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16 posts from May 2009

2009.05.30

フレームワークが身につくDVD

Dvd

公開セミナーを収録したDVDを作りました。

話題の商品をマーケティングのフレームワークで読み解く
~あれがヒットしたワケ・なぜか顧客が離れないヒミツ~


当Blogで取り上げた、最新のヒット商品の「売れた理由」をフレームワークで解き明かしていきます!
DVDが終わる頃には、あなたはもうすっかりマーケティングのフレームワーク使いです!

【こんな人にオススメ!】

・マーケティングのフレームワークを基礎から学んでみたい
・マーケティング関係の書籍を読んでみたが、もう少し分かりやすい情報が欲しい
・マーケティングのフレームワークについて、ビジネスのどの場面で如何に使うのか理解したい
・セミナーなどに参加したいが、参加できない(地方在住など)
・勉強熱心な部下に遅れを取りたくない
・マーケティング関係部署に異動になったが、研修制度が充実しておらず勉強したい
・スキルアップをし、会社の役に立ちたい

グループワークが苦手・・・。
一度のセミナーで覚えられる自身がない・・・。

なぁんて悩みとはもうサヨナラ。
ひとりでも、何度でも繰り返し繰り返し学習できるDVDです。
PDFの付録ハンドアウトを出力してモニターの前に座れば、そこはもう、セミナー会場!

気になるお値段は、
本体: 9,800円
税 :   490円
計 :10,290円

送料:  320円   です。

詳細とお申し込みは、 ↓ にGO!

【インサイトナウ・商品紹介・申し込みページ】
http://www.insightnow.jp/applications/id/36


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2009.05.29

「シソ風味ペプシ」の味を大胆予想する!

今年もアイツがやってくる。「変な味のペプシ」。今年は「シソ風味」だという。どんな味がするのか、マーケティングの観点から予想してみると、大きく2つのシナリオが考えられる。

6月23日から2~3週間限定で発売されるペプシコーラは、その名もズバリ「ペプシしそ」。・・・全くひねりがないようにも思うのだが、それは夏の風物詩、毎年繰り返し発売される変わり種ペプシコーラの最新版である。
昨年の夏はパイナップルとレモンフレーバーで、目にも鮮やかな青の「ブルーハワイ」をテーマにした。一昨年夏は「キューカンバー」、つまりキュウリ風味。キュウリといってもその味わいは「欲張ってスイカの白い部分まで食べちゃいました!」的な、うす甘くて青臭いようなフレーバーであった。
つまり、毎回、味はビミョーなのだ。

なぜ、ペプシがそんな変わり種を毎年発売するのか。それは、ペプシが「チャレンジャー」だから。誰にチャレンジしているのかといえば、言わずと知れたコカ・コーラだ。
チャレンジャーの戦略は「差別化」。対して、リーダーの得意技は「同質化」。チャレンジャーが新たなヒット商品を上市すると、優れた開発力で同様の製品をすぐさま開発し、強力な販売力で先行しているチャレンジャーの商品を市場から駆逐する。コーラ飲料の主戦場である「ゼロカロリー」においては、両社は拮抗しているが、チャレンジャーは常にリーダーの圧力に抗う努力を欠かすことはできない。

チャレンジャーの努力が必要なのは製品だけでなく、イメージ醸成においてもそうだ。リーダーのイメージに飲み込まれれば、即ちそれは、リーダーの模倣をするフォロアーと市場からは認識されてしまう。故に、チャレンジャーは必死で、「俺たちは違うんだ!」と自らの差別化要素を訴求する。
変わり種ペプシはその産物であるといえるだろう。見た目にも黒くないコーラ。飲むとビミョーな味わい。でも、話題になる。リーダーの日本コカ・コーラがそんな製品を作るかといえば、決して手を出さないだろう。第一、カラフルな炭酸飲料といえば、同社にはファンタがあるのだ。

そのことから考えると、今年の「ペプシしそ」もビミョーな味わいに仕上がっている可能性が高い。日本経済新聞の新商品紹介欄では<飲むとシソの香りが口中に広がり、後味がすっきいりしている>とある。・・・ホントだろうか?

もう一つのシナリオからすると、実は後味スッキリでオイシイという可能性も高くなる。
昨年は変わり種コーラが晩秋にも発売された。「ペプシホワイト」。ヨーグルト味の白いペプシ。乳性炭酸飲料の風情があった。
変わり種ペプシのことだから、またまた、実はちょっとクセがある味なんだろうと思って飲んでみると、意外にうまかった。実は真剣に数を売ろうという意図も見え隠れしていて、コンビニではずいぶんと商品のフェース数を確保していたし、販売期間も長かったように思う。

実はオイシイ期間限定ペプシコーラ。その意図はどこにあるのか。
日本市場では、長らくコカ・コーラの後塵を拝してきたペプシコーラであるが、昨今、その背中が見えてきたようなのだ。日本コカ・コーラの力の源泉は自販機を中心とした販売チャネルの力である。その不利を押し返すため、広告への反応率が高い飲料市場の特質を活かしペプシを扱うサントリーフーズは広告攻勢を強めている。
さらに、チャレンジャーの定石である、セグメントを細かく巧みに行い勝てる所を確実に切り取っていく。主戦場のゼロカロリーコーラは凄絶な戦いだ。それ以外にも細かく勝てる市場を作りたい所である。

そう考えると、「ペプシしそ」は「ペプシホワイト」に続いて、意外にオイシイのではないかと予想できるのだ。変わり種だが、意外とうまい。通年の変わり種のように、話の種に一度飲んで終わりではなく、ペプシホワイトのように、リピート買いするユーザーによって、本数を積み上げるプロダクトなることを狙っているのではないかと。

マーケティング的に考えた2通りのシナリオ。筆者としては、後者を予想する。
6月23日。一口飲んでみて吹いたら・・・その時はゴメンナサイ。


<関連記事>
チャレンジャー企業は刮目せよ・サントリーの戦い方
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2009/04/post-6b9d.html

リンク: 今年のペプシは“しそ”味! - ココログニュース

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2009.05.28

おしらせ:「公開セミナー」やります!

読者の皆様にお知らせです。

またまた、公開セミナーをやります!

前回、前々回のセミナーに出席できなかった方!
お待たせしました、やりますよ~!!

株式会社マーケティング研究協会の主催です。


フレームワークを活用し、最新事例から『売れる理由』を読み解く力を養う
マーケティング実践力向上 トレーニングセミナー

http://www.marken.co.jp/marken_seminar/2009/07/post_92.shtml

内容は、最新のヒット商品をフレームワークで読み解くセッションです。
今までのセミナーのネタに、さらにいくつかの最新事例を加えてパワーアップしました。

今回は参加者同士のグループワークありです。
見知らぬ人とドキドキの共同作業。
でも、セミナーが進むにつれて、きっと仲良くなれる異業種交流会効果もバッチリです。

毎度、時間がタイトになってしまう事を反省して、今回はたっぷり4時間です。

-----------------<セミナー概要>---------------------------

開催日時: 2009年7月7日(火) 13:00~17:00

 会 場 : 青学会館(東京都渋谷区・青山学院大学横)

受 講 料: 38,000円+消費税1,900円 …39,900円

----------------------------------------------------------


では、お会いできるのを楽しみにしています!

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2009.05.27

したたかなロッテリアのフォロアー戦略?

マクドナルドのクォーターパウンダーに代表される大型プレミアムバーガーにウェンディーズが「パインBBQバーガー」、モスバーガー「W(ダブル)シリーズ」で参戦。昨年、スタート時には限定発売でブームを巻き起こしたロッテリアの「絶品チーズバーガー」はどのような一手を売ってくるかと思ったら、ベーコンを挟んだ「絶品ベーコンチーズバーガー」に「進化した」とするマイナーチェンジ以来動きがない。

日経MJ5月27日15面フードビジネス欄。<ロッテリア 低価格品で巻き返し 一部バーガー50円引き 100・150円飲料も拡充>とある。ロッテリアの戦略はプレミアム路線ではなく、低価格戦略に主軸を置いていたようだ。
記事には以下のようにある。<昨年、「絶品シリーズ」などの高単価商品の人気で復調しかけたが、競合するファストフード店の値下げ攻勢で失速。従来の高付加価値路線は維持しながらも、目先は集客の目玉となる低価格品の充実を優先させ、他社に流れた客を取り戻す>。
長引く不景気の影響で財布の紐が固くなった消費者によって、ファストフードは好調である。外食産業全般が低価格化を進める一方、ファストフードもさらなる低価格路線を強めているのは確かだ。選択と集中。大型プレミアム路線に無理に参戦せず、低価格集中というロッテリアの戦略は確かにありかもしれない。

しかし、悲しい情報があった。<6月19日に発売する「タンドリーチキンサンド」は昨夏、ナンを使い330円で発売した。今年は通常のハンバーガー用のパンに変更。価格を50円下げて280円にする>。
・・・頼んでない。こればっかりは頼んでいない。確かに、高いよりは安い方がいいだろう。しかし、ナンに包まれていてこその、「タンドリーチキンサンド」ではないのか?何やらちょっと堅めのバンズにガッツリと挟み込まれているタンドリーチキンの新聞写真からは、昨夏のあの味の記憶がよみがえってこない。

新聞記事にはメニュー軒並み値下げの記載がある。ロッテリアの夏の名物、かき氷もシロップを変えて10円値下げだという。看板メニューまでスペックダウンして値下げ。値下げ原資は原料価格である。
マクドナルドは低価格路線の一方、高価格プレミアム路線も強化して、絶妙なマージンミックスを図っている。そんなファストフード業界無敵のコストリーダーに低価格路線で対抗し、流出した顧客を呼び戻すのはかなり無理な戦略ではないのか。しかも、看板メニューに付いていた自社顧客も失いかねない危険性がある。果たしてロッテリアの狙いはどこにあるのか。

ロッテリアの公式見解である「自社顧客奪還」と視点を変えてみると見えてくる。
前述の通り、外食、弁当などの中食までも低価格志向が鮮明になっている。コンビニで250円弁当が売れる時代である。今まで利用していなかった層が、ファストフードにも足を運ぶようになる。
つまり、ロッテリアの戦略は、実は自社顧客奪還を狙いつつも、多くは外食低価格志向の新規顧客狙いなのだと考えるのは穿ちすぎだろうか。

無敵のリーダー、マクドナルドにはもはや誰もチャレンジできない。ハンバーガー業界はもはやチャレンジャー不在の業界であるといえる。生存するには、特長を出して、独自の生存領域を確保する。モス、ウェンディーズ、バーガーキング、フレッシュネス・・・。
しかし、ロッテリアはうまく特長が出せていない。だとすると、フォロアーとして生き残りをかけるしかない。フォロアーは自ら市場を創造しない。リーダーが作った市場の中で、一段階スペックと価格を下げ、黙々と周辺需要を拾っていく。ある意味、したたかさが必要なのだ。

そう考えると、ロッテリアの今回の低価格路線シフトは、今日の経済環境下では、名を捨てて実を取る、見事な選択と集中をしたといえるだろう。フォロアーとして生き残り、いつかチャレンジャーの座への返り咲きを眈々と狙う凄味も漂う。
ハンバーガー用パンのタンドリーチキンも一度試してみようかと思う。

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2009.05.25

サッサッとお茶漬け、コツコツ拡大:永谷園

「サッサッ」という音。茶漬け海苔を振りかける、永谷園のサウンドロゴである。その軽妙な音とは裏腹に、同社の戦略は意外とコツコツ地道な感じがする。

日経MJ5月22日15面に「お茶漬け・チャーハンのもと 新たな食べ方提案 永谷園CMで」との小さな記事が掲載された。
<主力商品のお茶漬けや、チャーハンのもとの新しい食べ方を提案する>といい、<6月に始めるテレビCMなどで紹介する>とのことだ。具体的には<お茶漬けでは豆腐を使った「冷ややっこ茶づけ」など、チャーハンのもとではギョーザの具として使うアレンジレシピ>であるという。

単なる食品メーカーにありがちな「レシピ提案」といってしまえばそれまでなのだが、同社の展開は、実に時流をうまく捕らえていると思うのだ。
同社の製品売上げは、不景気によって進む内食化で好況だと先だって報道されていた。さらに遡れば、冷凍餃子事件による不安から、餃子の手作りが広まり餃子の皮が増販傾向にあるという報道もあった。内食化が進めば一段と需要は活況を呈するだろう。そんな世の中の流れを巧みにとらえた展開だ。

上記レシピ提案は、既に同社Webサイトでは紹介が始まっている。とりわけ「冷ややっこ茶づけ」なるものがどんなものなのか、興味があって見てみた。
おっと!ちょっとアンビリーバボーな印象が否めない。ご飯の上に豆腐が鎮座ましまして、お茶漬けのりにご飯が浸っている。確かに、副菜として冷ややっこの小鉢が食卓に並んでご飯と一緒に食べたり、豆腐のみそ汁と一緒にご飯を食べたりはするが、ご飯と豆腐は交ぜないのは筆者だけだろうか。

とはいえ、考えてみれば、提案されているのは冷たい水で食べる、冷やし茶漬けである。ちょうど自宅にあったお茶漬けのもと(レシピでは「お茶づけ海苔」であるが、まぁ、たらこ茶づけでもいいだろうと割り切り)と豆腐で試してみた。蒸し暑い土曜の昼下がりのことだった。・・・うまい。何ともさっぱりとして、喉ごしがいい。

考えてみれば、晴れてメタボ予備軍を脱した筆者であるが、お茶漬けを食したのは久々のことだった。以前は多めにご飯をよそい、おかずを食べて残ったご飯をお茶漬けにして食べる、なんて食べ方をしたものだが、ご飯は極限まで軽くよそうか、「置き換えダイエット」で白米の代わりに豆腐なんかを食べてカロリー軽減を図っていたりする。お茶づけ海苔と疎遠になっていた。そんな人は筆者だけでなく、意外と多いのではないだろうか。

ご飯需要は昨年の小麦高騰の折に一気に高まり、永谷園の業績も底上げされた。しかし、今では小麦価格も安定した。メタボ撲滅の機運は引き続き高まっている。ご飯が食べられなければ、同社の製品は売れない。そんな事態を打開するためにも、レシピ提案は非常に重要なのだ。
レシピの内容を見ると、ご飯はどれも100グラムと軽くよそった分量で提案されている。「サラサラっと軽く食べて、そんなにカロリー負担も多くありませんよー」というメッセージを感じる。

日経MJの記事では<同社は4月にも加ト吉と組み、永谷園の即席吸い物と加ト吉の冷凍うどんを交ぜた「釜玉うどん」をテレビCMや店頭で紹介。4月の吸い物の販売は3月に比べ3割伸びたという>と紹介されている。
同社のテレビCMは今までにも多彩なタレントを起用しているが、今回は玉木宏を投入して力を入れている。商材は「松茸の味お吸い物」。今までにもパスタや小鍋を提案している。
同製品の売上げがどのように推移しているのか、データが探せなかったのだが、筆者はお茶づけ海苔以上にご無沙汰である。単純に「器に入れてお湯を注げばカンタンにお吸い物ができます」という本来の利便性訴求だけでは売上げ拡大には限界があるのは必定。ちょっと意外で便利な使い方提案が欠かせないのだ。前出のチャーハンのもとも、「ご飯と交ぜて炒めればチャーハンのできあがり」では、消費者が「チャーハンを作ろうか」と思った時にした登場の機会はない。

「使用用途の拡大」。これは既存顧客の深掘りには欠かせない要素だ。経済学者のイゴール・アンゾフが提唱した「事業拡大のマトリックス」は既存の顧客・市場を狙うのか、新市場を開拓するのか、既存製品で勝負するのか、新商品を開発するのかという展開の掛け合わせで、事業展開を4象限で整理している。その中で、マイケル・ポーターも検証した最も手堅い展開が、既存製品で既存市場・顧客を深掘りするというパターンである。
事業の成長を望むばあい、ついつい新たな市場や顧客層に食指を伸ばしたり、新商品で勝負をかけたりしたくなる。しかし、それ以前に「既存の深掘り」をすべきなのだ。
例えば、「宅配便」。単純に荷受けをして、指定された先まで荷物を運ぶというサービスであれば、今日のような発展はしなかっただろう。指定時間にキッチリ届ける。ゴルフ場やスキー場への道具の運送を行い、復路も手間なく確約する。冷蔵や冷凍が必要な荷物を運ぶ。代金の支払いを届け時に受け付ける・・・。そんな、「運ぶ」という主たる役務提供付随したサービスで顧客ニーズを深掘りしたのだ。

サッサッという軽妙なお茶漬けのサウンドロゴの影にある、コツコツとした需要の深掘りを図る永谷園の展開から学ぶ所は大きいだろう。


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2009.05.22

マーケティングでヒット商品は作れるのか?

ヒット商品の事例として任天堂のWiiが取りざたされることが多いが、その成功が、果たしてマーケティングの力によるものなのかという議論がしばしばなされている。そこで、「マーケティングでヒット商品は作れるのか?」ということを考えてみたい。

マーケティングのキモは、顧客のニーズを抽出して、それを深掘りすることである。
一方、Wiiという製品のキモは「加速度センサー」を組み込んで体感ゲームに仕上げたこと。しかし、消費者は「加速度センサー」の存在を知らない。いくら掘ってもニーズとして出てこないことになる。ここに、どのような成功のヒミツが隠されているのか。
逆説的にいえば、消費者の顕在化したニースに対応するのは誰でもできる。また、潜在的なニーズを多少掘り起こすぐらいでは、まぁまぁヒットぐらいのレベルにしかならない。誰も知らない、誰も気がつかないような需要を創出したからこそ、Wiiは大ヒットしたともいえる。
しかし、それは結果論。後付の分析だ。ゼロベースで考えた時、どのような思考過程を経て作り上げられていったのだろうか。

任天堂のすばらしいことは、「立ち止まって俯瞰してみたこと」である。
1960年にセオドア・レビット教授がハーバード・ビジネスレビューで発表した論文にある「マーケティング近視眼」に陥らなかったことだ。米国の鉄道事業は自らを輸送産業と定義せずに、鉄道会社同士の競争にあけくれた結果、自動車産業や航空産業に破れ衰退した。そうした近視眼的な経営を「マーケティング・マイオピア(近視眼)」と呼んだのである。

実は、任天堂も近視眼に陥って痛い思いを二度も続けてしたことがある。スーパーファミコンと、NINTENDO64である。ハードウェアは独自の高度な規格にこだわり、ソフトも高度な開発ができるサードパーティーを厳選し、子供のおもちゃ的なゲーム機のイメージ脱却を狙ったが、プレイステーション、プレイステーション2に破れることとなった。また、次世代のニンテンドーゲームキューブもプレイステーション2に一矢報いることはできなかった。

恐らく、ここで任天堂は立ち止まって考えたのだろう。プレイステーションやXboxとだけ戦いを繰り広げても意味がないと。
マクロ環境に目を向けてみれば、そもそも、1990年代後期からゲーム機市場は縮小傾向にある。ハードウェアの性能向上によって実現した、高解像度で美しいグラフィックス、高度なゲーム内容。しかし、それについてこられる人は少なく、ゲームはどんどんマニアな世界になっていく。
任天堂と競合のビジネスドメインを比べれば、おのずと進むべき道が見えたのではないだろうか。ソニー・コンピュータエンターテイメント(SCE)の母体は電機メーカー。マイクロソフトはソフトウエアの巨人。そして任天堂の出自は花札、トランプの製造である。ハードウェア、ソフトウェアでの戦いは得策ではない。

セオドア・レビットは「マーケティング近視眼」にならずに、鉄道事業は輸送事業と捉えるべき。映画産業は娯楽産業と自らを定義すべきだと説いた。
任天堂は、自らをゲーム機メーカーではないく、カードゲームのように、もっとわかりやすく手軽に、誰もが楽しめる道具を提供する事業と再定義したのだろう。
その意志決定は、Wiiの発売から遡ること2年、ニンテンドーDSで既になされていたハズだ。手元でもっと直感的にカンタンにゲーム機を操れる方が多くの人に愛されるハズ。その答えがDSではタッチスクリーンであり、Wiiでは加速度センサーというカタチに行き着いたのである。
以上のように考えれば、任天堂の意志決定の正しさ、WiiやDSの成功はブルーオーシャン戦略から見た成功要因と完全に整合している。

SCEやマイクロソフトの戦い方が間違っているわけではない。市場の環境としては、高性能なゲーム機を作るためのテクノロジーは成熟化している。それを受けて、よりキレイな映像で、より高度なゲームを望むコアな顧客とそのニーズは確かに存在している。競合として、お互い強力なライバルであるが、SCEは自社製のCPUによるひたすら高度なスペックを武器とし、マイクロソフトはPC向けの汎用CPUでコストパフォーマンスのバランスを最適化させることを武器とする。ざっと、3C分析的に考えても、理に叶った戦い方だ。しかし、ブルーオーシャン戦略的に考えれば、その戦いは果てしない血みどろの、レッドオーシャンの戦いである。

ブルーオーシャン戦略は戦わない。新たな市場を創り出す。「コアなターゲット」などのような、特定のセグメントを狙わない。新たな市場において、今までターゲットになっていなかった層を丸ごと取り込む。そして、新たな価値を訴求して、今まで持っていた付加価値からいらないものをどんどん捨てていく。
任天堂はもはやゲーム機市場で戦っていない。誰もが楽しめる、学べる、運動できる道具を提供する事業というブルーオーシャンにいる。

マーケティングでヒット商品は作れるのか?という問いに立ち戻る。
答えは、上記の通り、任天堂の例のように、作れるのだ。
しかし、ブルーオーシャン戦略はマーケティングのフレームワークではない。また、セオドア・レビットの教えも、マーケティング上の留意点を説いているに過ぎない。しかし、重要なことはそこなのだ。レビットはヒット商品、特に大ヒット商品を作る上での重要な示唆を与えてくれているのである。
激しい戦いを繰り広げている特定の競合、とにかく製品の価値を高めるという課題、そうしたことに気を取られていると、マーケティング戦略は俯瞰的視点を見失う。つまり「近視眼」だ。
任天堂は、一度立ち止まり、自らの価値を再定義することで、ブルーオーシャン戦略に移行することができたのだといえる。
マーケティングでヒット商品は作れる。しかし、小手先のマーケティング「戦術」では大ヒットは作れない。まずは、近視眼でない、正しいマーケティングの視点が必要なのだ。


※ブルーオーシャン戦略の解説は下記の記述を参考にした
「ブルーオーシャン戦略の要諦」
※任天堂、及びWiiに関する記述はWikipediaの記述を参考にした

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2009.05.20

無敵のトクホ・新発売「ヘルシアスパークリング」の戦略

これは絶対に売れる。というか、誰が買わなくても、オレが買う。毎日。
ヒットするのは千に三つといわれる飲料市場において、久々の大型商品の予感だ。そんな、「ヘルシアスパークリング」は「足し算」の商品だと思う。

花王は1980年頃から「栄養代謝」の研究をして、それが大ヒット商品の食用油・エコナを生んだ。2000年、世の中の、今日のメタボに続く肥満問題に目を付けヘルシアのプロジェクトを立ち上げた。プロジェクトはスキンケア製品でも扱ったことのあるポリフェノールに注目し、茶カテキンに辿り着いた。そしてヘルシア誕生。「高濃度茶カテキン」という独自技術で誰もマネできないポジショニングを確立したのである。

ヘルシアは厚生労働省認可の「特定保健用食品」、いわゆる「トクホ」である。その効用は<高濃度茶カテキン飲料の継続飲用により脂肪の燃焼量が増加>するとされ、ちょいっとオナカ周りが気になる。もしくは、露わにメタボなヒトにはとっても必要な存在なのである。

だがしかし、筆者も試しはしたものの、挫折した。だって、まずいんだもの。
茶カテキンとはもともと苦みの成分であるという。体脂肪への効果を期待するなら1日およそ540mgの摂取が必要となる。普通のお茶のおよそ3~4倍。そりゃ苦くて渋いわ!と思う。それを独自技術で飲めるようにしたのだ。

「良薬口に苦し」。その独特の苦くて渋い味わいを信奉するファンもいる。だが、そうでない人のために、花王は技術の力で、飲み口を柔らかにした「ヘルシアまろやか」を開発。さらにグレープフルーツ味のスポーツドリンクタイプ飲料「ヘルシアウォーター」を開発した。
・・・だがしかし、飲みやすいお茶であれば、他のおいしい茶系飲料を飲めばいい。トクホを取得していなくても、「濃いお茶」は各社から発売されている。それは結構おいしい。だったら、「そっちでいいんじゃね?」と思ってしまう。
スポーツドリンクは常用する人とそうでない人は分かれる。「スポーツしないし」と思われれば手に取られない可能性が高い。

そんなヘルシアであるが、5月18日に発売された「ヘルシアスパークリング」は何とも無敵な商品に仕上がっているのだ。
「スパークリング」と言うとおり、炭酸だ。炭酸飲料は、飲料市場の中でもダントツに伸長しているカテゴリーである。ノンカロリーである緑茶市場の顧客層を、ゼロカロリー商品群が奪っていった形で市場が伸びている。ヘルシアも緑茶カテゴリーであるが、そのカテゴリーから、なんと、ブランドをそのままにして、流行の炭酸カテゴリーを派生させたのだ。花王、恐るべし。
シュワシュワの炭酸で、クエン酸の甘酸っぱい味が何ともおいしい。渋みや苦みはほとんど感じられない。しかし、しっかり茶カテキンは540mg入っている。つまり、ヘルシアと同じ。苦くて渋いのをガマンして飲んだあの日々はなんだったの?と私は花王に問いたい。そんな気分になるほどオイシイのだ。

ターゲットは今までにヘルシアのまずさに挫折した人、ただの炭酸好きもカラダにいいからと吸引し、ゼロカロリーよりはちょっとカロリーあるけどわずか21キロカロリーならチョコひとかけら分だから、まぁオッケーとゼロカロリー炭酸派も取りこもうっちゅう戦略なわけだ。
唯一のスクリーニング条件は189円という価格か。500mlペットボトル飲料の価格レンジは通常150円。トクホなりの価格帯に設定している。その価格を受容できる層を全て飲み込む戦略なのだ。

ヘルシアスパークリングの戦略は、「足し算」だ。高濃度茶カテキンという、他にマネできない独自の必殺技、バリュープロポジションが基本となる武器だ。それに、苦み・渋みが苦手な人にはマイルドにし、ビタミンたっぷりなクエン酸で味付けし、低カロリーにして流行りの炭酸を加えて仕上げる。独自技術を基軸として、消費者の望むものを足し算で整合させていく。その技術とニーズの吸い上げをするマーケティング力には感嘆するものがある。


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2009.05.19

広告の「地産地消」を考える

マスメディアの功罪とはなんだろうか。高度成長期においては国民の消費意欲を大いに刺激し、GNP上昇に貢献した。しかし、もはや時代は変わった。活字メディアの苦戦が伝えられて久しい。テレビもほとんどの局が赤字。広告の二強、電・博もしかり。・・・と大きく構えるつもりはないけれど、新しい動きを模索しなければならないのは間違いないだろう。

マスメディアの功罪を挙げるなら、その一つは、全国津々浦々に一律の価値観を流布したことだろう。功は冒頭に記したとおり、消費刺激によって経済を成長させたことが挙げられよう。罪は狭い国土、単一民族に近い日本国民を金太郎飴的な存在にしてしまったことである。
時代は変わり、消費志向は細分化し、金太郎飴は様々な価値観を持ち、各々独自の消費性向を持つようになった。しかし、マスメディアだけが相も変わらず一律な価値観を振りまいている。東京発の価値観を全国津々浦々に発信し続けている。その影響を受けていないのは、京都・沖縄ぐらいではないかとあるマーケターは語る。筆者はそれに、独自のテレビ番組も多い大阪ぐらいは加えていいのではないかと思うが、いずれにしても少数派であることには同意する所である。

Kyoto__dokomo

その京都で気になる広告を目にしたのは、今年の初め。
「ますますつながりますえ」。
市バスの車内にて。交通広告に目が引き寄せられた。図のように、携帯のアンテナを模したKYOTOのデザインがユニークだ。もう一方では、地元のパン屋さんを取り上げて紹介していた。このキャンペーンは現在もポケットティッシュの街頭配布などで、息の長い展開を続けているという。
これが、地場の企業の広告であれば珍しくはないだろう。広告主はNTTドコモである。かつて地域会社展開をしていた時代は、各地が競って独自キャラクターによる広告展開を行っていたが、地域会社統合後は広告も全国統一となった。現在は山崎努、成海璃子、堀北真希、松山ケンイチ、堤真一、劇団ひとりといった幅広いスターが活躍するCMを流している。そんな、ゴージャスな展開をする一方で、地域に根ざした展開を時見に行っているとは、何とも意外であった。

「地産地消」とは、「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味であり、食料自給率の向上に向けた国の取り組みである。
しかし、京都におけるドコモの広告展開を見た時、筆者は「広告の地産地消」という言葉が思い浮かんだ。地産地消の取り組みにおいて、国は基本計画の中で、地域での生産・地域での消費という骨格以外にももう一つの狙いを示している。それは、活動を通じて生産者と消費者を結びつけ、お互いが「顔の見える、話のでできる」関係の中で地域の食料の売買ができ、関連産業も活性化する環境を作ることだという。

「ますますつながりますえ」。
売られている携帯電話は全国共通のものだ。しかし、地域ならではの言葉で語りかけ、その地の消費者にRelevant(ぴったり)と思わせる展開をしている。「顔の見える、話のでできる」関係を構築しようとする意図はズバリ正解ではないだろうか。

情報爆発と言われる今日、広告も含め、大半の情報が消費者に受け止められずに流れ去っていく。そんな中で、いかに「自分にピッタリ」と思わせる語りかけは重要だ。個々の消費者にパーソナライズした語りかけは今日のインターネットの技術が可能にさせている。しかし、そうしたデジタルな世界ではなく、こんな交通広告というアナログな世界で、地域の地産地消的な広告展開も十分アリだと思った次第だ。
息の長い展開を期待したい。

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2009.05.18

ブラトップを900万枚売るユニクロの戦略

 昨年の吹石一恵に続き、今年は栗山千明のCMが話題のユニクロ、ブラトップ。その販売目標数は、昨年3倍増の900万枚だという。その未曾有の大量販売攻勢にこそ、ユニクロの戦略の本質が隠されているのではないか。


■海外で50万枚が意味するもの

 900万枚という計画のうち、50万枚は海外での販売を計画しているという。ユニクロはかつての海外進出では辛酸をなめた。国内では「安くて品質がいい」という消費者のパーセプションを確立することに成功していたユニクロであるが、海外の消費者にはは、ただの「デザインのダサイ服」と映ってしまった。しかし、機は熟した。昨年発売したヒートテックが海外でも大反響を得たように、「安くて品質がよくて、何より機能性が優れている」という、他には代え難いポジショニングを実現しているからだ。今後はジル・サンダーとの契約によって、ファッション性も増していく。売れない理由はもはやなくなったのだ。
 ユニクロの戦略の基本は「規模の経済」である。衣料品の製造小売りというSPAという業態は、単に販売するだけでなく、製造段階から関与する。さらに、売り方のキモは大量の広告攻勢で多店舗展開した自社の販売網に集客し、大量販売するというモデルだ。つまり、生産・広告・店舗と、その固定費は馬鹿にならない。しかし、国内マーケットを考えれば、少子高齢化で縮小は明らかであり、規模の経済を維持するためには、再度、海外マーケットの強化は欠かすことができないのである。ヒートテックに続いて、ブラトップは重要な先兵の役割を担っていることは間違いない。


■国内で850万枚の現実感

 しかし、国内で850万枚である。単一のファッションアイテムで850万枚という数字はかつて例がないのが明らかであろう。その数のインパクトがどれほどなのか。ブラトップのターゲットは女性に限定されるが、年齢層を16歳から55歳としてみよう。すると、全国の対象年齢の女性を積算すると、3,280万人ということになる。それらのターゲットに850万枚のブラトップを売り切ろうと考えれば、3.8人に一人、購入させる必要があるのである。
 かつて、柳井会長のインタビュー記事で、ユニクロを日本の国民服のような存在にしたいという発言を聞いた覚えがあるが、正にそれが現実化されつつあるという所だろうか。しかし、個々人の好みもあるファッションアイテムで、3.8人に一人の現実性はどの程度あるのか。
 筆者の周辺にいる幾人かの女性にヒアリングをしてみた所、実際には全員がブラトップに対してポジティブな見方をしていないことがわかった。ファーストリテイリング社からのプレスリリースでは、『「ブラを付けない解放感」と「ブラを付けている 安心感」が両立し、美しいバストラインが決まります。』としているが、広告訴求では主に、「ブラをしてないみたいで楽」「つけない開放感」「つけてる安心感」という、らくちん志向のベクトルである。栗山千明は美しいのだが、商品の「美しい」はあまり強調されていない。
 オトコであるこの身ではあまり明言は憚られるのであるが、ブラというものの本質的価値は何であろうか。日本初のブラジャーの原型を開発したワコール社。1950年代に初めて上市した「ブラパット」という商品はらせん状に針金を巻き、布をかぶせて乳房の形を美しく整える器具であった。つまり、本質的価値は「美しくすること」ではないか。「美の追究」をする層にはブラトップは心もとなく映るようだ。しかし、女性としては、ブラジャーの束縛感を忌避する声も多く、それが「ブラを付けない解放感」を求めたのであろうことも事実である。


■フェルミ推定で検証した真のターゲット数

 筆者が聞いたネガティブなイメージを持つ、あくまで「美」を求める層がターゲット母数の3,280万人のうち、どの程度いるのか、ざっくり想定してみる。えいっと、三分の一がそれにあたるとしよう。1,093万人がターゲットから外れることになる。同様に、「どうしてもユニクロは好きになれない」という層も存在するだろう。そうすると、ターゲット年代からその層も除外しなくてなならない。同様に三分の一を除外しよう。729万人。そうすると、ターゲットは1,458万人となる。さらに、ユニクロは多店舗展開してはいるものの、とはいえ、近隣にユニクロがない層も出てこよう。それもざっくり、四分の一としてみよう。364万人がターゲットから外れる。ターゲットは1,094万人となる。
 かなりざっくりした計算だが、フェルミ推定は、そのざっくり感がキモである。そして、国内で850万枚販売するためは、ターゲットの約1.3人に一人に買ってもらわねばならない計算になることがわかった。


■変わるユニクロ流の売り方

 購入者数に限界があるのであれば、購入客あたりの購入数を上げればいい。実際に、ユニクロのWebサイトにあるブラトップユーザーの声では、何枚もまとめ買いしたという記述があったり、ユーザーアンケートの、ブラトップを何枚所有したいかという問いには、4枚以上とする回答が4割以上を占めている。
 ブラトップは昨年3タイプの展開であったところを、今年、3倍近い8タイプでの展開となるという。カラーバリエーションも1アイテムで最大14色だという。幅広いバリエーションは、より多くの顧客を取り込むためだけではなく、より多くのアイテムを、一人の顧客に買わせるためのものであることもわかる。
 ユニクロにとって、「まとめ買い」は売り方の基本である。しかし、その「まとめ」の意味する所の本質が大きく変容してきている。バブル崩壊後のアパレル冬の時代にロードサイドに展開して成長の基盤を築いたユニクロ。そのユーザーたちは、車で乗り付けて、広い店内を物色し、安価な衣料を物色して家族全員の衣料をまとめ買いするという購買行動であった。一カ所で、一度で買い物が済む。それが提供価値であった。
 それが、今日ではヒートテックにしても、ブラトップにしても、顧客が商品を指名買いで複数購入していくのだ。「まとめ買い」の本質が大きく変わったのは明らかだ。


■ユニクロの店舗展開を反映するブラトップ

 商品指のまとめ買い。その購買行動の現実化には、今日のユニクロの店舗戦略が大きく寄与しているといっていいだろう。かつてのロードサイド店は凄まじい勢いで廃店している。代わりに目につくのが、大規模店と駅近店である。大規模店は、新宿に登場した最大規模のユニクロが代表的だ。規模を活かして広範囲から集客をして、指名買い的まとめ買いを促進する。一方、生活者の身近な場所、駅ナカや駅ビルにある店舗は、通勤・通学・買い物の度に単品を都度、追加買いすることが期待できる。
 一人あたり4枚以上欲しいとする層が4割。1,094万人の40%×4枚=1,750万枚。それだけで、目標を軽くクリアだ。まとめ買いの大規模店舗と都度追加買いの店舗の合わせ技でそれは実現されよう。そんなに話題なら、と試し買いする層は、生活圏に密着した駅ナカ、駅ビル店で購入し、さらに販売数を押し上げるだろう。

ユニクロの戦略商品であるブラトップ。その強気の販売目標は、ここまでのユニクロの戦略の成果を自ら確かめる目的もあるといっていいだろう。そして、それは恐らく、目標を上回る結果となって現れるのだ。
ユニクロ、恐るべしである。

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2009.05.14

コンビニってこんなに面白い!~マーケティング的モノウォッチのすすめ~

仕事帰りについつい毎日立ち寄ってしまうコンビニ。そこではいつも新しい発見がある。そう、コンビニは発見するための視点を持っていれば、とっても面白い所なのだ。

あなたはコンビニに入るとどんな行動を取るだろうか。雑誌の棚を物色して、パラパラと何誌かをめくってみる。お酒か清涼飲料を買い物カゴに放り込んで、ちょっとおつまみか、お菓子を選んで、明日食べるパンと牛乳もカゴに入れる。そしてレジへ。
さて、その一連の行動の中で、何か発見はあっただろうか。

コンビニでの毎日の買い物で、自分では無意識に決まり切った行動を取っていないだろうか。決まった商品を買う。選ぶにしても、ほぼ選択肢は決まっていて、その中の一つを手に取る。もしかすると、ローテーションしているだけかも知れない。
あなたは、いくつもの商品をスルーしているわけだが、なぜ、スルーしているのか。それは、その商品に対するニーズを持っていない。または、その商品のターゲットではないからだろう。だとすれば、自分が買おうと思わなかった、自分がターゲットではない商品のことをあれこれ考えてみるのは面白くないだろうか。

アルコール飲料の棚で、あなたはビールを買ったとしよう。低アルコールのカクテルのたぐいはスルーした。ナゼ?自分がビールを選択した理由を考えてみよう。それは比較的簡単に自分なりの理由が思いつくだろう。
では、次に、ビールを買わずに甘そうなカクテルを買う人はどんな人で、どんな理由で買っているのかを考えてみよう。
低アルコールでも、アルコールなので、お酒を飲む人であることは間違いない。でも、なぜ、低アルコールでないとダメなのか?お酒が弱いから?それともあまり酔っぱらいたくないから?
なぜ甘い味付けがいいのか?甘い物好きなのか?ジュース感覚で飲みたいから?
ここまで考えて、何となくわかってきたら、あなたはその商品のターゲットとKBF(Key Buying Factor=購入主要因)が読み取れたことになる。

では、そのカクテルはどんな魅力をアピールしているのか。もし、カクテルのテレビCMを思い出したら、併せて考えてみよう。ビールなどの他のカテゴリーの商品に対して。また、同じカテゴリーの競合商品に対して。
その商品の差別化ポイントと、魅力の打ち出し方がわかれば、それはポジショニングを読み取ったことになる。

ほかに何か、その商品で気になる所がないかも探ってみよう。価格的にはどうか。棚のフェイスはどれくらいおさえられているか。何か、ベタ付けで景品がついていたりしないか。製品(Product)以外の3つのP(Price・Place・Promotion)に工夫をしていないか確認しよう。

さて、せっかく、そこまで考えたなら、その商品を実際に買って試してみるといい。
自分の好みでない商品を買うことに抵抗があるかも知れないが、なに、せいぜい200円もしないのだ。いつもとちょっと違う冒険をしてみればいい。

試してみてどうだっただろうか。自分が考えたターゲットになりきって、もう一度検証してみよう。
Who・When・Where・How・・・ 
その商品は、どんな人が、どんな時・どんな気分で、どこで、どんなふうに使うと、どんないいこと(Benefit)があるのか。
ターゲットになりきって飲んでみて、どういいのか明確になっただろうか。いいと思ったならヒット商品になるかも知れない。もし、いいと思わなければ、自分が考えたターゲット像が間違っているか、その商品がダメな商品なのかも知れない。

試した商品のことはしばらく覚えておこう。そして、その後の売れ行きをチェックするのだ。棚のフェイスは増えているか。目につきやすい所に移動していないか。もしくは棚から消えてしまうかも知れない。
もし、コンビニの店主と知り合いになれたら、さらに楽しい。自分が考えたターゲットが合っているのか。売れ行き予想は合っているのか。「これ、売れてる?どんな人が買っていってる?」聞いてみるといい。

決まりきった毎日に、決まったように同じ商品を買うのではなく、あれこれ考えて、自分では買いそうもない商品を試してみる。マーケティング的に。コンビニは、いろいろな視点でモノを見て、考えれば、思わぬ発見がある場所なのだ。


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2009.05.13

竹野内豊が「弁当男子」を狙う・爽健美茶の新戦略?

ブレンド茶飲料のシェア7割越えを握っているといわれる、日本コカ・コーラの「爽健美茶」。その強大な力を持つリーダーブランドがさらなる市場拡大策を展開し始めたようだ。

爽健美茶の発売元は日本コカ・コーラ。言わずと知れた飲料業界第一位のリーダー企業である。同社の力の源泉は自動販売機である。稼働台数86万台。第二位サントリーの41万台に倍以上の差をつけている。その自動販売機においても爽健美茶はジョージアブランドのコーヒー飲料や、コカ・コーラなどの炭酸飲料を上回る看板商品である。
しかし、自動販売機だけでなくコンビニエンスストアのカバレッジの広さも注目に値する。棚が確保できていないコンビニは日本中どこにもないと言われるほど。現在は、多くの店舗で昨年から発売された「爽健美茶五穀」と並んで2フェイスを確保している。ブレンド茶の元祖、「十六茶」がコンビニの店頭であまり姿を見ないのと対照的である。

ブレンド茶飲料を開拓した十六茶を爽健美茶が追い落としたのは、CMの力による所が大きい。なんでも広告をすればモノが売れるという考え方は大いなる間違いであるが、こと、飲料に関しては売れ行きと広告投下量、そのインパクトが確かに寄与する。「ハトムギ・玄米・月見草~」。商品名を聞いただけでフレーズが思い浮かぶ。秀逸なCMだ。

そのCMキャラクターに竹野内豊が加わった。男性キャラクターは過去、発売10周年の2003年に、伊藤英明が常盤貴子と恋人役で出演していたが、単体での登場は初だ。
歴代のキャラクターは「ピュアでクリアで美しい」系の女性たち。昨年から連投のモデル、杏などはその路線を踏襲しているといえるだろう。しかし、なぜに竹野内豊?

恐らく、日本コカコーラはターゲット拡大をしているのだ。7割越えのシェアを握るリーダーが、さらなる成長を目指すとしたらターゲット拡大しかない。爽健美茶はCMキャラクターたちにイメージされるように、女性層から強く支持されていた。
景気は低迷し、消費者の財布の紐が固く閉じられた結果、そのあおりは昼食代の節約に向かった。コンビニ弁当の売れ行きが伸び、さらにマイ弁当箱が売れ、手作り弁当愛用層も増えた。弁当男子もかなりの数に上るという。そんな中で、「女性向け」のイメージが固着したままでいたら、ターゲットが半分になってしまう。そんなもったいないことはできない。

ターゲットを拡大する際には一つのリスクがある。それは、既存ユーザーの支持を失うことだ。「爽健美茶はピュアでクリアで美しい女性向けだと思ってたのにぃ~」なんてことになれば、強固な支持基盤の崩壊によってシェアを失いかねない。

しかし、日本コカ・コーラはちゃんと手を打っている。同社のブレンド茶飲料カテゴリーは「からだ巡茶」との二枚看板だ。広末涼子がキャラクターを務める同製品は明らかな女性ターゲット。万一、爽健美茶のターゲット拡大で離反する層は、からだ巡茶ですくい取ろうという戦略だろう。

爽健美茶はどちらかといえば食事と共に飲むというよりは、飲料単体での摂取が多かったのではないだろうか。しかし、弁当需要が高まれば、食事との相性も重要になる。それに応えるのが、「爽健美茶五穀」である。五穀は当初、2007年からはじまった、季節限定シリーズの一つとして投入されたように思える。それが、定番化している。
五穀は特に食事との相性をコンセプトに開発されたようだ。明らかに飲用シーンの転換を図っている。そして、オリジナル爽健美茶と並んでコンビニの棚を確保していることは、「弁当のついで買い」狙いであることが明白だ。
弁当と最もよく飲まれている飲料は、伊藤園の「おーいお茶」である。その緑茶飲料は最近売上げが低下気味だ。もともと日本コカ・コーラは緑茶飲料に強い商品を抱えておらず、おーいお茶、生茶、伊右衛門の三強に食い込むことができていない。ならば、別カテゴリー商品で弁当のついで買い需要を奪おうという戦略なのだろう。

強大な力を持つリーダーの戦略は、ターゲットを弁当男子、コンビニ弁当ついで買い層に拡大して全方位的に動き始めた。他のメーカーやブランドがどう動くか。この戦いも目が離せない。

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2009.05.12

ロッテのガム、Fit'sにはまった!(マーケティング的な意味で)

バカ売れで一時生産中止だという。ロッテのガム「Fit's(フィッツ)」のミックスベリー味。そもそも、このガム、CMを中心とした販売促進が絶妙なのだ。

テレビをなにげなく見たら、そのCMに目が引きつけられた。「かむ~とフニャン、フニャン・・」。耳もそっちに引きつけられる。
佐々木希が曲に合わせてフニャフニャとダンスを踊る。
か、カワイイ・・・おーっと待った。いい歳をして21歳のファッション誌モデルに鼻の下を伸ばしているワケではない。そのダンスがカワイイのだ。ダンスだってば!
人気俳優・佐藤健も別バージョンでフニャンフニャン踊っている。
聞けばダンスの振り付けはパパイヤ鈴木だそうだ。言われてみれば、そんな動き。さすがだ。
曲も何とも耳に残る。歌うは「たむらぱん」。作詞・作曲・編曲からアルバムジャケットのイラストまで一人でこなすスーパーなアーティストが、自らの楽曲の中でも一番かと思われるようなハイテンション&ハイトーンで楽しい歌声を届ける。

インパクトの強いCM。街で小学生が「フニャンフニャン」と歌いながらダンスのマネをしている。さすがに筆者は歌ったり踊ったりしないが、同製品のWebサイトではYouTubeにフニャンフニャンダンスを踊って投稿するコンテストまで開かれていた。(受付は既に終了)。アテンション、バッチリ。
しかし、一つのギモンをCMは投げかけている。そもそも、「噛むとフニャン」って、ガムってだいたい噛めばフニャンとするモンじゃないのか?ギモンは関心をかき立てる。

新発売は3月下旬であったが、しばらくは交通広告もかなり積極展開していた。
そこでも「噛むとフニャン」のコピーと、ダンスのポーズを取る佐々木希と佐藤健のビジュアルがある。
しかし、目を引くのは「HOW TO CHEW "Fit's"!!!」と題して「Pick ! Get !! Pull !!!」と、独特のパッケージから取り出して口に運ぶやり方が、3段階に分けて説明しているイラストだ。
わざわざ図解するほどのことか~?とも思うが、なかなか工夫しているなぁと感心する。昨今のガムは「ガムの新スタイル」と大きく出たグリコのPOs-Ca(ポスカ)のように、口への運びやすさをアピールする傾向があるようなのだ。確かにコモデティー品としては、パッケージは有力な勝負のしどころだ。
などと考えながら、さらに関心が高まり、一度試してみたいなぁと、購入欲求が涌く。

この手のパッケージグッズは、「いつか機会があれば購入を!」などといったレベルで消費者の記憶に深く刻み込まれることはあまりない。故に、短期記憶が消えないうちに、購買行動に踏み切らせるのがポイントである。
その意味からすると、交通広告から、駅のコンビニの商品陳列までの導線設計が絶妙だ。JRの駅コンビニ、「ニューデイズ」ではレジ横のスペースをうまく確保していた。
交通広告を見る。乗換駅で、飲料を購入しようとコンビニに立ち寄る。支払いの際にレジに並ぶと、「あら?これは、噛むとフニャンじゃないの?」。バッチリ、購入のアクションまで引きずり込まれた。

広告は楽しかったり、カワイかったりすればいいモノではない。また、商品がアピールできればいいというものでもない。しっかり「購入」というゴールまでの設計がなされていることが望まれる。
おなじみの「AIDMA」。消費者の商品認知から購入に至るまでの、態度変容を考えるフレームワークである。Attention(認知)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(購入)。
「噛むとフニャン」のAIDMAにしっかりはまった筆者であった。

ちなみに、フニャンの柔らかい食感と、取り出しやすいパッケージにもはまり、ヘビーユーザー化しているのが今日の筆者の実態でもある。

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2009.05.11

「誰もかれも」じゃぁ売れないよ!

モノが売れない。不景気で消費者の財布の紐が固くなっただけでなく、その前からとっくに消費は飽和している。そんな環境下では、どんなターゲットを狙っていくのかが極めて重要だ。

ターゲティングがしっかりしていなければ、どんな商品に仕立てていくのか。そしてその魅力をどのように訴求していくのかというポジショニングもあいまいになってしまう。それではモノは売れない。
しかし、今でも時々耳にするのは「ターゲットを絞りすぎては、ヒットする人が少なくなってあまり売れなくなってしまうじゃないか」との論だ。高度成長期の誰もが同じモノを求めて作れば売れた時代ならいざ知らず、消費者ニーズが細分化した今日において、誰からも支持されるモノ作りはもはや幻想だ。

「これなら絶対欲しい!」。「これしかいらない!」。
そんな熱狂的なファンを作って売るモノ作り。多少極端なモノでも、それを買ってくれる人がいればいいではないか。
好例がある。「本棚のついているマンション」。
http://www.ascotcorp.co.jp/hondana/

とかく、収納スペースが居住空間に優先され、物の置き場に困るマンション。それが一般的な商品だといっていい。趣味の道具やコレクションなどを収納するスペースの優先度は極めて低い位置づけとなり、買った本とは次々とブックオフへと涙の別れを繰り返すこととなる。
そのマンションは、玄関を開けると廊下の壁一面に天井までの本棚が作り付けられている。
本好きには垂涎だろう。それだけでなく、オーダーすれば他の部屋にもリビングや書斎に作り付けの棚を設置できるという。

ポイントは、そんな本棚だらけのマンションを誰が欲しいと考えるかだ。
以下のような記述があった。<ターゲットは本好き。文化的な暮らしに興味のある人。活字が好きな人。既に月島を気に入って住んでいて、新居を探している人。>

物件の所在地は東京・月島である。
月島・勝どきエリアはかつては下町情緒あふれるエリアであったが、昨今では路地裏から高層マンションを見上げる風景が数多くなった。平成12年に大江戸線が乗り入れし利便性が向上。都心回帰が進み、高層マンションの建設が相次いで街がどんどん変貌を遂げている。
しかし、ファミリーにはもう少し先の豊洲などが人気だ。銀座・東京駅至近の月島エリアは単身者やDINKSに人気である。そんな月島に既に住んでいる人の住み替えを狙っているという。ターゲットは50代以降のDINKS系富裕層、こだわりを優先できる独身男子などではないか。

しかし、年代や家族構成などだけでターゲット設定をしているのではないところがユニークだ。<ターゲットは本好き>と言い切る。
本好きは本を手元に置きたいよな。間違ってもブックオフに売らないよな。でも、置き場所に困るだろう。天井まで蔵書を整然と並べられたらさぞうれしいだろう。そうしてできた物件なのだ。

本好きはどんな行動をするかを想定して、販売促進も展開している。
http://www.ascotcorp.co.jp/topics/09/04/post_85.html

本好きは本屋に行くよな。Amazonとかじゃなくて。
というわけで、月島近隣の書店4軒に交渉。「本棚の付いているマンション」のブックカバーとしおりを4ヶ月で各1万部配布する。しおりをモデルルームに持参すれば、本好きが喜ぶ図書カード1000円がもらえる。リターンは通常のチラシより断然よいという。
もちろん、図書カード欲しさの来場者も混じる。しかし、それもエリアでのマンション認知度向上に貢献する。
マンション販売は大規模物件でない限り、通常は建設予定地の近隣に、本人か親戚や知人が居住している人が購入する場合が多い。クチコミが極めて重要なのだ。まして、この物件のようにターゲットが絞り込まれていれば、「そういえばあいつ、本好きでマンション探してたよな」と紹介につながるケースも多いだろう。

この物件の販売住戸数は28戸。小規模物件ならではの展開ではあるが、ターゲット像を明確にして絞り込み、ポジショニングを明確にした好例だといえるだろう。マンション不振の昨今、当たり前な物件では苦戦を強いられるのは目に見えている。本棚の付いているマンション、販売はあと数戸を残すのみだという。

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2009.05.08

サントリーの新製品「ZOOCE」の狙いは何だ?

“動物園のようにワクワクする、みんなの炭酸飲料”がコンセプトだという「ZOOCE Sparkling フルーツパレード」。そこに隠された狙いを読み解く。

カラフルな色や模様で描かれた、数々の動物たちのシルエットが踊るパッケージ。発売日は4月28日。ズバリ、ゴールデンウィーク前日。春のレジャーのお供にということなのだろう。狙い澄ましたタイミングだ。
でも、誰に向けて?

「ZOOCE」(ズース)とは、「ZOO」と「Juice」を掛け合わせたネーミングだという。うーん、ダジャレのような、ダジャレにもなっていないようなネーミング。でも、なんだかかわいい。カラフルな動物がら。舌足らずの子供が「ジュース」とうまく発音できず、「ズース、ズース」と言っているかのような名前だ。
子供向け飲料なのか?と最初は考えた。

ネットの書き込みを見てみると、掲示板やブログでは女性の書き込みが多い。かわいいパッケージ。おいしいと高評価だ。女性をターゲットにしたのか?とも思った。

サントリーのニュースリリースを見てみると、冒頭に記したコンセプト、“動物園のようにワクワクする、みんなの炭酸飲料”との表記がある。「みんなの」だ。
なんというワイドレンジなターゲティング! マーケティングエクセレンスなサントリーにしては珍しい展開だと思う。

考えてみれば、飲料業界においてサントリーほどチャレンジャーのポジションにある企業はないだろう。
飲料業界第2位。現在、コーラ市場においては第1位の日本コカ・コーラを猛追中だが、サントリーのペプシは常にコークの後塵を拝してきた。
もう一つの戦場が昨夏から戦いに熾烈さを増したサイダー市場。ゼロカロリーコーラによって炭酸飲料が伸張し、その流れで緩やかに同じカロリーゼロの緑茶市場が下降。それが、飲料市場の大きなトレンドだといっていいだろう。
それにつられた形で炭酸カテゴリーにおいて、ゼロカロリーではないもののサイダーも急伸した。
サイダー市場の巨人は三ツ矢サイダー。アサヒ飲料である。発売以来125年。サイダー市場のシェアを60~70%握っているが、2004年に製品リニューアルをして以来、さらに毎年売上げを順調に伸ばしている。
もう一つがキリンビバレッジのキリンレモン。発売80年を迎えた昨年、同じく
製品リニューアルして、やはり売上げを大きく伸ばした。
そこに割って入ったのがサントリーである。
「ラッキーサイダー」。「思い通りにならない毎日に、”ラッキーな気分をくれる友達”」がコンセプトだといい、ターゲットは10代から20代。主に中・高校生が対象だという。

チャレンジャーの戦い方は「差別化」が基本だ。
キュウリ味やブルーハワイなどシビレるような味が記憶に新しい。それらの毎年投入されるペプシの「変わり種コーラ」も差別化戦略の一環である。

もう一つのチャレンジャーの戦い方の特長は、「セグメントが巧み」だということ。
リーダーのように全方位で戦う力はない。故に、勝てるところをみつけて確実にそこで勝っていくのだ。その意味からすると、今回の「ZOOCE」の「みんなの炭酸飲料」は少々合点がいかない。謎である。

悩んでも仕方がないので飲んでみた。サントリーホームページにある製品紹介では「りんごやオレンジ、パイナップル、バナナなどのフルーツフレーバーをバランスよくミックスし、様々なフルーツの味わいを想像しながら楽しめる、爽やかでやさしい味わい」とある。
確かに言われればフルーツジュース的なフレーバーが感じられなくもないが、さほど強烈な主張はない。うす甘く、ほんのりと酸味も感じられる味わい。炭酸は軽めだ。なぜだか懐かしい。

あ、と気付く。「これ、ラムネ味じゃねぇの?」。

「ラムネとサイダーの違い」。ググってみればわかるが、ネット上でも百家争鳴である。
諸説あるが、その出自や語源に言及はされているが、味に関する明確な定義は発見できなかった。故に、ZOOCEを炭酸カテゴリーの中で明確にラムネ味と定義できる論拠はないのだが、大事なのは「どこか懐かしく感じる味」であることだ。懐かしい感じが筆者にはラムネを想起させたのだ。理由は深く問い詰めないでいただきたい。

で、誰にとって懐かしいのかと言えば、「親世代」だ。かわいいパッケージに惹かれ、子供が「ズース、ズース」とせがむ。「子供に炭酸が飲めるか?」と思いつつ、購入する。最初に親が試しに飲んでみる。炭酸が弱いので、大丈夫と判断して子供に渡す。が、試し飲みの時点で、「懐かしい味」にしっかり親もハマる。子供がせがめばまた買ってやるだろうし、かわいいパッケージは母親なら、そのかわいさにもはまって自分買いもするだろう。
つまり、親子二面作戦だ。うーん、何という巧みな戦術。

消費者の購買に至る態度変容モデルはAIDMAが有名だが、AMTULというモデルもある。
Attention(注意)→Memory(記憶)と、ここまではAIDMAと同じ。続いてTrial(試用)→Usage(日常的使用)→Loyalty(ファン化)となる。
つまり、ZOOCEはAMTULのステップを狙ったものではないだろうか。

パッケージが目に止まる→記憶する→子供にねだられ試し買いする→親子ではまって買い続ける→ZOOCEファンになるという巧みな設計である。

チャレンジャーはリーダーの10倍アタマを使わなければ生きていけない。ましてや、新製品のうち生き残れるのは1000に3つといわれる飲料業界だ。サントリーのZOOCEには、深謀遠慮が感じられる。
ZOOCE、1000に3つを生き抜いてほしい。その力はあると分析した。

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2009.05.07

クライスラーの今日、日本車勢の明日?

2009年4月30日に連邦倒産法第11章(Chapter 11)の適用を申請した、米国ビッグスリーの一角であったクライスラー。しかし、その結末はマイケル・ポーターの理論通りだったともいえるだろう。

■ポーターの基本戦略のフレームワーク
経営学者のマイケル・ポーターは企業の基本戦略を大きく3つの類型で表した。競争優位性をコストに求める「コストリーダーシップ戦略」。差別化に求める「差別化戦略」。ターゲット市場を業界全体とするのではなく狭い特定分野とする「集中戦略」。さらに、集中戦略は、特定分野の中でコストを武器に戦う「コスト集中戦略」と、差別化要因を武器に戦う「差別化集中戦略」にも分類できる。

■自動車各社の市場ポジション
今日の日本国内での自動車メーカーを例に考えるならば、間違いなくトヨタはコストリーダーである。「乾いたぞうきんを絞る」とまでいわれる徹底したコスト削減手法は他の追随を許さない。コストリーダーという存在になれるのは業界でただ1社だけである。
差別化戦略をどこと見るかは意見が分かれるかもしれないが、ホンダがよく例に挙げられる。コスト集中は、軽自動車に集中特化していた、かつてのスズキだろう。軽のラインにまでトヨタは手を出したくない。そこに集中していたのだ。差別化集中の例は少々マイナーだが、光岡自動車を知っている人ならば、理解していただけよう。独創的なボディー形状はこだわりの自動車ファンに愛され続けている。

■米国市場に置ける各社の市場ポジション
自動車産業全体を牽引する米国市場で考えた時、基本戦略の3類型はどうなるのか。少し歴史を遡ろう。米国自動車産業の黄金期でもあった1950年代だ。
コストリーダーは1950年代に米国最大の企業となり、55年に初の10億ドル越え企業となったゼネラルモーターズ(GM)だろう。差別化戦略のポジションには、ビッグスリーの他2社が存在していた。高馬力エンジンを搭載したフルサイズといわれる大型のボディーが特長のクライスラー。フォードは50年代に最も意欲的な新型車を次々に投入した。名車サンダーバードの市場投入も55年のことだ。
ビッグスリーが戦略ポジションの違いに応じた互角の戦いを繰り広げ、他のプレイヤーは市場参入が困難な状況であった。例外的に1948年にプレストン・トマス・タッカーという起業家が、画期的な新型車を引っ提げて新たな自動車メーカーの立ち上げを試みた。それが成功していれば、「差別化集中戦略」の成功例となっていたのだが、50年代を前にその夢は潰えた。米国国内勢以外で考えれば、欧州車が差別化集中戦略のプレイヤーと考えることもできるだろう。

■1950年代の米国でのトヨタ
1950年代の日本車勢はどうなっていたか。トヨタに注目して見てみよう。トヨタは50年代初頭のデフレの影響で倒産危機などがあった後、クラウン、コロナ、パブリカという名車を上市。56年にはクラウンによるロンドン~東京間走破という快挙を成し遂げて大いに自信をつけていった時期である。
その勢いで米国進出に挑んだ。1957年のことだ。しかし、結果は惨敗。フリーウェーを高速で長距離走る使われ方には日本車はまだ耐えられず、故障が相次ぐ事態になった。しかし、艱難辛苦の末に市場参入した意味は大きい。低廉な小型車というコスト集中戦略のポジションを徐々に確立していくことになる。

■オイルショックという転機
世界は1973年の第一次、1979年の第二次と二度の石油危機に見舞われた。そのことが日本車に大きな転機を与えた。80年代にかけて小型車の需要が高まり、日本車に注目が集まった。GM、クライスラーも大急ぎで小型化に舵を切り直したものの、製品の品質と生産性の悪さが顕在化した。1960年代から小型車を市場投入していたフォードだけが日本車勢と唯一互角の戦いをし、貿易摩擦にまで発展することになる。

■ポーターの理論で読み解く変化
大型車全盛期から、オイルショックを経て小型車へと市場の需要が大きく変化した。これは、ポーターは各戦略ポジションが抱えるリスクとして指摘している内容に符合する。例えば、コストリーダーが抱えるリスクの一つに、特定セグメントで強いコスト競争力を持った競合が出現し、そのセグメントが急成長することを挙げている。差別化戦略のリスクは、同様に特定セグメントでより著しい差別化を実現する競合が出現し、そのセグメントが急成長することと指摘している。
つまり、環境の変化は米国においてはマイナーな市場であった小型車市場を急成長させ、従来の自動車市場に置き換わった形になったのだ。低価格で高品質という強力な差別化要因を高い生産性で実現できる日本車勢。特にトヨタがコストリーダーのポジションを狙える位置を占めたのだ。
ビッグスリー凋落の原因は様々な角度から多くの人が解説しているが、極めてベーシックなフレームワークでも容易に説明できる結末ではある。

■明日の自動車市場はどうなる?
では、全世界に目を転じた時、これからの自動車市場はどうなっていくのか。日本車勢の栄華は続くのか。ビッグスリーの凋落は前述の通り、何も昨今はじまったわけではないが、昨秋からの世界同時不況は確実に自動車産業に大きなダメージを与えたのは間違いない。
そんな中で気になるのが新興国勢だ。インドのタタモータースが引っ提げてくる「ナノ」は約22万円。中国の奇瑞汽車は「QQ」が約44万円。同社はプラグイン電気自動車も約100万円で発売するという。「低価格車」という特定市場でぐっと存在感を増している。
先進国の市場は完全な成熟化か、日本のように衰退し始めている。しかし、新興国でのモータリゼーションは今まさに火が付いたところだ。その潜在力のすさまじさは想像に難くない。

■低価格車市場は新興国だけのものなのか?
日本経済新聞の記事によれば、タタは「ナノ」を2010年に欧州に輸出し、その後米国市場にも投入する計画だという。中国の奇瑞汽車や吉利汽車は中近東、東南アジア、ロシアに進出。先進国進出が今後の課題だとしている。記事では先進国への投入は安全や環境基準への適合が大きなハードルになるとしているが、1950年代にトヨタクラウンがフリーウェイ走行に耐えられなかった状況から、80年代までの間に市場を席巻したことを考えれば、余り甘く見ない方がいいのではないだろうか。
日本市場はどうなのだろうか。日本の自動車市場は確実に縮小している。しかし、自動車がなければ生活がままならない地域は多い。低価格車に乗る日本人なんて、余り考えられないように思うが、昨今、低価格志向に消費者心理は大きく変化している。液晶テレビといえば、AQUOS、BRAVIA、VEGAといった一流ブランドが想起されるが、最近、量販店やネットショップでは聞いたこともないようなマイナーブランドの液晶テレビがかなり売れている。安全性が担保されれば、案外と日本でも低価格車に乗る層も出現するかもしれない。
低価格車という特定市場が拡大し、そこで圧倒的な低コスト生産の能力を持ったプレイヤーがコストリーダーに取って代わる。80年代以降の米国市場に似た光景ではないだろうか。

■環境車市場はどうなるのか?
世界の環境車市場では日本車勢、特にトヨタが一歩二歩リードしている現状だが、その市場も安泰ではないかもしれない。早晩、既存の自動車市場は環境車に置き換わる。その時、コストリーダーになれるのはどこなのか。
中国の比亜迪汽車はハイブリッド車を約210万円で発売している。同社の母体は電池メーカーだ。まだまだコスト削減は可能だろう。日経新聞によれば、同社は2011年には欧米に電気自動車を輸出する方針で、「25年には世界でナンバーワンの自動車メーカーになる」と宣言しているという。

今はまだ、脅威と見るのは大げさかもしれない。しかし、舵の切り方を間違えれば、Chapter 11を申請した、今日のクライスラーは、明日の日本車勢の姿となるかもしれない。今後の市場の動きからは目が離せない。

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2009.05.01

「エコバッグ型」新入社員に寄せる期待と不安

4月が終わると、ここ数年、いくつかの企業で担当している新入社員研修の仕事も終わる。学生の面影から、一歩、社会人の顔つきに成長した彼ら・彼女らを振返ってみる。

「エコバッグ型」だそうだ。
昭和48年から続いている生産性本部による今年度の「新入社員のタイプ」のネーミングである。
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/lrw/activity000912.html

<環境問題(エコ)に関心が強く、節約志向(エコ)で無駄を嫌う傾向があり、折り目正しい。小さくたためて便利だが、使うときには大きく広げる(育成する)必要がある。
酷使すると長持ちしない(早期離職)が、意外に耐久性に優れた面もあり、活用次第で有用となるだろう。>

毎年好例の発表だが、その時々の流行とからめた妙のあるネーミングだ。「毎年そんなに傾向が変わるんかいな?」と思われるかもしれない。しかし、面白いことに変わるのだ。研修講師の立場からするとよくわかる。

昨年は「カーリング型」、であり、<育成の方向を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する>とあった。しかし、筆者が受けた印象は、当時の流行語でもあった「空気読む」傾向が強く、例えば、新入社員同士が行うグループワークなどでも議論の対立を避け、うまく折り合いを付ける傾向が強かった。その意味では、今年の「エコバッグ」のように、「小さくたたむ」ことがうまかったといえるだろう。

では、今年はどうかというと、意外としっかり自己主張できる人物が多いように思う。議論すべくはしっかり議論し、課題を解いていく様は、自信に満ちてなかなかに頼もしい。売り手市場であった選考過程でも、自信にあふれしっかり自己主張してきた傾向が見える。
そんな、彼ら・彼女らの中に少しだけ見える不安な要素がある。ビミョーな「勝ち組意識」だ。

昨秋発生した経済危機によって、当面は「最後の売り手市場世代」となるだろう。今年は一変してかつての就職氷河期時代を思わせる。そんな環境下で、今年はあり得ないであろう2桁に上る内定を獲得してきた彼ら・彼女ら。生産性本部がブランドもののエコバッグに行列ができた様とからめて、<ブランド物に人気が集まった(根強い知名度の高い企業志向)>と分析するように、数ある内定の中から、選りすぐりの就職ができた人も多いだろう。
しかし、メディアが伝えるような「内定取り消し」や「自宅待機」になる同世代もいた。そんな憂き目にも遭わず、入社の日を迎え、研修を終えて配属先に向かう心の内には少なからず「安堵感」が見てとれるのだ。環境の激変を滑り込みセーフで免れた経験が、その意識に少なからぬ影響を与えているのではないか。

就職はゴールではない。スタートラインに立っただけだ。はやく、各々が働くことに対して目的を持ってほしいと思う。そうすれば、<使うときには大きく広げる(育成する)必要がある>などと言われずに、スタート点から自分の背中をぐいぐいと押すことができるだろう。
作家の志賀直哉は言った。「仕事は目的である。仕事をはっきりした目的と思ってやっているやつにとって、結果はたいした問題ではない」。
これから実際の仕事を進める上で、いくつもの業務目標を与えられるだろう。しかし、ぞれとは別に、自分自身が働く「目的」を自律的に考えみるといい。なかなか答えの見つからない問いではあるけれど、考える過程こそ意義がある。

「仕事が楽しみならば人生は極楽だ。仕事が義務ならば人生は地獄だ」ロシアの作家、マクシム・ゴーリキーの言葉だ。
諸君らの成長と活躍に期待したい。

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