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2008.03.17

「まぁ、座れ」

役職者の机の前には、部下の人間を呼びつけて説教をするための椅子が置いてある。「ちょっといいか。まぁ、座れよ」。などと言われると、「うゎー、長くなりそう・・・」。と冷や汗が出てきたものだった。その「じっくりと話す」という機会をうまく作って成功している商売があるようだ。クリーニング屋である。

日経新聞3月15日付夕刊の記事「アーバンBiz」。「クリーニング店、個性光る」として最近のクリーニング業界の変化を取り上げている。そもそも、その業界は<洗濯機や洗剤の高機能化と「ユニクロ」に代表される低価格カジュアル衣料の普及>によって家庭の年間洗濯代は1992年の19,243 円をピークに、昨年は8,915円と半減以下になってしまったそうだ。<今後、生き残りをかけた競争の激化が必至>と記事は結ばれている。

その生き残りの方策の一つが、「顧客を座らせる」というもの。クリーニング大手の白洋舎が新宿高島屋に構えた「白洋舎スペシャルケアサロン」では、顧客をカウンターの前の椅子に座らせ、約10分も接客するという。通常の倍以上の時間だ。来店客の<「腰を落ち着けると、細々した注文をしてしまう」>というコメントが象徴的だ。
通常のクリーニング店の利用を考えてみれば、何かの用事のついでに、放り投げるようにワイシャツを預けたり、衣替えの季節にスーツをドサッと持ち込んだりと、いつも忙しない感じだ。何となくちょっとした汚れが気になっていてシミ落としを頼もうと思っていても、忘れてしまうことも少なくない。また、雨の日などに「ああ、撥水加工しておけば良かったな」などと思っても、預ける段ではほとんどの場合、思い出せない。

同「白洋舎スペシャルケアサロン」は背広が上下で3,570円からと、ただでさえ高額な白洋舎価格の倍だそうだ。しかし、立派に商売として成立している。
クリーニング不振の原因として、前述の通り「低価格カジュアル衣料の普及」があり、それを着る機会もビジネスシーンでのカジュアル衣料着用の許容という流れが大きいのだろう。しかし、その反面、きちんとした服はちゃんとした手入れをしたいという需要も大きいだろう。決して安くない服を預け、その仕上がりが悪ければ文句の一つも言いたくなる。事実、クリーニング業はある種、クレーム産業でもあるのだ。
モノが何でも低価格化と時間短縮に向かう世の流れに逆らい、顧客を椅子に座らせ、じっくりと説明。納得とさらなる注文を獲得するという逆転の発想。顧客とじっくりと時間を共有し、満足を高めるというこの手法からは学ぶところが大きい。

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