大塚製薬のSOYJOYと新製品の予感
大塚製薬のバランス栄養食・SOYJOYのCMがどんどんと変化している。それが意味するものは何なのか。
ソイジョイのCMが新しい局面を迎えている。
発売当初はみのもんたが「大豆!ソイジョイ!」とこれでもかとネチっこく、脂っこくアピールして興味を喚起し、続いて田中麗奈と豊川悦治のOL・サラリーマンコンビがオモシロおかしく興味を喚起。後半は田中・豊川が女優とマネージャー(後に芸能プロダクション社長)と役どころを変えて、効果効用をアピールして欲求を喚起し続けてきた。
うーん、何ともAIDMAのお手本のようなA→I→DというCMの展開。コンビニやドラッグストアでの取扱も増え、鉄道の駅構内にも自動販売機がかなり設置されて、商品接触機会も増えてきた。
面白いデータがある。ネット調査の結果だ。
調査主体が異なっており、パネルも質問内容の詳細も違うことから、単純比較するのは乱暴なのはいうまでもないが、あえて並べてみてみる。2007年~2009年までの「バランス栄養食」の利用に対するアンケート結果である。
(全てバランス栄養食利用者の回答・シングルアンサー)
2007年:マイボイスコムの調査
http://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/10809/
「最も利用しているバランス栄養食品」=カロリーメイト(大塚製薬)・63.7%、ソイジョイ・10.1%、毎日果実(江崎グリコ)・8.0%
2008年:インターワイヤード・DIMSDRIVEの調査
http://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2008/080625/
「最も好きなバランス栄養食品」=カロリーメイト・33.2%、ソイジョイ・19.7%、毎日果実・6.9%
2009年:YAHOOリサーチ・C-NEWSの調査
http://c-news.jp/c-web/ShowArticle.do?did=01&aid=00011541
『今後の食用意向 「カロリーメイト」「ソイジョイ」が僅差でトップ争う』(詳細公開なし)。
2009年の詳細が公開されていないのが残念だが、同じ大塚製薬の商品であるカロリーメイトをソイジョイが猛追している様子がよくわかる。
それは一見、自社内のカニバリゼーション(共食い)に見えるが、カロリーメイトが「栄養バランス」にフォーカスしているのに対し、ソイジョイは「大豆の健康・低GI(糖質の吸収が穏やかで太りにくい)」とダイエット効果を訴求している。当然、ターゲットも異なる。
つまり、両商品は大塚製薬のバランス栄養食カテゴリーの中で、「金のなる木」と「スター」として、ターゲットとポジショニングでうまく棲み分けながら、共存しているのだ。
(関連記事:カロリーメイト VS. SOYJOY・大塚製薬の深謀遠慮 2008年6月27日)
この3年間でソイジョイは「問題児」から押しも押されぬ「スター」に上り詰めた。
そこで今回のCMの変更だ。
「人類と大豆」編
http://www.otsuka.co.jp/adv/soy/index.html
「地球を救う大豆」。荒野にも育つ大豆、健康を助ける大豆。地球の救世主的存在は米でも小麦でもとうもろこしでもない、という原料を英雄に見立てた壮大な表現。
みの→麗奈&トヨエツとどんどん脂っこさが抜けていき、ついにタレントも使わなくなった。この一連の変化は、もう一段、ソイジョイのポートフォリオが進展したことを表わしてはいないだろうか。
タレントによる商品名刷り込みも、楽しくもオカシイおちゃらけも不要。商品の堂々たる王道感を訴求し、一連のコミュニケーションを仕上げる。
時々はリマインドのためのCMもするだろうが、もはやソイジョイはカロリーメイトと同じく「金のなる木」になったのではないかと考えられる。
ポートフォリオマネジメントの基本は、黙っていてもどんどんキャッシュを稼ぐ「金のなる木」がいたら、「問題児」のポジションに新製品を投入して「スター」を育てていくことだ。そうして、次の成長戦略を描くのである。
さて、そうなると、バランス栄養食の新商品登場の予感がしてならない。なにしろ、カロリーメイト、ソイジョイのカテゴリー2強の稼ぎをつぎ込むことができる新製品だ。ワクワクしてしまうのは筆者だけだろうか。
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