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2008.11.26

グリコ「ウォーキーウォーキー」のコンセプトの妙

「コンセプト」はもはやカタカナの日本語ともいえるくらいに当たり前に使われる言葉になった。「コンセプトが固まらなくてね」などという会話もよく聞かれる。
しかし、実際にはコンセプトとはどのように考えればいいのだろうか。「製品コンセプト」の一例をご紹介したい。

ダイレクトマーケティングの父、レスター・ワンダーマンは「なぜ私に?に答えなさい」という名言を自著に記した。顧客に企業がアプローチするには、なぜ、オススメするのかという理由を明確にせねばならないということである。理由が明確でなく、疑問を抱けば必ず顧客はそっぽを向く。
ダイレクトマーケティングのアプローチではなくとも、企業が上市する製品についても同様のことがいえる。誰に向けた商品なのか。それを用いると、どのようないいコトがあるのか。それが伝わらなければ、売れない。

日経MJ11月21日号一面の囲み記事で、江崎グリコの「ウォーキーウォーキー」が紹介されていた。「<歩きながら食べるチョコ>お菓子のシーン広げる」とのタイトルだ。
同商品は、カップ入りのチョコレート菓子で、<缶ジュースのように片手でもって、粒状のチョコレートを口の中に流し込んで食べる新しい菓子>とある。<パソコンを触る仕事中や本を読みながらなど、手を汚したくないときでも食べられるのが好評>であるとのことで、発売以来2ヶ月、売り上げは好調のようだ。

この商品、記事では<歩きながら食べられることをコンセプトに開発した>とあり、<10~20代の若者に人気が高い>と分析されている。
しかし、結果として現在、若者に受けているのであって、「若者を攻略しよう!」と開発された商品ではないように思える。つまり、この商品はもっとすそ野が広がるように思えるのである。

製品コンセプトを「5W1H」的に考えてみよう。
「誰が、いつ、どこで、どのようにして利用すると、どのようなベネフィット(便益)があるのか」というフレームだ。
まず、「誰が」は「若者」ではなく、記事にあるように「手を汚したくない仕事や用事をしているが、ちょっと気分転換にお菓子を食べたい人」だ。「歩きながら」でも、手でチョコレートをつかんでティッシュで拭けばいいようなイメージではなく、何らか手がふさがっている時を想像した方がいい。その意味ではネーミングに若干の疑問が残る。
「いつ」は、誰がともかぶるが、「手が放せない用事の最中」だろう。
「どこで」は、ネーミングからすると「外出先で」となるが、「仕事や用事の席で」の方が需要がありそうだ。
「どのように」は、製品の特性である、「ふたを開けて口に流し込むようにして」ということになる。
そして、「ベネフィット」は「手を汚さないで手軽に食べられる」となる。
前述の通り、ネーミングとの若干の食い違いが、筆者個人としては感じられなくもないが、コンセプトがはっきりした、お手本のような商品といえるだろう。

景気の失速によって、消費者の商品の選択眼はますます厳しくなる。いかにコンセプトがはっきりしているかは、その選択眼にかなう最低条件だ。好事例として参考にしたい。

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