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2008.01.28

“現場に効く”マーケティングの基本理論・第3回

インタラクティブマーケティングの専門誌「月刊im press(アイ・エム・プレス)」2月号が発売されましたので、連載バックナンバーをアップします。
本誌では連載第4回が掲載されています。


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「“現場に効く”マーケティングの基本理論」


あまりに“基本”と思われ忘れられているようなマーケティング理論。しかし、日々の業務が行われる“現場”で今一度振り返ってみれば、思わぬ“再発見”があるのだ。


第3回「ミクロ環境分析とKBF・KSF」


 まずは前回のおさらい。マーケティングは「価格をどうしよう」「プロモーションをどうしよう」といったうち手に走らないことが肝要。環境分析を十分に行い、戦略を立案し、しかる後に実施施策としてうち手を考えるという「マーケティングマネジメント」の流れが重要である。そして前回の環境分析の第一歩、マクロ環境分析(PEST分析)に引き続き今回はミクロ環境分析(3C分析)から始めてみよう。

■敵を知り己を知れば百戦危うからず?


 故事に習うわけではないが、今回の3C分析は市場環境における競合と自社の戦力分析に注目するフレームワークだ。3CとはCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)である(図参照)。
Imp3
 一般に3C分析ではCustomerは「市場」と訳されることが多いが、図中にあるように分析においては「市場環境はどうなっているのか」と、さらに「顧客にはどのようなニーズがあるのか」まで踏み込むべきだ。まず、市場環境を整理し、その市場にはどのような顧客群が存在するのか。それらはどのようなニーズを持っているのかを考えていく。
 次にCompetitorに移り、どのような競合が存在するのか。競合は顧客群の中から、競合毎にどのようなターゲットを設定していると考えられるか。そして、ターゲットにどのようなアプローチをしているのかを考えていく。
 ターゲットアプローチは当連載では少し先に詳説する予定だが、マーケティング・ミックスで言うところの「4P」の切り口で考えるとわかりやすい。4Pとはターゲットアプローチのための施策を4つの要素で考えていく方法だ。どんな製品を展開するか(Product)、いくらぐらいの価格で提供するのか(Price)、チャネルをどのように展開するのか(Place)、どのようなコミュニケーションを行うのか(Promotion)である。Competitorの要素は、競合が各々のPをどう展開しているかを推察していくことになる。
 次はCompany・自社だ。市場にはどのような顧客がいてどのようなニーズを持っているか。さらに競合はどのような顧客層を取り込み、どのようなニーズに応えているのかをCustomer、Competitorから導く。その上で自社として競合と同じターゲット設定をして真っ向ぶつけていくのか、競合が取り込めていない顧客層をターゲットとするのかを考える。そして、競合が取り込めていない顧客層や提供し切れていないニーズを発見できれば、自社にとってそこを狙い目とすることができるのである。

■KBFとKSF

 このフレームワークを用いる際に注目したい点がKBFとKSFである。KBFとは「Key Buying Factor」。つまり「顧客が購入に踏み切る理由」だ。連載第一回で「マーケティングとは価値の交換活動である」と述べた。そして、顧客は単なるものやサービスに対価を払っているのではなく、その「価値」に対価を払っているのであると解説した。正にKBFは顧客が何に価値を見いだし、購入しているのかを見極めることなのだ。分析で競合と顧客はどのような価値の交換を行っているのかを明らかにし、それを上回る価値提供を自社が行えるかを考えていくことが肝要だ。そして、前項で記した「競合が取り込めていない顧客層や提供し切れていないニーズ」に対応できるようであれば、それを自社のKSF(Key Success Factor:成功要因)とすることができるのである。言い換えれば3C分析は自社と競合の対比によって、KBFとKSFを導出するフレームワークでもある。
 KBFとKSFは3C分析だけで使われる言葉ではなく、マーケティングにおいては極めて重要な概念であるため、ここでもう少し触れておきたい。KBFとは上記の通り「顧客が購入に踏み切る理由」であり、もっと端的に言うならば「買う理由」だ。実に世の中にはこの「買う理由」が明確でないが故に「売れない」商品が満ちあふれている。そうならないためには、とにかく「顧客」に注目するのだ。どんな顧客が、どんなニーズを持っているのか。第一回でも記したように、マーケティングのキモはニーズの深掘りである。顧客像を明確にし、そのニーズを深く考えることでKBFが見えてくる。成功要因であるKSFも、顧客ニーズにいかに応えるかを考えればわかってくる。顧客像の明確化→顧客ニーズの深掘り→KBFの抽出→KSFの導出という手順が重要なのである。


■現場で運用する際の3C分析・取り扱いの注意点

 3C分析はこれ一つで市場環境の洗い出しから、競合と自社の関係までを一気に分析でき、うち手の検討にまでつなげられることからビジネスの現場で多用されるフレームワークだ。しかし、それだけに少々誤った使われ方も散見される。以下にその代表例誤用例と正しい使用法を挙げよう。

・「市場環境」が抜けモレだらけになる
3Cの出発点は、市場環境を明らかにすることにある。しかし、その洗い出しでモレ抜けが多数発生しがちなのが現実だ。原因は頭の中の思いつきで散発的に「市場環境」の要素を列挙していくことにある。分析の基本動作は「分解すること」である。どのように分解するのかといえば、この場合は政治的、経済的、社会情勢、技術的成熟度という四つの要因を切り口とすればいい。つまりPEST分析だ。少々余分に時間がかかり面倒であろうが、モレ抜けをなくすためにはPEST分析の中から重要な要素を3C分析に引き継ぐことが肝要なのだ。このようにフレームワークは各々が関連し合い、繋がるということも覚えておくべきである。

・KBFとKSFが見つからない!自社の取るべき方向性がわからない!
このような声は分析の手順が誤っている場合によく聞かれる。3C分析には手順の絶対法則がある。Customer→Competitor→Companyという順番で洗い出しを行うことだ。「自社のことからの方がわかりやすい」と、つい、Companyから手を付けがちだが、これは明らかな間違い。自社の現実の姿にとらわれ、「あれもできない、これもできない」と分析に制約条件ばかりを設けてしまうことになる。自社を考えるのは最後。そして、自社として「何ができるか」ではなく、市場環境と顧客ニーズ、競合の動きから考えて「どうあるべきなのか」を考えねばならないのである。


 フレームワークをスピーディーに、より正確に実行できるようになるためには、とにかく数を多くこなすことに勝るものはない。そして、今回は前回に引き続き、環境分析について述べたが、文中にあるようにPESTのマクロと3Cのミクロは実際には不可分な存在である。世の中は絶えず変化している。顧客もまた然りである。故に、実際のビジネスにおいても折に触れ環境分析を行うことが重要だ。まずはミクロ・マクロの分析を確実に行えるよう、自社の業界、競合と自社で試してみることをお勧めしたい。

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