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2009.06.15

プリッツの「つれてって君」から大いに学んだ!

1963年の発売以来、46年にわたって人々から愛され続けているロングセラー商品、グリコの「プリッツ」。そのプリッツが究極の進化を遂げた?

江崎グリコの「プリッツ」は発売以来46年を経た押しも押されもしない、堂々のロングセラー商品である。同じくロングセラーとして商品姉妹商品のような存在である「ポッキー」よりも3年先輩だ。「1粒300メートル」のキャラメルで名をはせた同社が、菓子カテゴリーへ進出を狙った戦略商品であるが、ポッキーと共に見事に看板商品として長きにわたり売れ続けている。

ロングセラー商品、または定番商品といわれるモノが、長い年月を経て人々に愛され、生き残っているヒミツは何だろうか。そんな問いかけをすると、多くの人から「変わらないこと」という答えが返ってくる。
確かに商品を作り続ける上での「こだわり」は不変であってほしいものだ。しかし、商品が生き残っていくためには、時代や人々の嗜好の変化に敏感に対応する必要がある。食品であれば、高まる健康志向に対応して減塩やローカロリーなどに対応する必要がある。また、消費者の嗜好の多様化に合わせて、様々な味のバリエーションが開発され続けているのである。

プリッツが好まれ、売れ続けているのは、一つには食べやすさと食感のよさだ。商品の語源は欧米で食べられている「Pretzel」である。特に米国で食べられているスナック菓子タイプの物が開発のヒントになっていたはずだ。しかし、米国のプレッツェルはあまりにゴツくて固い。かつてブッシュ大統領がフットボール観戦中に喉に詰まらせて倒れたほどに。
それを日本市場に合わせて、ほどよい固さと、指でつまんでポキポキと食べられるように工夫したのがプリッツだ。その形状と食感が中核的な価値である。
その価値を実現する製品の実体としては、様々な味のバリエーションであろう。発売当初「バタープリッツ」という味で登場したが、その後様々な味が開発され、さらにご当地味の展開によって実に多様なバリエーションが市場に投入されることになった。

今回の製品仕様変更は、江崎グリコのホームページにも掲載されていない。深く、静かに進行しているようだ。商品パッケージ変更なので、徐々に切り替わっている。
変更されたパッケージが店頭において目に止まった時のインパクトは絶大だ。例えばコンビニの棚。あなたの目は、棚から見つめる視線に気がつく。そう、このパッケージの意図がわかっている店は、本来的には裏である面を棚の正面に向けて陳列している。パッケージにはつぶらな瞳が描かれているのだ。
なんだろうと思って手に取り、パッケージを見ると、使い方が描かれている。

Photo
「つれてって君」というらしい。
このパッケージを考えた担当者は間違いなく天才だ。
パッケージの表面にミシン目が入っており、「つれてって君」の腕を引き出す構造になっている。腕をカバンの端に引っかければ、カバンの中で迷子になることなく、いつでも取り出せるような状態でプリッツをつれて歩くことができる。

パッケージがどのような形状をしていても、「食べやすさと食感」というプリッツの中核たる価値には影響はない。実体としての価値である「味とそのバリエーション」にも関係ない。しかし、その形状であることが、製品の魅力をより増大させる「付随機能」として、「つれてって君」は抜群の効果を発揮しているといえるだろう。
カワイイ。
アタッシュケースであったり、ブリーフケースであったりする、ガッシリした男子のカバンではイマイチうまく「つれてって君」を引っかけることはできないが、女子のカバン、特にトートバッグタイプなら相性は抜群だろう。女子のハート、わしづかみだ。

トートバッグは小さな子供の母親がよく利用する。バッグの端に引っかければ、カワイイと子供も喜び、取り出して与えるのも容易になる。
ターゲットはママだけではない。独身女性や子育てが終わった女性も「つれてって君」を見れば、ついつれて歩きたくなって手に取り購入する。ターゲット層を拡大するという絶大なパワーも発揮しているのである。
「つれてって君」、恐るべし。

ロングセラー商品、定番商品も、ただ売り続けているのでは生き残ることはできない。
どんな小さな改良でも、本来の価値とは関係ないと思っても、できることは何でもするべきなのだ。カワイイだけではない。「つれてって君」から学ぶ所は大きい。

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