頑張れ、「アサヒ麦搾り」!
9月15日発売と、ずいぶんと先の商品発売をリリースした「アサヒ麦搾り」。果たしてどんな意図があるのだろうか?
ニュースリリースは以下の通り。
<~豊かな麦のうまみと飲みごたえの新ジャンル~ 『アサヒ 麦搾り』新発売 麦1.5倍使用(麦芽、大麦 当社比※)、アルコール分ちょっと高め>
http://www.asahibeer.co.jp/news/2009/0616.html
リリースのタイトルにあらかた特長が集約されているので要約の必要はないだろう。
さて、この商品は「キリン ストロングセブン」の対抗馬であることは誰の目に明らかだ。
キリンが今年4月にリニューアルを発表した時のリリースは以下の通り。
<「キリン ストロングセブン」をリニューアル ~アルコール7%ならではの“キレ”、“飲みごたえ”をさらにアップして、グッとおいしく!~>
http://www.kirin.co.jp/company/news/2009/0422b_01.html
ここで既に、「あらら?」と思う。
両製品は、低価格志向の流れの中で、ビール系飲料は、ビール・発泡酒共に失速する中、成長著しい第3のビールに属している。そして、アルコール度の高い「ストロング系」と呼ばれるカテゴリーになる。
ポジショニングは、「ストロングセブン」は非常にネーミングからしてわかりやすい。アサヒは「麦搾り」でいいのだろうかと、ふと不安になる。
アサヒの気持ちも実は痛いほどわかる。
第3のビールは、麦を使わず大豆たんぱく・えんどう・とうもろこしを原料とする「その他醸造酒(発泡性)」と、麦芽を原料とする発泡酒にリキュールを加えた「リキュール(発泡性)」の2種類がある。
アサヒビールは宿敵キリンとの戦いにおいて、一つの選択と集中を行った。第3のビールカテゴリーでは「リキュール」に経営の原資を集中したのだ。その結果、第3のビールの「リキュール」ではアサヒがトップシェアとなった。(その後、キリン側が発表を控えたため、リキュール・その他、各カテゴリー別シェアは不明)。その背景からすれば、「麦」を訴求したいのは無理からぬことだ。
もう一つ、事情がある。
「麦」から連想されるのは、「うまさ」や「コク」である。「キレ」ではない。しかし、「ストロング系」は高アルコール度からくる、ガツンとしたキレが命。故に、「アルコール分ちょっと高め」という補足説明では本来追いつかない。
しかし、事情があるのだ。
あまり、「キレ」を安価な第3のビールで訴求すると、大黒柱の「スーパードライ」の首を絞めかねない。ましてや、今年、豊川悦治の挑発的なCM「一番うまい発泡酒を決めようじゃないか」と「アサヒ クールドラフト」で、キレを売り物にしている「キリン淡麗生」に大勝負をかけたばかりだ。
キレを売り物にした発泡酒は本来、出したくないが、コクが売り物の「アサヒ本生ドラフト」ではこれ以上戦えないとの苦渋の決断だったはずだ。さらに、第3のビールまでキレを前面に出して、自社顧客が低価格商品に雪崩を打ったら、取り返しはつかない。現在、スーパードライ顧客を必死で囲い込むために展開しているマストバイキャンペーン、「うまい!をカタチに」プロジェクトすら無駄になってしまう。
そんな背景の中、4月22日の「キリン ストロングセブン」のリニューアル内容は、きっと衝撃的であったはずだ。リリースには<リニューアルにあたっては、麦芽使用率をこれまでの約1.6倍まで高めるとともに、「新・高発酵技術」(特許出願中)を採用することで、アルコール7%の“のどにグッとくる刺激”はそのままに、“キレ”“飲みごたえ”をさらに向上させています。>とある。
「麦搾り」のスペック、麦1.5倍・アルコール6%を各々ちょっとずつ上回る。
言いたくてもいえない「キレ」。単なる数字上のスペックかもしれないが、微妙に上を行かれているスペック。どうにも歯がゆい状態である。
製品上市の意図は、「ストロングセブン」に挑むのではなく、「ストロング志向」の自社顧客のキリンへの流出を何とか食い止めようという意図なのかもしれない。故に、元もと自社ファンであれば、パッケージの商品名下にも記載した「麦1.5倍使用(麦芽、大麦 当社比※)、アルコール分ちょっと高め」という文言に気付いてくれるだろうと。
本当に上記のような意図であれば、苦戦が想像されてならない。
世の低価格志向は止められない。外での飲み会もビールではなく発泡酒が選ばれ、宅飲みでは第3のビールがもはや定番だ。「スーパードライ」の延命策は絶対必要であるが、その弱みを突かれて、キリンに発泡酒でも第3のビールでも「キレ」で逆攻撃されている戦局を変えるべきではないだろうか。
射すくめるような豊川悦治の視線。ロッキーのテーマソングにもなった「Eye of the Tiger」のCMソング。「決めようじゃないか」の挑発的コピー。そんなシビレル喧嘩を売ってほしいと考えるのは無責任すぎるだろうか。
9月の発売までにはまだ少し時間がある。少し検討してみてほしいと、アサヒファンの一人として考えるのであった。
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