「お~いお茶 ふっておいしい抹茶」のネーミング変更を裏読み
伊藤園の「お~いお茶 ふっておいしい抹茶」が11月17日から全国販売されるという。
http://www.itoen.co.jp/news/2008/111105.html
「お〜いお茶 お抹茶」というネーミングで6月30日に1都9県(東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、茨城、群馬、山梨、長野、静岡)限定で発売された商品のリニューアル版である。
「お〜いお茶 お抹茶」には販売戦略上、意味深い商品であると筆者も注目していたが、全国展開するということは成功したということだろう。
→バックナンバー:本日発売・伊藤園の「 お〜いお茶 お抹茶 」は救世主となりえるか?
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2008/06/post_e1bd.html )
この商品は、ペットボトルのキャップに抹茶が仕込んであり、開封時にボトル内の真水に抹茶が自然と落下する。それをボトルを振って混ぜ合わせて飲む。つまり、この「振って飲む」という部分が強調されたのである。では、その理由は何だろうか。
伊藤園としては<振って飲む楽しさを製品特性としてさらにアピール>としている。
確かに、リニューアル前の商品を飲んでみたとき、自分で振って飲むという感覚は新鮮ではあった。
「振って飲む」ということで、成功した飲料が別のカテゴリーにもう一つある。
「ファンタ ふるふるシェイカー」だ。
http://www.cocacola.co.jp/products/lineup/fanta11.html
炭酸飲料を振るという意外さと、振ることによって自分の好みの粒度まで中のゼリーを崩すというカスタマイズ感が好評であった。
つまり、伊藤園のいうとおり、<振って飲む楽しさを製品特性としてさらにアピール>は正解だろう。しかし、なぜ、そのようなアピールが必要なのであろうか。
この商品は1本275ml入りで198円とかなり高価なものとなっている。
価格戦略において常に留意すべくは、価値(品質)と価格が正比例する「バリューライン」のどこにポジションを取るかということだ。低品質で低価格な「エコノミー戦略」、中品質で中価格は「中価値戦略」、高品質・高価値な「プレミアム戦略」。その正比例した関係がバリューラインで、それを上回れば、通常は価格優位を確保することができることになる。
例えば緑茶ペット飲料においては、通常より茶葉を増量して淹れている商品などが数多く発売されている。価格戦略的にいえば、高品質な商品を中価格で販売しているので、「高価値戦略」のポジションを取っていることになるのだが、なかなか消費者からはその価値が認められない。通常の商品との差異が認識されないのだ。
そこで、各メーカーは昨年の秋、高品質・高価値な「プレミアム戦略」を目指した。500ml・150円の相場より高価格で高級な商品を上市したのである。
→バックナンバー:緑茶飲料・秋の陣を占う
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2007/10/post_7cea.html)
しかし、流通支配力の問題もあるが、現在でも頻繁に目にする生き残った商品は日本コカコーラの「綾鷹」ぐらいではないだろうか。なかなか、その価格と価値の関係が認められなかったということだろう。
「お~いお茶 ふっておいしい抹茶」は1本275ml入りで198円。価格戦略で見れば、これは伊藤園の「プレミアム戦略」への再挑戦だ。しかし、普通にやってはまた、同じ失敗の轍を踏むことになる。そこで、「振る」という消費者に特別な体験をネーミングでも強調することによって、高価格への妥当感を出したかったのではないかと考えられるのだ。
価格戦略は4Pの中でも最も慎重を期すべき部分だ。なぜなら、他の3つのP、製品を作る。流通チャネルを構築し維持する。プロモーションを展開する。それらは全て「コスト要因」である。価格戦略は失敗すれば塵芥に帰する。筆者は今回のネーミング変更は、実は価格戦略のためのものであると裏読みしてみたが、事実はどうだろうか。
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