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2009.09.29

サッポロのノンアルコールビールはナゼ独自路線を狙うのか?

 大手4社のノンアルコールビール、もしくはアルコール0.00%ビールテイスト飲料が、明日明後日の9月中に出そろう。メディアが伝える試飲リポートからサッポロの製品「スーパークリア」だけが異彩を放つ戦略をとっていることがわかる。その背景を読み解いてみたい。

<0%ノンアルコールビール戦争! 大手4社の製品を飲み比べ(日経トレンディネット)>
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090902/1028546/?P=1

<香りも味も全然違う!大手4社の「アルコール0.00%ビール」を飲み比べ(東京ウォーカー)>
http://news.walkerplus.com/2009/0926/2/

 2003年に道路交通法改正による、飲酒運転の罰則強化を受けてサントリーの「ファインブリュー」を皮切りに大手ビール会社が続々とビールテイスト飲料を発売。市場を形成しはじめた。しかし、酒税法上では酒とは扱われない1%未満とはいえ、アルコールを含有している各製品は、「飲みたいけど飲めない!」というドライバーなどのニーズには応えきれていなかった。そのニーズをがっちりとすくい取るべく、世界初のアルコール0.00%を実現し大ブレイクしたのが、2009年4月発売の「キリンフリー」である。

 大手4社そろい踏みとなる今秋、ディフェンディング・チャンピオンである「キリンフリー」の味はといえば、各メディアから「最もビールらしい味わい」と好評である。対する「アサヒ ポイントゼロ」は、さすがアサヒ、のどごしの爽快感がピカイチらしい。そして、「サントリー ファインゼロ」は「スッキリよりも味わい系」だという。

 キリン、アサヒ、サントリーの3製品は、いずれも「いかにビールにそっくりな味を再現できるか!」という前提条件の下に、各々が特徴を出そうと競い合っていることが分る。そりゃそうだ。ドライバーの「飲みたいけど飲めない!車だから!」とか、ドクターストップがかかっている病人の「飲みたいけど飲めない!命が惜しいから!」という、「アルコールが完全にゼロでもビールの味が味わいたい!」という切なるニーズに応えることが、このカテゴリーの「中核的価値」であることは間違いないのだから。そして、それを実現するための「実体価値」として、各社は独自の味わいやのどごしを工夫しているのだ。

 しかし、そんな競争ルールや価値構造にサッポロはあっさり背を向けているらしいのだ。 「サッポロ スーパークリア」はそもそも、原材料に麦芽もホップも使っていないという。サントリーなどは「麦芽を同社の従来商品の1.3倍使い、アロマホップを100%使用した」(東京ウォーカー)と大きく張り込んでいるのに、「サッポロは麦芽エキスを使用し、原材料名の筆頭も水溶性食物繊維(同)」だというから驚きである。その原材料の違いで「カロリーは他社製品の1/2~1/3程度の6kcal(100ml中)でプリン体も低い(同)」という特性を実現しているのである。つまり、この製品の中核的価値は「ビール風味の健康飲料」なのだ。そのビール風味を実現する実体価値は、麦芽エキスで「あっさりさらさらとした口当たりで、ビールの風味はするが、ビールの泡立ちやのどごしはない。ビールの代替物としては物足りないけれど、甘味のないスッキリした炭酸飲料を求める人には飲みやすい味わい(トレンディネット)」を実現している。そして、ビール風であるかどうかに関係なく、健康飲料としての魅力を高める「付随機能」として、「低カロリー・低プリン体・食物繊維」という健康3点セットがモレなくついてくるのである。

 サッポロだけが大手4社の中で明らかにターゲットも、ポジショニングも異なる展開をしているがそのワケはナゼだろうか。

 サッポロがビール類課税出荷量のシェアで、サントリーに抜かれ4位転落をしたのは2008年第1四半期のこと。結局昨年は通期でも3位返り咲きができず、業界のポジションとしては「フォロアー」となっている。シェアの低下は店頭の棚確保が難しくなるというマイナスのスパイラルを生む。
 定番の「「ヱビス」はサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」と真っ向勝負の最中だ。一方、ビール系の中では唯一の成長カテゴリーである第3のビール。「ビールと紛う味の良さ」と評判の「麦とホップ」を育成したいが、イオンとセブン&アイ系列の店頭にはサントリー製のPB商品が棚を占拠しはじめた。ディスカウント店では韓国製の第3のビールの侵攻が始まっている。ここでも予断を許さない。
 そして、大手4社そろい踏みとなったノンアルコールビール。ノンアルコールでも同じビール系飲料の棚に入れられるとすれば、同じ土俵で勝負をするのではなく、製品特性とターゲット設定をずらして「独自の生存領域確保」を狙う「ニッチャー戦略」をとっているのではないだろうか。
 フォロアーのポジションに甘んじたくはない。しかし、全てのカテゴリーでチャレンジして、万が一にも総崩れになることは避けたい。そんな戦略が全面戦争の戦端がまもなく開かれる、ノンアルコールビール市場における「サッポロ スーパークリア」の展開から伝わってくるのである。
 発売は9月30日。まずは味わってみようではないか。

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Comments

くどい、読んでいて疲れる。

Posted by: | 2009.09.29 12:14 PM


「ノンアルコールビール」の検索でこのブログを知り、
2010/05/01の私の記事でリンク(紹介)させていただきました。
http://www.omotesando-ad.jp/archives/51544542.html

金森さんの情報の密度に驚きます。また拝見させていただきます。

Posted by: 川島孝之(表参道の小さな広告屋から) | 2010.05.01 10:35 PM

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