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2008.05.01

“現場に効く”マーケティングの基本理論・第6回

インタラクティブマーケティングの専門誌「月刊im press(アイ・エム・プレス)」4月号が発売されましたので、連載バックナンバーをアップします。
本誌では連載第7回が掲載されています。


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「“現場に効く”マーケティングの基本理論」


あまりに“基本”と思われ忘れられているようなマーケティング理論。しかし、日々の業務が行われる“現場”で今一度振り返ってみれば、思わぬ“再発見”があるのだ。

第6回「個々の人々をカタマリに代え、狙いを定める”セグメンテーション”と”ターゲティング”」

ここまでの連載で戦略の方向付けをした。では、いよいよ「どのように戦うか」という施策に目が向くが、ちょっと待て、である。マーケティングにおける施策とは、いわゆる「4P」だが、その前に考えるべき重要なポイントがあるのだ。

■S・T・Pが決まらなければ4Pは決まらない!

 例えば、あなたが何らかの商品担当になって、その売り上げを伸ばそうと思案したとする。商品の品質向上を図ろうか。パッケージを変更しようか。販路をもっと拡大すべきだろうか。価格は今のままでいいのか。いやいや、プロモーションが足りていないから、認知度が低いかもしれない・・・。と、そこまで考えて、ふと気づかないだろうか。「誰に対してプロモーションや販売を考えているのだろう?」と。
 具体的な打ち手、施策である、製品戦略・流通戦略・価格戦略・プロモーション戦略、いわゆる4Pは当然ながら、「誰に」というターゲットが定まっていなければ精緻な構築はできようもない。「ターゲティング」という。
 しかし、ターゲティングもその前に、そもそも市場にはどんな人たちがいるのかが分からなければ、狙いを定めようもない。それもいわゆる1to1マーケティングのように、誰さん、誰さんと個々人を狙うのではなく、とりあえずは「こんな人」と括れるようなカタマリで考えなくては市場の概観がつかめない。市場に点在する個々の人々を意味のあるカタマリに代えていくことを「セグメンテーション」と呼ぶ。
 その狙いを定めたカタマリに対して4Pを展開していくのであるが、ターゲットが魅力を感じ食いくような打ち出し方も考えねばならない。「ポジショニング」という。
 ”Segmentation””Targeting””Positioning”、略してSTP。ここが個別の施策を考える前の、戦略の要なのだ。


■セグメントはニーズでくくれ!

 セグメンテーションは何を基準として個々の人々をくくるのかがキモである。即ち、共通項探しだ。例えば、人口動態(デモグラフィック)で括れば、性別・年齢・未既婚・家族構成・職業・収入・学歴などの切り口がある。地理的に考えれば、都市部か郊外か地方か・温暖か寒冷かなどもあるし、心理的側面(サイコグラフィック)ならば、ライフスタイル・価値観などの切り口が考えられるだろう。しかし、ここで注意したいのが、性・年齢などの切り口で括れるほど、今日の生活者の価値観や行動は単純ではなくなっているということだ。
 では、何で括ればいいのか。答えは「ニーズ」に注目することだ。第1回で述べたように、マーケティングのキモはニーズの深掘りである。人には何らか理想とする状態がある。そして、それを満たしていないのが、不足状態だ。そして、そのギャップこそがニーズであり、そのギャップを埋めるための対象物としてウォンツ、具体的な商品・サービスが求められるのである。つまり、人々がどんな状態で、何を求めているのかを考えなくては効果的なセグメンテーションもターゲティングもできないのだ。


■観察眼を養いターゲティングの達人になろう!

 では、早速ターゲティングの練習をしてみよう。どの街にもあるであろうマクドナルドの店頭に行ってみてほしい。そこにはどのような人がいて、どのようなニーズにマクドナルドが応えているのかを考えればセグメンテーションとターゲティングが見えてくるはずだ。ポイントは先入観や既成概念を捨てることである。
 世間で大きな話題を呼んだ、巨大なハンバーガー、「メガマック」。そのターゲットは誰だろうか。普通に考えれば「10代・20代の男性」となるだろう。しかし、実際にそれを買って食べている人は30代の男性が一番多いという。そして、ちらほら見かけるのが、若い女性だ。「若い男性はよく食べる。メタボを気にする年代や、ダイエットを気にする女性は食べない」。先入観と単純な性・年齢で考えればそうなる。しかし、実体は異なるのだ。30代代の男性のニーズは「普段メタボだの何のといわれているが、たまにはガッツリ食べたい!」ではないか。つまり、年代は関係なく、「ガッツリ食べたい人」が真のターゲットだ。女性も「話題だから一度は」というニーズかもしれない。すると、「話題に乗り遅れたくない人」というターゲットが考えられる。
 マクドナルドには、レジの並び時間が長いという苦情が寄せられた時期があったが、オペレーションを改善して一定時間以上待たせないという社内ルールを設けたという。それは何かといえば、「時間のない人」というターゲットのニーズに対応したわけだ。
 郊外店の大型店に行くと、子供の遊戯施設「プレイランド」が併設された店がある。それは何のために置かれているのか。「子供のため」。一義的にはそうだが、「手軽に、安価に、食事を取りながら子供を遊ばせたいという親」をターゲットにしているのが実のところだ。子供のお誕生会などのパーティーをさせてくれるサービスもある。これもターゲットは親。「子供に部屋を散らかされたくない。後片付けの手間を取りたくないと考えている母親」がターゲットなのだ。「家に人を招き手料理でもてなすことを喜びにする母親」というセグメントの対極に対応したサービスと言えるだろう。このように、セグメンテーションとターゲティングはニーズに注目し、どのような価値提供をすべきか考えることから始めるべきなのだ。


■そのターゲットで本当にいいのか?

 セグメンテーションができて、ターゲットが決まったら早速、その攻め方を考える・・・のは、もうちょっと待っただ。そのターゲットは本当に力をかけて狙うに足りるほど魅力的かどうかの判断をしなくてはならない。そのためには3C分析で使った市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company) の切り口で検証するといい。
 市場環境ではまず、そのセグメントにはどの程度の市場規模があるのか、どの程度の成長性があるのか、収益性はどうなのかを見たい。やたらと小さな市場規模だったり、成長性がもはやほとんどなかったり、やたらと利益の薄い市場だったら、ちょっと考え直さねばならないだろう。競合環境では、何と言ってもその競合相手が問題だ。どのような相手なのかによって戦い方が異なってくる。自社の経営環境との整合性も重要だ。例えば今まで高級路線を走っていた企業が、急に安価な市場に進出したら、今まで構築してきたブランドを毀損することになるかもしれない。また、少人数でのローコストオペレーションを展開していた企業が、大勢のスタッフが必要な至れり尽くせりのサービスに進出しようと思っても、急には無理だろう。いずれにしても、狙いたい市場と狙える市場は必ずしも一致しないのだ。


 今回はSTPのうち、SとT、セグメンテーションとターゲティングについて述べた。だが、実は最後のポジショニングこそが商品の売れ行きを左右する最重要事項なのである。次号をお楽しみに。

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