「もんでいい?」はファンタであってファンタでない?
6月1日発売の「ファンタ もみもみ フローズン」。「ふるふる」で炭酸飲料に禁断の「振る」という属性を加えたファンタは、1958年の発売以来、ついにここまで来たかという進化を遂げた。
待ちに待った(?)発売日。だがしかし、コンビニの店頭には並ばなかった。配貨の都合なのか。遅れること1日。冷凍の棚にグレープ味1フェースのみが登場した。強大なチャネル支配力を持つ日本コカ・コーラといえども主戦場の飲料棚以外では勝手が違うということか。
気がつけば前日まであった「アクエリアス ビタミンガード 冷凍PET」が姿を消している。その商品を犠牲にして「ファンタ もみもみ フローズン」の棚を確保したということか。
既存製品を引っ込めてまで展開する「ファンタ もみもみ フローズン」には、日本コカ・コーラの並々ならぬ力の入れようを感じる。朝青龍関の演じる「ファン太郎」のCM、『ファン太郎が行く 発音』篇は、筆者好み(おっとっと・・・)のメガネの外国人女性教師に「もんでいい?」と発音するという、相変わらずの軽妙洒脱ぶりを発揮している。それ以外にも、なんの意図か朝青龍関の氷像を作るなど、話題喚起に躍起だ。そんな内容を伝える新製品のニュースリリース( http://www.cocacola.co.jp/corporate/news/news_20090528_01.html )もかつてなく盛りだくさんである。
待望の商品を飲んでみた。いや、飲む前にはもまなければならない。「もんでいい?」ってな感じで。
もみもみもみもみもみもみ。手が冷たい・・・。
そう、ニュースリリースでは商品の使用方法として「体を冷やしながらほどよく溶かそう」として、「暑い夏に、海やプール、花火大会などのイベントで、またお風呂上りに火照った体を冷やしたいとき」と、正しい利用シーンが書いてある。6月初旬。ちょっとまだ早かったか。
で、飲んでみたというか、シャリシャリ食べてみた。う~ん、ファンタらしいグレープ味が口中に広がる。その時、自分がティーンエイジャーな気分になる。なんというファンタスティック。
しかし、同時に「あれ?」と思う。「シャリシャリ」はいいけど、「シュワシュワ」がない・・・。
先の衝撃の商品、「ファンタ ふるふるシェイカー」は、炭酸飲料を振るという禁断の扉を開き、さらには日本コカ・コーラが「ゼリーのプルンとした食感と炭酸のシュワシュワを同時にお楽しみいただけるユニークな炭酸飲料」と商品特長を伝えるとおり、その期待を裏切らない感触が楽しめた。
しかし、「ファンタ もみもみ フローズン」には全く炭酸が感じられない。・・・ってことは、これってファンタじゃないじゃん!という感じもする。さすがに炭酸を凍らすのは無理ってこと?
しかし、ファンタという飲料の製品特性を考えれば、それは極めて異常なことではないだろうか。製品の中核たる価値はフルーツ味の炭酸が醸し出す「甘いのにスッキリ」ではないだろうか。その属性を捨てて、「甘くてシャリシャリ」にしたわけだ。でもそれって、ただのシャーベット?
ファンタであって、ファンタでないファンタを上市する日本コカ・コーラの意図はなんだろうと考えてみる。それは、コンビニの「棚獲得」ではないだろうか。
「アクエリアス 冷凍PET」でコンビニの冷凍棚へコカ・コーラは戦場を拡大した。飲料棚からの拡大は、まさにエポックメーキングなできごとであろう。そして、その製品の派生商品である「アクエリアス ビタミンガード 冷凍PET」を展開。2フェース獲得である。
その「アクエリアス ビタミンガード 冷凍PET」を引っ込めての、「ファンタ もみもみ フローズン」の展開だ。確かにアクエリアス2商品はターゲットがかぶる。ファンタであれば、若年層を中心とした新たなターゲットを拡大できる。
新たなターゲットのどんな需要を獲得したいのか。
「ふるふる」は、ゼリー状ではあるが、まだ確かに飲料である。しかし「もみもみ」は正直、飲んだ気がしない。「冷凍PET」は溶けて冷え冷えの所を飲むのが正しい使用法なので飲料であることは間違いない。しかし、「もみもみ」は「食べる」のが正しいのだと思う。
日本コカ・コーラが「飲料であって飲料でない」製品を発売したのだ。だとすると、この商品の競合はなんだ?
ズバリ、コンビニのアイスクリーム棚に陳列されている商品群ではないだろうか。コカ・コーラの営業力を持ってしても、飲料棚を離れて、アイスクリーム棚に展開するのは難しい。ましてや、飲料以外の製品を開発するのも大変だ。だとしたら、飲料に別の属性を加えればいいのではないかとの意図ではないだろうか。
企業の成長戦略を考える、「アンゾフのマトリックス」は、既存製品で勝負するのか、新製品を開発するのかと、既存市場・顧客を狙うのか、新規市場・顧客を開拓するのかというかけ算で考える。既存顧客は少子高齢化の潮流から考えれば縮小は明確だ。かといって、ファンタは年齢を問わない一部マニアな層がいるものの、若年層以外を開拓するのも骨が折れる。だとすると、既存顧客に新たな商品属性を訴求するのが正解だ。
ファンタの顧客層に、「ファンタであってファンタでない」、「もみもみ」を、飲ませるのではなく食べさせる。
もみもみして、シャリシャリ食べながら、日本コカ・コーラの深謀遠慮が伝わってきた。
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