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2008.12.22

「内定取り消し問題」大前健一先生に反論!

大先生に反論をするのはどうにも度胸のいることだけれど、今回ばかりは看過したくないので一言いってみたい。

大前氏が主催する「ビジネス・ブレイクスルー」のSNSと連動した「AGORIA(アゴリア)」のメルマガを毎朝拝読している。短いながらも世相のことや、ワークスタイルのこと、そして大前語録などが紹介され、非常にためになる。

昨日のテーマは「内定取り消し問題」であった。
<経済の悪化を理由に、内定を取り消しとなる学生が増えていますが、これに対し、大前は。「少し大袈裟すぎる」と感じているといいます>。とある。さすが、大所高所からものを見る大コンサルタントは視点が違うなぁと思いつつ、先を読む。
<内定取り消しの対象は数百人。何万人という規模であれば話は別だが、今回の規模のことを考えるとここまでせけんで大騒ぎをするほどのことではない。とのこと。>とある。どうにも看過できない違和感がある。
そして<もし自分が今回の内定取り消しを受けた学生の立場だったら、「早めに対処してくれてよかった」と感じると言います。試験を受けてみる、別の会社を受けてみるというように、まだこれから再チャレンジができるから、だそうです>。

賛同できない。2つの方向から見てである。
大学で「ベンチャーマーケティング論」を教えてる。3・4年生が対象であり、まさに就職活動に必死になっていたり、就職前の段階にいる学生たち相手だ。少し前までは「売り手市場」ではあったものの、彼らが本当に必死で活動している姿をずっと見てきた。色々相談にも乗った。その努力が一瞬で無になる事態に「再チャレンジするいい機会だ」などとはどう考えても言えない。

学生の側からだけではない。企業側にとっても「内定取り消し」は大きなリスクがあると言わざるを得ない。就活学生のネットワークは横にも縦にも広がっている。内定取り消しをした企業は、来年度以降、また景気が回復した以降も学生たちからその事実を忘れられることはないだろう。優秀な学生の確保が困難になることは必定だ。

新入社員を採用しないというリスクも大きい。バブル経済崩壊以降のいわゆる「失われた10年」で企業は新規採用を控えたり、採用人数を極度に絞り込んだ。その10年間、採用が手控えられて結果、ニート、フリーターとならざるを得なかった若者も多く、非正規社員としての雇用が増えたのは社会的な問題だ。
一方、企業内部では年齢人員構成に大きなゆがみを抱る事となった。いつまでたっても後輩や部下がいない「ぺーぺー」のままの社員。教育も十分与えられていない。それか、「いざなぎ越え」といわれた好景気期に大量の新入社員が採用され、「部下の指導ができない先輩・上司」という問題を生んだのは記憶に新しい。内定取り消しは新人が入ってこないという問題とイコールだ。また同じことが繰り返されるのである。

人員削減は新人採用の手控えや、「派遣切り」などの非正規社員の削減、または若年層の削減などが行われることが多い。しかし、その慣行は大きな間違いだ。
筆者の会社員時代、業績の低下に伴って人員削減が検討されたことがあった。ご多分に漏れず、派遣・契約社員、若年層がターゲットとなった。当時、筆者は部長職にあったがその階層のメンバーは結束が堅く、「切るなら上から切れ」と会社に詰め寄ったものだった。
米国ほどではないが、階層の社員と上級職の社員の給与格差はかなり大きい。上級職員は本当に給与に相当した働きをしているのか。まずはそこから見直すべきであろう。希望に満ちて春を待っている内定者を切り捨てる前に、まずやることがあるはずだと考えた次第だ。

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