お見事!ファミマの「朝食に中華まん」のオススメ!!
ファミリーマートが“朝限定”で中華まんを割引きする「ファミマの朝割」を全国7500店にて2週間実施するという。
<ファミマが中華まんの“朝限定割引”を実施!(東京ウォーカー)>
http://news.walkerplus.com/2009/0814/16/
かつては中華まんの蒸しケースを見かけると「ああ、秋も深まったなぁ」などと感傷に浸ったものであるが、中華まんの登場シーズンはどんどん早まり、ついに夏真っ盛りのお盆には、コンビニ各店のレジ横に鎮座ましますようになった。
地球温暖化防止が叫ばれ、冷房温度の高め設定が励行されているとはいえ、冷房完備の環境が整っている今日、季節感の喪失は否めない。しかし、季節商品の需要期前倒しは年間の販売数を底上げする効果が如実に表れるため、各社こぞって早めの参戦を打ち出すのは商売としては理に叶っている。
季節を前倒しする需要創造に加え、今回は「時間」を前倒しする打ち手をファミリーマートは考えた。
コンビニで購入する朝食の定番メニューといえば、サンドイッチかおにぎりか。しかし、朝から「中華まん」を食べようとは通常あまり思わないだろう。
炭水化物に包まれて中央に具となる食材が詰まっているという構造は、考えてみればサンドイッチやおにぎりと何ら変わらない。それを購入して、冷房の効いたオフィスで「ソトアサ」ならぬ「席アサ」をするなら、むしろ暖かい食物が摂れるのはありがたい気もする。
しかし、今までそれをやらなかったのは個人の習慣であり、社会の慣習だ。
習慣・慣習を打破して、中華まんの朝需要を創造することがこの取り組みの主眼である。
需要価格設定(demand pricing)という。
セグメントごとに、価格を変化させ利益を最大化させる価格設定手法である。対象となるセグメントは顧客セグメントや場所、そして時間などが代表的だ。一般客に対するVIP顧客優待、S席・A席・B席の価格差、飛行機の早割などがその例だ。
そして今回は通常、中華まんの需要が少ない朝の時間帯を、通常価格105円を95円にしている。各社がこぞって割引で提供している100円おにぎりよりさらに安いというわけだ。
東京ウォーカーの記事によれば、ファミリーマートは過去にも時間帯別需要価格設定を行った例がある。
<2008年10月からフライドフードの夜間限定割引企画を実施し>したという。夜の脂ものは絶対に避けたいところ。しかし、晩酌のつまみに乾き物だけでは味気ない。そこにアツアツのフライドポテトや唐揚げが割引価格で提供されている。何という悪魔の誘惑。
夜の脂ものに比べれば、朝の中華まんはありがたい存在だろう。不況の折、前日の深酒の機会も減少し、朝時間の有効活用の気運も高まっている。しかし、お店で食べるソトアサよりも費用抑制のため席アサ需要の方が今後ますます高まるだろう。そこに狙いを絞っているわけだ。
ファミリーマートの中華まん割引にはもう一つシカケがある。
朝割引の中華まんは、肉まん、ピザまん、カレーまん、つぶあんまん、こしあんまんの5種類だが、<肉まんをのぞく4種類は2009年の新バージョンのもの>だという。つまり、人気の肉まんのみ2008年バージョンである。そして、<肉まんは消費が本格化する9月以降、順次新作と替えていく予定>だという。
これはティザー(teaser:じらし)効果を狙った戦略であろう。朝に中華まんを食べる習慣を付けさせ、さらに、キャンペーン終了後に、「肉まんの新作が出ますよ~」という寸法。そして、購入の継続化を図るのだ。
夏のさなかまで販売期間を前倒しして購入機会を増やし、時間限定で需要を創造し、さらに新作の発売期間をあえて後ろ倒しにして購買を継続化させる。
マーケティングの4P(製品戦略=Product・価格戦略=Price・チャネル戦略=Place・コミュニケーション戦略=Promotion)はモレ抜けダブリがない要素に見えるが、実は「時間」の概念が含まれていない。ファミリーマートの中華まん戦略は、小さな取り組みであるが、「時間軸」で考えている見事な戦略である。
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