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2008.03.14

ハードルは高くして跳べ

顧客満足度調査のアンケートシートを前にしたとき、あなたはアベレージでいくつを付けるだろうか。そして、どんなときに「非常に満足」の5を付けるだろうか。


顧客満足度調査の場合、総じて日本人は暗黙の了解としてアベレージ3ぐらいを中心に採点する。対して米国では5がアベレージで不満を感じたときに点数を減点するようだ。
日経ビジネスNB onlineでそんな記事を読んだ。

「危機感駆動型ニッポンの危機!?ネガティブなニュースの濁流に流されるな」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080310/149475/?P=1
記事の主旨は、満足度調査だけでなく、教育においても両国の違いは<褒める米国、けなす日本>であると指摘する。そして、要諦は日本はニュースの記事の取り上げ方も、ネガティブアプローチで「危機感駆動型」であるが、そうしたスタイルでは今の閉塞した経済環境を打破できないというものだ。

その記事の主旨にも賛同しつつ、前段の満足度調査の部分が特に気になった。
米国で車を購入した際、販売店のサービスに対する購入者の満足度を調査を依頼された際のことだ。<諸項目について「素晴らしい(Excellent)」「とても良い(Very Good)」「良い(Good)」「普通(Fair)」「不満足(Unsatisfactory)」の5段階評価で選べと言う。普通に満足していたので「とても良い」と「良い」を中心に「素晴らしい」も少し交ぜて回答した。 >
すると、後日担当者から「何か問題があっただろうか?」と慌てて連絡があったという。なぜなら、彼らのアベレージは<「素晴らしい(Excellent)」以外は「問題あり」のバッドスコア>だからだという。


確かに、今もホテルでこの記事を書いていて、満足度調査のシートが目の前にあり、評価が5段階になっている。ホテルの建物は少々古いが整備されていて、清掃に不備もない。顧客応対にもそつがない。普通に満足できているので3かな。まぁ、サービスして4かな。と日本人的感覚で考えていた。しかし、その結果を受け取る側の立場で考えると、また別の見方ができるように気がついた。

以前、企業で管理職をしていたときのことだ。部下の業績評価をめぐってしばしば役員と対立した。上司の評価として「多大な功績を挙げた」の5を付ける。定量的な業績貢献も、定性的な目標達成度も高く、目標管理制度(MBO)との整合も高い。しかし、役員からは安易に最高点を付けるなとたしなめられた。最高点のサービスしすぎは成長の芽を摘むとの理由で、「求めても中々手に入らないからこそ、最高点は意義があるのだ」と。
一理あるようにも思うが、あまりに手に入らないのであれば、最高得点は取れなくて当たり前になってしまうと反論するも、一項目でも5を認めさせるのはかなり至難の業だった。


独立して、現在、仕事の三分の一は講師業をしている。講演や企業・ビジネススクールで研修を行い、大学で授業をする。昨今はその一つ一つで講師は受講者から評価を受ける。

独立する以前から、講演活動は時々やっており、そこでの受講満足度アンケートを見ると、そこそこ4や5がついているのを見るとうれしく思った。
しかし、大勢のオーディエンスを前に、主に一方的に話す講演と異なり、インタラクティブな要素が多く、個々の受講生の顔や動き、発言に注目することができる研修では、受講生からの満足度の意味が異なるように感じるようになったのだ。
受講生には学びを最大化して欲しい。それ故に、一つでもわからないことを無くしたいと考える。だとすると、5ではなく4や3を付けるということは、学びに対して「不満足」というよりは「不十分」な部分があったというメッセージだと理解するべきだと考えたのだ。つまり、自らの受け取るべき得点のアベレージを3ではなく、5とセットし直したのである。

先の役員の言葉「求めても中々手に入らないからこそ、最高点は意義があるのだ」ではなく、米国式の<「素晴らしい(Excellent)」以外は「問題あり」のバッドスコア>という認識の方が実は遙かにハードルは高まる。しかし、認識を変えハードルを自ら上げることによって緊張感も高まる。受講者の一挙手一投足も見逃せない。自分の発言にも最大限の留意をするという、動き方も変わってくるのだ。
満足度のアベレージが5の「素晴らしい(Excellent)」とは、付ける側は甘く、付けられる側は奢りと思ってしまいがちだが、遙かに緊張感のある関係なのである。

さて、今日もこれから企業研修だ。取れればラッキーの5ではなく、当たり前な5となるべく、研鑽を積もうと考えている。


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