「ペプシホワイト」と「クラシックデザイン」の戦略ポジション
10月21日から「ペプシホワイト」が発売になった。6月10日に発売された「ブルーハワイ」に続く、今年2度目の期間限定品だ。さらに、自動販売機限定で静かに人気が高まっているのがダイドードリンコの「ペプシコーラ クラシックデザイン」だ。コーラ業界におけるこれらの商品の戦略を考察してみる。
まず、「ホワイトペプシ」を購入し、飲んでみた。
・・・意外なほどおいしい。今年の6月に発売された青いコーラ「ブルーハワイ」の強烈な味、甘みと独特の舌に残る微妙な苦みを思い出し、かなり覚悟を決めて一口含んだので、少々拍子抜けでさえある。
メーカーのニュースリリースによると<軽やかな香りが心地よい、爽やかなヨーグルト風味のコーラ飲料>であるというが、偽りはない。
http://www.suntory.co.jp/news/2008/10226.html
日本にける飲料業界第1位は日本コカ・コーラであり、第2位がサントリーである。サントリーは日本国内においてはペプシのマーケティング及び製造販売総代理権を1997年に取得している。そして、コーラ飲料における世界的なシェアは地域的には逆転しているところもあるが、コカ・コーラは「リーダー」であり、ペプシが「チャレンジャー」だ。
日本国内においてはコーラ飲料ではコカ・コーラが圧倒的だ。企業としても、ブランドとしてもチャレンジャーのポジションを余儀なくされているという現状がある。
圧倒的な力で圧するリーダーに対して、チャレンジャーの戦い方の基本は徹底した「差別化」だ。その象徴である米国発の「ペプシチャレンジ」というキャンペーンはあまりに有名だ。どちらが製品か明らかにされていないコップを街行く人に両方飲ませ、美味しいと思う方を指ささせる。そして「うゎー、ペプシだッたんだぁ〜」と被験者が言う。比較広告が嫌われる日本においても展開され、テレビCMにもなった。
差別化はキャンペーンだけではなく、商品においてもなされる必要がある。その象徴が、定期的に上市される「期間限定変わり種コーラ」だ。
ブルーハワイ以前にも、2007年6月12日にキュウリ風味の「アイスキューカンバー」、2006年には、5月16日にスパイシーな「レッド」、7月4日にトロピカルフルーツ味の「カーニバル」、10月10日にジンジャー味の「ゴールド」と矢継ぎ早に発売された歴史があるのである。
つまり、期間限定変わり種コーラは、リーダーに対する差別化戦略を行うチャレンジャーの戦略と定石通り考えられるため、今後も間違いなく続くことわかるのだ。
さて、コーラ飲料業界を見渡すと気になる存在がもう一つある。ダイドードリンコの「ペプシコーラ クラシックデザイン」だ。
http://www.dydo.co.jp/product/seihin/product.phtml?PD=629
上記メーカーの商品紹介サイトによれば<1960年代にアメリカのペプシコーラで使用されていたロゴマークを現代に復刻した復刻版ペプシコーラ><ダイドードリンコの自動販売機のみで購入できる限定商品>だという。クラッシックの名に恥じることにない、たっぷり砂糖とカフェインが使われているであろう、どっしりとした味わいで、2007年から発売されて以来、静かにブームを呼んでいる。
ダイドードリンコが使用できるのはこのクラッシックの商標のみであり、製品自体もサントリーがOEMで製造し、ダイドードリンコに供給しているというのが実態だ。
しかし、全く広告などに費用をかけない。販路も大きく広げない。ひたすら上位ポジションのプレイヤーの後をついて行き、しっかり稼ぐのは、「フォロアー」のポジションとして実に正しい戦略をとっていると言えるだろう。
商品戦略は、このようなポジションに応じた戦い方の類型だけで語れるほど単純ではないが、こうした定石を理解しておくと、消費者としてもメーカーの狙いがなんとなくわかり、より興味を持てるようになるだろう。
« Googleケータイと今日のケータイウォッチ | Main | 「ミスド値下げ」に感じる不安 »
TrackBack
Listed below are links to weblogs that reference 「ペプシホワイト」と「クラシックデザイン」の戦略ポジション:
» ペプシホワイトとカルピスソーダを飲み比べてみた(-ω-;) [楽しいブログ by はぐれスライム]
ヨーグルト風味の「白いペプシ」を期間限定発売
株式会社サントリーは、PEPSIシリーズより新たに「ペプシホワイト」を10月21日から全国で期間限..........≪続きを読む≫
[アメーバニュース]
さてさて、、、今この白ペプシ・・・「ホワイトペプシ」が
結構、話題... [Read More]
Comments