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2009.01.07

発売直前「『カルピスソーダ』ジンジャーゼロカロリー」の戦略を分析する

カルピス株式会社のリリースによると、1月19日から<、“ジンジャー”の爽快な刺激が楽しめる乳性炭酸飲料「『カルピスソーダ』ジンジャーゼロカロリー」>を全国発売するという。この商品はいったいどのような戦略で上市されるのだろうか。

プレスリリース
http://www.calpis.co.jp/corporate/press/nr_00343.html

リリースによれば、ターゲットは<健康を意識する20~30代の大人世代>だという。
そして、ポジショニングの要は<「カルピス」と“ジンジャー”の新しいおいしさをゼロカロリーで楽しめる>という製品特性だろう。

カルピスは、「カルピスサワー」でアルコール飲料カテゴリーにも進出しているが、どちらかといえば、子供向けのイメージが強い。しかし、今回はあえて、「大人世代」をターゲットにしているという。
「大人向け乳性炭酸飲料」というカテゴリーで考えれば、昨年10月にサントリーから発売された、「ペプシホワイト」が思い出される。歴代の期間限定変わり種ペプシの中では大ヒットであった。

商品やブランドの戦略を考える時には、市場でのポジションに合わせた戦い方が肝要だ。「飲料」という市場で考えれば、飲料業界第2位のサントリーに対して、カルピスは明らかに「フォロアー」である。フォロアーにとっての戦い方の一つは「模倣戦略」だ。リーダー企業が作り上げた市場に同種の商品を上市し、密かにシェアを浸食する。
その見方をすれば、「ゼロカロリー」はコーラ系飲料の得意技だ。また、レモンなどのフレーバーを加えるのはペプシのお家芸でもある。そして、期間限定ゆえ、もはや市場には「ペプシホワイト」はない。リーダーから開拓したポジションをうまく禅譲されたという見方もできるだろう。

一方、「市場」の定義を変えれば別の見方もできる。「飲料」という大きなくくりではなく、「乳酸菌飲料」もしくは「乳性炭酸飲料」という市場定義だ。1919年にカルピスを発売し、日本で初めて市場を開拓。1973年にカルピスソーダ発売して乳性炭酸飲料ブームをおこした。「乳酸炭酸飲料」カテゴリーでは、日本コカコーラの「アンバサ」など、大手飲料メーカーの同質化戦略にも耐え抜いてブランドを保ってきたカルピスソーダは、紛れもなく「リーダー」である。
しかし、子供向けイメージの強い乳酸飲料市場において、少子高齢化の市場傾向は明らかにアゲインストの風である。2006年に味の素株式会社の傘下に入ったのも、少子高齢化で縮む市場に対応するためだといわれている。また、乳酸飲料だけでなく、ミネラルウォーター「エビアン」やワインの輸入などを手がけているのも、企業として製品ポートフォリオの安定化を図っているためだと解釈できるだろう。

しかし、主力商品のカルピスをテコ入れしなければ、状況は変わらない。
幸いにもカルピスソーダに関しては、同社の戦略が奏功している。リリースに市場概況が記されている。「ゼロカロリーブーム」を背景に<炭酸飲料市場は昨年に引き続き、今年も前年比106%>伸長だという。さらに、2008年3月の全面リニューアル効果でカルピスソーダは<1-11月の売上げが前年比166%(数量ベース)と市場の伸びを大幅に上回って好調に推移>しているという。
先の全面リニューアルは、<炭酸飲料の飲用率が高い10代男性をメインターゲット>として、<炭酸飲料に求められるすっきりとした切れ味はそのままに、コクとまろやかさを高め>たという。
http://www.calpis.co.jp/corporate/press/nr_00285.html

メインターゲットをしっかりと取り込み、さらに新たな市場開拓をするという、リーダー企業らしい戦略が見えてくる。そこで、次のターゲットとして選んだのが「20~30代の大人世代」なのだ。
子供の頃にカルピスソーダを飲んで育った世代をもう一度呼び戻す「オトナ戦略」。
「あ、大人になってる」で、25年後のサザエさん一家を人気タレントを用いて実写化したCMで大きな話題となった江崎グリコの「オトナグリコ」がが成功例だ。

少子高齢化という如何ともしがたい外部環境。さらに昨今の長期化する経済不況では様々な市場が縮小することは間違いない。しかし、そこで立ち止まっては緩やかな、もしくは急速な死を迎えるばかりだ。
ターゲットを変え、ポジショニングを変化させ、しぶとく生き抜こうとする「『カルピスソーダ』ジンジャーゼロカロリー」の戦略が見えてきた。
この商品の成功を祈りつつ、19日の発売初日にはターゲット世代よりも少々歳をくっているが、試してみようと思う筆者であった。

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