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19 posts from July 2008

2008.07.30

「夏休み短縮問題」で思うこと

現在、ちょっと夏休みをいただいている。日ごろ家族サービスをないがしろにしているので、夏休みぐらいは少しとって、しっかりやっておかないとと思ったのだ。
しかし、その夏休みをめぐって世間が少々かまびすしい。

<縮む夏休み、公立小中が授業増を優先>
http://www.asahi.com/national/update/0726/TKY200807260247.html<夏休みを短縮している公立小中学校は、少なくとも全国の10%の自治体に広がっていることが、朝日新聞社の市区町村教育委員会へのアンケートで分かった。短縮の理由として7割が「授業時間の確保」を挙げる。>
学力低下是正のため、学生にとっては聖域ともいうべき夏休みまでが侵食されてきたようだ。

幼少期や学生時代の記憶をたどってみると、家族や友人との思い出は夏に集中している世に思われる。やはり、「夏休み」という長い時間のなせる業であろう。しかし、そんな甘酸っぱい記憶と同時に、夏休みという単語は、膨大な宿題に追われるという、苦い記憶も呼び覚ます。ドリルだのプリントだの、自由研究、工作、日記、作文、感想文・・・。何でこんなにたくさんの宿題が出るんだろうと思ったものだった。「こんなに宿題が出るなら、普通に学校やっててくれたほうがいいんだけど」などとも思った。果たして、そのとおり、夏休みを短縮して学校での勉強を増やそうという今日の流れになってきたのだった。もちろん、子供ながらに考えた宿題を減らす代わりではないのだが。

夏休み短縮には賛否両論があるが、どちらかというと批判的な意見が多いように思われる。それは、やはり夏休みを一種の「聖域」として捉える人が多いからだろう。筆者もやはり最初はそう思った。しかしもう少し考えてみると、別の見方もできる。

夏休みの意義について小学校の教師から、「夏は暑くて勉強の効率が上がらないから休みにするのだ」と教えられたことを覚ええいる。しかし、夏休みは8月いっぱいで終わる。9月の残暑厳しいときに学校は始まってしまうのだ。また、暑くて勉強の効率が上がらないにもかかわらず、いやというほど宿題は出ている。学校で効率が上がらないのに家で一人努力をするのはかなりの精神力を要する。「だから、夏の努力で差がつくんだ」などとも言われたが、そんな個人の努力に任せず普通に学校やってほしいと、やはり思った。
そう考えると、夏休みをそこそこで切り上げて二学期をはじめるのも悪くはないのではないかと思う。

また、夏休みが短くなったら、家族の旅行や様々な体験をする機会が減ってしまうという意見もあるようだ。しかし、子供の長い夏休みにフルに付き合えるほど長い休暇を取れる親が、欧米人ならぬ日本にどれくらいいるだろうか。長くてせいぜい10日というところだろう。夏休み短縮に反対する理由にはあまりならない。

では、筆者は夏休み短縮に全面的に賛成かといえば、「条件付きで賛成」である。
まずは、児童・学生の本分は勉学だろう。その根幹たる学力が低下しているのであれば、しかるべく手段を講じて是正するべきだ。それが夏休み短縮であったとしても。
このテーマで筆者が何を言いたいのかといえば、物事の重要度をきちんと把握して、慣例にとらわれて必要な対策を怠らないようにすべきだということだ。この夏休み問題だけでなく、ビジネスの現場でも同じようなことが起こっていないだろうか。慣例にとらわれて、必要な改革のメスが鈍ることはないだろうか。身の回りを少し見直してみたい。

ちなみに、筆者の「夏休み短縮の条件」とは、宿題の加減だ。短縮した夏休みの中で山ほど宿題が出たら、それはさすがにかなわないだろう。児童・学生個人の自助努力を促すのも教育には大事なことだろう。しかし、学力回復のための効果・効率をあげるのであれば、教師がしっかりとした指導をするべきなのだ。改革には正しい手段を適用しなければならないことは、これもまたビジネスの世界と同じことである。


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2008.07.29

“現場に効く”マーケティングの基本理論・第9回

インタラクティブマーケティングの専門誌「月刊im press(アイ・エム・プレス)」8月号が発売されましたので、連載バックナンバーをアップします。
本誌では連載第10回が掲載されています。


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“現場に効く”マーケティングの基本理論


あまりに“基本”と思われ忘れられているようなマーケティング理論。しかし、日々の業務が行われる“現場”で今一度振り返ってみれば、思わぬ“再発見”があるのだ。

第9回「”価格戦略”を失敗しないために」

今回は2つめのPである、価格(Price)だ。前回予告したように、ここは4Pにおける一つのキモである。しかし、以外と感覚的なやり方だったり、自社都合だけで考えたりする値付けが散見される。今一度、その基本をしっかりおさえていこう。


■価格戦略は常に「3C」の視点から考える

 Priceはなぜキモなのか。他のPから展開される、製品作り(Product)、チャネル構築(Place)、コミュニケーション展開(プロモーション)は全て「コスト」である。自社の利益に直結するのは、この価格戦略(Price)であるからなのだ。他の3つのPがいかにうまく組み立てられていたとしても、このPをしくじったら儲けはなくなってしまう。当たり前なことだが、価格戦略(Price)は利益に直結しているということを常に意識しなければならない。
 しくじらないためには「3Cの視点」がまずは重要だ。環境分析のフレームワークである「3C」を覚えているだろうか。Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)。ここで3C分析を行うわけではないのだが、価格設定にはこの3つの視点が欠かせないのである。以下、その3つの視点を考えていこう。


■コスト積み上げ方式のCompany視点

 価格戦略の基本は、自社で製品の生産にかかったコスト(固定費の償却分+変動費=原価)にいくら利益を上乗せしていこうかと考える方法だ。最も自社としては考えやすく、赤字などになりにくい算出方法だと言える。但し、その価格が顧客がにとって妥当と受け取られるかはまた別の話。自社で上乗せした価格がひどく高く感じられてしまうかもしれないし、逆に、もっと高く買ってもらえるにも関わらず儲け損なうかもしれない。故に次のCustomerの視点が重要になる。


■顧客の「受け取り価値」算出がキモのCustomer視点

 端的に言えば、この視点は「顧客がその製品にどれだけの価値を感じてくれるか」ということ。例えば、ある生産財(企業が生産活動のために使用される機材・材料)を導入すれば、生産効率が向上し、労働賃金が削減できる。不良品発生率が低下する。などのメリットが明示できるなら、顧客企業が削減できるコストを製品(生産財)の価格に反映することができる。例えば、自社が納入する製品はさほど原価がかかっていないとしても、顧客企業にとって大きなメリットがあるのであれば、それは受け入れられる可能性が高い。


■製品は常に競合(Competitor)と比べられる

 顧客の受け取り価値が自社の原価を大きく上回る場合、それは「オイシイ商売」となるが、世の中そんなに甘くない。特許や卓越した生産技術によって自社にしか作れない製品でない限り、必ず競合と比べられることになる。対企業相手(BtoB)であれば合見積を取られるし、対消費者(BtoC)の商材なら店頭やネットで比較される。故に、競合となり得る商品を特定し、競合と全く同じ価格にするのか、その上下、何パーセントぐらいに設定するかを考えることも必要だ。

 以上のように、価格決定には自社都合や、勘と経験などで決めることなく、3つの視点によって多面的に検討することが必要となる。


■価格戦略は「売り方」の大きな方向性も規定する

 製品を新たに市場に投入する場合、価格戦略を基軸とした重大な意志決定をしなくてはならない。大きく分けて2つの方向性だ。一つはスキミング(Skimming)戦略。英語の意味通り、「上澄みをすくい取る」こと。もう一つがペネトレーション(Penetration)戦略。こちらも読んで字の如く、「(市場への)浸透」を狙うことだ。


■利益率と投資回収重視のスキミング

 スキミングの戦略の基本は、高付加価値・高価格設定である。自社製品が競合と比べて優位性が高い場合や、競合がほとんど存在せず、かつ、その製品を高価格でも欲しがるイノベーター層や富裕層が存在する場合などの条件があれば、この展開が可能だ。高価格で、高利益率の設定であるため、製品の開発や生産設備などの投資も早期に回収が可能となる。しかし、多くの場合、高価格を受容できる市場のパイはあまり大きくないため、大きなシェアの獲得は難しいだろう。故に、「市場の上澄みをすく取る」ということになるのだ。もう一つの問題は、高価格で高利益率のオイシイ商売には競合が参入してくることになる。初期段階でさっさと稼いで撤退するか、競合との戦いを覚悟するかも考えておく必要があるのだ。


■とにかく早期に市場のシェアを確保するペネトレーション

 ペネトレーションの目的は、何といってもすばやく市場シェアを確保することにある。商品内容にもよるが、基本的に購入者は低価格、もしくは割安なモノの方が購買行動に踏み切りやすい。そこで、低価格、場合によっては初期的な採算割れも覚悟のプライシングを行うのである。そうすることによって、特に生産設備の構築や広告費の投下などの投資が大きい場合、「そんな価格では戦いの土俵に乗れない」と、コスト自体が競合の参入障壁にもなる。そしてシェアを確保してからじっくりと投資回収を行うのが基本だ。
 但し、ペネトレーションには大きな問題がある。「一度安い価格を付けた商品は、値上げが難しい」ということだ。大量販売による生産効率の向上などの努力が欠かせないのも重要な留意点なのである。


■事例に見る価格戦略の妙

 最後に一つ事例を見てみよう。ソニーの犬型愛玩ロボット「AIBO(アイボ)」だ。AIBOは1999年6月1日、ERS-110型がインターネットで限定発売され、わずか20分で3,000台を完売した。価格250,000円。購入者の多くはソニーファンであり、かつ画期的な動作をするロボットとしての魅力に惹かれたメカマニアであったという。2001年11月、ERS-210型発売。価格150,000円。購入者はメカマニアだけでなく、「AIBOを人に見せびらかしたい!」という層も多かったという。エルメスとのコラボレーションで作られた、専用キャリングケースの存在がそれを象徴的に裏付けている。2001年10月ERS-310型発売。この3代目においてロボット犬らしい未来的デザインから、「熊と犬の中間」をイメージしたという愛らしいデザインに大きく変更された。価格も85,000円と先代の半額近くに引き下げられた。そして購入層も可愛らしさや、玩具的な機能を求める層に裾野が広がった。
 一連のAIBOの歴史のうち、特に価格の低下とユーザー層の広がりに注目して欲しい。販売台数は公表されていないが、インターネットで販売された初期ロットの3,000台を250,000円で求めたマニア層から、順次価格が引き下げられ、製品に求められる価値も変化し、ユーザー層も拡大していった様が分かるだろう。AIBOはその意味からすると、スキミングプライシング戦略で、徐々にターゲットを拡大し、プライスダウンをさせていった典型的な例だといえるだろう。

 マーケティングにおいける重要な流れを思い出して欲しい。自社とその製品・サービスの提供価値が明確になっているのか。ターゲットは誰なのか。そのターゲットに魅力的と思われるポジションを打ち出せるのか。それらは、この価格戦略に大きく関わってくるのだとしても過言ではない。価格戦略を考えるとき、単に「値段を付ける」といいうプロセスではなく、そこまでの流れを再確認することも重要であるということなのだ。


 次回は4つのPのうち、一番「厄介なP」である、Place(流通戦略)をお伝えする。

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2008.07.28

「大学の都心回帰」に寄せる期待

教員といっても1講座だけを担当する兼業の非常勤なのだが、今の大学で4年も担当していると大学関連のニュースには自然と目がいく。そんな中で、ちょっと気になり、期待したい記事があった。


「生き残りかけ都心回帰 東洋大、埼玉→文京区 帝京平成大、千葉→池袋」

http://mainichi.jp/life/edu/news/20080725dde012070054000c.html

<近年、大学が都心に戻ってきている。なぜ今、大学は都心回帰するのか。それを探るため、帝京平成大学と東洋大学の2校を取材した>とある。母校の東洋大も取材されたようだ。その母校の広報担当者の弁では都心に校舎を統一することで、教授の研究室と教室、先輩後輩の全学年が同じ場所に集まったため、教員と学生、先輩後輩の結びつきが強くなったとのことである。
筆者の学生時代は実に、東京の本校以外に埼玉県内の2カ所の校舎を行ったり来たりと大変な思いをしていたので、「今の世代は恵まれているな」と思ってしまう。しかし、実際にはそれが自然な姿なのだ。受験戦争が激しく、大学が拡大路線をひた走っていた時代は多くの学生を収容する広大なキャンパスを求めて地方に拡大していった。今日、少子高齢化・全入時代にいたり、「都心回帰」は大学が「そんな田舎に行きたくない」という、学生の根源的なニーズにも耳を傾けざるを得なくなった結果でもある。


せっかくの「都心回帰」なのだから、この環境をもう一歩進めて考えてみてはどうかとも思う。先の広報担当者は都心回帰の効用を「教員と学生同士の結びつき」と説明していたが、都心であれば、学内を離れた地域やそこを拠点にする企業との結びつきも強めることができるはずだ。確かに地方でも地域社会との結びつきはあっただろうが、例えば「産学協同」などはやはり都心の方がやりやすい。筆者のような学外の非常勤講師も協力しやすい。「教えるということは、学ぶことでもある」ので、できる限り協力したいが、本業をもった非常勤講師は長い移動時間は大敵だなのだ。環境は劇的に好転したといえるだろう。

地方都市にある新興の大学は全入時代で大変苦戦し、淘汰の時代を迎えている。その中おける生き残り・活性化の一つの手段が、「地元企業との連携」である。大学が地元企業に要請し、寄付講座を開く。地元企業が講師を派遣し、学生との関係を構築。地元学生も地元企業に関心を持ち、就職のきっかけとなる。大学と学生と企業のリレーションによるWin - Winが成立するという構図なのだ。しかし、そこで問題になるのは、やはり地元企業の数が少ない場合、その好循環を維持することが難しくなってしまうのである。

さて、そう考えると、都心回帰した大学の周辺には数多くの企業が存在する。地方大学からすると贅沢な環境だ。学生の確保や企業としての人材確保といった目的はないにしろ、実施する意義はあるはずだ。外部から講師として学生と接してみると、学生は実際のビジネス現場にいる講師の話を新鮮に思い、学ぶところが多いという。講師としては前述の通り「教えるということは、学ぶこと」になる。企業から派遣される講師にも貴重な機会になるはずだ。だが、そうした結びつきはどの大学ともまだまだ一部にしかすぎないのが現状だ。


外部環境の変化は内なる環境を変革するチャンスでもある。大学も外部に向けた改革を徐々に行っている過程ではあるが、物理的な大きな変化である「都心回帰」には期待したいと思う。
また、今後機会が広がれば、多くの人が非常勤講師やゲストスピーカーとして、学生と触れてみることをお勧めしたい。繰り返すが「教えるということは、学ぶこと」である。難しいことではない。イギリスの作家・オリヴァー・ゴールドスミス (Oliver Goldsmith:1730~1774)は「言葉で説教するよりも、あなたの生き方そのものがより良い説教となろう」という言葉を遺している。生のビジネス体験が貴重なのだから。


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2008.07.25

夏×(モノ+コト+食の安全)×省時間=?

夏×(モノ+コト+食の安全)×省時間・・・なぁんて方程式にズバリ合致して衝動買いをした。Amazonに発注済み。商品到着を楽しみにしているところである。


■夏

夏といえばかき氷だ。家で子供と一緒に氷をガリガリと削るのは楽しい。
だが、削るのはともかく、実は味が苦手なのだ。氷のキーンと冷えた口当たりはうれしいものの、あのシロップそのものというプアな味わいは一夏に1〜2回食べれば十分だと思ってしまう。
もう少しよく考えれば、削るのもすごく楽しいかというと、あまりにあっさり作れすぎて味気ない。ガリガリガリガリガリガリガ・・・終了。・・・寂しい・・・。単調ですぐに飽きてしまうのだ。
台所の片隅に箱に入って鎮座し、貴重なスペースを占有しているかき氷器は、毎年数回しか登場しない。出来上がった食べ物としてのスペック、作る課程の楽しさという、”モノ”と”コト”としての価値が意外に低いのが原因なのだ。”夏の風物詩”というキーワードでちょっと惰性的に作って食べていたのかもしれない。


■モノ+コト+食の安全

となると、もう一一つの氷菓の雄、アイスクリームだ。
アイスクリームなら60円のガリガリ君から、1カップ500円の高級品まで昨今よりどりみどり。だがしかし、市販のものは概ね甘い。甘すぎるのである。
そんなわけで、手作りアイスクリーム器=アイスクリーマーなるものを使っている人の話を聞くにつけ、興味を抱き、物欲メーターが少しずつ上昇していたのである。
手作りなら甘さのコントロールも自在にできる。こだわろうと思えば素材も自由に選べるし、もちろん、添加物などの心配もしなくていい。”食の安全”対応である。
斯様に”モノ”としてのスペックを自由にカスタマイズできるのは何ともうれしい。
さらに制作過程の”コト”を考えると、単に氷を削るだけでなくいろいろな素材を混ぜ合わせたり、かき回したりと、かき氷より複雑なプロセスを踏む故に、エンターテイメント性は高いだろう。


■省時間

アイスクリーマーなる商品を物色してみた。が、その結果は絶望的であった。
確かに具材を子供と一緒にまぜまぜ・コネコネするのは楽しそうだが、何とも時間がかかるのだ。
具材を容器に入れて冷凍庫で冷やすこと10時間。その後、取り出してはコネコネかき回し、また冷凍庫に戻しと数時間繰り返すという。・・・考えられない・・・。
確かに作成プロセスに価値があることは理解できる。だが、人間は等しく1年365日・1日24時間と与えられた時間の中で生きている。それをアイスクリーム作りにそんなに費やして良いものだろうか。いや、良いはずがない。故に、却下した。

しかし、技術の進歩とはすばらしい。なんたる人類の英知の結晶か。やるな、ナショナル。(もうすぐパナソニック)。面倒なところは全自動だという。
<混ぜ合わせた材料を入れ、スイッチを押すだけの簡単操作。マイコン制御で自動かき混ぜ、自動停止してくれるので、出来上がるまで(約3時間ほど)、冷凍庫に入れっぱなしでいい>という。
具材を用意し、容器に入れ、わずか3時間。10数時間が3時間だ。なんという”省時間”。
考えてみれば、制作過程で楽しいのは材料のレシピを考えて容器に混ぜ入れるところと、後は仕上がりの瞬間だろう。まぜまぜ・コネコネも楽しいかもしれないが、作業過程如何では失敗のリスクを大きくはらむという。ならば自動の方がいい。


というわけで、夏×(モノ+コト+食の安全)×省時間=National 電池式コードレスアイスクリーマー BH-941 なのである。

この夏はたっぷりアイスを食うぞーと思いつつ、物を一つ買うのに、こんなにめんどくさい考え方をする自分はあまり「省時間」ではないなとも思ったりする・・・。

だがしかし、ここで今一度、視点を転じてみると、この一連の流れは消費者のモノの購入に至る心理・態度変容の変遷と、モノを買う理由(Key Buying Factor)の抽出そのものでもある。
筆者は一般的な消費者像とは多少の乖離があり、モデルとしては些か複雑なパターンすぎるかもしれない。しかし、心理・態度変容やKBFは既存のフレームワーク(例えばAIDMA)や、安いとか便利とかでは計れない例として考えられなだろうか。

ちょっと自分の衝動買いの理由付けをしつつ、後付けっぽく真面目にまとめてみる。

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2008.07.24

フジテレビ・「結婚披露宴」参入の手堅い戦略

フジテレビが結婚披露宴事業に参入した。企画・運営会社設立し、スタジオで披露宴をとり行うサービスまで展開するという。ちょっと考えると「テレビ局で結婚式?」と思ってしまうが、実は意外と手堅い戦略であることがわかる。


<フジテレビ:結婚披露宴の企画・運営事業に参入。お台場の本社屋などを利用>
http://news.livedoor.com/article/detail/3740095/
<事業領域拡大の一環として、東京都港区台場の本社屋など、同社が保有する施設を活用><テレビ番組制作の技術やノウハウが生かせることや、婚礼付帯商品やサービスなどにおいてグループ企業へのシナジー効果が期待できるとしている>ということで、フジテレビの「事業多角化戦略」である。
事業の多角化は、成功すれば大きく利益を拡大させることもできる反面、常にリスクがつきまとう。上記の報道にあるとおり、いかに既存事業とのシナジーを発揮できるかが大きなポイントとなる。
その点からすると、今回のフジテレビの展開はかなり手堅い展開であることがわかる。

イゴール・アンゾフが1965年に著した「戦略経営論(Strategic Management)」にある「成長マトリックス」で考えてみたい。
企業が製品(サービス)を提供する対象が「既存市場(既存顧客)」に対してなのか、「新市場(新規顧客)」なのか。提供する製品・サービスが「既存製品」なのか、「新製品」なのか。その要素を掛け合わせ、「市場浸透」「新製品開発」「市場開拓」「多角化」という4つの象限ができ、各々の象限が成長戦略のパターンを表わしているのである。
以下、フジテレビにあてはめて考えてみよう。

■市場浸透戦略
既存顧客を深掘りし、使用頻度を高めることを目指すものであるがが、昨今のテレビ業界は視聴者と広告主の確保ともなかなか難しいのが現状だ。この象限で勝負できない故の新展開といえるだろう。

■新製品開発戦略
新製品を、現在の顧客に投入する戦略。生活者の視聴という対象をテレビからWebサイトに代えコンテンツを提供。そこで広告主に新たな媒体を提供するのもこの戦略にあたる。正に勝負のしどころであるが、なかなか「これ!」という戦略が描けていないのも事実だ。

■多角化戦略
全く新しい製品を新たな市場・顧客に向けて展開する戦略。最も大きなリスクがあることは間違いない。いくつもの打ち手を展開しているが全てをここで紹介するのは難しいため、今回は割愛する。

■新市場開拓戦略
既存の製品を新しい顧客へ提供する戦略。海外などの地理的に異なる新たな市場に進出したり、全く属性が異なる顧客層にアプローチする場合がこれにあたる。今回の「結婚披露宴の企画・運営事業参入」は生活者を「視聴対象者」ではなく、新たなビジネスの新規顧客ととらえ、既存のテレビ局内の資産を活用した製品を提供するというパターンと考えられるからだ。

上記、「成長マトリックス」で分類した企業の展開の成功確率を、ハーバード・ビジネス・スクール教授のマイケル・ポーターがかつて検証したが、当然、「市場浸透戦略」が最も成功確立が高かった。次いで「新製品」「新市場」と続き、当然「多角化」がやはり最も失敗率が高かった。こうして考えると、市場浸透、新製品となかなかうまい展開が描けない以上、むやみに多角化を避けて、新市場開拓を選ぶことは非常に理にかなっていることがわかる。


もう一つ注目したいのが、今回の会社組織だ。新会社名は「ストーリアLLC合同会社」。株式会社ではなくLLCである。
LLCとは2006年施行の新会社法の一つの目玉であり、旧会社法の合資・合名同様に簡便な設立が可能であり、有限責任でリスクが低い形態である。また、株式会社が出資比率に応じた利益配分を基本としているのに対し、LLCは出資額の多寡に関わらず、知識・ノウハウなどで貢献できるスタッフを厚遇し、利益配分することも可能な仕組みである点がポイントだ。
毎日新聞のニュースソースによると<社長には「ロングバケーション」など人気ドラマのプロデューサーを務めた杉尾敦弘氏(42)が就任>とある。
http://news.livedoor.com/article/detail/3740785/
参画したスタッフのやる気を引き出すためであると解釈できるだろう。


フジテレビの発表によれば<本件が今期業績に与える影響は軽微だが、中長期的に収益向上に寄与する見込み>というこれまた、手堅い発表をしている。
しかし、こうして考えると、手堅いながらも理にかなった展開であり、うまくすると化ける芽もあることがわかるのだ。
<8月2日にはフジテレビのスタジオで、1組のカップルが披露宴を行う予定>とのことだが、今後もウォッチしてみたい動きである。

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2008.07.23

クリックのお願い:ドネーション

今日は記事ではなくお願いです。

-----------------<まずはお願い>-------------------

当Blogの左フレーム内にある「MOTTAINAIクリック募金」のスポンサーロゴを「ポチッ」とクリックしていただきたいのです。
クリックすると、別ウィンドゥが立ち上がりますので、「1クリック×7日で苗1本」と書いてある所・オレンジ色に白抜きの「クリック!」というボタンを「ポチッ」とクリック。
さらにもう一つスモールウィンドゥが立ち上がって、募金が完了したことがわかります。
・・・ちょっとウィンドゥがいくつも立ち上がってうっとうしいのですが、お願いします。 m(_ _)m

---------------<募金先について>--------------------


MOTTAINAIキャンペーン
http://www.mottainai.info/about/
伊藤忠商事と毎日新聞が事務局になり、1クリック1円が「グリーンベルト運動」に寄付されます。

<キャンペーンサイトより>
「グリーンベルト運動ではこれまでにケニアとはじめとするアフリカ大陸全土で4000万本を超える木を植えており、植林の参加者は女性を中心にのべ10万人。環境保全にとどまらず、植林を通じて貧困からの脱却、女性の地位向上、ケニア社会の民主化に大きく寄与しています。」


-----------<詳しい経緯については以下にて>---------------

約1年前、8月10日に「お知恵拝借:ドネーションプログラム」という記事をアップした。
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2007/08/post_75ea.html

ちょうどその頃、電子マネーが伸長している影響で、1円、5円、10円、50円硬貨の流通量が激減しているというニュースが伝えられた。時を同じくして、コンビニエンスストアを経営している知人からレジ横の募金箱に入りが悪くなったと聞かされた。
日本では欧米に比べDonation(ドネーション=寄付・寄贈)の習慣が育っていない。また、改まってまとまったお金を寄付するという機会はさらに乏しい。故に、少額をチマチマと寄付できる、コンビニの釣銭募金にかわるしくみは考えられないかと思ったのだ。


昨年の記事に対して、いくつかのアイディアをコメントとして寄せていただいたが、すぐに実行できるようなものは残念ながらなかった。
最も気軽なしくみは、昨年の記事中でも紹介した「クリック募金」だ。
募金Webサイトに行って、スポンサーのバナーなどをクリックすると、1クリックで1円が慈善団体にスポンサーから支払われる。
これは確かに気軽なのだが、そのサイトのURLをブックマークするなどしていちいち飛んでいくのが何とも面倒。結果、クリックするのも忘れてしまう。・・・何かよいしくみみはないかと気にはなりつつ、なにも為さずに時間は過ぎた。


それから1年あまり経って、最近見つけたのが、左のブログパーツ。クリック募金へのリンクを自分のブログに組み込むことができる。
自分自身でも1日1回はブログを確認する。1クリックで1円は募金できる。
さらに、このブログはおかげさまで毎日250人以上の方が来訪されているので、皆さんも「ポチッ」とクリックしていただければ、数百円募金できる。

先週の土曜日に、このBlogにさりげなく設置しておいたのだが、まだほとんどクリックしていただいていないようなので、改めて、是非にお願いしたい。


貴重な時間を割いて記事をお読みいただいている上に、さらにクリックをお願いするのは心苦しい限りですが、今後、一手間お願いできないかと考えています。
よろしくお願いいたします。


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2008.07.22

ビジネスホテル進化論

モノやサービスに対する顧客の要求は普及が進み、さらに競合が激しくなると加速度的に高まる。それに対応するには、顧客のニーズがどこにあり、どのように商品の品質・サービスを向上させることで、どの程度対応できるのかを把握しておく必要がある。

今回は例として取り上げたいのはビジネスホテルだ。品質・サービスのレベル向上は、コストを考えなければ色々と工夫の余地はある。しかし、ビジネスホテルの場合、それを低コストで提供するという、厳しい制約条件が存在するのである。その工夫の様も参考になる。


ビジネスホテルの進化をフィリップ・コトラーの製品特性分析のフレームワークを用いて考えてみたい。コトラーの製品特性分析のフレームワークは3層モデルと5層モデルがあるが、今回はわかりやすい前者を用いる。商品・サービスが購入者に提供する「価値」を構造的に分解し、把握するのがこのフレームワークの特徴だ。


まず、中心にあるのが「中核」と呼ばれる、顧客がその商品・サービスを手に入れることで実現できる最も中心的な便益を表わす。最初にわかりやすい「自動車」という商品で例示するなら、「動力を用いて自らの意のままに移動できる手段」ということになる。
では、ビジネスホテルにおいてはどうだろうか。
1日の仕事を終え、もしくは翌日の仕事に備えて「休息できる」「眠れる」が中核であることは間違いない。加えて「清潔さを保ち、身だしなみを整えられる」ことも必要だろう。

製品・サービスの「中核」が機能するために必要な要素は「実体」と呼ばれる。先の自動車の例でいえば、その動力たる「エンジンの性能」や、移動のための「走行性能」。また走るだけでなくそれを支える「安全性能」。またはその自動車を構成する内装・外装などがそれにあたる。ビジネスホテルで考えれば、休息と睡眠のための「ベッド」であり、清潔さ維持のための「シャワー・浴室も」である。また、、カプセルホテルではないので、それらが一室ごとに専用で用意されていることも必要だ。考えてみれば、リゾートホテルではないので、あまり多くを望まれるわけではなく、上記のような必要最低限の要素を提供するのがビジネスホテルの本質なのだ。


しかし、基本である中核と実体の要素も、提供者たるビジネスホテルの運営者によって、まちまちであることは否めない。確かにベッドとシャワーがある個室ではあるものの、がっかりするようなレベルなことも少なくない。
そうした不満を解消したのがチェーン展開をしたホテルだろう。ビジネスホテルの価格で、清掃状況や什器・調度品、係員の応対レベルを標準化したのは、例えば『ワシントンホテル』などのビジネスホテルチェーンの老舗だ。今にしてみれば当たり前のことだが、知らない土地に赴いて、ホテルについてがっかりすることが多かった時代には画期的なことであった。
一つ、特徴的な動きがあったのは、バブルの崩壊以降、企業のコスト低減の要請に応えるため、一定以上の水準を低価格で提供しようとしたのが『東横イン』のようなローコストオペレーションホテルだ。徹底した合理化と外注化で、客室数に対する従業員数は驚くほど少ない。これは、ビジネスホテルの「中核と実体」が何であるかを徹底して分析し、無駄を削ぎ落とした結果である。


そうした無駄を省きつつ、基本である実体たるベッドなどの質を上げることが最近の差別化要素でもあるようだ。例えば、最近数を増やしているチェーンの『コンフォートホテル』や『イーホテル』などはベッドが寝心地に定評がある「シモンズ社」製だったり、低反発素材や独自の形状でできた「枕」にこだわっていたりする。シャワー・浴室に関しては、やはり専有面積に制限があるため、浴槽はかなり狭いが、シャワーヘッドが湯の出方を調節できるものになっていたりと、ちょっと小技がを効かせている場合もある。
このように、同じ「実体」の要素でも、顧客の要求レベルの高まりと、競合の激化に対応し、高度化していくのは自動車やホテルに限ったことではない。必要なのは、ローコストオペレーションホテルのように、必要要素をしっかり絞り込むことと、その中で何で特徴を出すのかを明確にすることなのだ。


製品特性分析のフレームワーク・3層モデルにおける一番外側は「付随機能」と呼ばれる要素だ。それがなくとも、製品の中核に影響は及ぼさないが、提供できればより魅力を増すという要素である。同じく自動車を例にすれば、点検などのアフターザービスが無料や割引になったり、低金利のローンが設定されているというようなものだ。

ビジネスホテルにおいて、昨今、一番競争が顕著なのがこの付随機能だろう。ホテル全般においては、飲食の施設・サービスは、むしろ「実体」に属するものであるが、ローコストオペレーション化が進んだ過程で削ぎ落とされており、その施設を持たないホテルも少なくない。しかし、全くの素泊まりでは朝食を外に食べに行くのは面倒だし、かといって朝食抜きでは心許ない。そこで提供されているのが「無料朝食」だ。
館内に厨房はない。それ故外注し、おにぎりやパン、スープやコーヒーなどを並べておき、セルフサービスで提供するのだ。有料で提供した場合、ある程度のレベルが求められるが、無料なので最低限のレベルでも感謝こそされ、文句は出ない。セルフサービスなので、給仕の人件費はかからず、無料なので会計というプロセスも必要ないため、そこでも人手がかからない。無料にした方がコストがかからないという逆転の発想だ。この方式は多くのローコストオペレーションホテルで採用されている。
もう一つが、実体である「シャワー・浴室」に付随機能を加えた展開だ。前述の通り専有面積が狭いため、浴槽が狭い。その一つ一つを広くとるより有効と判断して「大浴場」を備えたホテルが登場している。『アパホテル』や前出の『イーホテル』などだ。全員が使うわけではないので、リゾートホテルや旅館のように広くはないが、狭い浴室の代替としての存在をアピールすることはできる。さらに、ホテルの建設用地をボーリングしたり、近隣の温泉から湯を運んだりして、「天然温泉」を提供するという、さらにそこで差別化を図っているのが『スーパーホテル』である。
商品・サービスがコモデティー化し、競合が激しくなるとこの「付随機能」の部分が差別化の主戦場となるのは世の常だ。今後、どのような要素がここに付け加わるか注目に値する。


今回紹介したビジネスホテルという業界は、コモデティーであると同時に、前述の通りローコスト化が進んでいる。コストを抑えつつ差別化を図るという、大変厳しい戦いをしているのである。しかし、工夫をせねば、すぐに競合に客を奪われる。この業界の努力から学ぶものは多いといえるだろう。


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2008.07.18

土用の丑の日・新習慣をご提案

来週水曜日、23日は「夏の土用丑の日」。日本列島の西の方は既に猛暑となっており、週明けには関東地方も梅雨明けする雰囲気がある。暑い夏を乗り切るため、鰻を食する人が多いが、そんな習慣を今年はちょっと変えてみようという提案だ。


よく知られた話であるが、「土用の丑の日」として、鰻を食するようになったのは、江戸時代・享保年間の発明家である平賀源内の功績によるものとされている。
暑い夏の間には口当りの良いものばかりが好まれ、脂やしつこさが嫌われて売り上げが落ちてしまう鰻屋の店主が知業を煮やし恵者と名高い源内に相談した。すると、源内は墨の色も鮮やかに、紙に「土用の丑の日」と記した。古来、丑の日には梅干し・瓜など「う」の付くものが食されていたが、この店の「うなぎを食すべし」と促したわけだ。源内の手によるその張り紙は、日本最古の広告コピーともされているが、そのおかげで鰻屋は大繁盛。以来、土用の丑の日には今日に至るまで、うなぎを食べる習慣が伝わっているというわけだ。
実際に、鰻にはビタミンB類が豊富に含まれているため、疲労回復、食欲増進食などの効果がある。平賀源内の慧眼と見るべきか、まぐれ当たりと考えるべきかは別として、夏バテ防止にうってつけなのは確かだ。


筆者も鰻には目がない。だがしかし、昨今の鰻にまつわる偽装事件には目を覆うものがある。「土用の丑の日」などとして、突出した販売のピークがあると、そこに便乗しようとする者も現れる。中国製を「愛知県三河一色産うなぎ蒲焼」と記した偽装も、土用を前に在庫を売りさばかんがためであったと伝えられている。
そうした不心得者に対する、鰻好きからのささやかな抵抗として、今年の夏はちょっと趣向を変えてみたい。夏にはなかなか食さないが、滋養が摂れるものはと考えた次第だ。


ご紹介したいのは「獣肉」である。フレンチでもジビエ(gibier)として人気が出てきている猟で捕った野生の禽獣の肉のことだ。猪・鹿・熊などなど。本来的には餌が豊富で種類によっては冬眠前にあたる秋が脂がのって食べ頃とされているが、まぁ、それを言うなら鰻も天然物なら、本来は夏ではなく産卵前が食べ頃。ここは一つ「土用」の選択肢の一つに加えることを主旨とご理解いただきたい。


前述の通り、フレンチとしての獣肉も人気の高まりから取り扱う店が増えてきた。しかし、「土用の丑の日」は日本の慣習の日だ。和風でいきたい。
動物を食することを憚りとしていた日本にも、長く続く獣肉の店がある。創業・享保三年(1718年)というから、今年280周年となる。平賀源内が生まれた1728のさらに10年前に店を開いた老舗である。国技館や東京江戸博物館のある両国。隅田川に架かる両国橋のたもとにある「ももんじや」。
メインは猪鍋。すき焼きにして食する。煮込めば煮込むほど柔らかくなるというその肉は、柔らかながらもしっかりした食べ応えを失わない。他にあっさりとした味わい鹿の刺身と竜田揚げ、滋味に溢れた熊汁などもいただける。
全体に少し濃いめの味付けだからか、肉の臭いなどは全く気にならない。特筆すべきは、食後、胃の腑の当りが熱くなり、身体に力が満ちてくることを実感できることである。「土用の丑の日」としては「う」の字は付かないものの、夏を乗り切れるように思う。


フレンチのジビエ人気とは裏腹に、獣肉料理の店は随分と少なくなってしまったようだが、インターネットなど探してみれば、各地にまだまだ残ってはいるようだ。
誰も彼もが「鰻」を求め、悪質業者につけ込まれるより、ちょっと発想を転換して、自分なりの夏を乗り切る滋養を摂る食べ物を探してみることをお勧めしたい。


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2008.07.17

ミスタードーナツ&モスバーガーの提携効果と今後を考える

ミスタードーナツとモスバーガーが初の連携商品を期間限定で発売した。今年2月20日に発表された資本と業務両面にわたる本格的な提携契約が、初めて消費者の目に見える形で現れたわけだ。

<[ミスタードーナツ]モスと初の連携商品、期限付きで発売へ>
http://news.livedoor.com/article/detail/3732731/
<両者の名称をとった「MOSDO!(モスド)」マークを作り、今後、販売促進に活用していく>

今回の提携内容は、2月20日にミスタードーナツの運営会社であるダスキンから発信されたニュースリリースを改めてみてみよう。
http://www.duskin.co.jp/ir/information/pdf/20080220.pdf

上記によると、提携内容は7項目にわたる。
(1)販売促進:両社の強みを活かした共通の販促手法の相互利用を検討する。
(2)オリジナル商品の共同開発:共通のオリジナル商品を共同開発する。
(3)品質管理:両社の衛生管理、品質管理システムノウハウの共有を図る。
(4)購買:共同購買することで、コスト削減を図る。
(5)物流:共同配送を促進することで、物流システムの効率化を図る。
(6)共同展開
-1両社の出店情報及びノウハウを活用し、共同出店を図る。
-2両社の加盟店による出店の促進を図る。
-3東南アジアを中心とした海外展開に関する戦略の共有と実行の連携を検討する。
(7)業態開発 :カフェ等の新業態を共同開発する。

今回の展開は<モスは2種類のトマトを使ったピリ辛ソースの「ホットチキンバーガー」(300円)を今月18日から8月25日まで限定発売。><ミスタードーナツは辛口のサルサソースと数種類のスパイスで味付けした「ホットチキンパイ」(210円)を今月23日から9月30日まで販売。ただ、鶏肉やソースなどの食材はそれぞれで仕入れていて、共通化はしていない>とのことなので、現状は「MOSDO!」マークを作るなどという、提携内容の(1)販売促進に留まっているということになる。


消費者としては、味や様々な好みによって選択を行うが、実体としてはファストフードの業界ではマクドナルドが紛う事なき「リーダー」のポジションにあり、「コストリーダーシップ戦略」をとっている。その強大なパワーによって、100円プレミアムコーヒーやパン類のカフェメニューでファストフードだけでなく、カフェなどの周辺業界まで浸食する積極攻勢をかけている。

企業の競争環境においては、そのポジションは4類型に分類できる。
「リーダー」に対して、差別化を武器に戦いを挑む「チャレンジャー」、独自の得意領域やファン層を武器にしぶとく生き残りをかける「ニッチャー」、いずれの特徴も出すことができない「フォロアー」。
ファストフードの業界を見渡すと、かつてはモスバーガーは「作りたて」「手作り感」という特徴や、オーガニックメニューなどでリーダーのマクドナルドに対し、「チャレンジャー」のポジションにいた。しかし、後発のフレッシュネスバーガーに同質化され、そのポジションが危うくなっている。
一方、ミスタードーナツはドーナツというカテゴリーで「ニッチャー」として独自の生存領域を確保しているものの、徐々に新進の外資系ドーナツ店に話題をさらわれがちなだ。
後発の追い上げによって、「チャレンジャー」や「ニッチャー」のポジションにとどまれなくなると、「フォロアー」というポジションになってしまう。しかし、ファストフードに限らず独自性が乏しいそのポジションは、なかなか生き残りが難しいのが現実なのである。
ミスタードーナツとモスバーガーの提携は本来のポジションを取り戻すためのものであるともいえるだろう。


そうした観点から改めて2月20日の提携内容を見直してみる。
(3)品質管理 、(4)購買 、(5)物流 、(6)共同展開の以上4項目は、両社が共同展開することによって効率化を図る狙いだが、その根本には規模を増して「規模の経済」を図ることがキモである。個別最適化ではなく、両社がより一体となることで効果を増すわけだ。

その他の3項目、(1)販売促進 (2)オリジナル商品の共同開発、 (7)業態開発は両社がノウハウを持ち寄って新たな差別化を図る点がポイントだ。単純に規模を増すだけでは、そもそも規模において優位であるコストリーダーには抗しきれない。チャレンジャーとしての差別化ポイントを創出するために「経験効果」を発揮するしかないのだ。両社が今まで培ってきたノウハウを結合し、簡単には模倣できない商品や販促手法、店舗オペレーションを実現することが必要なのだ。

今回の「MOSDO!」としての展開は、本格的な提携効果としてはまだまだ限定的なものでしかない。消費者の目に見えないところで、規模の経済を発揮すべき改善が行われているのかもしれないが、販売促進だけに留まらない、明確な差別化ポイントが今後、どんどんと発信されることを期待したい。

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2008.07.15

富士通が参戦・「電子ペーパー」を読みながら通勤する日がやってくるのか?

液晶分子に電圧をかけ液晶分子の向きを変え、外光の透過性を調節して画像を描く電子ペーパー。電力がなくても、次に電圧をかけるまで画像を半永久的にを維持することができるため、超低消費電力・薄い・軽い・明るいを実現した。
その電子ペーパーがこの秋、情報端末として商品化される。

日経新聞が7月13日に次のように報じた。
<電車で本や新聞、カラー表示の電子ペーパー 富士通がA4端末>
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080713AT1D1106Y12072008.html
<電子ペーパーを内蔵した情報端末を富士通が今秋発売する。大きさはA4サイズ、カラー画面で、電子書籍や新聞情報を通勤電車などで読むことができる>

筆者が電子ペーパーを初めて見たのは2005年の12月。JR東京駅構内で「自動的に画像の切り替わるポスター」として実証実験が行われていた時だった。
その時の電子ペーパーは日立製で、厚さ最大1センチ、A4サイズの大きさ、白黒表示。薄型電池と無線LANアンテナ内蔵で、外部から広告などのコンテンツ内容を受信し、自動的に書き換えていく様を実演していた。
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2005/12/post_3d20.html

当時、いくつかのメディアでも取り上げられていたので、物見高い見物客が結構集まっていた。筆者もその一人だったのだが、その実物は「こんなものか・・・」という感が否めなかった。モノクロ表示で画像の鮮明さも低く、ポスターというにはあまりに小さい。確かに、じっと見ていて画像が切り替わった時には「おっ!」と思ったが、それまで。
画像の切り替えで、張り替え不要。紙もいらなければ、電力消費も極めて少ないと、エコ効果たっぷりな良さはアタマではわかるが、見た目がどうにも地味だった。

その電子ペーパーが随分と進化した。カラー表示は普通にできるようになっていたようだ。JRの自動改札周りに張ってあるSuicaのペンギンのシール広告の代替として、JR山手線・恵比寿駅でも実験が行われたようだ。この取り組みは富士通とJRによるものだ。
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/02/20.html

さて、その富士通が<カラー対応の電子ペーパーを消費者向けに販売する>として、商品化したのが、上記の通りA4サイズカラーの「情報端末」というものだ。
筆者はデジタル系の端末に関しては、かなり新しいものにすぐ飛びつくクセがある。よく言えばイノベーターということになるのかもしれない。しかし、今回ばかりはどうにも食指が動かない。
<液晶パネルに比べ消費電力を大幅に減らせるため一度の充電で連続50時間の使用が可能><携帯電話やパソコンから無線通信やSDカードを使って情報を端末にダウンロードする仕組み。新聞1年分の情報を蓄積できる>ということなので、情報端末としてのスペックは十分かもしれない。だがしかし、この「カラー電子ペーパー情報端末」で「電子書籍や新聞情報を通勤電車などで読む」という行為をしている自分がイメージできないのだ。

通勤電車で新聞は幾重にも折り曲げて、周囲の人の迷惑にならないように遠慮がちに読む。雑誌は混雑時間は諦める。スペースを取らないので、優先席付近でなければ携帯電話で何かを見ていることが多い。そんな中で、<厚さは約1センチメートル>ながら、A4サイズは広げられないだろう。上記Webのリンク先には画像がないのだが、新聞紙面で紹介された端末はA4サイズそのままという風情で、いかにも大きい。
電子ペーパーは丸めたり、折り曲げたりできるのが大きな利点なので、せめて以下のような製品にできなかったのかと思ってしまう。
Philips傘下のPolymer Vision社が2008年2月にMobile World Congress 2008で発表した試作品だ。
<新聞を読めて音楽も聴ける“現代の巻物”――巻き取り式電子ペーパーケータイ「READiUS」>
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0802/15/news053.html

しかし、そもそも日本においては「読む」ことを目的とした端末はあまり普及する土壌がないように思われる。今年から来年にかけて、電子ブックで先鞭をつけた松下とソニーが撤退することが決まっている。
<電子書籍端末売れず──ソニーと松下が事実上撤退>
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/01/news122.html

米国においてはAmazonが昨年から販売した電子書籍端末”Kindle”が大人気だ。しかし、日本においては携帯電話でのコンテンツ閲覧が主流となっているため、電子ブックはなかなか普及の芽が出ない。前出の松下もソニーも、結局はコンテンツの配信・販売は携帯電話向けで存続することになっている。

電子ペーパーの超低消費電力(バッテリー長持ち)・薄い・軽い・明るいという特徴を「読む」という機能の端末に応用した場合、携帯電話に対して優位性を発揮できるのだろうか。
市場にイノベーションが受け入れられる要件をまとめた、E.M.ロジャースの「イノベーション普及要件」に照らし合わせて考えてみよう。

1.相対優位性…今まで使っていたものと比べ、いかに優れているかが分かりやすいこと。
2.両立性…当面は今まで使っていたものを捨てることなく、両立できること。
3.複雑性…理解できないほどの複雑性を持っていないこと。逆に当たり前に見えすぎない程度に複雑であること。そのバランス。
4.試行可能性…とりあえず、本格的な導入の前にプロトタイプやデモなどで効果を認識できること。自ら触ってみることができること。
5.観察可能性…目に見えない効果ではなく、明らかに効率が上がるもしくは質が向上するなどの効果が観察・実感できること。

「複雑性」に関してはさほど問題ないだろうが、「相対優位性」「両立性」は少々厳しい。そして、普及のためには「試行可能性」と「観察可能性」の確保が必須であることがわかる。

「相対優位性」においては、携帯電話でコンテンツを「読む」という機能だけを切り取って比較してみれば、確かに画面も大きく読みやすい。しかし、この度の富士通製のものは携行性に少々疑問が残る。
Polymer Vision社製のように、電子ペーパーの特性を活かした製品で、初めて携帯電話に携行性という面で劣後しない土俵に登れるといえるだろう。

「両立性」はといえば、読みやすく、携行性が確保できれば、何かを「しっかり読む」という使い方と、メールや簡単なコンテンツを「さっと見る」という使い方で棲み分けし、「両立」ということもできるかもしれない。
しかし、電子ブックの普及は如何せん、遅きに失してはいないだろうか。もはや、「携帯電話で読む」ということは一般化しており、ケータイ小説に代表されるように文字数や改行を携帯向けの読みやすさを確保するという進化を遂げたコンテンツも一般化している。本来的には端末に左右されることなく、しっかりと本来のコンテンツの情報量を取得するべきかもしれないが、もはや「携帯で読む」がスタンダードとなっている以上、携帯電話だけで用に足りてしまい「両立」させる意味合いが乏しくなっているのが現状だ。

「試行可能性」はAmazonの”Kindle”は399ドルなのに対し、富士通製は10万円前後だという。ちょっと気軽に試す価格とは言い難い。それでも果敢にチャレンジするイノベーターは登場するかもしれない。そうした彼らが、電車の中で取り出してみた時、恐らく周囲の人はのぞき込むなどの行為をして、その存在を認識するだろう。自ら試行するのではなく、人のものを見ることで代替することになる。そして、本当に良さが認識できれば、導入の検討がなされるかもしれない。そのためにも、イノベーターやそれに続く人々の購入障壁にならないような価格設定が望まれる。

「観察可能性」は前項の「試行可能性」の、のぞき見も同義になるが、電子ペーパーという意味からは電子ブックの形態になる前に、もっと人々の目に触れている必要があるだろう。例えば電子ペーパーで作られたポスターや様々なサインが街のあちこちにある。それが非常に鮮明かつ精緻な画像や文字が実感でき、自らがそれを日常的に読むということに魅力を感じられることが前提ではないだろうか。その意味からすると、電子ペーパー自体の認識がまだ高まっていない段階で、携帯電話に対抗せざるを得ないポジションとして、電子ブックの形態の商品として市場に出て行くのはかなり厳しそうだ。


以上のように、普通に考えれば、かなり苦戦しそうな製品であるが、何とか展開していくには前述の「試行可能性」と「観察可能性」に注力することだろう。
筆者はデジタルもの、特に携帯端末に関してはかなりのマニアと自認している。そんな筆者が飛びつくような展開を用意して、発売の秋を迎えてほしいと思う。


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2008.07.14

ネスレ・「カロリー見える化」の妙

メタボメタボとかまびすしい世の中で、1日の摂取カロリーの許容範囲で何を摂取するのかコントロールすることが極めて重要になっている。その時流をうまく捕らえたのがネスレの展開だ。


日経新聞7月12日(土)の朝刊に<ネスレの菓子全品 カロリー量見やすく>という記事が掲載された。<ネスレ日本は9月から「キットカット」など約20品目の菓子全品でカロリーを目立つように表示する>とのことだ。今までにもあったような、外箱への総カロリー数表示ではなく<個包装フィルムにも印字>で、さらに<含有量と1日に必要な量に占める割合を出す>というところがポイントだ。<健康志向の消費者から不安を取り除く>のが目的である。ちなみにキットカット1枚は<66キロカロリー・3%>だという。

今を昔、某ダイエット食品は「食べた~い。でも、やせた~い」というCMで世の話題をさらった。ダイエッターの偽らざる心情を表現した名コピーが共感を呼んだのだ。
昨今はダイエットを志す、もしくは必要性を自覚する者だけでなく、ある日健康診断で「あなたはメタボです」と唐突にして何とも残忍な宣言を下される世の中だ。「男性のウェスト85センチ以上はメタボという規定は厳しすぎ」という批判もあるが、宣言されてしまうのだ。
宣言されないために。もしくは宣言されてしまってからの是正のためには誰もが「食べた~い」に我慢しなくてはならないのだが、闇雲に我慢できるものではない。そこで、1日のカロリー摂取量を考慮しながら、「これを食べると何カロリー?」と考えて食べるものを取捨選択するという、いささか細かすぎるような配慮をせざるを得ないのである。
そうした時に困るのは、「これを食べると何カロリー?」がわからないことだ。

マーケティングでいう「ニーズ」とは、理想的な状態と現状の間にあるギャップであると定義できる。「どの程度のカロリー摂取になるのかがわかる」のに対し、「どれくらい(1つ当り)食べれば何キロカロリーになるかわからない」という現状がある。そこに「明確に知りたい」というニーズが生じている。そして、それに対して提供すべきもの=ウォンツが、「カロリー表示」なのだ。
ニーズが満たされないとどうなるのか。「君子危うきに近寄らず」である。チョコレート菓子などは、さぞやカロリーたっぷりな凶悪な存在だろうと思って購入が手控えられる。これは「でも食べた~い」はずの消費者にとっても、売りたいメーカーにとっても不幸なことだ。その解決策となるのがカロリー表示なのだ。明示して判断できるようにすること。つまり「見える化」である。ニーズに適確に応えることは、売れ続けるための絶対条件であることは言うまでもない。その意味からすると、ネスレは一歩先を行った展開を実行したことになる。


以上のようにカロリー表示の詳細化は、売る側・買う側の必要性が一致していることから今後各社にも波及すると思われる。しかし、もう一段展開がありそうだ。
前述の日経新聞の記事には続きがある。<欧米では100キロカロリーなどわかりやすいカロリー量に合わせた菓子が増えているが、国内メーカーの菓子ではまだ珍しい>。
菓子ではないが、大塚製薬の「カロリーメイト(ブロック)」は1ブロック1キロカロリー。個包装(2ブロック)200キロカロリー。1箱4ブロックで400キロカロリーと、発売以来ずっと明確な表示と製品作りをしている。もしかすると、今後、菓子や食品全般でそんな製品が増えてくるかもしれない。それがさらに進んで、昨今の原料高に対応した値上げや量目調整(内容量の加減)でも、「1キロカロリー当りいくら」というような新たな表示まで登場するかもしれない。さしずめ「カロリー本位主義」とでもいうことになるのだろうか。

ともあれ、カロリーを明示して、摂取もしくは購入の判断をするニーズの高まりは間違いない。消費者のニーズに対応するということは、味・量・価格などを見ていればいいのではない。あらゆる要望をすくい取る必要があることを、このネスレの「カロリー見える化計画」は教えてくれる事例だと解釈できるだろう。

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2008.07.10

掃除機バトル・ダイソンの牙城に合わせ技で挑む三洋電機

携帯電話やパソコンのデジタルものや車などに比べると、家電はあまり注目が集まらないプロダクトかもしれない。しかし、よく見てみるとなかなか面白い戦いが展開されている。


掃除が好きだ。・・・ちょっとウソをついてしまった。正確には、掃除は大嫌いだが、「掃除機」が好きなのだ。特に、あるプロダクトに出会ってから。
「ダイソン」のサイクロン掃除機。
サイクロン方式とは、チリやゴミを掃除機が空気と一緒に巻き込んで吸い込み、空気を本体内部で旋回して遠心力でゴミと空気を分離・集塵するタイプを指す。ダイソンはその方式のナンバーワンといって間違いないだろう。
サイクロン方式は、紙パック方式と比べて「大量に集塵しても吸引力が落ちない」という触れ込みであったが、実際には吸引力不足のトラブルが相次いだ。事実2年ほど前、国民生活センターには多数の苦情が寄せられており、同センターから各メーカーに改善要求が出ていた。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20060406_1.html

しかし、当時からダイソンは「吸引力が落ちない唯一の掃除機」というキャッチフレーズ通りの性能を誇っていた。
筆者がダイソンの掃除機が好きなのは、その吸引力に惹かれてだけのことではない。プロダクトとしてのデザイン完成度の高さと、何より、透明の集塵ケースの中で豪快にチリとゴミ回転分離されていく様が見えるのが好きなのだ。
http://www.dyson.co.jp/

効果が実感できるというのは極めて重要なことだ。E・M・ロジャースの「イノベーション普及要件」でも、「効果が目に見えて実感できること」があげられているぐらいだ。


さて、そんなサイクロン掃除機のナンバーワンブランドに戦いを挑んだのが、 三洋電機コンシューマエレクトロニクス。空間清浄サイクロン「airsis」(エアシス)を2008年9月1日に発売するという。
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0707news-j/0709-1.html

何と、<床も空気も掃除し、さらに二酸化炭素(CO2)の排出量を従来機種よりも約半分に削減するクリーナー>だという。これは凄まじい「合わせ技」だ。
「CO2排出量半減」はエコな世の中への訴求ポイントとなるが、それだけではない。<掃除機がけが終わった後、お部屋の空気を清浄するモードを設けました。例えば子供部屋など、空気の汚れの気になる場所へ移動させ、スポット的に使うことも可能です>という。掃除機であって、空気清浄機でもあるわけだ。
さらに<クリーナーの排気による床面ゴミの舞い上げを抑え、本体が0.3μm以上の微粒子をキャッチしキレイな排気を実現。床面だけの平面掃除から、空気までお掃除する3次元掃除スタイルへ>というのも大きな売りのポイントなのだろう。
ということで、この「エアシス」のポジショニングとUSP(ユニーク・セールス・ポイント)は「床のチリやゴミだけ気にしていてもダメ。空気もきれいにするのが掃除です」ということだろう。

さて、迎え撃つダイソンは、上記の同社Webサイトの動画で展開しているように、各社の集塵率を比較し、自社とは比べものにならないという、直球勝負で、まさに王者の戦略である。王者に対し、差別化を挑むチャレンジャー。まさに戦い方の王道といえる展開だ。

ただ、一つだけ気になるのが価格面。他の日本メーカーのサイクロン掃除機の実売価格はおよそ3万円台半ば。ダイソンの価格は実売でエントリーモデルが4万円弱。ハイエンドモデルが6万円台半ば。エアシスは実売最安値で5万円強で、中心価格帯は7万円台半ば。王者ダイソンの上をいく価格である。

価格の設定には、自社のコストから、いくら利益を積み上げていくかという、「原価志向」、顧客が「いくらなら買ってもいい」考えてくれるかから推測する「カスタマーバリュー志向」、競合価格を考慮して設定する「競合志向」の3つの観点が必要とされている。つまり、おなじみの3C(Company・Customer・Competitor)の観点だ。
「エアシス」は「空気から掃除」をコンセプトにした多様な付加価値で、カスタマーバリューを高め、競合となるダイソンにも十分戦いが挑めるとふんでの価格設定となったのだろう。その価格が市場に受け入れられるか、非常に興味のあるところだ。

「掃除機」という、ちょっと地味なプロダクトであるが、よく見ると熱い戦いが繰り広げられているのである。ミクロ視点での競合戦もウォッチしてみることをオススメしたい。


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2008.07.09

「隙間時間」は「埋める」から「作る」へ

仕事の効率と生産性を向上させるコツである「ライフハック」においては、ちょっとした空き時間、いわゆる「隙間時間」の有効活用術は定番だ。しかし、ふと考えてみると、最近、「自分に時間の隙間はあるのだろうか」などと考えてしまう。いや、筆者だけのことではないと思う。世の人々、特にビジネスパーソン全般、そうなってはいないだろうか。


「隙間時間」の定義は様々あるものの、予定と予定の間にできたふとした時間を指すことが多い。さらに今回は、予定と予定を繋げるための移動時間などもそこに入れて考えたい。つまり、ぼうっと過ごしてしまえばそれまでだが、何か目的を持てば有効活用できる時間のことと定義すればいいだろう。
と、考えると、常に何か時間ができたらやろうということを決めておき、実行することが有効活用のポイントとなるわけで、資格取得や語学学習なでおにおいては成功の必須条件となっている。「隙間時間をいかに埋めるか」が課題なのだ。

前述の資格や語学などであれば、参考書やテキストを開くこととなるが、一般に隙間時間の定番といえば、情報収集ではないだろうか。そして、昨今、情報収集の定番といえばインターネットだろう。こんな記事もその一端ではないだろうか。
<超小型・軽量のモバイルノート、「できれば欲しい」と4割強が回答>
http://news.livedoor.com/article/detail/3719591/
筆者の所有しているASUS社のEeePCを追撃する、日本 HP や工人舎小型軽量のモバイルノート PCが話題になっている。記事にある、本来モバイル用でありながらいつも持ち歩かないユーザーは、軽量とはいいつつもB5サイズ1㎏強あるPCが文字通り重荷なのだろう。超小型・軽量化でようやく弾みが付きそうだ。マクドナルドやスターバックスでPCを使っている人がさらに増えるだろう。

ネットワークへの接続環境もさらに整備されてくる。
<新幹線無線LAN開通でビジネススタイルが変わる!>
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080708-00000002-dol-bus_all
<JR東海は、東海道新幹線最新車両「N700系」に於いて、平成21年3月を目処に、無線LAN接続の導入を開始すると発表した。>
現在は東京を出て、熱海あたりからか、トンネルが多くなって接続が安定しない。その区間を抜けるまで、約30分ぐらい軽くまどろむ時間があったが、その間もつなぎ放題となり情報収集タイムとなるのだろうか。

だが、ちょっと違う種類の気になる数字もある。
<PCからのネット利用時間、初めて減少 博報堂DY調査>
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/09/news058.html
<東京に住む人のPCからのネット利用時間が2004年の調査開始以来、初めて減少した。携帯電話からの利用時間は増えている>という。実際の数字は、まだまだPCの方が多いのだが、徐々に携帯にシフトしてきているとも言える。
PCと携帯の大きな違いは当然、その手軽さだ。PCが超小型化したとしても、「さて、使うぞ」という感じになるが携帯ならポケットから取り出してすぐ接続できる。今日、PCサイトも携帯での閲覧用に変換する技術が進んでいるので、かなりの部分が携帯で閲覧できる。

さて、こんな環境の中で、隙間時間は特にネットからの情報収集はいつでも・どこでもできるようになっており、PCか携帯の液晶画面をいつでもにらんでいる自分に気付かされる。
確かに日々のネタ収集にはこの上なくありがたい環境だが、これで良いのか?とも思う。
視覚を液晶画面に固定し、思考力をその情報処理だけに割り当てる隙間時間の使い方。どこか不自然な気がする。しかし、情報収集というインプットはある種の中毒症状を引き起こしがちだ。暑い時、水を飲み始めると止まらなくなるのに似ているかもしれない。


アルキメデスが「浴槽からあふれ出るお湯」を観察し、「浮力の法則」を発見したのは有名な話だ。入浴というある意味の、ふとした「思考の隙間」に視覚から「あふれ出るお湯」という新鮮な情報が入り、解放していた思考が起動し理論に結実したということだろう。
習慣的な情報収集行動で隙間時間を埋めていたら、そんな新鮮な発見と、自由な思考ができるだろうかと考える。恐らくは難しいだろう。
これからは、意図して「隙間時間」を作らないといけないのかもしれない。


ピーターパンの作者である、サー・ジェームス・マシュー・バリー(1860~1937)の言葉。『珠玉の時間を無為に過ごさないようにと注意を受けたことがあるだろうか。そうなのだが、無為に過ごすからこそ珠玉の時間となる時もある』。
世界の誰からも愛されるピーターパンも、バリーの「無為の時間」、つまり「隙間時間」から生まれたのではないだろうか。
「時間の隙間を埋める」のではなく、「珠玉の無為の時間」の過ごし方をこれからは考えてみたいと思う。

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2008.07.08

洞爺湖サミット連動?「エコな私」は、そろそろ「太陽電池」か?

ちょっと飛んだ話に聞こえるかもしれないが、パソコンを太陽電池駆動にしようかと思っている。
本格的な夏を前に、暑さでアタマがおかしくなったかと思われるかもしれないが、ご心配なきように。一応、考えてのことだ。

プリウスに太陽電池が搭載される。
<ハイブリッド車「プリウス」、太陽光発電を搭載 トヨタ >
http://car.nikkei.co.jp/news/business/index2.cfm
<屋根部分に発電パネルを設置。エアコン駆動に必要な2―5キロワットの電気の一部を太陽光でまかなう計画>だとのこと。
どの企業でも最近は広告に「地球にやさしい」という表現がなくなってきたように、どこまでいっても自動車は環境負荷を高める象徴である。それが、ハイブリッドによって負荷軽減をし、燃料電池車によってさらなる軽減をしようというロードマップが示されている。
しかし、燃料電池車の実用までの道程はなかなかに厳しい。故に、この「太陽電池搭載」は「少しでもそれまでにできることを」という象徴的な取り組みなのだと思う。
実際に、プリウスの太陽電池がエアコンのどの程度を担えるのか、また、それによるCo2削減効果がどの程度なのかわからないが、努力する姿勢、象徴的な取り組みは大切なことだと思う。

さて、「パソコンの太陽電池駆動」に話を戻そう。実にすばらしい商品が登場している。
<太陽光でMacBook Airを動かしちゃう「Apple Juicz MacBook Air Solar Charger」>
http://greenz.jp/2008/07/04/apple_juicz_macbook_airsolar_charger/
<満充電まで14時間を要する18Wタイプ(500ドル)と8時間で充電できる27Wタイプ(600ドル)の2種類>だそうだ。残念ながら、Mac専用のようだが、他の機種に対応しているものも探せばあるかもしれない。
毎日8時間太陽にあてて充電。1セット600ドル。現実的でないかもしれない。しかし、自分が毎日使っていて、結構な勢いで電力を消費する製品に対する環境負荷軽減策としては、重要な取り組みではないだろうか。
何より、自らが、さらなる環境負荷軽減に努めようと意識するための象徴的な製品になると思う。

ところで、環境問題への取り組みが焦点となっている、洞爺湖サミットの初日が終了した。
環境への取り組みの象徴として、クールビズスタイルが大嫌いな福田首相も、ついにその装いを披露すると目されてる。しかし、初日には残念ながら行事の内容からか、首相のクールビズスタイルは筆者の見た限りでは、テレビのニュースなどでは報道されていなかった。

6月25日の日経新聞・朝刊のコラム「春秋」に面白い記述があった。
既にネット上にリンクがないため、ちょっと記憶に頼って記述する。
『閣僚がネクタイをはずしているのに、福田首相だけネクタイを締めた姿が報じられるのは不自然』という指摘だった。そして哲学者・サルトルの言葉”実存は本質に優先する”を引用。『姿形が伴ってないと実行が伴わない』と評した。
好き嫌いでは済まない。象徴的な姿勢を示すことが大切なのだ。


さて、筆者は自家用車を所有しない主義なので、プリウスを購入することはないだろう。しかし、パソコンへの太陽電池導入はまじめに検討してみたいと思う。
明日は、福田首相にも、クールビズスタイルで決めてもらいたいところだ。
やる気をみせてくれることを切望する。

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2008.07.07

使い切り「エコデジカメ」は誰がために?

昨今、環境に配慮した製品を総称して「エコプロダクツ」と呼び、各企業が独自に基準を定めたり、企業が集い、展示会を開いたりするという動きが活発である。そんな中で、ちょっとビミョーな製品が登場した。


<使い切り「エコデジカメ」 プラザクリエイトが8月発売>
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080705AT1C0400L04072008.html上記、日経新聞の記事によると<最大50枚を撮影した段階でカメラを返して現像を依頼。現像後のカメラはリサイクルして何度も再販売><廃棄された携帯電話の部品を使って1280―1980円の低価格を実現>という。
何度でも再販売・廃棄された部品を再利用・・・と言われると、「おお、何ともエコじゃないか!」と脊髄反応してしまうが、ちょっと踏みとどまって考えてみたい。

今日のエコな世の中では「3R:リデュース、リユース、リサイクル」が重要視されている。確かにこの製品は社会の要請に添ったものであると言えるだろう。大量に廃棄される携帯電話の端末をリサイクルするなんて、機種変更時の環境に対する罪悪感を払拭してくれるようでありがたい。

が、ふと考えると、この商品は「誰が」「どんなシーンで」使うと、「どんなベネフィットがある」のだろうと疑問符が点灯してしまう。
まずは「誰」=「ターゲット」が見えない。
モノを売るには、世の中にどのようなニーズがあるのかを見極め、ニーズの内容によって区分けし、その中からどの区分を狙うかターゲットを決め、そのターゲットにどのように魅力を打ち出すかを考えなければならない。Segmentation→Targeting→Positioningという一連の流れだ。それが、この「エコデジカメ」ではよく見えないのだ。

カメラに対するニーズを大まかにセグメントしてみる。
1.銀塩写真(フィルムカメラ)にこだわっているマニアな人。
2.本格的な一眼かコンパクトかはともかくとして、デジタルカメラを持ち歩く人。
3.携帯カメラで済ます人。
4.「写ルンです」などのレンズ付きフィルムを使う人。
5.そもそも写真を撮らない人。
以上でモレ抜けなく列挙できているだろうか。
この中で、使い切りの「エコデジカメ」のターゲットとなるのはどのセグメントだろうか。
1と2はまず除外だろう。
3はもしかすると、100万画素程度のカメラしか付いていない少し古い携帯のユーザーなら、ちょっときれいに写真を撮りたいと思った時に利用するかもしれない。
4はフィルムではなくデジカメに代替させることができれば、同じ感覚で利用する人もいるだろうか。
5はそもそも撮らないので望み薄だ。
可能性があるのは3と4。しかし、ど真ん中のターゲットがどうも見えてこない気がする。

さて、3と4のターゲットに対して、どのように魅力的なポジションを示すのだろうか。
<撮り終えたデジカメはプラザクリエイトの店に持ち込み一枚37円でプリントする>とのことなので、この製品は基本的に「プリントすること」を前提とした商品だ。データも手に入れることはできるが<焼き増し用の画像データもCDでもらえる>とのことなので、「データだけ」というのはNGなようだ。とすると、基本的にデータだけで通常済ませる人からは、ちょっと魅力に欠ける商品になってしまわないだろうか。前述の3の携帯カメラユーザーは滅多にプリントしない。プリント主体だと、よほど改まった利用シーンでしか使われないように思う。すると、「特別なシーンで、気軽にデジカメ写真撮影ができて、きれいなプリントができる」というような打ち出し方になるのだろうか。
「写ルンです」ユーザーはどうだろうか。プリント一枚37円。焼き増し用CD別料金だと、既存の「写ルンです」を使ってプリントし、データ化してもらうのとほとんど料金は変わらない。だとすると、そのまま慣れた写ルンですを使った方がユーザーは楽だろう。あえて、それを代替させるなら「写ルンですはもう古い。デジカメでもっときれいな撮影を」という訴求を行うのだろうか。

「特別なシーンで、気軽にデジカメ写真撮影ができて、きれいなプリントができる」「写ルンですはもう古い」・・・こんなポジショニングだとしたら、すごくニッチな商品になってしまう気がする。


写真を撮るという習慣は、昨今、デジカメの普及によって、大きく変質している。フィルム代がいらなくなったことから、撮影数は爆発的に増えているが、プリント数が激減しているのだ。写真屋に出さないだけではなく、家のプリンタで出力もしない。デジカメや携帯のメディアの容量が2GB以上にもにもなっていることから、そこに延々とため込む。そして大型化している液晶画面で撮影した画像を見るというような使い方が主流になってきているのだ。カメラとアルバムがドッキングしたものを持ち歩いているような状態である。
これは、プリントを生業とする企業には危機的状況だ。是が非でも、プリントしてくれるような機会を創出したいという思いが強いだろう。
だとすると、前述の携帯カメラと写ルンですユーザーだけでも、「気軽なデジカメ」というポジショニングでプリントする習慣を創出したり、残したりしようという意図だと考えられる。メインストリームにはなりえなくとも、ニッチでも、プリントという機会を残すことがこの「エコデジカメ」の使命なのだろう。だとすれば、ターゲットとポジションも納得がいく。


しかし、あえてもう少し考えると、さらにこの商品がビミョーに見えてきてしまう。
確かに、携帯電話の廃材を使うことはエコっぽい。しかし、価格は<1280―1980円>とのことだが、5~7回分、1万円も出せば遙かに高性能なデジカメが買える。
リサイクルに関わる運送や清掃・整備など、どの程度の環境負荷軽減効果があるのだろうか。例えば、デジカメを各々が購入するのではなく、「使い切り」でいろいろな人が結果としてシェアすることによって。または、写ルンですを利用するのと比べて。
名前にもなっている「エコ」の根拠を示すことができれば、ニッチなポジションではなくなるかもしれない。しかし、それができないのだとすると、やはりビミョーなポジションであることになってしまう。


この商品がどの程度ヒットするのか、実際には販売が始まってみないと分からない。しかし、少し考えた範囲では、売る側の「プリントさせたい」といういとは見えるものの、それによって受益するターゲットが見えず、うまいポジショニングの示し方も浮かんでこなかった。
筆者がまず、反応した「携帯電話の廃材(カメラ)を利用」という目の付け所は非常にユニークだと思う。だからこそ、もっとエッジの効いた訴求をして欲しいと思うのだ。
ターゲットとポジションの明確化は言うは易く行うは難しである。
他山の石としてその重要性を見直して見つつ、「エコデジカメ」の健闘を祈りたい。

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2008.07.04

「ざっくり言うとどうなのよ?」

ものごとは、あまり細部に入り込むと分かりにくくなる。細かいことばかりを言っても人に伝わりにくくなる。まず、全体像をきちんとおさえることが重要なのだ。


ちょっと面白いネタを見つけた。
<携帯のバッテリー残量、なぜあの表示?>
エキサイトニュース 速報・コネタ http://www.excite.co.jp/News/bit/00091213626678.html
<携帯電話のほとんどは、電池残量が「3、2、1」の段階表示。具体的に「100%~0%」で表示してくれたらいいのに!>
<「携帯電話はパソコンなどと異なり、ポケットに入れるなどするので、外部からの熱や湿度の変動が大きく、それに伴い電池の状態も刻々と変化します。そのため、あまり細かく表示を分けると、推定される残量の数値が増減し、お客さまに対して不信感を与えるので、大まかな3段階の表示としています」(KDDI株式会社)> 
つまり、よかれとできるだけ正確な表示をしようとすると変動要素が働いて、かえってユーザーに情報がきちんと伝わらなくなってしまうということ。それ故に、3段階という「ざっくり」した表示の方が、「あ、もうすぐ電池なくなる」と理解できるということなのだ。


転じて、ビジネスに用いられる「フレームワーク」の話。
「フレームワーク」とは、モノゴトを考える際に手助けとなる「枠組み」である。ちょっと違うのかもしれないが、武道における「型」のようなものだといえるかもしれない。うまく使いこなせば、モノゴトを論理的に、かつ、スピーディーに考えられるようになり、「モレ」や「抜け」を防ぐことができる。人に整理して伝えやすくもなる。それ故、昨今のビジネスパーソンにとっての基礎知識として各企業における社員研修やビジネススクールなどで、その「使いこなし」を学ぶ人は数多い。しかし、そこには大きな「使用上の注意」が存在する。その一つが「ざっくり」なのだ。

例えば、フレームワークを用いた環境分析は、ポピュラーなものにPEST・3C・SWOTなどがある。分析に足りるファクト(事実情報)がある程度揃っていれば、かなり詳細な分析も可能となる。
しかし、ここで注意しなくてはならないのが、ついつい、分析が細部に入り込んでしまうことだ。「ファクト情報をフレームワークで整理しただけ」という、「分析した結果・意味合い」を導出できていない状態というのは最悪なのだが、何らか意味合いを出そうとしても、全体感がなく、やたら細かいところばかりを掘り下げてしまうことも多々あるのだ。
そうなると、上記の携帯電話の電池残量を%で表示した時のように、ちょっとした変動要素で分析結果が大きくブレて、結局何が言いたいのか分からないことになる。


フレームワークはうまく使いこなせば大きな効用がある。しかし、使い方を間違えると「さんざん時間を使って、だから何が言いたいの?」ということになってしまうので注意が必要だ。
「フレームワーク」使いこなしの大原則は、「まずは、ざっくりと概観をつかむこと」である。ピンポイント情報を列挙するのではなく、人にストーリーを持って人に伝えられるような結果を導出することが重要なのだ。正しい使い方を守って、効率的・効果的にビジネスに役立てていただきたい。


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2008.07.03

「まんとくんのうた」誕生・CGM戦法でせんとくんにリベンジ!

平城京遷都1300年祭のキャラクターの戦いは、公式「せんと」、刺客「まんと」、第三の男「なーむ」と激しさを増しているが、やはり公式キャラの「せんとくん」の強さが際だっている。そんな中、「まんとくん」に巻き返しのチャンスがめぐってきた。

「まんとくん」にテーマソングが誕生した。
<他のキャラうらやむ?まんとくん応援歌 振り付けも募集>
アサヒコム http://www.asahi.com/culture/update/0701/OSK200807010005.html

各種受賞歴を持つ童話作家が歌詞を作り<インターネットの交流サイト「ミクシィ」に掲載したところ、要望や意見が相次ぐ反響>があり、<「NHKみんなの歌」で歌ったこともある>というシンガー・ソングライターが作曲し、歌ったもの。
<「まんとくんのうた♪」>
You Tube http://jp.youtube.com/watch?v=epFZ976353Y

これまで「まんとくん」は、良きにつけ悪しきにつけインパクトの強い「せんとくん」の前にはイメージが薄く、そもそも、「せんとくん」ありきの後追いのポジショニングという弱さが劣勢を招いていた。さらに第三のキャラクターとして「なーむくん」も登場したが、勝てていない。

「まんとくん」はそもそもの出自が、平城遷都1300年記念事業協会によるデザイン案選定過程の不透明性に対する抗議として、市民団体が作り上げたキャラクターだ。いわば「生活者の手作りキャラ」だ。当然ながら、CGM(Consumer Generated Media:生活者がインターネットなどを通して形成していくメディア)との親和性は高い。
ただ、遷都1300年祭キャラクターに関しては、CGMの力が、「せんとくん」のあまりのインパクトの高さに反響を生み、批判も次第に「キモかわいい」という変わっていったという経緯がある。一地方のイベントのキャラクターである「せんとくん」が無敵ともいえる認知度を手に入れた経緯である。

しかし、ようやく「まんとくん」にもフォローの風が吹き始めた。前述の、市井の作家やシンガーソングライターがミクシイなどで知り合い、歌を作る。それをYou Tubeにアップして多くの人が聴く。CGMならではの動きが「まんとくん」にも広がってきたといえるだろう。
アサヒコムの伝える「振り付け」がどの程度盛り上がるか分からないが、You Tubeできいた「まんとくんのうた」は、子供が繰り返し歌うような印象に残る曲になっている。恐らく、「キモかわいい」と「せんとくん」を愛する人々とは別のセグメントで、ファン層を広げる起爆剤にすることができるだろう。

今後、さらに「まんとくん」が戦いを優位に広げるためには、歌や振り付けだけでなく、さらに積極的に二次創作、三次創作を呼びかけることだ。もともと「ゆるキャラ」とは、絵柄としてのゆるさだけではなく、低予算で広く認知や活用が進むように、著作権などの権利関係を「ゆるく」している点にも特徴がある。CGMを通じてどんどんと、様々な人の創作活動を促進すべきである。
ある程度、「まんとくん」が盛り上がれば、「せんとくん」が「キモかわいい」ポジションを獲得したように、「やっぱり本当にかわいいのは、まんとくん」というパーセプションも獲得できるかもしれない。イメージとは、ある程度、その総和で左右されるものなのだから。
「まんとくん」の今後の活躍に期待したい。


参考記事

『「せんとくん」に勝てない?「まんとくん」の悲劇』
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2008/06/post_ddfa.html

『「なーむくん」でも「せんとくん」には勝てない!』http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2008/06/post_1b4a.html

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2008.07.02

マクドナルドに飲み込まれるカフェ市場?

マクドナルドの怒濤の攻勢が止まらない。カフェ市場はその強大なパワーの前に飲み込まれてしまうのだろうか?

マクドナルドが、また新たな攻勢をかけようとしている。
<~マクドナルドでベーカリー 3種類が100円で登場!~『マックベーカリー』7月18日(金)から、全国のマクドナルドで新発売 >
同社ニュースリリース:http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2008/promotion/promo0701.html

まだ、たった三品と侮る事なかれ。これは、今日の日本のカフェ業界にとって大きな脅威になると筆者は考えるのである。


5月9日に以下の記事にて、プレミアムローストコーヒーに衣替えした、マクドナルドの100円アイスコーヒーは、そのコストパフォーマンスで、筆者の愛するスターバックスにとって大いなる脅威となるだろうと書いた。
『どうするスタバ!マック「買いたいコーヒー」二冠!』

マックVS.スタバの勝負の趨勢はまだはっきり見えないが、街中でも随分と大勢の人がマックのアイスコーヒーを飲みながら歩いている姿を目にするようになった。テイクアウトして飲むコーヒーといえば、少し前までは、まずはスタバだったはずだが・・・。


カフェといえば、マクドナルドも蹉跌がある。「マックカフェ」である。顧客層拡大を狙ったものの、なかなか集客はままならず、店舗展開勢いがつかず、縮小の一途を辿っている。
しかし、マクドナルドの恐ろしさはそのリカバリー力にある。
ホット、アイス共に100円コーヒーのプレミアム化を果たし、また、この度のベーカリーメニューの展開始めた。本来であれば、どちらもマックカフェで展開すべきメニューであり、事実、数少なく残っているマックカフェの「ベーカリー&パイ」メニューとは完全にカニバリ(共食い)状態になる。しかし、もはや数少ないマックカフェを気にするよりも、その反転攻勢をかける意志決定がなされていることは明らかだ。

新規のマックカフェ店舗に顧客を呼び込むよりも、既存店のコーヒーをプレミアム化し、ベーカリーメニューなどを展開する方が、明らかに早い。また、店舗の改装も特に都市部では急ピッチで進んでいる。郊外店を中心に残る、旧来の原色たっぷり、FRPかプラスチック製の居心地の悪い什器から、シンプルにしてちょっとオシャレで一人でも入りやすい店舗にどんどん改装が進んでいる。事情を知らなければ、「ああ、ここはマックカフェってやつに変わったんだ」と勘違いしてしまいそうだ。
プレミアムコーヒー、店内改装、ベーカリーメニュー。この一連の動きは、マックカフェのリカバリーであり、その目的であった、マクドナルドの顧客層拡大を実現しようとしていると見て間違いないだろう。顧客を拡大するということは、今までマックにも、カフェに足を運ばなかった層を新規に開拓するという意味もあるが、当然、他のカフェからガッツリと顧客を奪うことも視野に入れているはずだ。


さて、「マクドナルドに飲み込まれるカフェ市場」とタイトルを付けたが、過去の記事でも記したように、スタバ、加えてタリーズといった「シアトル系コーヒー」のカフェは、やはり味の好みはあるものの、価格攻勢では影響を受けざるを得ない。
加えて、前述のような店内改装が加速すると、その差異は一層縮まることになる。シアトル系に限ったことではない。カフェは、ドリンクやフードを提供しているものだけではない。「空間」も商品のうちだ。残念ながら、スタバは少々狭い店舗が多くなってしまった。
ドトール、ヴェローチェなどの低価格カフェはもとより狭い詰め込み型だ。一人席の使い勝手などは改装したマック店舗の方が良い。

とはいえ、マックといえば、やはりハンバーガーやポテトがフードのメインというイメージは払拭しがたい。これまでにも、おやつタイムを狙って、100円フードとドリンクをセットで150円という価格で提供していたが、イマイチ魅力に欠けていたのも事実だ。ちょっと小腹が減ったときなどは炊きたてパンのイートインサービスのあるカフェに行ってしまう。
それを阻むものとして、マックカフェがあったのだが、それに代替するベーカリーメニューが今度は全店で展開されるのだ。

コーヒー、フード、店内空間と、今までのウィークポイントを確実に克服しているマクドナルドは、やはりカフェ市場にとって大きな脅威であろう。

そして、マクドナルドの最大の脅威は、やはり何といっても「価格」である。顧客に低価格で提供しつつ、コストを低減し、しっかり稼げる構造を築いている。そこには同社の強大な「規模の経済」が存在している。その「コスト・リーダー」としてのポジションを覆せるプレイヤーは、まず登場することはないだろう。
景気が低迷をはじめ、世の中、値上げラッシュだ。消費者の生活防衛意識は高まり、財布の紐も固くなる。マクドナルドの低価格路線は、このタイミングでは最大の威力を発揮することになるのは間違いない。


では、他のカフェはマクドナルドの攻勢の前に為す術がないのか。そうではない。各社が原点回帰をし、自分の強みを最大化すべきなのだ。
例えば、この度のマックのベーカリーメニューは、<パンは店舗で温めて客に出すようにし、「焼きたて感」を強調する>という提供方法だ。
NIKKEI NET http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080701AT3K0100H01072008.html
あくまで「焼きたて感」。焼きたてではない。では、焼きたてパンのイートインの店は、極力細かなタイミングでパンを焼き、焼きたてを提供するという対抗策があるだろう。
スタバも、これは何度も書いているが、是非とも店内空間は充実させて欲しいが、それよりも、従業員の顧客応対を再度強化してはどうか。マクドナルドも優秀な接客マニュアルがあるが、スタバも従業員のモチベーション施策や、応対からコーヒーの淹れ方まで、様々なノウハウが蓄積されている。まずはそこから徹底してはどうだろう。


時流に乗ったコスト・リーダーの攻勢は凄まじい力を持つ。「どうしてもスタバでなけりゃ」というコアなファン(筆者もその一人なのだが)以外は軒並み持って行かれることもあり得る。黙っていれば飲み込まれる。
飲み込まれないために必要なのは、正しい脅威の認識と、前述の通り、原点に回帰した対抗策を徹底することだろう。

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2008.07.01

KDDI・電報事業参入の大いなる目標に注目

先週のことになるが、6月24日、KDDIがNTTの独占状態にある電報事業に参入すると発表した。電報というオールドメディアに参入し、NTTが握る9割強のシェアから2割を奪取しようという目標だ。


電報事業に参入するのはKDDIの子会社であるKDDIエボルバ。従来から展開している国際電報サービスを7月1日から国内市場でも展開し、配送は日通が担当するという。
<KDDI、電報参入 日通と提携、料金2割下げ>
日経WOMAN http://woman.nikkei.co.jp/life/news/article.aspx?id=20080624ax017l1
KDDIエボルバ・ニュースリリース http://www.k-evolva.com/news/detail20080624.html


「電報」といえば、多くの人が細々とした市場しか残っていない超・オールドメディアと思うだろう。事実、国内の電報市場は<直近のピークだった1996年度から約4割縮小>だという。しかし、多くの人にとって電報を送る・受け取るという経験は慶弔時であるように、<慶弔用の需要が底堅く、近年は横ばい傾向が続いている>ということであり、その市場規模は<現在、約600億円>あるとのことだ。
つまり、このオールドメディアは、成長はしないものの約600億円という、それなり規模を持った市場であるのだ。

市場に変化があったのは、2003年、信書便法の施行である。それまで電報は電気通信事業法で、原則的にはNTT東西とKDDIのみに許諾された事業だった。それが信書便法で事実上市場開放され、人手とコストがかかる受付業務をインターネットに限定し効率化することで、収益を見込んで多くのベンチャーが参入したのである。
しかし、NTTから切り取れたシェアは1割にも満たなかった。収益性が高い慶弔用に絞り、受付をインターネットに限定してコスト削減しても、なかなか収益を上げるのは難しいのが現実だった。それ故に、思い切った低価格化や、営業攻勢もかけられなかった結果である。受付という入り口側は効率化できても、配達という出口側は相変わらず人手がかかる。その部分を効率化することが困難なのが大きな要因であることは間違いない。


ここでKDDIの戦略として一つ見えてくるのは、今回のキモである「日通との提携」だ。先行して参入していたベンチャーも、当然、配達は自社ではなく外注しているが、KDDIは「NTTのシェアの2割を切り取る」という大きな目標を掲げ、その規模を元に日通と提携しているのだ。電報だけを取り扱う配送体制ではなく、日通の既存事業の配送品と組み合わせれば、かなりの効率化が実現するだろう。それも、取扱量が増えれば増えるほど、効率は高まる。
もう一つのキモは「料金2割下げ」である。配送の規模を確保するためには、当然ながら、電報自体の取扱量を増やさなければならない。そのためにはまず、料金を下げて利用者にアピールし、NTTからシェアを切り取ろうという狙いだ。

しかし、黙っていても、低料金は市場に伝わらない。今後、広告をはじめとした様々なコミュニケーションが強化されるだろう。そのコストもふくらむことになる。これは「コストをかけて、一気にシェア切り取り・大量受注を達成し、規模でカバーする」という戦略に他ならない。市場に一定以上の認知が広まり、本当の意味での「ローコストオペレーション」が軌道に乗るまでは、歯を食いしばる時期になるだろう。


相次ぐ値上げの世の中で、あえて「料金2割下げ」という逆張りの戦略を打ち出し、NTTの9割以上独占という市場から、一気に2割を切り取ろうという目標。一見、数値先行の単純な戦略のようだが、逆に考えれば小さく展開しても規模の経済は働かない。先行しているものの、なかなか成長軌道に乗らないベンチャーと同じ群れの中に埋没するだけだ。

「数値目標は覚悟を決めて大胆に」。全てのプレイヤーが真似できることではないが、それがKDDIの戦略骨子ではないだろうか。古くて熱い市場となった電報をめぐる戦いの今後をウォッチしていきたいと思う。

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