オマケPCを買いました
価格戦略におけるプライシングの大きな方向性は2つ。「スキミング」か「ペネトレーション」。
「スキミング」は高価格・高利益を目標として、市場の上澄みをすくい取るり、早期に投資回収を図る。競合が参入してきたら、じりじりと値下げをするか、さっさと撤退する戦略。
「ペネトレーション」は低価格で市場に浸透させ、早期にシェアを獲得。大量生産・大量販売で固定比率を下げる規模の経済を効かす戦略。
さて、そのペネトレーション・プライシングをとったのではと思える、ASUS社の「EeePC」。別名「199ドルノートPC」。
日本での発売価格はOSをLinuxではなく、Windows XP Home Editionとしたため49,800円だが、圧倒的なロープライスであることは間違いない。
CPUはIntel モバイル。液晶は800×480の7インチカラーTFT液晶。記録媒体は4GBフラッシュメモリドライブ。バッテリー駆動時間は3.2時間。
予約してしまった・・・。衝動買い。
実はEモバイルの端末申し込みをしようとヨドバシ店頭を訪れたら、クロスマーチャンダイジング(抱き合わせ)で何と3万円。しかも、Eモバイル端末も2回線目なので無料!
通信キャリアのレベニューモデルは典型的な「アフターマーケティング型」。Eモバイルは2年間契約なので、違約金に縛られ、ロックインされることになる。初期に特典として顧客に与えた分のコストは、月額4,980円の定額制、2年間で119,520円は確実に回収できるわけだ。
が、それをわかっていても「通信端末を買うと、PCが3万円で付いてくる」というようなキャンペーンは、なかなかインパクトがある。ASUS社のペネトレーション戦略の賜物だ。
ペネトレーションプライシングは微妙に安くとも効果がない。競合が参入意欲をなくすぐらいの低価格を実現しなければ、あっという間に競合も低価格戦略を打ち出してきて、血みどろの戦い、”レッドオーシャン”となってしまう。つまり、そこには競合なき”ブルーオーシャン”が実現できるほどのイノベーションによって達成されたプライシングであることが理想だ。
では、ASUS社はブルーオーシャンを開けたのかというと、残念ながらそうでもないようだ。
海外ですでにEeePCと同価格、少しスペックが上のノートPCが発売されている。Everex社の「CloudBook」。
筆者のメインマシンであるPanasonic CF-W7はカスタマイズしまくった結果、35万円以上の価格で購入することになった。他にも高価なPCはまだまだある。しかし、一つの流れとして低価格化に拍車がかかるのは否めないだろう。極端な低価格機は価格なりのスペックで、安さとトレードオフになっている部分も現実にある。しかし、割り切って使う人も多く出てくるはずだ。
かつて、電卓は非常に高価で貴重品だった。それが昨今は文房具店の店先で、ビニール袋に入れられ、つるされて売られている。技術の進歩とはこういうものなのだろう。ノートパソコンがそんな風に売られる日も遠くないと感じる。事実、すでに通信端末のオマケのようにして筆者が購入したのだから。