ロッテリアの「さらに一歩」とミスドの「次の一手」
低価格路線をひた走るロッテリアがさらに大幅値下げを敢行。その行き着く先には何があるのか。また、ミスタードーナツの新商品の意味するものは何なのか。
日経MJ5月27日が伝えた<ロッテリア 低価格品で巻き返し 一部バーガー50円引き 100・150円飲料も拡充>という記事も記憶に新しいうちに、ロッテリアはさらなる値下げを展開する。
<ロッテリアが都内限定で“昼メニュー”を大幅値下げ>
http://news.walkerplus.com/2009/0610/12/
<マクドナルドの「MPower スペシャルランチセット」と同じくランチタイムを狙った割引>を都内限定21店舗で約1ヶ月間平日のランチタイムに展開するという。
筆者は以前の記事「したたかなロッテリアのフォロアー戦略?」で「ロッテリアはハンバーガー業界でのフォロアーのポジションを選択した」と推察した。
天才仏料理シェフ・嶋原博氏を招いて「絶品チーズバーガー」を発売。売上げに大きく貢献したものの、マクドナルドの攻勢で失速。20年前のマクドナルドの「390(サンキュー)セット」に対抗した「380(サンパチ)トリオ」が業界リーダーの力の前に敗れ去った轍を踏んだわけだ。(前出記事の読者の指摘通りである)。
もはやチャレンジャーのポジションをあきらめ、フォロアーのポジションに甘んじる。それも、マクドナルドという強力なコストリーダーが君臨している業界においては致し方ない。モスバーガーをはじめ、他の企業はチャレンジよりも独自性を構築してニッチャーとしての独自の生存領域確保に躍起である。それとも一線を画したフォロアーという選択も悪いことではないのだ。
今回の展開は「MPower スペシャルランチセット」へのチャレンジとも映るがそうではない。マクドナルドのセットよりもほんの少し低価格に設定したのは、ランチ予算を圧縮せざるを得なくなって、マクドナルドからの流出した顧客を拾い上げるフォロアーらしい戦略だといえる。リーダーが作った市場の中で、一段階レベルを落としてひたすら生き残りを図るのがフォロアーであるのだから。
しかし、ひたすら低価格化だけでは収益的に生き残るのは難しい。新たな付加価値商品で単価アップを狙う動きもある。それがミスタードーナツだろう。
<ミスド初のイートイン限定ドーナツ「デコド」>
http://news.livedoor.com/article/detail/4194728/
<いつものドーナツに店舗でしか味わえないデコレーションをプラスした「デコド」を、6月10日より全国販売する>として、例えば<メープルハニーディップ」は、メープルソースをかけて温めたハニーディップにホイップクリームを添えた>というような商品を展開するという。価格は189円。高単価の部類に属するだろう。
ミスタードーナツは原料の小麦粉の高騰以来、実質的な値上げである量目調整によって商品自体がずいぶんと小さくなった。ファンには不評が広がった。しかし、世の外食業界・ファストフード業界は低価格路線をひた走る。さりとて、実質値上げをする状態のミスドは値下げは厳しい。そこで、高付加価値商品を投入することとなる。
鳴り物入りで投入されたのが、モスバーガーとのコラボレーション商品の「ドーナツバーガー」。168円と比較的高単価商品であり、期待がかかっていたはずだが、登場時以来、あまり話題に上っていない。売上げも推して知るべしではないだろうか。
コラボレーションはモスとミスドが各々の顧客を送客する狙いがあったと思われるが、イマイチうまくいかなかったのではないだろうか。
そこで、ミスドは次の一手として展開したのが「イートイン」だ。
ミスドにはもう一つ、「大人のミスド」というポジショニングを持った「アンドナンド」という店舗展開をしている。クリスピー・クリーム・ドーナツをはじめとした黒船ドーナツが上陸した時期に、自社もプレミアムドーナツを展開するために起こしたブランドだ。2007年のことである。
明らかに高単価商品がラインナップされており、ドーナツは180円~250円中心。高付加価値・高単価展開を狙い、スタート時には「年内に都内周辺で6店舗出店し、今後全国でフランチャイズ展開も視野に」と強気のコメントも発表していた。しかし、現在も、渋谷・神保町・汐留の3店舗のみと苦戦が鮮明だ。
そのアンドナンドの最も特徴的な商品は「イートインメニュー」であろう。ホイップクリームを載せた暖かいドーナツにエスプレッソやラズベリーソースをかけて食べるスタイル。400円の高単価商品だ。価格的には今回の「デコド」とは倍以上の開きがあるが、スタイルは共通している。
低価格大衆路線のミスドがプレミアム路線のアンドナンドと同じスタイルを展開するのは価値の毀損になる。しかし、アンドナンドもイマイチうまくいっておらず、店舗展開も進んでいないため判断を下したのではないだろうか。
ロッテリアがどこまでフォロアーのポジションをガマンするのか。
ミスタードーナツのプレミアムブランドを犠牲にしてまで展開する高単価商品の投入策がうまくいくのか。
戦略に絶対の正解はないけれど、立ち止まれば必ず沈んでいく動きの速い業界、変化の激しい時代おける必死の策であることは間違いない。成否を見守りたい。
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