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20 posts from April 2008

2008.04.30

ディズニーの「出張魔法教室」は、まず”馬”を射る?

恥ずかしながら無類のディズニー好きである筆者のアンテナにピピッときた、新たな展開。それは「出張魔法教室」。それはとても意義深い活動なのだけれど、同時に東京ディズニーリゾートにも有益な、Win-Winな展開なのだと思う。


東京ディズニーランドが25年前に開園したとき、筆者は高校生だった。
当時、スペースマウンテンにも、エレクトリカルパレード大興奮したのだが、実は地味に驚いたのが掃除のお兄さん、お姉さんの動きだった。こぼれたポップコーンを発見すると、軽やかに歩み寄って、巧みに両手のほうきとちり取りをササッと操り、目にもとまらぬ早業で掃除を完了させる。「掃除」という概念を根本から覆された気がした。
というのも、当時筆者は高校生ができる数少ないアルバイトとして、土曜の午後に工場清掃の仕事を時々していたのだ。お小遣いがもっとほしいので、アルバイトをするのだが、どうにも掃除は好きになれなかった。今にして思えば大変けしからぬことだけど、結構、ぐだぐだやっていたように思い返される。もちろん、怒られてしまうような手抜きはしていなかったのだが、はっきり言って心が入っていなかった。
それが、ディズニーランドの掃除の人たちは実に楽しげに仕事をしているのだった。まるで掃除係ではなく、ランドのキャストであるかのような姿に感動した。
その後、掃除係はランドの環境美化を担う重要なキャストであると位置づけられており、各々が高いモチベーションを持って働いているのだと知り納得しつつも、さらに感心したものだった。


その、清掃作業を担うキャストが、ディズニーリゾートを飛び出し、小学校で1・2年生に掃除の仕方を教える出前授業「魔法の教室」を始めたという。
(アサヒ・コムより http://www.asahi.com/komimi/TKY200804260257.html )
講師役のキャストが小学生に<ほうきとちりとりを使って掃き掃除を実演。その後、ペットボトルのふたをごみに見立てて、児童が5~7人ずつに分かれて床の掃除をした。 >
当然、単に掃除のテクニックを教えるのが目的ではない。<TDRを運営するオリエンタルランドでは、掃除のこつを教えるだけでなく、「きれいなところは気持ちがいい」「掃除は一人ではなくみんなでやることによって、より早くきれいになる」といった心の部分も教えていくという。 >
何とも意義深い活動である。

参加した生徒の感想が非常にいい。
<「楽しかった。家の掃除でも教えてもらったことをやってみたい」と話していた。 >
オリエンタルランドとしてはPR活動と位置づけているが、これはもっと効果のある、来場促進活動になっているはずだ。
生徒のコメントにあるように、子供は当然、家で話をし、掃除の手伝いをしたいというだろう。そして、また、ディズニーリゾートで、清掃キャストの働く姿を見たいと言うだろう。「掃除のお手伝いを続けられたらね」などという条件が親からつけられるかもしれないが、我が子の良い習慣、環境美化や整理整頓に対する関心の高まりを親としてうれしく思わないはずがない。
そして子供が「何としても掃除のお兄さん・お姉さんに会いに行きたい!」と言い出したら、家族のレジャー予定リストに赤丸急上昇でランクインすることだろう。

「将を射んとせばまず馬を射よ」というが、レジャーの予定を決めるのは親だが、まず、子供に働きかける活動はかなり効果的だと思われる。
マーケティングの世界では「DMU=Decision Making Unit(購買決定単位)」といい、商品購入の利害関係者を洗い出し、その力関係を把握し、適切にキーマンに働きかけることの重要性が知られている。
子供をキーマンとして働きかけをするこの「出張魔法教室」はその意味からも注目に値する活動だといえるだろう。

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2008.04.28

「空気読んじゃう」新入社員・その傾向と対策

企業に新入社員がやってきて、そろそろ1ヶ月が経過する。早々に現場に配属され、先輩に連れられてOJTを受けている人もいれば、連休前にようやく配属が決定するという人もいるだろう。さて、ビジネスの現場に登場した今年の新入社員はどんな表情を持っているのだろう。


筆者は講師の仕事の比率が結構多い。大学でも教えているが、この季節にはいくつかの企業で新入社員研修なども担当する。自分が40歳をいくつか越えてくると、若者と講義や研修を通じてやり取りするのは、ずいぶんと刺激になってありがたい。一方で、自身がそれなりに若かったときにはわからなかった、受講者の立場から距離を置いた客観的なものの見方できるようになってきた。


大学生そうなのだが、就職活動を経てきているとはいえ、まだその延長線上である新入社員もビジネスの世界に染まっていないだけに、面白いことに、毎年ずいぶんと傾向が出る。多くは景気の動向に左右されるのだが、非常にはっきりしている。
筆者は大学で「ベンチャービジネスとマーケティング」という講義を持っているが、景気がよくなり、学生に安定志向が強くなるごとに、年々受講希望者が減っている。今後の景気次第ではまたわからないが、4年目の今年の受講者は最盛期の四分の一だ。そして、新入社員もそんな安定志向をかなり反映しているように見える。そして、ずいぶんとのんびりしているように思えるのだ。


もう一つ、特に今年は顕著な傾向があるように思える。
もはや流行語というよりは、世間にすっかり定着してしまったKY(空気読めない)。しかし、その反動からか、昨今の若者の多くは実に巧みに周りの空気を読むことができる。特に、今年の新入社員はその傾向が強いようだ。
筆者が担当する研修の多くは、一方的な講義ではなく、受講者にビジネスケースや自社課題を与えて、グループで取り組ませ、発表させるという”グループワーク”を取り入れている。年次の進んだ社員対象の研修や、ビジネススクールではその手法は必須なのだが、さすがにオトナな受講者は自分が主張すべきとことは強く押し、譲るべきところはうまく折り合いをつける。
しかし、学生や新入社員は本来的にはそんなにうまくできない。多くのグループで、発表のゴールに至るまでに、何度も対立やいさかいが起き、グループが分裂したり、孤立したりする人間が出るのが常だ。しかし、そこから学ぶものは多く、そうして組織人、社会人となっていくのである。

が、今年はなぜか、どこの企業の新入社員研修でもそうしたグループ内での衝突がほとんど起こらない。微妙にグループ内で意見の対立が起こっているフシもある。自説を主張している人間もいる。しかし、すぐに自ら却下してしまうのだ。
たぶん、「空気読んじゃっている」のだろう。
あまり強引に主張して、周りから浮きたくないという意識が働いているのではないだろうか。そこそこに主張し、後はグループの合意に従い進めていく。そんな傾向が見て取れた。
だからといって、結果がプアな状態になるわけではなく、うまく調整をとって、結果を出せるのも今年の傾向かもしれない。例年の、対立や孤立が発生するグループよりも、全体としては仕上がりのいい発表に至るケースが多い。「空気読んじゃう」ものあながち悪いわけではない。


悪いわけではないのだが、あえて、もう一つ言うならば、やはり「AKY(あえて空気読まない)」も必要なのではなかということだ。


広告の鬼と呼ばれる、電通の中興の祖:吉田秀雄が記した「電通鬼十則」の一つにこんなものがある。


「摩擦を怖れるな! 摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。 」


卑屈未練、というまでではないかもしれないが、確かに摩擦し、ここから得られるものは肥料になることは確かだろう。
ぜひ、この言葉は今年の新入社員に贈りたい。


もう一つ。財団法人社会生産性本部が発表した、「平成20年度 新入社員のタイプについて」。
<(今年の)新入社員は磨けば光るとばかりに、育成の方向を定め、そっと背中を押し、ブラシでこすりつつ、周りは働きやすい環境作りに腐心する。>
としている。売り手市場の中で企業が懸命に採用した人材である。期待するものは大きく、企業も育成にも力を注いでくれることだろう。
しかし、以下のように結ばれている。
<サブプライムローンの問題等の影響により経済の先行きは一気に不透明になった。これからも波乱万丈の試合展開が予想され、安心してはいられない。自分の将来は自分の努力で切り開いていくという、本人の意志(石)が大事になろう。>

「自分の意思が大事」には、筆者も大いに賛同する。そして、今一度、「摩擦を恐れるな」とメッセージしたい。

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2008.04.25

マル秘? 情報収集法・・・なのかな?

東洋経済から出版されている、”実践的ビジネストレーニング誌”と題されている「Think!」
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/think/index.htmlにありがたいことに、金森の関連記事が掲載されていますのでご報告です。

実は、このBlog記事をあるサイトに転載提供をしています。
INSIGHT NOW http://www.insightnow.jp/

そのサイトは独立系コンサルタントが集い、自説をコラムの形にして投稿し、記事の閲覧と評価のランキングを競い合うというものです。参画しているコンサルタントによって、「これぞ!」という記事を書き下ろしで投稿したり、自分のBlogの記事をサイトの読者層に合わせてリライトして投稿したりと色々ですが、恐縮ながら、私は毎日執筆しているこのBlogを更そのまま転載しています。(微妙に表現を変えているときもありますが、大意はありません。)


で、そのサイト、INSIGHT NOWの独立系コンサルタントが自分の「勉強術」を公開しました。雑誌「Think!」の特集が「キャリアを高める勉強力」で、サイトが編集部からの協力依頼に応じたためです。

その中で、50名余りのコンサルタントの中から、恥ずかしながら、金森の「情報収集術」が取り上げられました。
なぜ、「恥ずかしながら」かというと、本文中にあるとおり、「特別なことはなにもしていない」からです。

ご参考まで、以下にその内容を記します。


<情報収集法ですが、実は「特別な情報収集をしない」というのがその方法です。個人の記憶・思考方法によると思うので、一般化できないかもしれませんが、私の場合、目に触れたものが不思議と何でもインデックス化されて記憶に残るのです。本来、脳の働きとして、すべての人にそんな機能があるのだと、解剖学者の養老孟子先生が言っておられました。おそらく、アウトプットすることを前提にしているのだと思います。そして、複数の情報のインデックスが結合したとき、アウトプットが可能となります。
 アウトプットの際は、ほとんどの場合、単一のネタではなく複数のネタを絡ませて書いています。情報が結合したときが書くときなのです。
 情報収集については、特別なことはしていませんが、普段やっているのは、「時間があればウェブを見ることです。また仕事の帰りに書店もしくはコンビニで、雑誌の棚の端から端までざっと立ち読みをします(”cawaii”から”アサヒ芸能”まで)。それから、できるだけ多くの人の話を聞くようにしています。
 また私はよく、街を眺めながらたくさん歩きます。時間があれば1時間、5kmぐらい歩きます。例えば新橋~銀座~新日本橋~神田~秋葉原と複数の表情を持った街を歩くと、発見があります。雑誌の立ち読みにしても町歩きにしても、「普通のこと」を極端なくらいにやると、他の人では得られない情報を得ることができるのだと思います。普通のことを普通にやっていては得るものも多くはないでしょう。>


ここでのメッセージは、最近いつも記していることもありますが、

1.「アウトプット前提で、インプットする」こと。
2.当たり前なことも「極端にする」ことで、新たな発見がある。

です。

今後も、「極端なインプット」で、「新たな発見」をお届けしたいと思っています。


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2008.04.24

ディズニー・ドリームキー 人気大爆発

「今だけの期間限定」というスペシャル感は生活者の購入を促進する常套手段。ましてや、人気ブランドの周年記念。加えて「自分だけのオリジナルが作れる」というカスタマイズ性があれば、人気は弥が上にも高まる。


ディズニーリゾートが今年25周年を迎えた。夢と魔法の国として、テーマパークのトップに四半世紀の間、君臨してきたのだ。正に開園25周年のディズニーランドと、同じリゾート内ということで後発のディズニーシーでも様々な周年イベントが繰り広げられている。
そんな中で、密かに人気が大爆発しているグッズがある。
ドリームキー http://www.resort25.jp/goods/goods2.html

特設売り場で販売されているのだが、何と、最長8時間待ち!
8時間と言えば、成田で出国手続きをして、ハワイまで飛行機で飛んで、入国審査を終える・・・ぐらいの時間だ。普通でも5時間待ち。香港まで行ける。


なぜにそこまで人気が出たのか。冒頭に記したように、ディズニー開園25周年という節目の記念で、期間限定。さらに、自分の名前が入れられるというカスタマ性はある。しかし、それだけでそんなに人気が出るものなのだろうか。


25周年記念イベントは4月15日にスタートし、ドリームキーも同時に発売開始された。
そして、25周年のキーワードは、<合い言葉は、「夢よ、ひらけ。」>なのだ。
同日、新聞では全面見開きのカラー広告が掲載された。紙面にはキャラクターが取り囲んだシンデレラ城に続く赤い絨毯で、ミッキーが腕を開いて出迎えるというイラストが描かれている。
長文だが、そこに添えられたコピーがまた、秀逸。
できれば全文転載したいところなのだが、こと、ディズニーに関してそんな恐ろしいことはしたくないので、一部だけ謹んで引用させていただく。

<ときがきました。/心にしまってあるすべての夢をかなえるときが。>
<そんな夢をひらく鍵があるところ。/それが、25周年の東京ディズニーリゾートです。/ミッキーマウスやミニーマウス、すべてのキャストが、魔法の鍵を手にゲストひとりひとりの夢をひらいていきます。>

この「夢をひらく鍵」。単に販売されているだけでなく、上記コピーにあるようにショーでは実際にキャラクターが身につけている。それ以外にも、他のグッズにもキーがあしらわれている。要するにリゾート全体に鍵がちりばめられているのだ。

その中で自分だけの「夢をひらく鍵」を手に入れ、さらにキャラクターたちと一体感が持てるとしたら、これは人気が出ないのがおかしいというものだ。


現実的な話としては、ドリームキーはパーツを組み合わせて購入するが、結局組み合わせ価格は2,900円となる。それなりに値の張るグッズだ。1つ作るのに5分ぐらいかかるだろう。同時に6人ぐらいのオーダーを受けているようなので、1時間に72セット。開園時間は1日13時間だから、1日936セット販売。25周年の1年間で341,640セット。単純計算すれば、総額990,756,000円。
実際にはそんなにスムーズにお客が入れ替わらなかったり、迷う人がいたりと5分で1つ作れないかもしれないし、1日13時間、365日まんべんなく作り続けられるわけでもないかもしれない。しかし、特設売り場という、いわゆる出店で販売する売り上げとしてはかなりのものだ。しかし、ディズニーにとってはさらにそれが25周年の象徴として人気が出るという効果の方が大きいのかもしれない。

普通に考えれば、せっかく入園して、なにも5時間も8時間も並んでまで買うのかと思うかもしれない。しかし、ファン心理とはそうした合理性だけで割り切れるものではない。
さて、無類のディズニー好きとしては、仕事が少し片付いたら、ちょっくら5時間並びに行くとしますか。


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2008.04.23

発見と気付きを与える育成プログラムの一案

先行きが不透明な昨今の経済。そんな環境下では、ビジネスパーソンに求められるのは、新たな視点と気付き。そうした社員を抱えることこそが、強い企業として生き残りを果たすことができる。ということで、如何にすれば「新たな視点と気付き」を与えられるかと悩む人材開発担当者は多い。
そのヒントになればと、筆者の社員教育講師としての経験から一つのプログラム案を記す。日々の業務に没頭し、少々アタマが固くなってきている中堅社員向けにどうだろうか。


■日常の中に発見は潜むことを理解させる

何らかの知識やスキルを教え込むのではない故、個々人の「新たな視点と気付き」を醸成することは確かに難しい。しかし、何も特別なことをせずとも実現は可能なのだ。日常の中にでも常に新たな発見は潜んでいるはずだ。
ほんの小さなことでも、直接自分のビジネスに結びつかないことでもかまわないのだ。生活者や街、商店の店頭、それらのちょっとした変化に気づく敏感さが重要なのだから。
部下なり、教育をする対象者なりに聞いてみて欲しい。「この24時間、もしくは今週が始まってから、何か自分にとって新しい発見があったか」と。
多くは「特にない」と答えるだろう。
そうしたら、「日常の中にも必ず新しい発見はあるはずだから、街を歩いているときでも、何か新しいことを発見しようと注意するように」と伝えよう。


■ちょっとした非日常を意図的に作るようにさせる

数日したら、「何らかの発見はできたか」と聞いてみて欲しい。「日常の中の発見」がうまくできた社員もいるかもしれない。
しかし、多くは「特に発見はなかった」と答えるだろう。そうしたら、「その数日、どのように発見を求めたのか」を聞いてみよう。
多くは通勤の行き帰りの道や電車の車内で、街や人々の様子をつぶさに観察したが、特に変化はなかったと答えるだろう。
日常の通勤でも、うまくすれば新たな発見ができるが、それができなかったら、ちょっとした非日常を作る努力をさせてみよう。難しいことではない。週に一日でもいい。普段とちょっと通勤ルートを変えてみるのもいい。普段行かない街に行き、ちょっと歩いてみるのもいい。漫然と変化のない日常の繰り返しの中で発見ができないのであれば、その日常をちょっと変えることが大切だと理解させるのだ。


■時にはRadicalにやらせてみる

それでも何も発見ができないという社員がいたら、Radical(極端)にコトを起こすことで行き詰まりを打破する重要さを教えたい。ちょっと違うところを歩いて発見がなかったら、極端に観察範囲を広げさせるのだ。
例えば、筆者はネタ探しによく街を歩く。事務所が新橋なので、銀座を抜け東京駅までを流す。しかし、そのルートは慣れてしまっていてもはや刺激が薄くなっている。そうしたときには、さらにその先を歩く。丸の内に出るか、日本橋に出るか。その先は秋葉原まで歩を進める。複数の表情を持つ街。そこに集う人々もまるで違う。それらを見て歩き、比較する。そんなことをしていれば、何らかの発見がある。
普通にやって、ちょっと工夫して、それでもダメなら徹底的にやる。その努力の中に発見があると理解させたい。街歩きで何かを発見することが主旨ではないのだ。そこから実際の業務も同じことなのだと理解させることが肝要だ。


■言語化することによって整理する習慣づけを行う

何らかの発見ができたら、二段階でアウトプットさせよう。「なんとなく発見できて面白かった」では意味がない。発見し、言語化するところまで精査してこそ、新たな視点と気付きが定着する。
まずは口頭で報告させる。それなりに何かを語るだろう。次に、長文でなくてもかまわないので、文章で報告させよう。口頭で伝える以上に精査しなければならなくなる。できるだけ報告内容には「どんな意味合いがあるのか」「論拠は何か」と突っ込みを入れよう。普段曖昧な状態で報告を済ませている自分に気づかせるのだ。


■発見をビジネス化するプロセスを体験させる

街での発見を報告させる際に、ただ見たことを報告するのではなく、そこからどんなビジネスのネタが考えられるのかを考えさせよう。自社のビジネスとつながるかは業種によって異なるので、全く別の視点でいい。新たに起業する場合でも、特定の業種にビジネスアイディアを売り込むという前提でもいい。
実はこの部分は筆者は大学で経済学部の学生に毎年考えさせてみている。アタマの柔軟な学生は、実現性の可否はともかく、実にいろいろなアイディアを考案できる。ビジネスパーソンとなってからある程度年月が経った状態で、その柔軟さを思い出させ、さらにビジネス感覚を取り入れた思考ができればベストだ。しかし、いいアイディが出るかどうかはまた別の話。新たな発見をして、それをビジネスと結びつけさせようとする努力のプロセスが大切なのだ。


■アウトプット前提で新たな視点を持たせる

上記でプログラムは1セット終了だ。しかし、必ずもう1セット実行して欲しい。今度は、1週間後に前項のような文章での報告を必ず提出させる旨を理解させて、何らかの発見を求めるのだ。
1週間後に報告があった際に聞いてみて欲しい。恐らく、2セット目の方がより多くの発見があったと回答するはずだ。アウトプット前提でものを見ることで、視点はより鋭くなることを理解させるのだ。


今回は一つの人材育成プログラムの案をお届けした。「研修」という形式を取ると、つい、そのときだけのこととなり、定着化しない。このような日常の中から学ばせるプログラムも是非試していただきたい。

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2008.04.22

サラリと実践・エコバック

日経新聞の4月21日夕刊。「レジ袋追放 米で加速」という記事が掲載された。世界最大のレジ袋消費国で、流通業者が一気に配布中止や有料化に踏み切ったとのことだ。日本でもあちこちで有料化が始まっているが、これでレジ袋包囲網は一気に狭まった感がある。

告白する。普段、エコロジーのことや環境負荷軽減のことを取り上げて、「地球のためでも何でもない、自分自身のため実践せよ」と言っている割には、筆者は実は「レジ袋削減運動」に対してはちょっと積極的に与したくなかった。なぜって、全くの個人的感覚なのだが、レジ袋をぶら下げているより、昨今の「エコバック」をぶら下げている方がカッコわるく思えたからだ。特にスーツ姿では。根拠を問われても困るのだが。
店頭ウォッチングは必須の情報収集だし、料理も好きだ。なので、スーツ姿で買い物をすることも割とよくある。スーツにレジ袋もどうかと言われればそれまでなのだが、買い物をしてから、アッシュケースからいわゆる「エコバック」を取り出して、商品を詰め込む姿が自分では、どうしてもイタダケナイと感じてしまっていたのだ。
しかし、レジ袋完全追放はすぐそこまで来ている。有料化されたら、たぶんイヤイヤ何円か払ってもらうのだろうけど、完全廃止は困るなぁ、などと考えていた。

さて、話は変わって、先週末、ある地方に出張した。帰りの飛行機では有名なカジュアル衣料の製造販売会社の経営者と乗り合せた。自然に着こなしたビジネスカジュアルが板についている。
筆者は土産を買い、袋に入れてもらいぶら下げて機内に乗り込んだ。その経営者もちょっとしたものを買ったようだ。しかし、品物はさっと、持参の手提げに収納した。ブリーフケースとは別に持っていた、ジーンズ製の袋だ。自社製品かは分からないが、彼が持つと実にオシャレに見える。
その経営者は3年で撤退したものの、かつて安全な食材にこだわり畑違いの事業にチャレンジした。環境問題に関しても独自のこだわりがあると言うことなのだろうか。サラリと布バックに品物をしまい、持ち歩く姿は自然でカッコイイ。自分のこだわりを実践しているのだろう。

レジ袋の撲滅はもはや時代の趨勢だ。後戻りはしないだろう。一方で、エコバックは一部のブランドまで参入し、ブームの感まである。そんな中で、抵抗する出なく、ブームに乗る出なく、自分の自然にスタイルを作っていくのは素敵だと思った。
抗わず、流されず。これは買い物袋だけの話ではないのだろう。

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2008.04.18

通信販売”AIDSA”の法則

消費者の購買行動に関する態度変容モデル(商品の認知から購買まで)は”AIDMA(アイドマ)”が有名だが、通信販売においては昨今少し変わってきたようだ。

知人のマーケター、松尾順氏が日経新聞4月15日の記事を元に、分析していた。
「テレビ通販も厳しくなってきた?」

記事では<テレビ通販を見て即座に発注をするのではなく、ネット通販の価格動向も見ながら、最安値を狙うユーザーが増えてきている>とあったようだ。

そこから彼は消費者の行動を、テレビ通販を例に挙げて、今までは<どちらかといえば受動的><説明を聞いて納得したら迷わず注文していた>というスタイルから、<最近は、他に安く買えるところはないかを十分調べた上で、能動的に購入先を選別・決定するようになっている>として、それを<ネットを縦横に使いこなせる今の消費者にとってごく自然な行動>と看破している。

テレビ通販だけでなく、ネット販売、いわゆるECは注目され始めた頃に、消費者の購買行動が従来のAIDMAからMが抜けてAIDAになったとよく言われていた。
AIDMAとは消費者が以下の4つのステップを踏んで購買行動を起こすというものだ。
Attention (注意)→Interest (関心)→Desire (欲求)→Memory (記憶)→Action (行動)
そして、その4段階を次に次に進めるために、消費者の背中を押す施策が必要であるとするものである。
ここでM、つまりMemoryとは「欲しい(Desire)」と思っても、多くの人は一旦記憶に留め、「では、次の給料日に」とか、「ボーナスが出たら」とか、購買機会を待つので記憶に留めさせるという段階を表わしている。

しかし、ECではAttentionからActionまでが極めて短時間に集約されるので、Memoryしている間はなく、従ってAIDAとなると言う考え方だ。松尾氏の分析した、従来のテレビ通販も同じである。

しかし、同氏の分析した<他に安く買えるところはないかを十分調べた上で、能動的に購入先を選別・決定>という購買行動はAIDAのActionの前にSearchという段階が入っていることを表わしている。故に、今回のタイトルであるAIDSAと、AIDMAモデルを少し変形させてみたのだ。

インターネット時代の購買態度変容モデルとしては、2005年6月に電通がAISASモデルを商標登録している。
AISASとはAttention(注目)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)。最後のShare(共有)は、購買した商品に対する自分の評価をBlogやSNS、掲示板などで情報公開するという行動を表わしており、個人の情報発信力が高まった時代ならではのモデルである。

しかし、気になるのは、Searchが先に来るのか、後にくるのかは場合によるだろうが、いずれにしても購買欲求はどこかで起こるので、Desireが入っていた方がしっくりくる点だ。
もう一つは、確かに個人の情報発信力は高まっているし、Searchの結果として重要な情報源となるので、Shareが要素として入っているのは納得感があるのだが、だからといって誰もがShareするとは限らないように思うことだ。


ともあれ、AIDMAであれ、AIDA、AIDSA、AISASであれ、各ステップをつないでドライブさせる施策を立案し、消費者を最後のActionまで連れて行かなければ意味がない。
こうしたモデルは、施策を考えるときのフレームワークとして使うべきものだ。
もし、今回提示したAIDSAがしっくりくるような場合があれば、是非、一度お試しいただきたい。

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2008.04.17

メモを取ろう!

この季節、毎年担当している大学での授業が始まる。
同じく、恒例になりつつある、新入社員研修講師の仕事も始まる。
新しく始まるのはビジネススクールも同じだし、標題の件が大切なのは誰にとっても同じこと。
しかし、あえて言うなら、筆者の担当する講義では、大学生と大学生から社会人になったばかりの人たちが、圧倒的にメモを取っていないように思うので少し触れたい。


筆者もあまりノートの取り方が上手な生徒ではなかったのだが、高校受験の時に教わった大学生の家庭教師に徹底的にしつけられた。「ノートの取り方と成績は比例するぞ!」と。
さすがにこれはヤバイと思い、まじめにつけるようになった。が、高校、そして大学へと進学するようになって、怠けた。何たって、大学にはノート提出などがない。授業のノートをコピーさせてくれる親切な友達もいた。そうなるとダメダメだ。

一変したのはやはり就職してから。厳しいが優秀な上司の下に就き、徹底的に仕込まれた。「メモをとれ!」とは何度か言われたが、言われなくともきちんと記録しなければとてもついて行けないことに気がついた。

「忘却曲線」なる言葉を教わったのもその頃だ。人がどれぐらいすばらしく忘れっぽい存在なのかを科学的に証明したものだと。
改めてWikipediaで調べてみる。以下要約。
<心理学者のヘルマン・エビングハウスが自ら「子音・母音・子音」から成り立つ無意味な音節を記憶し、その再生率を調べ、長期記憶の忘却を表す曲線を導いた。>
<20分後には、42%を忘却し、58%を覚えていた。
 1時間後には、56%を忘却し、44%を覚えていた。
 1日後には、74%を忘却し、26%を覚えていた。
 1週間後には、77%を忘却し、23%を覚えていた。
 1ヶ月後、には79%を忘却し、21%を覚えていた。 >

「無意味な音節」ではなく、学問などは上記ほど直後の忘却が激しくないという説もあるが、覚えたと思っても実際にはあっという間に忘れてしまうのだ。


やはり、せっかく講義をしても、教室を出てすぐ忘れられてしまうのはつらい。受講している方も無駄だろう。
なので、「メモを取ろう」。取り方は文章にしても、箇条書きでも、勝手に何かのチャートを作ってもいい。人それぞれの脳みその使い方でスタイルは変わるはずだ。肝心なのは当たり前だが、後からそれを見て思い出せることだ。
ハンドアウトをきちんと渡すように心がけているが、書いてあることだけを伝えているのではない。そうなら最初に神を渡して読んでもらうだけでいい。

というわけで、「メモを取ろう!」。
このBlogを読んでくれている受講者の人、よろしく。・・・講義の時にも言うけどね。


上記の「忘却曲線」は「メモの重要性」を理解させるにはいい例です。部下に伝えたい上司の方、私のように受講者に伝えたい講師の方、是非おためしください。

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2008.04.16

「くいだおれ太郎」売却・第二の人生とその価値とは?

7月に閉店が決まった大阪・道頓堀の飲食店「大阪名物くいだおれ」。その商標や看板人形「くいだおれ太郎」の売却先として100件を超えるオファーが集まったという。一部では億単位、数十億という試算も出ているようだが、その価値はあるのだろうか。また、その価値が発揮できる条件とは?


「くいだおれ太郎」。筆者は結構好きだ。黒縁眼鏡に派手なストライプの衣装。ユーモラスな動き。服と同じ紅白ストライプとんがりの下には七三分けの髪型が隠されていたりする。少々ベタな感は否めないが、愛さずにはいられない。

さて、冒頭に述べた通り、今回オファーが集まっているのは「商標」と「看板人形」であるが、売却されてどこかに設置されたり、いずれかの商業施設が「くいだおれ」を名乗ったとして、高い金額に見合った何らかの効果が発揮できるのだろうか。

「くいだおれ太郎」」人形の姿形を多くの人は思い浮かべることができるだろう。とすれば、それはある種の「記号」となっていることを表わしている。
そして「記号」には、多くの場合何らかの「意味」が結びついている。
例えば、「ペコちゃん」。不祥事が色々とあったものの、ペコちゃんに罪はなく、不二家という店の中に「美味しく身近な洋菓子がここにある」という意味を示している。カーネル・サンダース。昨今の国を挙げてのメタボ対策の中では、さしもの大佐(colonel=カーネル)も厳しいが、根強いファンに「サックリとしたチキンがここにある」と伝え続けている。

さて、「くいだおれ太郎」は何を伝えているのか。和、洋食の多様なメニューをそろえ、「お座敷割烹」と称する「大阪名物くいだおれ」。現地で人形と記念撮影をするものの、店内に足を踏み入れる人は随分少なかったという。観光客の話を聞いてみれば、人形が何かの看板であることは知っていたものの、飲食店「大阪名物くいだおれ」と結びついていなかった人も意外と少なくない。つまり、道頓堀・戎橋から見えるグリコのネオンサインのような存在としての認識だ。また、店名の「くいだおれ」は特定の店舗ではなく、「グルメな街・大阪」を表わす言葉だと思っている向きもあるようだ。

しかし、別の見方をすれば、大阪にあまり詳しくない人には、看板人形が店舗と離れた独自の価値を持っていたということにもなるだろう。「くいだおれ」自体も大阪を表わす代名詞としての意味を持つと。
そう考えると、「くいだおれ太郎」という記号、「大阪名物くいだおれ」という言語としての記号=キャッチフレーズは、大阪、もしくは道頓堀という地と、もはや不可分な不可分な存在ということがわかる。

購入先として名乗りを上げているのは、通天閣の運営会社「通天閣観光」(大阪市浪速区)や、創業者の出身地である兵庫県香美町、また、甲子園球場(兵庫県西宮市)も名乗りを上げているという。
いずれが「記号」と、それと結びついた「意味」として、「くいだおれ太郎」と「大阪名物くいだおれ」という屋号を有効活用できるかという憶測は控えたいと思う。しかし、あまり地場と乖離した存在では「記号」としての「意味」が保てなくなるのは自明である。是非とも、「地元」にせっかくの価値ある「意味」を紐づけて保って欲しいと思う。

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2008.04.15

「その了簡になれ!」落語家の学びと顧客視点

「顧客の立場で、顧客の目線でものごとを考えよう」という「顧客視点」を日々、力説するものの、では「それは具体的にどうやればいいのか?」の例示は意外と難しい。しかし、一つの逸話を見かけたのでご紹介したい。

読まれた方も多いかと思うが、日経新聞4月13日の「春秋」。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080412AS1K1100612042008.html
1週間で上記リンクは消失するので、以下にその要約を記す。


落語家の柳家小三治さんと師匠である故五代目柳家小さんの話。師匠の十八番、「気の長短」という噺を聞いてもらったところ、「面白くねぇな」と評された。
「気の長短」は度外れて気の長い男と短い男の掛け合いで笑わせる滑稽(こっけい)噺。師の教えはただ「その了簡になれ!」だった。

注目したいのはこの後の、「了簡になる」とは、どういうことかということ。
ちなみに「了簡(りょうけん)」とは「考えをめぐらすこと。思案。所存。(広辞苑)」

ある日、師匠の高座をそでから見て気づく。師匠は自ら気の長い男の話をしながら、足の指がピクピクしていたという。客から絶対に見えない足の指まで、間の抜けた話しっぷりにイライラしてくる短気な男の了簡になっているのだと。


春秋はこの後、新入社員に向けて、入社以来2週間あまりで色々あっただろうが、<周りに目を凝らせば、ヒントがきっとみつかる。>と優しく語りかけて結んでいる。
いいまとめだが、これを新入社員だけに理解させるのではもったいない。


「その了簡になれ!」は顧客視点そのものだ。そしてマーケターや接遇を教える講師などが、懸命に伝えようとしているものでもある。
相手の立場に立ってものごとを考えよう。相手の望むことを的確に捉えようと、言葉にすることは簡単だ。しかし、本当に「その了簡」になれていたのか、思い起こせば忸怩たるものがある。

人の気持ちを読めなくては落語家はつとまらないであろうが、さすがである。「その了簡になれ!」。しっかりと胸に刻みたい。


ついでに、顧客対応の極意を伝える落語家の例として、過去に書いた記事であるが、桂文珍さんの話を紹介する。

大阪で980円カメラのワゴンセールをしていた。
そこはさすがに客の心が良くわかる大阪の商人がすることで、東京だったら『激安!!』と書くところを、ズバリ一言。

『写る』。

980円が安いのは当たり前で見てわかる。
「おっ、カメラ980円か。やっすいなぁ。でも”ちゃんと写るんやろか?”」という客の不安を先回りして取り除くことが大切。

 

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2008.04.14

毎日コンスタントに記事を書く方法

人に勧められて毎日Blog記事を書くようになって1年ちょっとが経つ。勧めてくれた人ももちろん毎日書いているし、「毎日更新派」は結構多いようなので、そうした人には今更かもしれないけれど、「毎日書くコツを教えて」と言われることも多いので、ちょっとまとめてみたい。


■日課にすること

毎日書くためには、ともかく日課にすることだと思う。筆者は基本的に1日1時間、記事を書く時間を確保するようにしている。できるだけ朝イチ。無理ならば、1日のうちどこかで。例え夕方や夜になっても必ず書いてアップする。そうして日課にすれば、書くことが「特別」ではなくなる。


■時間を区切ること

基本は毎日1時間限定。一気に書く。乗ってきて、もう少し時間をかければ良い記事になりそうなときと、どうにも筆が進まないときは1時間だけ延長する。最大2時間。絶対にそれを超えないようにして、多少自分自身でも不満が残っても仕上げる。そうでなければ日々の業務が圧迫される。本業をおろそかにしたら続かなくなる。


■時間を見つけて溜め書きする

時間に余裕があって、ネタもあるときは思い切って溜め書きする。実際には最近忙しくて、なかなかできていないのだが、基本的には翌日分の記事は前日中に書き溜めておく


■「特別な日」を作らない

忙しい日もあるし、休みたい日もある。体調の悪いときもある。しかし、「今日は特別だから」と考えたら、どんどん特別な日が増えてしまう。毎日書かなくなる。忙しくなるのがわかっていたら、溜め書きする。休む前には当然溜め書き。体調の悪いときは根性だ。


■常にネタをストック

ある意味、一般にはこれが一番難易度が高いかもしれない。しかし、案外と慣れで何とかなるものだとわかってきた。
以前は気がついたことを全て、ある程度文章にしてネタ帳に記録していたが、最近はある程度文字数の多い雑誌原稿を書くときなど以外はあまりネタ帳を付けていない。
代わりにどんな断片でも、ネタになりそうな気になることはアタマの片隅に止めておくことにした。これが意外に忘れないのだ。
そして、そのネタの断片はいつでも何かと「結合」するような記憶への留め方をしておく。この状態をうまく人に伝えるのは難しいのだが、Aというネタの断片に、後から放り込まれたDとかXが勝手に反応してくっつき、A-D-Xというような一連の文脈が出来上がる。
例えば、最近の記事”「ダメだからダメ」の先にあるもの”では、まず、映画館の顧客対応が記憶に残った。その次に日経MJの記事がアタマに放り込まれ、ふと考えたときにMJの記事と、過去に書いた「銀座伊東屋」のコラムが結びついて、さらにその前にストックされていた映画館の件と「結合」して記事が書けたのだ。


■常に「アウトプット前提」でものを見て、インプットする効用を知る

上記のネタのストックは、やはり記事にするという、アウトプットを意識して常に情報をアタマに放り込んでいるからできるのではないかと思う。
この「アウトプット前提」というのは記事を書くだけではない効用がある。日経ビジネスオンラインに脳学者・池谷 裕二氏が記された ”脳は「入力」より「出力」で覚える”という記事があった。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nba/20080402/152046/
アウトプットを前提として学習し、それを実行すると、単に覚え込もうとするより格段に効果が上がるとある。事実、コンサルティングや講師業では、いかに数多くの事例を知っているかがポイントとなるが、一旦記事にして整理して覚えたことは確実に忘れない。
単に趣味や、自分の名前の露出度を高めるために記事を書いているのではなかなか続かない。こうした実務上の効用があることも体感しておくといいと思う。


以上、簡単にまとめてみようと思ったら、意外と長くなってしまった。少しでもご参考になれば幸いだ。

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2008.04.11

Eee PC使いこなし術

米国で「199ドルパソコン」として話題になった、ASUS Eee PC 4G-Xを購入したと何度か当Blogでお知らせした。その続報をお届けしたい。
ASUS Eee PC http://eeepc.asus.com/jp/

199ドルパソコンは日本ではWindows-XPを搭載したので49,800円で発売された。何と言ってもその価格的な魅力から日本でも人気が出て店頭に並んでもすぐに完売という状況である。
その使い勝手もなかなかのもの。詳しくは過去記事の前半をお読みいただきたい。
http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2008/03/post_0f48.html

詳しくは上記を参照されたいが、簡単に同PCのスペックとそこからくる特徴をおさらいする。
Eee PC 4G-Xにはハードディスクドライブがない。フラッシュメモリを記憶装置として搭載している。それ自体は非常に新しい考え方で、衝撃にも強いという大きなメリットがある。だが、問題はその容量が4GBしかないことだ。
価格から考えれば致し方ないのだが、前述の通り、日本ではWindows-XPが搭載されているため、すでにそれだけで3GBを使ってしまっている。
つまりEee PCの使いこなしは、残り1GBをどう使うかにかかっていると言っていい。

Eee PCは基本的にはWebブラウジングとメールの利用がメインとなる。画面は小さい(低解像度)が、使ってみると意外と気にならない。
しかし、まずやらなければならないのはセキュリティーソフトのインストールだ。1GBをまず、それが消費することとなる。インストール容量が小さくてすむものが基本となるが、そんな中で筆者は「ウイルスセキュリティZERO」を選択した。インストール容量は約20MBだ。
http://sec.sourcenext.info/products/zero/

ちなみに、メールはOutlook ExpressがXPの標準で付いているが、メールデータをPCに溜めるとあっという間に容量がなくなるので、Webメールを使うことをオススメする。筆者はもともとniftyにアカウントがあるので、Eee PCでは、そのWebメールを使っている。

さて、これでWebとメールは問題なく使えるのだが、とはいえ、メールを見ると添付ファイルを開きたくなる。仕事のメールもチェックできると便利なのだが、ワードやエクセル、パワーポイントのデータを開くためにOfficeをインストールする容量などもうとっくにない。
そこでオススメなのが、「スタースイート8」だ。
http://www.sourcenext.com/products/starsuite8/

スタースイート8のインストール容量は418MBと大きいが何とかなる。これを入れると残り400MB強。少々心配な状況だが、Microsoft Officeと互換しているため、添付が開け、編集も可能。ほぼ、メインで日常使用しているノートPCと同じことができるようになる。データの保存は全て本体のスロットに差し込まれているSDカードにすればいい。

ちなみにスタースイート8は「Google パック」からダウンロードすれば無料で使える。インストール方法はいかに詳説されている。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070813_starsuite_pack_google/
Googleパックに容量を食われたくないし、常駐しているとメモリも食われるので、スタースイート8だけ残してアンインストールすることをオススメしたい。Googleパックをアンインストールしてもスタースイート8は残るのでありがたい。


こうしてやってみるとわかるのだが、Eee PCをいじるおもしろさは、この限られたスペックをどう工夫で乗り切るかということにあるように思う。そして、工夫した結果、満足した環境を構築できたうれしさか。
メインのLet's noteはハードディスク150GBある。そんな環境に慣れた中、4GBのうちの残り1GBをどう使うか知恵を絞るのはなかなか楽しいことであった。


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2008.04.10

「ダメだからダメ」の先にあるもの

「マニュアル対応の弊害」はよく言われることではあるが、マニュアルとて、正しく運用さえすれば良質な応対が実現できる。そして、さらにその先の世界があることも理解しておきたい。


もはや「都市伝説」の感があるが、「某ハンバーガーチェーンでハンバーガーを数十個注文したら『店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?』と対応された」という話がある。事実はかなり怪しい気がするが、”マニュアル対応の問題点”を指摘する例だと考えればいいのだろう。

しかし、事実は都市伝説より奇なりとうか、どうにも珍妙な応対に遭遇した。
某シネコンにて家族で映画鑑賞をした。ポップコーンを求めたときに、娘が上映中の暗がりでこぼすことを懸念してビニール袋を欲しいと申し出た。帰りがけに購入して持ち帰る客用に用意があることを知っていたからだ。しかし、販売担当者の答えは「場内にビニール袋類の持込はできません」だった。
なぜ、持込ができないのか合点が行かなかったので、袋がもらえない理由を尋ねると、「禁止されているので、お渡しできません」だった。取り付く島がない。
おそらくマニュアルに「場内にビニール袋類を持ち込ませないこと」と記されているのだろう。その担当者は職務に忠実だったのだ。残念なことに、なぜそれがいけないのかという意味を理解していないのだ。
いまだになぜ袋がNGなのかは謎なのだが、おそらく何らか顧客が快適に過ごせるためにというような理由があるのだろう。その趣旨が顧客に伝えられないのは残念なことだ。

マニュアルとは本来、高度標準化された顧客対応を実現するためのものだ。その基本理念が徹底されていないと、店内でハンバーガーを数十個食べるのか聞いたり、「ダメだからダメです」言ったりという珍妙な応対がなされることになる。


「なぜ、マニュアルに記載されている項目はそう定められているのかを理解させるのは運用の第一歩だ。
さらに、その実現のために、自分はどう工夫すればいいのかを「考えさせる」ことができれば、さらに良質な応対を実現する。

しかし、それで終わりではない。その次にあるのは「マニュアル・レス」の世界だ。

マニュアルを用いず、社員自らが「いかにすれば顧客満足を高められるのか」を考え続けるという姿である。
日経MJ4月9日ので、<リピート多い低価格ホテル>と題された記事が掲載されていた。全国76店舗を展開する「スーパーホテル」。モットーは「宿泊の翌日に元気になってビジネスに取り組んでいただきたい」だという。
ローコストオペレーションがビジネスモデルの要である低価格ホテルと、良質な顧客対応は並存しがたいように思える。しかし、同社は<社員たちが作った「フェイス」という経営理念を記した冊子を常に持ち、(中略)自分がどう取り組んでいるかを(朝礼で)発表する。>と、徹底して自ら考え、行動する顧客対応を実践している。<二月に関西経営品質イノベーション賞を受賞した>とあるが、その日々たゆまぬ努力は見事といっていいだろう。

同様に、マニュアル・レスで良質な顧客対応を実現している例を筆者はもう一つ知っている。文具販売の老舗。「銀座伊東屋」である。以前、コラムで執筆した内容であるが、今一度紹介したい。

筆者は外国製の革手帳を肌身離さず持ち歩いている。コラムや各種原稿の他のネタ帳である。しかし、うっかり手帳のリフィルを切らしてしまった。伊東屋へ行ったが、店頭になく取り寄せに時間がかかるとのこと。ネタ帳無しでは過ごせない。途方に暮れていた筆者に対し、店員は何の躊躇もなく新品からリフィル部分を取り外し「ご不自由でしょうから、こちらをお使いください」と差し出してきた。
なぜそんなすばらしい顧客対応ができるのか。よほどよくできたマニュアルがあるのだろうかと、伊東屋の広報に電話取材をしてみた。すると、「当社にマニュアルはございません」という。マニュアルは店員の”考える力”を奪い、画一的な接客しかできなくなるためあえて作らないという、前会長のこだわりだそうだ。
その代わりに同社は、自分自身がお客様の立場になってうれしいと思うことは何でもしなさいと教育する。例えばボールペンの替え芯一本だけをお買い上げのお客様が、他にもお手荷物をたくさんお持ちのようであれば、「大きな手提げにおまとめ致しましょうか」というような声掛けをしなさい。というように、微に入り細をうがつように指導をするという。


顧客対応には正解もゴールもない。マニュアルの運用であれ、マニュアル・レスの考える対応であれ、どちらでもお客様中心主義(顧客セントリック)で行動することが肝要なのだ。マニュアルを教え込むのではなく、その本来の意味や、自らがどう行動するべきなのかを考えさせる教育が望まれる。

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2008.04.09

サントリーDAKARA・新CMの狙いは?

4月1日に「サントリーDAKARA」が製品リニューアルし、新らしいCMもオンエアされた。そこに隠された狙いとは何か。


ソフトドリンク・DAKARAのCMといえば多くの人が「小便小僧」と応えるだろう。小便小僧がキャラクターとして登場したCMは、DAKARAが新発売された2000年3月15日放映開始分から2005年3月25日放映開始分までに作られた10本だ。確かに印象深いキャラクターであり、長期間登場していたので3年以上経った今日でも十分記憶に残っている。
では、次のCMシリーズは何だったでしょうか?・・・と聞かれて応えられる人は少ないだろう。答えは「土屋アンナ」だ。2005年6月7日放映開始。その次が2005年7月9日放映開始の「速水もこみち」。あまり印象に残っていないのではないだろうか。

その次は覚えている人もいるだろう。「よからぬブルース」と題されて、2006年4月18日から2006年7月17日まで4本連続で、小泉今日子、山崎努、なんとメーテルと鉄郎、そして南海キャンディーズが歌った。「私の中のよからぬモノが ♪ ジョジョビジョバ~ ジョビジョバ~ ジョジョビジョバ~ ♪」。

その次。これがついこの間まで放映されていたもの。ちょっとかわいいので覚えている人もいるかもしれないが、意外と認知していない人もが多い。ピーターラビットの絵本キャラクター「こぶたのピグリン・ブランド」がチェコ共和国プラハの街を舞台に、大槻ケンヂのどこか脱力した歌声に乗ってバレエを踊るCMだ。ちなみに、ピグリンの着ぐるみに入って踊っているのは新国立劇場バレエ団ソリストの本島美和。
2007年4月10日から2007年8月1日で4本作られた。キャラクターの血筋、ロケ地の風情、ボーカル、ダンス、どれも本格的。・・・なのに覚えていない人が多い。


CMは企業からのメッセージ表現だ。ではサントリーはDAKARAの何を伝えたいのか。
DAKARAの開発物語は、「イノベーションの本質」野中郁次郎・勝見明・著(日経BP)で詳説されている。(書籍紹介は過去記事を参照→ http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2007/07/post_521b.html )
スポーツ飲料市場参入を狙うサントリーは、先行する「大塚製薬・ポカリスェット」、「日本コカコーラ・アクエリアス」に対抗すべく苦心の末に打ち出したのが、「排出」という概念。従来の「水分吸収」だけでなく、身体の中の良くないもの、老廃物や塩分などを排出促進させるというものだ。
それ故、小便小僧は発売以来、5年間、10本ものCMで排出を象徴するため、ひたすら小便をし続けた。
続く土屋アンナと速水もこみちでは、あまり「排出」の概念が強調できなかったためか、次の小泉今日子に始まるタレントたちは「ジョジョビジョバ~」という強烈なメッセージを放ってきた。
続く「こぶたのピグリン」は「カラダのことを気にしているのに実行できない」というちょっとかわいいダメキャラを演じているが、やはり少々メッセージが薄い。実は冷蔵庫からDAKARAを取り出すと、冷蔵庫のドアに張ってある「糖分・塩分・カロリー」というマグネットがバラバラと落ちることで、それらをチャラにできることを表わしているようなのだがインパクトが弱い。

インパクトの弱さとメッセージの伝わりにくさを解消すべく、今回の製品リニューアルに合わせてリリースされたCMは秀逸だ。
女優の「天海祐希」とものすごくイケてないサラリーマンのような姿をした「余分三兄弟」が登場。天海がビジネスの相手と名刺交換をしようととすると、余分三兄弟が部屋に飛び込んできて、相手に先に名刺を突きつけ「脂肪です・糖分です・塩分です」と名乗る。そして天海が相手に「出てってもらいます」と言い、三兄弟を押し出す。「さよなら余分三兄弟・DAKARA♪」。
わかりやすい。


インパクトが弱い。メッセージが伝わらないというのは致命的だ。CMそのものが面白くても、何がいいのかわからなければ買う気にならない。わかりやすいポジショニングと、それを短いコミュニケーションで伝えていく重要性はCMだけのことではない。
DAKARAの事例から学ぶところは大きい。


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2008.04.08

ドコモ、シェア5割割れ:反撃は小さなコトからコツコツと?

「そろそろ反撃してもいいですか?」という挑発的なコピーで1年前に始まったDoCoMo 2.0。しかし、MNP(Mobile Number Portability=携帯電話キャリア乗り換え)では一人負けの様相を呈し、「そろそろ反撃しなくてよろしいんですか?」と思っていたら、ついに4月8日、日経新聞朝刊で<ドコモ、シェア50%割れ>と報じられた。PHSを含めた携帯電話・PHSの2007年度のシェアは、同社は49.7%となった。

この49.7%という数字、ランチェスター戦略の研究者、B.O.クープマンが提唱した、クープマンの目標値から考えれば、二位以下が逆転することはかなり困難なシェアのレベルである41.7%(相対的安定シェア)をクリアしている。しかし、KDDIがもはや29.5%、ソフトバンクモバイルが18.1%と猛追している。クープマンによれば26.1%で「市場影響シェア」と呼ばれるトップに強い影響力を与えるポジションを。19.3%で「並列的シェア」と呼ばれる第二位をうまく出し抜き、トップを狙えるポジションをとれるとしている。携帯電話市場が正に乱戦状態であることが、この数字からもわかるのだ。

しかし、前述のクープマンの目標値はあくまでも目安に過ぎない。企業は各々、絶対に守るべきシェアの数字というものを持っているはずだ。例えばトヨタ自動車は国内販売シェア40%を絶対死守する。その数字を下回りそうなときには、あらゆる手段を使って販売強化をするのだ。ドコモは今回の数字をどう見ているのだろうか。
一年を経てもDoCoMo 2.0は継続している。若手タレント8名を豪華に起用したCFも継続しているし、Webサイトではそのタレントが演じる男女8名のキャラクタームービーが紹介されていたりする。シェア低下はどこ吹く風で独自の世界観を貫くようにも見える。

そんな中、おやっ?と思う、小さな工夫を家電量販店の店頭で目にした。ほんの小さなことなのだけれど。
この春も多数の新機種が発売された。やはり、携帯キャリアとしては魅力のある端末を持っているかどうかは重要だ。しかし、販売価格と売り方の見直しによって、端末は全体的に随分と高くなっている。よほどきちんとその魅力を訴求しなければ、買い換えの促進などできない。
そこで考えたと思われるのが、小冊子だ。展示されている携帯端末の実機やモックの棚に機種毎に小冊子が添えられていたのだ。同社の総合カタログは総ページ数、何と84ページ。端末の情報だけでなく、料金プランや各種サービス内容まで包括しているのでどうしても厚くなる。端末個別のパンフレットもいくつか用意されているが、ラックから探し出すのは面倒だ。気になる端末をさわってみながら、小冊子を手に取り、「おっ、こんな機能もあるのか」と気づく。持ち帰っても、コンパクトな冊子なので、気楽にパラパラと何度か見る気になる。

そんな小冊子だけでシェア回復が望めるとは思わないのだが、派手な反撃ではなく、小さなことからコツコツとやっていくのは大切なことだと思う。


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2008.04.07

講師業の強い味方

コンサルティング、講師業、執筆業。この3つの仕事の比率を三分の一ずつに保つ。それが自分自身のナレッジのインプットとアウトプットの一番いいバランスになる。
・・・とは、わかっているのだが最近ちょっとバランスが崩れ、講師業が4割強を占めている。

講師業は実はとんでもない肉体労働だ。(当然頭も使うけど)。何といっても一日立ちっぱなし。しかも教室中をずっと歩きながら講義やインタラクティブ・レクチャー、グループワークのファシリテーションを行うのだ。1日7~8時間。更に、夜にもう1コマ、3時間のビジネススクールのクラスが入ってるようなときもある。
腰にくる。足がむくむ。
しかしポリシーとしてあくまで立ち姿はスッキリしゃきっと。実際に背中を丸めていたのでは、おなかから声は出ない。教室の隅々まで声が届かなくなる。

と、そんな悩みを解決してくれるグッズがある。ワコールのCW-Xという製品。
http://www.cw-x.jp/index.html
テーピング効果のある特殊な縫製で作られたスポーツ用のインナーウェア。イチローも古くからのユーザーだ。金森も元々はスキーの時着用していたものを、講義用に転用した。

「そんな変わった使い方をしているのは珍しい」と、ワコールから取材を受けてしまった。
上記の使用に至るまでのきっかけや、金森の講義に対するこだわりが取材インタビューでまとめてもらっている。
http://www.wacoal.jp/c/cw-x/archives/2008/04/cwx_10.html

こんな使い方をしているのは珍しいと自分では思っていたら、ビジネススクールの講師で他にも二人、使っている人がいた。残念ながら、この日他の二人は都合がつかずに、金森単独取材となったのだけれど、やはり腰や膝をかばうために愛用しているとのこと。
プロはやっぱりコンディション作りも仕事のうちだもんね。

というわけで、教壇に立つ仕事をしている方がおられたら、オススメします。

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2008.04.04

PESTに注意せよ

PEST(ペスト)といっても、当然のことながら病気の話ではない。マクロ環境分析のフレームワークのこと。俯瞰して世の中の動きを把握するのは常に重要なことなのだが、ついつい見落としがちになる。しかし、大きく環境が変化している今日、それを怠れば致命傷になるのだ。


PESTはマクロ環境を構成する4つの要素の頭文字である。
・Political=政治的な規制事項の影響要因
・Economical=経済環境の影響要因
・Social=社会情勢の影響要因
・Technological=技術的成熟度の影響要因
上記の4つの切り口で、自社や自社の属する業界に大きなインパクトを与える要因がないか。あるとしたら、それはプラスに作用するのか、マイナスに作用するのかといったことを洗い出していく。
それなりにメジャーなフレームワークなのだが、実際には3C分析の「市場環境(Customer)」、「競合環境(Competitor)」などに入れ込むことで割愛されてしまうことも多い。しかし、冒頭述べたように環境変化の激しい時期には丁寧に分析していくことが求められるのである。


使用上の注意としては、項目ごとに影響の現れかたが違うことを理解しておくことだ。一番早く、劇的に影響が出るのはTechnological(技術的成熟度)だろう。ある新しい技術が登場し、自社の技術が陳腐化して競争力を失う。それは前述の3C分析における競合環境でも洗い出せるが、新たな技術で業界自体が地盤沈下することも珍しくない。
例えば印刷業界や写真プリントの業界。PCの普及で誰もが自分で印刷やプリントができるようになり、受注量が激減。ペーパレス化も追い打ちをかける。企業ユーザーやコンシューマ自身ができないような高付加価値な製品・サービスを実現できる技術が実現しなければ復活は難しい。

同じようにあっという間に環境が変わってしまうのがPolitical(政治的な規制事項)だ。規制が強化されれば当然、身動きができなくなる。最近では貸金業法が改正され、中小零細業者の廃業が相次いでいる。では、緩和されれば良いのかと言えばそうでもない。薬事法の改正によって、セルフ販売が可能になり大きく成長したドラッグストア業界も、もう一段の規制緩和が予定されており、薬剤師の常駐も取り扱う薬の種類によっては不要となる。その影響で、大手スーパーが参入してくることになり、恐らくドラッグストアは草刈り場にされるだろうといわれている。規制だけでなく、昨今は大きく法律関係が動いているので特に注意が必要だ。

さて、じわじわとやってくる変化もある。Economical(経済環境)とSocial(社会情勢)は密接に関連しながら、確実に影響を及ぼしてくる。経済環境も正に今、潮目が変わろうとしている。もはや好景気などというキーワードは誰も使わない。そうなると、雇用情勢にも影響してくる。家計にも。また、少子高齢化は単なる統計上の数字だけではなく、いよいよ経済にも具体的な影響を及ぼしてきた。


以上のように、PESTの項目は、概ねどのような業界に属するのかによって影響の受け方は異なるものの、世の中は常に動いている以上、常にウォッチしていく必要があるのだ。
少しでも変化の予兆を感じたら、きちんと詳細な分析をして、今後どうなっていくのかを把握し、手を打たなければ「ゆでガエル」になる。水が温かくなってきたなと思っても、そのまま鍋の中で泳いでいる蛙は、やがて水が熱湯に変わりぷっくらとゆであがってしまうという例えだ。
生生流転。世の中は変化するからこそ面白いともいえる。変化をおそれることなく、それをチャンスとできるよう、常に分析を怠らないことである。

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2008.04.03

「びっくらこいた~」に込められたマーケティング戦略

日経MJが4月2日に報じたように、野菜ジュース市場の戦いが激化している。その中で台風の目となりそうなのが、サントリーの「野菜カロリー計画」だ。
その商品の特徴は実はCMソングで余すところなく伝えられており、それはそのままマーケティング・エクセレントなサントリーのお家芸である差別化戦略を表わしている。


森三中の村上知子が熱唱するCMソングの歌詞をここに全文掲載させていただく。
<あのね 野菜ジュースのカロリーは 意外に高い~、高いよ~ びっくらこいた~ びっくらこいたぁ~>
<でもね 野菜ジュースの栄養は 意外に捨てられて~いた~ びっくらこいた~ 泣きたくなったぁ~>


名前の由来である「カロリー」。健康にいいと信じて飲んでいる(事実いいのだが)野菜ジュース。しかし、その健康に寄与するという特性故、確かに意外とカロリーのことは忘れがちだ。そこを巧みに<意外に高いよ~>と新たな商品選択のポイントとして訴求している。ちなみに、カロリーはライバルのカゴメ「野菜生活100」が200mlで68kcal、伊藤園「1日分の野菜」が同量で75kcalなのに対して、同量で62kcal(100gあたり45kcal)。加えて野菜のなかでも糖質分の少ないニンジン、ホウレンソウ、キャベツなど8種類を選んだことにより、一般の野菜飲料より糖質分20%おさえたという。

このような新たな軸、ポジショニングを取るのはサントリーの得意技だといえるだろう。有名なのはDAKARA(ダカラ)だ。スポーツドリンクの後発であるが故に、ポカリスェットやアクエリアスの「スムーズな水分の吸収」に対し、「老廃物の排出」という全く新しい軸をぶつけたのだ。とぼけた<高いよ~>という歌詞には強力な差別化要素が込められているのだ。


歌詞の二番も実は重要なのだ。
<野菜ジュースの栄養は 意外に捨てられて~いた~>だ。何を言いたいのかというと、一般に野菜ジュース(野菜+果汁)は搾った液である。それをサントリーはジュースを搾った後の野菜も使えるよう野菜を丸ごと細かくつぶしてピューレ状にし、食物繊維などの栄養も摂れるようにしたという。それでいて、甘すぎず、濃すぎず、さらりとした味わいに仕上げるという、びっくらこく技術を使っているのである。
ここでも重要なのは、<でもね>と語りかけ、「今までたっぷり野菜を摂るように飲んでいた従来のジュースでは、丸ごと野菜を摂れていなかったんだよ」と消費者に新たな判断軸を提示していることだ。


サントリーはかつて野菜飲料から撤退の憂き目を見ている。2000年に「緑黄色野菜ありがとう」を上市したものの、競合商品との差別化ができなかったためだ。今回はそのリベンジとして、満を持しての参戦したはずだ。
日経がMJ伝えるように、現在各社は流通チャネルの壮絶な棚摂り合戦を展開しているという。しかし、サントリーも「営業力では負けていない」と紙面でコメントしている。
そうなると、この明確な差別化軸を持った商品力が遺憾なく発揮されるはずだ。
「野菜カロリー計画」の売れ行きにしばらく注目してみるのも面白いだろう。


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2008.04.02

ドイツ流「もったいない」の実践に学ぶ

「飽食の時代」と言われて久しい。そしてこの季節、日本の美徳である「もったいない」はどこへ行ったのかと思うような光景を目にする。花見の会場に設置された仮設ゴミ捨て場にあふれかえる残飯の山だ。

日本の食料における食べ残しや廃棄の割合は、少し古いデータだが農林水産省のWebサイトにある。
http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/syouhiseikatu/shishin/mate1414.html
11年前の時点で24%であり、「上昇中」とのコメントが添えられている。

食品偽装の問題で、「消費者は消費期限と賞味期限の違いもわからないくせにくせに」と開き直った経営者がいた。ここで行数を割きたくないので、消費期限と賞味期限、食品衛生法JAS法の定めに関しては厚生労働省のWebサイトへのリンクを提示しておく。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/12/s1211-8f.html
平たくいえば、消費者の多くが感覚的にわかっていたとおり、賞味期限は過ぎても食べられないわけではない。が、一方で一連の食の安全をめぐる報道の中で、その賞味期限を守ろうとするが故に、大量の食品廃棄がなされていることも世間が知ることとなった。
また、数多の製品回収騒動が発生したが、例えば材料の表示が本来の含有量順になっていないという理由で大量に回収された食料品はそのほとんどが廃棄処分されるという結果になっている。

ファストフードに目を向けて見る。誰もしなびたフライドポテトやふやけたうどんなど食べたくない。しかし、揚げたてポテトや、ゆでたてシコシコうどんを客に待たせず提供するため、一定量を作り置きして、時間が経過したものは捨てるというオペレーションが組まれている。つまり、廃棄前提だ。

さて、タイトルに示したドイツのこと。ドイツでの優れた取り組みを知ったので、二次情報ではあるがお伝えしたい。
「廃棄直前の食べ物がおいしい食事に変身!」
http://greenz.jp/2008/03/28/berliner_tafel_ev/
<ドイツの市民活動「Berliner Tafel e.V.」は、賞味期限切れ直前の食料を有効利用し、失業者などの食事を作っている。>
同国の失業率は8.7%と深刻だが、上記の食事を提供するボランティア施設がベルリン市内だけでも300カ所はあるという。

冒頭、筆者が見た花見会場のゴミ捨て場にはホームレスの人々が多数集まり、食べ残しを物色していた。日本でももっと「もったいない精神」を発揮して、「捨てる→拾う」の関係ではなく、「回収する(捨てない)→加工する→ふるまう」のような好循環が作れないものだろうかと考えさせられた。

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2008.04.01

フツーな彼女の普通な所作:ストリートミュージシャンのこだわり

4月1日だというのにウソもつかずに真面目に記事を書いている。
・・・とウソをついた。気の利いたウソでも書いてみようとしたのだが、ネタが思いつかなかっただけ。

さて、真面目に。

ストリートライブが実は好きだ。快速のお隣の駅、錦糸町はストリートミュージシャンの隠れた名スポットでもある。特に南口。結構レベルが高い。
そんな場所でずいぶん前からアコースティックギターの弾き語りをしている人がいる。
井田聖子さんという。 http://www.bigtimemusic.co.jp/idaseiko/index.html
デビューは2000年というから、ずいぶんなキャリアだ。
大変失礼なのを承知で書くと、見た目はすごく普通な女性。
毛先をカールさせもしていない、ストンとしたロングヘアー。メガネ。メガネも昨今のメガネ萌えを意識してではなく、普通に近眼なんだと思う。
そんな彼女のちょっと普通じゃないところは、なぜか裸足で歌っていること。
一青窈もステージで裸足になっていたりするけれど、井田さんは駅前広場の石畳で裸足。この間は寒かったからか、さすがに布を敷いていたけれど。
まぁ、裸足はトレードマークでパフォーマンスの一部かなと思ってあまり気に留めなかったのだが、気になったのが、最後の曲の最後のフレーズ。

彼女の曲はどれも聴く者に優しく語りかけ、元気付けてくれるようなメロディーと歌声だ。
その日の最後の曲の終わりの部分で口元をマイクから離し、肉声で聴衆に向かって歌いかけたのである。
何とも印象的であった。

ライブ終了後、彼女にその所作のわけを聞いてみた。なぜ、最後にマイクを離したのかと。
すると「お客さんにちゃんと直接メッセージを届けたいからマイクを通したくなかった。普通のことだけど」という。
聞けば普通のことかもしれないが、マイクを通して歌い続けている中で、最後に聴衆のことをきちんと考えるということはなかなかできないように思う。

しかし、自分のことを振り返ってみると、少し通じるところがあるように思う。
講師の仕事が多くなって、特に一方通行の講演会ではなく、ビジネススクールや企業研修の講師を多くやるようになって、常に受講者のことを考える癖がついた。
そうしたときに、やはりマイクは邪魔だ。大きな教室で、大勢を相手にするときはさすがにマイクを使わざるを得ないけれど、できればマイクとスピーカーを挟まずに、肉声でやり取りしたいと思っている。
以前は大会場で大勢の聴衆を前に話すのが好きだった。プリンスの飛天の間なんかでやったときは最高だと思った。でも、一人一人の受講者と生のやり取りをするほうが楽しく思うようになった。
教室の隅々まで声を届かせるため、自然と腹式呼吸を身につけ、発声がよくなったように思う。ストリートライブの醍醐味と同じなんじゃないかと思う。

フツーな感じのストリートミュージシャンである井田さんも、いくつかのメディアに登場したりしている。錦糸町からメジャーに羽ばたいた人たちも何人かいる。彼女もそんな一人になるのかもしれない。
そんな彼女が普通だと思っているこだわり。聴衆へ直接語りかけるという所作はずっと続けてほしいと思った。

それからもう一つ思ったこと。顧客を生で感じて、直接それに語りかけるという姿勢。実は昨今の企業にも行政も求められているのはそういうコトなんじゃないかな。

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