日本マクドナルドの恐るべきバランス感覚
日本マクドナルドが過去の人気レギュラー商品や期間限定商品を3ヵ月期間限定で販売するという。その狙いは何だろうか。
3ヶ月継続のキャンペーンは「NIPPON ALL STARS」と銘打たれており、過去の人気日本オリジナルメニューである、「たまごダブルマック」、「月見バーガー」、「チキンタツタ」、「グラコロ」を順次展開していくという。
注目はナゾの米国人男性「Mr.ジェームス」をCMキャラクターに仕立てたキャンペーン告知CMである。いかにもイケテナイ米国人中年男性という風貌のキャラクター設定は、「かつて留学で日本を訪れたのをきっかけに日本が大のお気に入り。おいしいものを食べて、幸せな気分になるとついつい「タマランデス」と言ってしまうのが口癖」だという。
Web限定の「Mr.ジェームス アメリカでの、ニホンゴ スタディムービー !!」も実にユニークで、どこかオカシナ日本語を一生懸命練習するキャラクターが描かれているのだ。
Mr.ジェームスはテレビやWebの中だけで活躍するのではない。日本全国のマクドナルド各店舗や観光名所に出没して、その様子をブログに綴るという。
「NIPPON ALL STARS」メニューやMr.ジェームスの発するメッセージは何だろうか。
それは、「タマランデス」というほど、「日本はスバラシイ!」「日本オリジナルメニューはオイシイ!」ということだろう。そこに隠された意図は日本マクドナルドの微妙なポジショニング調整だと考えられる。
「日本のハンバーガーよ、もう遊びは終わりだ」と強力なメッセージで米国から上陸してきたクォーターパウンダー。CMでは北島康介のビッグマウスも炸裂した。強力なアメリカナイズである。安室奈美恵をキャラクターに仕立て、現在も「バラ色でいくぜ!」とキャンペーン継続中の「日本バラ色計画」で、より多くのファンを抱えるに至った。
しかし、ファンを抱えるということは一方でアンチを生む。また、あまりにも強力なアメリカナイズや、「いくぜ!」的な勢い、クォーターパウンダーのボリューム感についてこられない層も存在する。
例えば、中高年層。ファストフードの顧客層はつい、「若者」と考えがちであるが、日本マクドナルドが銀座に第1号店を構えたのが1971年。70年代、80年代の若者は今ではすっかり中高年。ランチタイムにハンバーガーをほおばる中年サラリーマンや、朝のひとときにコーヒーをすする老人など、昨今ではマクドナルド店舗で見慣れた風景になっている。
そんな顧客層にとっては、圧倒的なボリュームのクォーターパウンダーは少々荷が重い。また、あまりに勢いがよかったり、アメリカナイズされすぎは、自分たちが育った「日本のマクドナルド」と違う感じを覚えてしまう。
そこで、日本オリジナルメニューを連投し、懐かしくも自分たちにピッタリのメニューに安心感を与え、さらに謎のアメリカ人に「タマランデス」と日本讃辞をさせる。
女性客や家族連れにも「NIPPON ALL STARS」メニューはがっつり系ではないので、ちょっとやさしい。メニューは90年代前半から2000年代前半までの人気メニューでやはり若き日の想い出をかぶらす人も多いだろう。家族でのランチなどでは子供に勧めることもあるだろう。
高額商品であるクォーターパウンダーでマクドナルドの客単価は向上した。今度は客数を増やすことがテーマである。話題のコーヒー0円キャンペーンもそこに意図がある。その意味からすると、幅広いメニューで、幅広い顧客層を集客することが欠かせないのである。
「NIPPON ALL STARS」は自社の顧客層とその心理を巧みに読み取って、若者とアメリカ流、そしてがっつり系に行きすぎたポジショニングを微妙に修正しようとする、日本マクドナルドの巧みな戦略であるのだ。
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