワークをしっかり理解し、「自分の業務で使いこなせる」ようになることを目指したのがこの書籍です。 前著、「最新版図解よくわかるこれからのマーケティング」は、「教科書」的にマーケティング全体を網羅しているのに対して、こちらの「9のフレームワーク・・・」は、「実務で使いこなすための「マニュアル」です。 もちろん、フレームワークをしっかり理解するための、実事例も豊富に掲載しています。 「よくわかる・・・」同様、多くの企業研修テキストとしてもご採用いただいています。

  • 金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)

    金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)
    旧版(水色の表紙)は6年間で1万部を販売し、それを機に内容の刷新を図りました。新章「ブランド」「社内マーケティングとマーケティングの実行」なども設け、旧版の70%を加筆修正・新項目の追加などを行っています。本書最新版は発売以来、10ヶ月で既に初版3千部を完売。以降増刷を重ね、約1万部を販売していおり、多くの個人の方、大学や企業研修で「マーケティングのテキスト」としてご愛顧いただいております。

  • 金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)

    金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)
    ヒット商品ネタ51連発!このブログ記事のネタを選りすぐってコンパクトで読みやすく図表付きに再編集しました!

  • 金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)

    金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)
    打倒「もしドラ」!を目論んだ(笑)ストーリー展開のマーケティング本。初心者にもわかりやすいマーケティングの全体像に基づき、実践・実務家も納得のリアリティーにこだわりました!

  • 金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える

    金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える
    ペンギンの世界を舞台に「考えるとはどういうことか」「論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か」を考える、スラスラ読めて身につく本です。初心者の入門書として、一度学んだ人の復習にと活用できます。

  • 金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本

    金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本
    マーケティングをストーリーで学び、「知っている」が「使える」になる本。1つ1つのフレームワークが、面白いように「つながっていく」感覚を実感してください!

  • 金森 努: “いま”をつかむマーケティング

    金森 努: “いま”をつかむマーケティング
    7編の取材を含む、2010年のヒット商品など約30事例をフレームワークで切りまくった「マーケティング職人・金森」渾身の1冊。フレームワークを学びたい人にも、フレームワークの具体例を知りたい人にも、朝礼で話せるコネタが欲しい人にも役に立つこと間違いなしです!

  • 長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語

    長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語
    「分かるとできるは違う」と言われるが、両者間には距離がある。実業務のどこで使えるのか気づけない。だから使えない。本書はお菓子メーカーのマーケティング部を舞台にした「若者2人の成長物語」を通して、戦略思考、論理思考、クリティカル・シンキングなどの、様々な思考法が展開されていく。ストーリーで「使いどころ」をつかめば、実践できない悩みの解消が図れるだろう。 (★★★★★)

  • ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」

    ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
    フレームワークの「使用上の注意」は、「人の心はフレームワークだけでは切れない」を常に認識することだ。「行動経済学」に注目すれば、経済合理性に背く人の行動の謎の意味が見えてくる。謎の解明を様々なユニークな実験を通して、著者ダン・アリエリー節で語る本書は、「フレームワーク思考」に偏りすぎた人の目から何枚もウロコを落としてくれるはずだ。 (★★★★★)

  • セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践

    セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践
    「顧客はドリルが欲しいのではない、穴が空けたいのだ」や、「マーケティング近視眼(Marketing Myopia)」で有名なレビット教授の名著。製品とは何か。サービスとは何か。顧客とは何か。そして、マーケティングとは何かと問う、今まさに考え直すべき原点が克明に記されている名著。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
    コトラーはマーケティングは「製品中心(Product out)=1.0」「消費者中心(Customer Centric)=2.0」。それが「人間中心・価値主導(Social)=3.0」にバージョンアップしたと論じている。本書は「マーケティング戦略」の本というよりは、今日の「企業のあるべき姿」を示しているといえる。その意味では、「では、どうするのか?」に関しては、新たなソーシャルメディアの趨勢などに考慮しつつ、従来のコトラー流2.0を十分に理解しておくことが必要だ。 (★★★★)

  • 鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)

    鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)
    広告に関する本は、いわゆる広告論や広告制作の手法を述べていても、マーケティング理論を前提としたものは少なかったように思います。「マーケティングの中における広告ビジネス」を具体的にまとめました。さらに、当Blogで「勝手分析」した事例を企業取材によって、マーケティングと広告の狙いを検証しました。多くの現役広告人と広告人を目指す人に読んでいただきたいと思います。

  • 金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)

    金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)
    金森の著書です。フレームワークやキーワードやセオリー、事例をマーケティングマネジメントの流れに沿って102項目で詳説しました。フレームワークの使いこなしと事例には特にこだわりました。金森のオリジナル理論もあり!

  • 山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える

    山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える
    リーダーの戦略や、チャレンジャーがリーダーを倒す方法など、ポーター、コトラーの理論を更に実践的な事例と独自フレームワークで解説した良書。事例がちょっと古いが、今、読み返してもためになる。在庫が少ないので、中古本でも出ていれば即買いをお勧め。 (★★★★)

  • 金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)

    金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)
    このBlog記事一話一話が見開きで図解されたわかりやすい本になりました。ヒット商品のヒミツをフレームワークで斬りまくった、ネタ56連発。是非一冊!

  • 後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて

    後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて
    「レスポンス広告」とは資料・サンプルの請求や商品の注文を消費者から獲得するための広告のこと。そのための方法論は、ブランドイメージをよくするといった目的とは全く異なる。本書は多数の広告サンプル(精度の高いダミー)を用いてレスポンス広告のキモを具体的かつ詳細に解説している。「レスポンス広告の鬼」たる筆者ならではの渾身の1冊。 (★★★★★)

  • ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン

    ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン
    どんなすばらしいマーケティングプランも、結局は人が動かなければ成功しない。故に、リーダーシップ論が重要となる。本書はコッター教授の「企業変革8ステップ」が寓話の中でわかりやすく記されている良書である。金森絶賛の一冊です。 (★★★★★)

  • マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則

    マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則
    2000年発売の良書。旧タイトル「ティッピング・ポイント」が文庫本化されたもの。クチコミの本ではなく、イノベーションの普及が何かのきっかけで一気に進む様を、各種の事例を元に解明した、普及論にも通じる内容。(うっかりリストに入れ忘れてました)。オススメです。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学

    野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学
    経済分野最強のジャーナリスト勝見 明紙と、経営学の大家野中 郁次郎先生という黄金コンビによる傑作。いくつもの企業でのイノベーション事例を物語風に紹介しながら、その変革の要諦を解明、さらなる提言をメッセージしている。読み応え十分。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの本質

    野中 郁次郎: イノベーションの本質
    最新刊の「イノベーションの作法」に比べると、少々こちらは「野中理論」の難しい部分が表面に出ているように思えるが、発売当初、ナレッジマネジメントの観点からしか読んでいなかったが、読み返してみれば、本書の1つめの事例である「サントリー・DAKARA」はマーケティングでも有名事例である。むしろ、本書での解説は、マーケティングのフレームワーク上の整合ではなく、そのコンセプト開発に力点が置かれており、その精緻な記述は圧巻であった。読み直して得した気分になったので、ここで併せて紹介する。 (★★★★)

  • グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業

    グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業
    だいぶ発売されてから時間が経ってしまったのですが・・・。 二度目に読んで、「お勧め」しようと思いました。 そのわけは、一度目は「いかに顧客と優良な関係を構築することが重要か」という当たり前なことを力説しているだけの本だと思ったからです。 事実、そうなんです。アドボカシー(advocacy=支援)という新しい言葉を遣っただけで。 ただ、その「当たり前なこと」のまとめ方が秀逸であり、我々マーケターにとっては「当たり前」でも、その考え方がどうしても理解できない石頭な人に読ませると、なかなか効果的だと分かりました。 さて、皆さんもそんな人が周りにいたら読ませてみては? (★★★)

  • レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」

    レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」
    ダイレクトマーケティングの創始者であり、金森の心の師でもある、レスター・ワンダーマンの「BEING DIRECT」(英文名)が12年ぶりに改訂されました。 詳しくは、Blog本文の10月16日の記事を参照ください。 必読の書です。 前版は電通出版だったので入手が少々面倒でしたが、今回は一般の出版社からの刊行なので、アマゾンで購入できます。この本の画像をクリックすれば、アマゾンのサイトにリンクしますので、是非! (★★★★★)

  • フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式

    フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式
    実は、この本は金森の入院中の頂き物。結構はまりました。 スウェーデンの売れっ子セミナー講師が自らのセミナーで用いている30の設問を、気の利いたイラストに載せて紹介している。「レンガの使い方を10通り挙げなさい」のような、「ん?どこかの自己啓発セミナーで聞いたな~」というようなネタもありますが、ひねりの効いた問いかけもいっぱい。ざっと流し読みしたら20分で読み終わってしまう絵本になってしまいますが、本気で問いかけの答えを考えると、なかなか論理思考も鍛えられます。金森もお気に入りの問いかけは出典を明らかにして、自分の企業研修で使わせてもらっています。 ちなみに、この本の2(続編)も出ています。2冊揃えば送料も無料。「あわせて買いたい!」。 (★★★★★)

  • パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う

    パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う
    重要な本をお薦めするのを忘れていました。この本も結構、私の座右の書となっています。「ミッションステートメント」の重要性もコラム等で繰り返し述べてきました。それがしっかりしていないが故に、会社自体が方向性を見失い、社員も求心力をなくす。また、顧客のことも忘れてしまう。ミッションステートメントは壁に黄ばんだ紙に書いてあるものを、朝礼で呪文のように唱和するためのものではないのです。社員全員、全階層がそれを本当に理解し、行動できれば会社に強大なパワーが生まれるはずです。この本は「強い企業の強いステートメント」が紹介・解説された良書です。 (★★★★)

  • エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学

    エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学
    もはや絶版でプレミアがついて現在ユーズドで3万円!(昨年までは2万円以下でした。定価は8千円弱)。 しかし、一度は翻訳版とはいえ原書を読みたいもの。 私のコラムでもよく取り上げています。 様々なマーケティングの入門書にも部分的に取り上げられていますが、誤った解釈も多く、「イノベーションの普及速度」などの重要項目も抜けています。 ただ、基本的には社会学の学術書なので、完読するのはチトごついかも。(それで星4つ。内容的には断然5つですが。)3万円ですが、手にはいるならラッキー。 10万円にならないうちに・・・? (★★★★)

  • ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業

    ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業
    すみません。これは宣伝です。 Blogにも「共著で実践的なナレッジマネジメントの本を出しました」と紹介いたしましたが、この度第二版(重版)ができました。 初版で終わったしまうことの多いビジネス書において重版はうれしい! まだお読みになっていない方は是非! (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪

    フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪
    これも分かっている人向き。 コトラーの中では「最も今日的な本」であると言えるでしょう。コトラー大先生と私ごときを並べて語るのは不遜の極みですが、私が旧社電通ワンダーマンのニューズレターや日経BizPlusの連載でしきりに訴えてきた内容が集約されている気がします。うーん、大先生と何か視点が共有できているようで読んでいて嬉しくなってしまった一冊でした。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト
    今度は分かっている人向け。そういう人はたぶんもう買っていると思いますが・・・。 コトラー特有の大作ではなく、マーケティングの中でも重要なコンセプトを80に集約して解説を加えた、ある意味他のコトラー本の「攻略本」とも言える。 常にデスクサイドに置いておき、用語集として使うもよし、ネタに困ったときにパラパラと眺める「ネタ本」としてもよし。マーケター必携の本であると言えましょう。 (★★★★★)

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2009.10.14

ファストリ・柳井会長の「無敵宣言」を読み解く

 2期連続で増収増益、8年ぶりに最高益を書き換え、「一人勝ち」といわれるファーストリテイリング。今月8日に前期連結決算を発表したあとに、東証で記者に囲まれコメントした柳井ファーストリテイリング会長兼社長の言葉は、事実上の「無敵宣言」と解釈できる。

 日経MJが10月12日に報じた中で、特に2つのコメントが目を引く。その一つめ。
 <-低価格品が増えるなかで価格政策は。「(高価格帯から低価格帯まで)全プライスをやっていく。(ジル・サンダー氏がデザインした)プラスジェイの価格は1,000円かもう少し上がっている。でも価値はこれまでと同等かそれ以上。顧客から見た価格は相対的に上がっていない。」>

 「バリューライン」という考え方がある。横軸に製品・サービスの「価格」、縦軸に「価値」の二軸を取る。すると、「安くてそれなりの価値のもの=エコノミー」「中間価格で、中間的な価値のもの=中価値」「高くて価値の高いもの=プレミアム」という比例関係が出来上がる。これがバリューラインだ。
 勝てる価格設定をしたい場合、このバリューラインを超えるポジションをとる必要がある。「低価格なのに中間価格と同等の価値=グッドバリュー」「中価格なのに高価値と同等の価値=高価値」「低価格なのに高価格のものと同等の価値=スーパーバリュー」となる。
 柳井会長兼社長は、今年3月に行われた傘下のジーユーの戦略説明会で以下のような説明をしている。「ユニクロはナショナルブランドの商品と比べても品質は高いが、最低価格では提供できない。まあまあの品質で低価格のものを求める人はジーユーでお願いしたい」と。
 ユニクロはかつて「低価格なのに高価格のものと同等の価値=スーパーバリュー」
の戦略をとっていた。それを、990円ジーンズのジーユーを「低価格なのに中間価格と同等の価値=グッドバリュー」の戦略として展開し、ユニクロは「中価格なのに高価値と同等の価値=高価値」の戦略へと移行させる。つまり、全体として価格帯を引き上げることを暗に表明していたと解釈できる。しかし、8日の発言では「顧客から見た価格は相対的に上がっていない」という。つまりユニクロは、相変わらず「スーパーバリュー」のポジションにあるとしているのだ。
 どういうことかといえば、「価格」の軸はそのままに、「価値」の軸の意味合いが変わっているのだ。ユニクロの価値といえば、第一に「品質」だ。さらに近年、ヒートテックに代表される新素材が実現した「機能性」も加わった。それに、ジル・サンダーのデザインへの参画に象徴されるように「ファッション性」までが加わったのである。

 価格に対するファッション性の高さは、H&M、フォエバー21などの海外ファストファッションの特徴である。しかし、ファストと称される通り、1シーズン使い捨て的な品質であることは否めない。ユニクロが品質や機能性だけでなく、ファッション性までを価値の軸に取り込んだということは、国内に押し寄せる海外ファストファッション勢をものともせず、さらなる一人勝ちを続ける意欲を示しているといえる。国内だけではない。今年、一層注力する方針を明確にした海外展開においても無敵のスーパーバリュー戦略で勝っていく自信を示しているのだ。

 もう一つの発言も興味深い。
 <(低価格品でいうとファストリ傘下のジーユーが)990円のジーンズを発売した時は新しい価値創造があった。(他社が出した)880円や850円の商品は価値を生んでおらず(そんな状況だと)最後は無料になるのでは」>
 ジーユーに対抗し流通各社のジーンズの値下げが相次いでいる。ザ・プライス:980円、ダイエー:808円、イオン:880円、西友は3月に1,430円で発売したが、ついに10月1日から850円ジーンズを投入した。
 西友は親会社のウォールマートが展開している英国のグループ会社が開発した衣料品のプライベートブランド、Georgeでカジュアル衣料も比較的充実している。しかし、他社を見ると格安ジーンズとコーディネートするようなラインナップはあまり見受けられない。ジーンズだけが突出して安いのは、ジーンズをロスリーダー(目玉商品)にし、ジーンズ単体では収益は出ないものの、それで集客を図ろうという戦略であるとも考えられる。
 つまり、柳井会長兼社長の「最後は無料になるのでは」とは、集客のために無料配付しているのと変わらないとの指摘であると考えられる。それに対して、ジーユーは、全商品の1/3を990円で構成し、秋冬物にもかかわらずトップスとボトムをコーディネートして全身で5,000円以下で揃えられるというラインナップを誇る。低価格で提供してもしっかりと収益を上げられる。顧客は安価に、そこそこの品質・オシャレ感なものを揃えられるというWin-winな価値の共有ができているのである。それは、6月2日に「ケタ違い宣言」として、事実上の最安値宣言を行ったジーユーによって、ファーストリテイリングが低価格帯で盤石のポジションを築いたことを意味しているのである。

 しかし、その発言の続きが、狙いは低価格での覇権を握ることだけではないことを示している。
 <-デフレ不況についてはどう見るか。「消費者は毎日990円のジーンズばかりはいても楽しくない。日によって3,990円のジーンズでも1万円を超えるジーンズもはきたいだろう。990円に集約されるわけではない」>
 1990年代後半、ユニクロがまさに成長の軌道に乗ろうとしている時に、柳井会長兼社長は「顧客に全身をユニクロでコーディネートさせようとは考えていない」と述べていた。だが、現在は前述の通り、価値の軸にファッション性を取り込んでユニクロで全身コーディネートしてもしっかりオシャレに仕上がるようになった。ジーユーも低価格で全身を、そこそこではあるがオシャレにコーディネートできる。しかし、柳井会長兼社長は顧客にはユニクロ、ジーユーという単一ブランドでコーディネートさせるわけではなく、どちらも取り入れて利用させようという意向であることが読み取れる。

 だとすると、990円はジーユー、3,990円はユニクロであるが、1万円を超えるのは何だろうということが気になる。それは現在は実際に1万円のジーンズを扱っているわけではないが、恐らく10月2日にリニューアルオープンした銀座のユニクロ旗艦店に出店した、傘下のキャビンが展開する「ZAZIE(ザジ)」「 enracine(アンラシーネ)」などを意味しているのだろう。今までグループ内での相乗効果がうまく発揮できていなかったが、ユニクロと生産拠点や素材を一部共通化するというテコ入れで、商品の平均単価を20~30%下げることに成功した。今後は両ブランドも含めて顧客を囲い込んでいこうという意向を示した発言であると解釈できる。

 さらに、先の「(高価格帯から低価格帯まで)全プライスをやっていく」は、ジル・サンダーのプラスジェイだけでなく、現在のところ手つかずになって相乗効果が生まれていない、より高価格帯の婦人衣料ブランドへのテコ入れも意味しているかもしれない。グループ内にはまだ、ブランド資産が眠っている。ニューヨーク生まれのファッションブランド「Theory (セオリー)」。パリ生まれのブランド「COMPTOIR DES COTONNIERS(コントワー・デ・コトニエ)」。フランスのランジェリーブランド「PRINCESSE TAM.TAM (プリンセス タム・タム)」。これらが動き出せば、本当に「(高価格帯から低価格帯まで)全プライス」をおさえたことになる。容易なことではないが、2020年度のグループ売上高を5兆円にするという目標達成のためには、縮む国内市場だけでなく海外展開が欠かせないのと同時に、ユニクロ一本勝負ではなく、複数ブランドでのポートフォリオ展開が欠かせないからだ。

 柳井会長兼社長の短い発言からも、同グループの戦略にブレがないことと、自信のほどが伺える。向かうところ敵なしの、事実上の「無敵宣言」である。


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