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2007.12.12

Good job ! コクヨの「エコ×」

報道によると文具大手のコクヨは環境配慮が十分でない商品に対し、2008年版の自社カタログにおいて「エコ×(バツ)」マークを記載するという。
「コクヨの予告」のキャッチコピー通り、斬新な展開を売り物にする同社であるが、今回の取り組みは正にGood job!である。
それは環境への配慮だけでなく、自社社員・株主・流通・競合・消費者というステークホルダーに対して「会心の一撃」となる施策だからだ。


昨今、「エコ」は錦の御旗である。「エコのため」といえば、対外のことにはNoと言い難い。いや、地球環境が本当にNoを言える状況でないのも確かだ。
その意味で今回のコクヨの取り組みは、メーカーとして自社の命脈である商品に対し自らダメ出しをしてまで環境配慮に不退転の覚悟を示すとは誠に天晴れだといえるだろう。
しかし、単に企業姿勢を示しただけでなく、この取り組みは同社を取り巻くステークホルダーへの波及効果が綿密に設計されているように感じられる。
以下、ステークホルダー別に効果を考えてみよう。

自社社員:「予告」のキャッチコピー通り、新しいことを常に考え、革新を尊ぶ同社の精神を示した今回の取り組みは社員にとって大きな刺激を与えたはずだ。環境配慮企業に勤めることによるモチベーション向上も大きいだろう。同社は数年前、業績の停滞からリストラに踏み切った経緯があるが、その余韻からの脱却効果も高いといえるだろう。

株主:エコは今日において「ワイルドカード」。環境とCSRは重要な評価指標であり、株価への大きな影響要因となる。今年に入ってから下降の一途を辿っていたいる株価の上昇にも貢献するだろう。

流通:未だ多数残る代理店網に対しても、メーカーとしての新たな取り組みはアピール効果十分だ。「エコ×」でない、環境配慮対応済み商品を顧客に勧めやすくなるという効用もある。特に企業の社会的責任の高まりから、エコ商品の購入に関心が高い法人に対するセールスを行っている代理店には大きなビジネスチャンスとなるはずだ。

競合:コモデティー品である文具は、自社商品とあまり変わらない商品が必ず競合にもある。自社商品に×を付ければ、同時に競合の同等品にも暗に×を付けたことにもなり、競合の販売施策を封じ込める効果が期待できる。また、×商品に代替できる環境配慮対応商品の開発も順次展開しており、3年以内に全商品を環境配慮型にするという。迅速な上市によってコクヨは大きな優位性を確保できることになる。

消費者:エコな商品を求める風潮はかつてなく高まっている。多少高くても環境配慮がなされた商品を選択するという購買行動も広がっている。そして、一端×を付けた商品は暫時撤退させ、環境配慮製品を上市するときには、新たにプライシングをし直すチャンスとなる。市場全体でコモデティー商品は値崩れが否めない。この展開は価格低下の悪循環に巻き込まれない最良の手ともなっている。


こうして考えると、あくまで推測であるがこの施策は実によくできていると感心させられる。だが、よくできているだけに「深謀遠慮」といった感も醸し出される。
しかし、決して悪いことではない。多くのステークホルダーを巻き込んだこの取り組みは、利益を上げる企業として必要なことを環境と整合させた秀逸な戦略である。
さらに大きな意味は、もう一つの、そして唯一無二のステークホルダーに対する全社を挙げた働きかけである点だ。そのステークホルダーの名前は「地球」である。

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Comments

コクヨ社は品質の良い文具を提供していると感じていた。
少なくとも一度長年勤務した会社を退職し失業するまではである。
 
就職活動において、実に、いろんな会社の存在を知ることになった。
その中に、コクヨ社の絡みも数やあったのであるが、そうしたことで更に踏み込んで
全体像を調べることになった。そうすることで、コクヨ社は文具界の松下電器である
ことが理解されたのである。確かに、品質は一定のレベルにあるだろう。
 
そして、松下同様に、かなり昔からOEM供給とされる同じ暖簾や看板を有して
いない取引先を多数抱えており、そして、それらの会社(製作外注、設計外注、
あるいは、提示する仕様に基づいて製品化し納入する外注)を育て上げ、やがて、
上場させ、その株式によって、本体の損失補填や新規事業資金に活用して行った、
同じく関西を拠点とする業界の雄と言えるのではないか。あえて、看板を隠すことで、
他部門のグループ会社に、上場の見込みのある会社の株式を購入させ、違法
スレスレの手法で、傘下の隠れたグループ企業の原資を創造する方法であった
のではないかと自分は感じている。松下は電球を作って儲けたのではないとも
感じている。あの逸話は何なんだろうとも。東芝は欧州から、その技術を買った
そうだ。京都の竹でエジソンは電球を試作したとも言われている。
 
松下は、既にその頃から、例によって、その当時から「真似した電器」だったの
かもしれない。そして、実は、意外にも、時代に偶然マッチした、この経営手法が
功を奏したと感じているのであるが、今や、時代は変容し、それらの企業も、
同時に、経営者の世代や同族からの脱皮によって経営手法が変わり、その後、
舵取りが大きく変わったが、その効果は、正否のいずれでなんだろう。
 
その答えは、既に、国民が知っているはずである。

Posted by: たぁ坊 | 2007.12.12 12:28 PM

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