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2007.12.21

適正システム投資の視点

1週間前ほどの日経新聞に「企業とIT・問われる投資効果」と題した気になる記事があった。<開発案件の七割程度が予算超過>として、システム投資に対する生産性向上などの効果を当内容である。
確かに無制限なシステム投資は許されるものではない。ましてや、景気が減速傾向を見せ始めた今日、もしそんな傾向が社内にあれば、直ちに改めるべきであろう。しかし、システムの全てが投資対効果で計れるものではないのも事実だ。


記事の要旨はかつてシステム開発の中止で巨額損失を出した、東京ガスの改善取り組みを事例に取り上げている。そして、システム機能や品質目標の明確化の必要性と、投下資本利益率(ROI)の重要性を説いている。

「システム機能や品質目標の明確化」は至極もっともな話だ。予算措置とシステムカットオーバーまでのスケジュールの関係で曖昧なまま走り出すプロジェクトは実際には結構多いが、その結果、記事にて問題視されている追加費用の発生やスケジュール遅れの原因になってしまう。

しかし、全てのシステムがROIの観点で語れないのも事実だ。
システムの導入によってどの程度のコストや工数、物づくりであれば不具合の低減などの効果があるかをとらえようとするのは重要である。しかし、ERPのようなソリューションをROIで計ることはできるだろうか。だが、今日、多くの企業でERPは当たり前のように導入されている。

一方、重要業績指標(KPI:Key Performance Index)という管理指標で把握する試みも進んでいる。在庫回転率や品質トラブル件数などがどの程度改善したかを計り、効果測定をするわけだ。しかし、それとても万能ではない。 

特にROIで計られると弱いのは、昨今ではもはや情報インフラとして当たり前になっている社内の検索システム(Enterprise search)などだ。社内のドキュメントが爆発的に増えている状況において、家季節な情報を迅速に入手できることは生産性向上に寄与する。しかし、それを数値的に実証することは難しい。KPIとして、ユーザーの利用率などが用いられるが、直接的な効果指標としてはなかなか説得力を持つことが難しい。

例えば、オフィスビルに空調が無く、夏は猛暑、冬は極寒な環境という今日あり得ない環境で業務をするとしたら、どれぐらい業務効率が低下するだろう。空調設備とその維持管理費の費用対効果、投資対効果を計ることはできるだろうが無意味だ。

今日の情報システムは、もはやインフラとしての意味合いが強い部分が多々あるのが事実なのだ。しかし、筆者の専門とするナレッジマネジメント関連のシステムも、企業業績が良いときには問題ないが、業績の低下とともに、真っ先に予算圧迫を受ける領域だ。弱っているときほど、強みを維持・強化するためにナレッジが必要なのだが、ROIや有効なKPIが計れないがために随分悔しい思いをしてきた。

問題は、かかる費用が必要な経費なのか、冗費なのかを明らかにすることだ。前出の機能・品質が不明確なためにかかる追加費用は明らかに冗費だ。しかし、ROIで計れない費用全てが冗費ではない。

"Japan as No. 1"であった80年代において、その後、米国産業界が巻き返しに成功した原動力の一つが情報化投資であることはよく知られている。特に経済の先行きが視界不良になり始めた今日、首をすくめるがごとく、闇雲に投資を絞ることは避けたい。

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