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2009.08.27

「貝柱がいる」シーフードヌードルは、なぜ、歓迎されたのか?

♪ ここに 貝柱がいる 貝柱がいる たしかにここに いる~ ♪
水夫姿の木村拓哉が朗々と歌い上げるCMが印象的な日清・シーフードヌードル。貝柱をプラスしたという製品改良に反対する意見は全くといっていいほど聞こえてこない。それはカップヌードルの肉が「ダイスミンチ」から「コロチャー」に変更された時と全く異なった様相を呈している。

カップ麺のパイオニアである日清食品は、「新・うまい! カップヌードル」というコンセプトのもとに製品仕様の改良を進めている。その一環として、「カップヌードル シーフードヌードル」に、「貝柱」を加えた。それは1984年の発売以来、25年の間に幾度も繰り返された改良の中でも画期的な改良であるといえよう。同社のニュースリリースによれば、<「貝柱」は具材としておいしいだけでなく、うまみがスープに溶け込むことで、コク深いおいしさを演出します>とのことで、食べてみれば確かに味わい深くなっているのがわかる。

カップヌードルの製品改良といえば、「新・うまい! カップヌードル」の第一弾として「カップヌードル」の肉を、独特のフニャっとしたしながら、どこか芯が残るような食感をもった肉「ダイスミンチ」からコロッとしたチャーシュー、「コロ・チャー」に変更した時の市場の反応が思い出される。多くのカップヌードルファンが製品改良のニュースリリースに対して一斉に反対の異見を表明したのである。

今回のシーフードヌードルに「貝柱投入」に対する反応の違いの理由は、「貝柱」は具材として新規投入されたのに対し、「コロチャー」は既存の具材「ダイスミンチ」からの置き換えであったことが大きいだろう。カップヌードルファンはダイスミンチの独特なジャンキーな味わいが姿を消すことを惜しみ、「むしろ製品改悪ではないか?」との意見を述べたのである。つまり、ファンはダイスミンチはカップヌードルらしさの根源であると考えてそれが失われるのを惜しみ異を唱えたのだ。

では、実際に改良版の「コロ・チャー」カップヌードルが発売された後はどうだったかというと、スッと潮が引くかのように反対意見は消え去った。木村拓哉が稲垣吾郎のニックネームである「ゴローちゃん」と、ゴルゴ13を「ゴルゴちゃん」と呼んで「コロ・チャー」の名前と引っかけて連呼するCMソングはおもしろかった。その後押しもあるが、製品の味自体がファンに受け入れられたのである。それは、肉が変わっても「カップヌードルらしさ」は失われていなかったからだ。
一方のシーフードヌードルは、基本のカップヌードルの味にシーフードのうまみが加わっている点が「らしさ」を醸し出しているといえる。それが「貝柱投入」によって「らしさ」がさらに向上すると考えたが故に、ファンも反対ではなく、むしろ歓迎の意を表明したのだろう。

「らしさ」とは、「知覚品質(Perceived Quality)」という。それは消費者が商品・サービスを購入するにあたって感じる品質のことであり、商品の機能や性能などの物理的属性に加え、信頼性や雰囲気などの主観的な要素も加味して判断されるものだ。それ故に、企業が何らかの機能や性能を高めたり、原材料を変更したりと物理的な品質、(工場品質とも呼ばれる)を高めても、消費者にとって意味のあることでなければ、知覚品質が高まったとことにはならない。
カップヌードルも、シーフードヌードルも、肉質の向上や貝柱の投入という具材の変更によって「らしさ」=「知覚品質」が失われていたら、ファンの離反を招いたのは間違いない。
顧客にとって何が価値なのか。それを誤らずに見極めることが重要なのである。

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