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2008.06.16

ビジネスとは途中から読む推理小説のようなものだ

推理小説はお好きだろか。筆者はなかなかのファンである。事件が起こる。そして浮かび上がってくる犯人像や証拠の数々。トリックの解明・・・。そうしたドキドキさせられる展開がたまらない。
しかし、それを途中から、例えば半分進んだあたりから読み始めたらどうなるだろうか。

小説に限らず、サスペンスものの映画やドラマなどは、前半、特に冒頭を見逃すと面白さが半減してしまう。なので、最初を見逃したら見るのを諦めてしまう人も多いだろう。「いったい何が起きているんだ?」と事件のあらましも判らずに、推理や捜査が進んでいくのを見ていてもやはりモヤモヤとした感が強く、エンディングを迎えてもスッキリとしないはずだから。
だが、推理小説なら本の冒頭に遡ることができる。しかし、そこにもう一つ制限をかけてみよう。一気に冒頭に戻るのは禁止。真ん中から読み進めながら、同時に少しずつ前に戻って読むこと。
真ん中から読み始めたとしても、ストーリーはどんどん展開し、状況も刻一刻と変わっていく。それを追って、自分なりに推理をしてみながら、前半にさかのぼりつつ、証拠の数々を探し、そもそも何が起こっているのかとい事件の全容を明らかにしていくのだ。


こうして考えてみれば、日々のビジネスとはタイトルに示したように「ビジネスとは途中から読む推理小説のようなもの」だと言えないだろうか。
推理小説も作家のストーリー展開の手法次第でなかなか何が起こっているのかわからないものもある。しかし、読者に推理そのものを楽しませてくれる古典的な展開なら、状況は冒頭に記されているはずだ。しかし、真ん中から読んではそれを知ることができない。にもかかわらず、先に読み進めて自分なりの結論を出さなければならないのだ。自らの仕事に置き換えて考えると、そんなことが日々起きていないだろうか。

名探偵であれば、たぶん、小説の途中から登場しても、天才的な閃きで推理を進めるのだろう。しかし、基本は「現場百回」。捜査が進んでも、徹底的に現場を見直し、証拠にモレ・ヌケがないかを検証するという。これは推理小説ではなく、刑事ドラマからの受け売りなのだけれど。


さて、名探偵を諦めて、地道な足で稼ぐ捜査を覚悟したとしよう。「現場百回」で現場を検証するにしても、捜査には道具が要る。ビジネスの場合、その「七つ道具」たる強力な武器が「フレームワーク」なのだ。特に環境分析に関わるフレームワークは、「そもそも何が起こっているのか?」を把握するには重要だ。
・世の中の大きな動きを押さえ、そこから何が起こっているのかという概観を掴むなら「PEST分析」。
・関係者の力関係や利害関係を把握するなら「5F(5つの力)分析」。
・関係者が絞り込まれ、その競合状況にフォーカスするときには「3C」分析。
・総合的に、外部環境と自らの内部に存在するプラス要因とマイナス要因を整理するなら「SWOT分析」。
最低でもこれらをきちんと押さえておくのは基本中の基本なのだ。

推理小説を半分過ぎたあたりから読み始めたら、上記のフレームワークに関わる事件のあらましや、利害関係者の洗い出しとその相関関係の把握などは済んでおり、「では、誰が犯人なのか」という「ターゲティング」や、「どうやって犯人を追い込むか」という「打ち手(施策)」の検討がなされているだろう。はっきり言って、その段階から読み始めても面白くはない。
しかし、実際のビジネスでプロジェクトがずいぶん進んだ状況から参画する場合、自ら「現場を見直す」ことをせずに、「ターゲティング」や「施策(4P)の検討」にそのまま加わってはいないだろうか。


推理小説を楽しく読むには、途中から読んだとしてもきちんと冒頭に遡って状況を確認すること。実際のビジネスにおいて、プロジェクトの成功確率を高めるなら、自らフレームワークを用いて納得がいくまで「そもそも何が起こっているのか」という状況把握をすることをお勧めしたい。

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