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2008.06.27

カロリーメイト VS. SOYJOY・大塚製薬の深謀遠慮

「食べた経験がある・一番好きなバランス栄養食」の第一位はカロリーメイト、第二位はSOYJOY、第三位が毎日果実。こんな調査結果が発表された。王者カロリーメイトを猛追する新星SOYJOY、さらにその後を追う毎日果実。そんな構図に一見見えるのだが・・・。


6月25日に調査結果が発表されたのは、ネットリサーチ会社・ティムスドライブによる” 『バランス栄養食品』に関するアンケート”。同社のネット調査モニター8,477人を対象として行われた。
リリース: http://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2008/080625/

詳しい結果は上記リンク先を参照いただきたいが、回答者中バランス栄養食品を食べた経験のある人が8割近いというのは、食品のカテゴリーとしてかなり浸透してきていると言えるだろう。


しかしそれよりも、今回注目したいのは「あなたが最も好きなバランス栄養食品をお選びください」という設問の結果だ。
カロリーメイトをはじめ、SOY JOY、毎日果実、バランスアップ、Power barなどなど、筆者も食べたことのある銘柄がざっと14種並んでいる。その中で、好みの銘柄を一つ選ぶという回答で、カロリーメイトはダントツの33.2%を獲得。次いでSOY JOYが19.7%、毎日果実が6.9%という結果になっている。


カロリーメイトは1983年に発売され、「バランス栄養食」というコンセプトを世に広めた。当初は「美味しくないお菓子」というようなとらえ方もされ苦労をしたが、アスリートを皮切りに、ダイエットへの関心の高まりに乗り、間食需要や非常食としてと徐々に市場を拡大していった。(大塚製薬ホームページより)
ダントツの一位はまさに先駆者の栄誉ともいえるだろう。

しかし、注目すべきはSOY JOY。発売は2006年なので、まだ2年という短さでカロリーメイトを猛追している。CMキャラクターは忙しい男の象徴であり、当時「健康」を語る番組では右に出る者がいない、みのもんたが当初起用された。筆者的にはちょっと苦手であった(失礼)が、同様な意見の人が多かったのか、はたまた、当初のインパクトとコンセプトを伝える役割が終わったのか、現在は第二弾。豊川悦司と田中麗奈コンビが微妙なユーモラスさを醸し出している。斯様に、積極的なメディア戦略によって短期間にトップに猛追し、あっという間に三位以下を抜き去ったこともわかる。


さて、ここで好みの銘柄として獲得した比率を、利用者のマインドシェアの数字と読み替えて解釈してみよう。ランチェスター戦略の研究者、B.O.クープマンの提唱した「クープマンの目標値」を援用する。

カロリーメイト33.2%、SOY JOY19.7%、毎日果実6.9%という数字に近いものでみれば、

・26.1%:市場影響シェア=市場に影響をもたらす、一歩抜け出した状態を示すシェア。2位以下であってもトップを狙えるポジション。トップなら逆転される可能性がある。
・19.3%:並列的競争シェア=複数のライバルが拮抗し、安定的な地位をどの企業も獲得できていない状態。
・6.8%:市場存在シェア=生活者が人からヒントを出されて思い出せる(助成想起)レベルのシェア。市場において、かろうじて存在が許されるレベル。

というものが当てはまるだろう。とすると、カロリーメイトは「市場影響シェア」をだいぶ上回っているが、実際には「不動のトップ」というわけではないともいえる。
SOY JOYはほぼ「並列的競争シェア」の数値と同じだ。故に、トップを狙うこともできるだろう。
毎日果実は第三位とはいえ、実は「市場存在シェア」ギリギリであり、結構苦しい立場であることが分かる。


だが、ここでメーカーを思い出してみると、カロリーメイトとSOY JOYはどちらも大塚製薬の製品である。とすれば、両者の数字を足しあげてみるとどうだろうか。52.9%。
クープマンによると73.9%で、「独占的シェア」となり、短期的には首位のポジションを奪われることがあり得ない、絶対的な安定シェアを獲得している状態になるという。ここまでは届いていないが、41.7%で「安定的シェア」という、不測の事態がない限り、競合からの逆転や、新規参入によってトップが奪われることがない状態は軽く超えていることになる。
さすがは「バランス栄養食」というコンセプトそのものを開発した大塚製薬だといえるだろう。


そうして考えると、この「バランス栄養食」カテゴリーにおける大塚製薬の戦略が見えてくる。
カロリーメイトは発売から25年。四半世紀を経た「ロングセラー商品」だ。ロングセラーの鉄則である、市場の嗜好の変化に合わせつつ、関心を惹くための適度なバリエーション商品の上市や定期的な告知活動は欠かしていない。一方、食品会社に対してどうしても劣後するチャネルの確保を、独自の自動販売機に設置するなど販路確保も怠りはない。
カロリーメイトは着実に金を稼ぐ商品。つまり、「ポートフォリオマネジメント」でいうところの、「金のなる木」のポジションに厳然と存在しているのだ。
さらに「ポートフォリオマネジメント」における「金のなる木」の最も重要な役割は、大きな投資をせずに確実に金を稼ぎ、今後育てるべき「問題児」に対し、稼いだ金を投入することにある。いわずもがな、「問題児」はSOY JOYである。
SOY JOYは潤沢な資金の投入を受け、大規模なメディア攻勢やサンプリングなど、様々な施策によって、2年間という短期間で「問題児」から「スター」のポジションに見事に成長したのである。ここに大塚製薬の「バランス栄養食」無敵タッグが完成したわけだ。同社の見事な戦略であると言えるだろう。

しかし、カロリーメイトもSOY JOYもその開発は平らかな道程ではなかったのだ。それについてはまた別の機会に記すことにするが、大塚製薬には‘Otsuka - people creating new products for better health worldwide’という企業理念がある。殊に”creating”の部分には「自らの手で独創的な製品を創る」というこだわりが込められているという。
「バランス栄養食」というコンセプトを世に送り出し、四半世紀かけてカロリーメイトで不動の地位を築き、後継製品もしっかりと育成する。その盤石の戦略の陰にも、独自のこだわりが込められているのは言うまでもないだろう。

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Comments

はじめまして!マーケティングが趣味な25歳男です。

SOYJOYって大塚製薬が出していたんですね。

2ブランドで52.9%も占める大塚製薬に殴り込みをかけた、ハウスカレーバー。
地域を限定して、九州から攻めたのは良かったとおもいますが、コミュニケーション戦略の迷走と、流通販路の選定がまずい感じが…。

現時点のシェアはわかりませんが、大コケしそうですね。

よかったら続編として、記事にしてください。


Posted by: くすのき | 2011.06.20 12:48 AM

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