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2009.04.28

ユーザーニーズに応えよう! 「飲む○○」の挑戦!

飲料業界に「飲む○○」が流行するようになったのはいつの頃からだろうか。最近では、「飲むプリン」、「飲むゼリー」などなど、やたら目にする。しかし、その歴史は意外と古いのだ。

例えば、「飲むプリン」。パイオニアはポッカコーポレーションだろう。1991年に上市し、18年の歴史を誇る「プリンシェイク」は、「飲むだけでなく、振って楽しめ、食感が楽しめる、デザート感覚の飲料」(同社ホームページより)という独自のポジショニングを追求している。「振って崩して飲む」飲料は、昨今ずいぶん数多いが、そんなとんでもないことを最初に考えてしまったのは、たぶんポッカだ。
ポッカの「飲むプリン」は、プリンの食感にこだわり「振って適度に崩れる固さの設定と、口でとろけるプリンの食感のバランス」(同)を追求し続け、今春、5代目のリニューアル商品が上市された。

だが、ちょっと待て。
「プリンはスプーンですくって食べればいいんじゃないのか?」という健全な疑問も排除することはできない。しかし、そこには職場の事情というものも少なからず作用しているように思う。
昨年6月、江崎グリコが行った調査では、職場でおやつを食べる習慣は定着しつつあるも、年齢の高い社員を中心としてまだまだ抵抗感を示す層も多いと伝えている。
まして、昨今の経済危機下では、ゆとりがなくなって殺伐としている職場も増えただろう。「オフィスグリコ」に手を出すこともはばかられる空気の中、「でも、お菓子が食べたいの!」と思ったら、飲むしかない。そんな職場だけではないかもしれないが。「抜け駆けおやつ需要」に「飲む○○」は応えているのではないだろうか。グリコもプリンの食感向上にさらに磨きをかけようというものだ。

そんな世の中のニーズをすくい取ろうというのか、大型ブランドも「飲む○○」に参入してきた。「飲むティラミス」。キリンビバレッジの「世界のキッチンから ティラミス・ラテ」が3月31日に発売された。

従来、「世界のキッチンから」、通称、「セカキチ」は、「世界を旅して、世界のお母さんの料理からインスピレーションを受けて」、独自の飲料に仕上げることをコンセプトとしている。その卓越したアイディアは、唸るような数々の味を実現してきた。期間限定商品が基本のセカキチシリーズではあるが、ロングセラー化しつつある「とろとろ桃のフルーニュ」など、はじめて飲んだ日には、感動で頬を涙がぬらしたものだった。

しかし、「ティラミス」である。インスピレーションを受けたオリジナルの味ではない。飲料によるスイーツの再現。セカキチ版、「飲む○○」だ。
シリーズの今までには、恐らく「飲む○○」は存在していなかったように思う。なのに、あえて、それを作ったのは、「でも、お菓子が食べたいの!」「だから飲むの!」という名もなき市井の人々の声に応えようとしたからか。
セカキチにとって、これは一つの危険な賭だったともいえよう。「飲む○○」は飲料によってどれだけ○○の味を再現できるかがカギだ。成功すれば、従来の「誰も体験したことのない新しい味」という切り口に加え、「○○の味の再現」というもう一つの切り口を手にすることができる。しかし、味の再現に失敗したら、従来の評価にも影響を及ぼすことになってしまう。

「ブランドエクステンション」という。
すでに成功しているブランド名を使って、新カテゴリーに商品を上市する戦略だ。新たなブランドを一から創造するより格段に低コストで、新カテゴリーに進出を果たすことができる。しかし、その戦略が外れて失敗した場合には、同一ブランド名を持つ全ての商品への影響は免れない。
危険な賭のリスクを軽減するためか、「とろとろ桃のフルーニュ」では大規模な販促攻勢を行っていたのに対して、この「ティラミス・ラテ」はほとんど広告が見あたらなかった。ユーザーからの味の評価が定まるまで、ひっそりと展開しようということではないだろうか。幸いにも、その濃厚な味わいはうまくティラミスの味を再現していると筆者は思った。
恐らく、一定期間で販売を終了させ、若干、味を調整した後に、大々的なリニューアル販売を行うのだろう。

一方、「飲む○○」カテゴリーにビッグネームも帰ってきた。元の商品の名前を知らない人は恐らくほとんどいまい。そして、数多くの人が愛して止まない商品。ハウス食品の「フルーチェ」だ。
そのフルーチェを「飲む」にしつらえ直した野心作、「飲むフルーチェ」の最初のチャレンジは2002年頃だったか、2004年頃だったか。PET容器入りのヨーグルトテイストの飲料として上市した。フレーバーは確かにフルーチェの定番であるピーチとイチゴである。しかし、ユーザーの評価は厳しかった。フルーチェの価値の根源である「とろとろ・ぷるぷる感」のない、サラサラ飲料。フルーチェの名を冠しているものの、別物と言ってよい仕上がりと人々から評された。

リターンマッチである。「フルーチェ ハンディータイプ」。
森永製菓「ヴィーダーinゼリー」に代表されるような、10秒で飲める、アルミパウチ包装のゼリータイプに変身したフルーチェだ。同社ホームページでは「昨今の個食・即食需要の高まりに対応した、いつでもどこでもすぐにお召し上がりいただける、初めての1人用フルーチェ」としている。
「個食化対応なら、なんで、4人前が1パックに入っている、牛乳と混ぜる普通のフルーチェを1人用個包装にしないかな~」と根源的な疑問もわき起こるが、「どうしても外で飲みたい!」とするニーズを持ったユーザーの声があったのかもしれない。考えているだけでははじまらない。飲んでみた。イチゴ味・ブドウ味。

イチゴ味はかなり懐かしいフルーチェのフレーバーを再現している。問題の「とろとろ・ぷるぷる感」に関しては、厳密にいえば「とろとろ」は少し足りないものの、「ぷるぷる」に関しては、ナタデココまで投入してかなり頑張っている。正直言うと、フルーチェ特有の「ぷるぷる」というより、食感はゼリーっぽく、炭酸抜きの日本コカ・コーラ「ファンタ・ふるふるシェイカー」という感じもする。
しかし、「どうしても外で飲みたい!」「すぐ飲みたい!」とするユーザーニーズに応えようとする努力はひしひしと伝わってくる。

この展開も「ブランドエクステンション」ではあるが、失敗を恐れず何度でも挑戦できるのは、母体となるブランドが強固であるからだ。「飲むフルーチェ」に失望しても、フルーチェが嫌いになる人はあまりいないはずだ。そんな強みを活かして、「フルーチェ ハンディータイプ」はさらにリニューアルを重ねるかもしれない。筆者も小学校5年生の家庭科の授業で、カレーの副菜としてフルーチェを初めて自ら作って以来のファンとして支持したいと思う。

ユーザーのニーズに応えるべく、多様化を見せる「飲む○○」。飲料メーカーでないハウス食品もこだわりを見せているのだから、もう一歩踏み込んでこんな商品はどうだろう。
「ご飯が食べたい!でも、食べられない!」。で、「飲むククレカレー」。

コンソメやコーンポタージュを缶入り飲料にした製品は数多い。食事代替需要を満たすものだ。また、沖縄には古くから米飲料の「ミキ」という飲料がある。ご飯を甘くにこんでとろみを出した甘酒めいた炭水化物飲料だ。忙しいときにご飯代わりに飲んだのが発祥だという。現在は缶入り飲料として当地で販売されている。
「食べたいけど、ご飯が食べられない」というニーズギャップに応えるべく、ハウス食品もお得意の「ククレカレー」で挑んではどうだろう。ブランドエクステンションで、何度か失敗しても、ククレカレーほどの強固なブランドならきっと大丈夫だ。

「マーケティングの基本は、顧客のニーズを発見し、それに応えること」である。「飲む○○」も、ますます多様な展開を見せてほしいと思う。


参考記事:「会社でお菓子を食べてはいけないの?」


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