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2008.08.29

「飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題だ」

ハムレットよろしく悩んでいるのは禁酒の話ではない。禁酒など、悩むまもなく朝に誓ったその夜には破ってきたのが、成人してから20余年の人生である。

水。
当然、毎日水を飲む。どんな水を飲むかが問題なのだ。

研修の際に、「マーケティングとは”価値の交換活動である”」と説明する時に、ペットボトル入りのミネラルウォーターを例にする。
「タダとは言わないが、極めて安価であるはずの水、主に水道水のことであるが、をれを飲用せずに、ペットボトルの水を買うのはなぜか」という話。
まず、水を買う人がどれくらいいるか、挙手を求める。都内だと約8割。地方に行くと少し比率が下がるが、過半の手は挙がる。
では、改めて、買う理由を聞くと、「美味しいから」「身体に悪い成分が入っていないから」という答えがだいたい出る。つまり、「味」や「安全性」という「価値」があるから商品と対価の交換が成立しているのだという理解を得るわけだ。

だがしかし、ペットボトルの功罪として、環境負荷が高いという側面もある。採取地から運搬する。(海外からも!)。ボトリングして配貨する。店頭に並べ、冷却しておく。どれだけのCO2が排出されることになっているのだろう。

今年の2月にロンドン市長が「水道水を飲もう」と呼びかけた。(2008年 02月 20日)
<ロンドン市長、ボトル入り飲料水のボイコットを呼び掛け>
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-30414720080220?feedType=RSS&feedName=oddlyEnoughNews<ボトル入りの水は水道水に比べて価格が500倍、環境への悪影響は300倍>という主張だ。

一方、<シカゴでは今年の4月からプラスチックボトル入りの水に5セント(およそ5円)の税金がかかるようになった>という。それにつれて、水道水利用が復活していると。
<水道水の利用が復活!?@シカゴ>(2008年6月24日)
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091213864245.html<アメリカのボトルリサイクル率は20%未満で、他80%はゴミとして埋め立てされ終わってしまう>ということと、<水道法と食品衛生法で定められている基準で見ると、水道水の方が安全という結果も出ている>ということで、<「ボトル水じゃなくて、水道水がいいわ」と言うのがエコを意識している人にとってはとってもクール>というムーブメントも起こりつつあるという。

さて、日本の話。<内閣府は8月11日、水に関する世論調査結果の概要>が発表された。
<水道水 そのまま飲む人約4割 ミネラルウォーター 利用者3割>(2008年08月24日)
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/08/_4_3_1.html
3割というのは、ちょっと意外な数字。但し、<「水道水をそのまま飲んでいる人は4割にも満たない」ということになる。次いで「浄水器を設置して利用」が32.0%と3割超え、「ミネラルウォーターを購入して飲んでいる」が3割近くに登っている>という結果だ。また、地方での研修で感じていたとおり<都市規模が大きくなるほど水道水をそのまま飲むことはなく、浄水器を利用したりミネラルウォーターを使っている>という。
一方、興味深いのが<「浄水器の設置・利用」が40代をピークにしていること。1985年~1990年には直近の浄水器ブームが起きているが、この時に買った二十歳台の人が現行でも使い続けているということなのだろうか>という点だ。
確かに我が家にも浄水器が設置してある。しかし、料理には使うが、なかなかそのまま飲まない。

前出のシカゴの例では<「冷やす」というのがポイントで、「生あたたかい水道水だと気持ち的に美味しくない」ので冷やすと抵抗がなくなる>ということで、<冷やされたプラスチックの水入れからゴクゴク飲んでいる>という人も増えたようだ。

そのための道具も増えてきた。象印は「マイボトルを持とう」と呼びかけている。
http://www.zojirushi.co.jp/cafe/index.htmlベネトンもさらに力を入れてきた。
<ベネトン・エコシリーズに新商品! カラフルな「マイカップ&マイボトル」を持って出かけよう>
http://greenz.jp/2008/08/27/benetton/

どうやら、ペットボトルの水を「飲むべきか、飲まざるべきか」では、環境意識の高まりから、水道水が形成優位になって、「水道水を(浄水して冷やして)飲むべき」なりそうだ。加えて、シカゴの例では<食料品やガソリンの値上げ。市民の財布のヒモはきつく、かたくなってきている>という背景がある。日本でも同じだ。
だとすると、マイボトルを「持つべきか持たざるべきか」で悩むことになるのだろうか。
いやいや、マイボトルが当たり前になれば、「どんなマイボトルにしようかな」と楽しげな悩みになるのかもしれない。

最後に、「浄水・冷却した水道水をマイボトルで飲む」の普及をロジャースの普及要件で整理してみよう。

■相対優位性
ペットボトルに比べると安い。味・安全性はデータによれば大差ない。(雑菌混入などのリスクは水道水が少ない。消毒の薬剤はかつてより極めて微少とされている)。
■両立性
ミネラルウォーターが飲みたい時や、マイボトルが邪魔な時は、ペットボトルを買えばいい。両立性は確保されている。
■複雑性
複雑さは全くない。ただ、単に買えばいいペットボトルと、浄水・冷却やボトルのメンテナンスはちょっと面倒かも。但し、「どんなボトルを選ぼうかな」という複雑ではないが、選択の楽しみはあるように思う。
■試行可能性
マイボトルをまず買わなくてはならないというのは、ちょっとしたハードルになるだろう。まずは、空きペットボトルに浄水器から水道水を入れて、冷蔵庫で冷やして飲んでみることから始める感じだろうか。試してみると、やはり、シカゴの例ではないが、驚くほど抵抗はなかった。
■観察可能性
「効果の観察・実感」はなかなか難しいが、完全に実行すると、週に一度、たまったペットボトルを踏みつぶして、回収ボックスに持って行く時の量を見て良心の呵責に苛まされることはなくなるだろう。それは確かに観察可能な効果であるといえる。

・・・さて、週末にマイボトルをちょっと物色してみようかな。


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Tracked on 2008.08.29 01:21 PM

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