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2007.11.21

意味なし!もう一回やり直し!:フレームワークの落とし穴

フレームワークは思考の速度を高め、人に伝える能力を高める効用がある。ナレッジワーカーとしての生産性を高めることが可能になるため、是非ともいくつかのフレームワークを使いこなすスキルを習得すべきだろう。
しかし、その有用さの裏側にある「落とし穴」にはまらないよう注意が必要だ。

フレームワークの代表選手をあげるとすれば、環境分析におけるSWOTだろうか。自社や自分の事業環境分析などにも用いられるため、「マーケティングに関わる業務は担当していない」という人でも使った経験があるはずだ。このフレームワークを例に考えてみよう。


■フレームワークの形態に惑わされるな

SWOT分析は自らを取り巻く環境を、外部環境・内部環境に分けて要素を抽出し、さらにそのプラスの側面、マイナスの側面を洗い出していくフレームワークだ。
少々分析に手こずることがあるとすれば、一つの要素をプラスと見るのか、マイナスに見るのか判断に迷うときだろう。SWOTを失敗する原因の多くは、プラスマイナスのどちらに当てはめればいいのかに終始するあまり、強引に分類した結果、プラス、マイナスのどちらかの側面を見落とすことだ。物事には一つのことでもプラスとマイナスの両面がある。その場合、どのような前提条件の下ではプラスに、どのような前提条件の下ではマイナスに作用するということを明記した上で、両方を取り上げなくては正しい分析にならない。
これは、典型的なフレームワークの形状にとらわれるあまり、正しいものの見方ができなくなるケースである。


■で?その分析は何が言いたいのか?

そもそも、フレームワークを使う意味は、何らかの結論を抽出し、人に伝えることにあるはずだ。分析を行うのであれば、明確な結果を導出しなくては意味がない。
フレームワークの最大の落とし穴は、そこに要素を押し込め、整理することで満足してしまうことである。
ファクト(事実)の整理は重要だ。整理することによって、抜け・モレがないことが確認できる。しかし、それだけでは分析を完了したことにならない。伝えるべき相手に「何が言いたいのか」が明確になっていなければゴールしたことにならないのだ。
SWOT分析であれば、フレームに要素整理をするだけでなく、そこから「市場機会」と「事業機会」を文章化すべきだ。この文章化を面倒だと厭う人も多いが、要素整理したフレームを読み上げるだけでは相手には全く伝わらない。結論が必要なのだ。


■その言葉は「意味」を伝えているか?

上記の通り、文章化は伝えるべき「意味」を明確にする効用がある。しかし、その文章をもう一度読み返してみてほしい。果たしてその文章は意味を表しているだろうか。
例えば、分析結果として記された次のような文章があったとする。
< >の中は例示。

○○会社を取り巻く環境は、<好景気による消費拡大>という機会と
<競合数の増加>という脅威があり
総合的には<予断を許さない状況である>といえる。
その中で<顧客ニーズの取り込みが完全でない>という弱みを、
<業界ナンバーワンの信用力>でカバーして勝っていく。

一見、それらしい文章になっている。しかし、どうにも具体性がない。
なぜ、上記のような具体性に乏しく、意味合いが明確でない結果になってしまうのか。それは、短くまとめようとしすぎるからだ。
フレームワークに当てはめる要素も、ついつい短くなりがちだ。単語、熟語レベルの短さである場合も多い。本来はこの段階から意味を持った文章を記入すべきなのだが、どうしてもフレームの記入スペースに制約されて記述が短くなってしまう。そして最後の意味合いを文章化する際も、一言でまとめられる文章にしようと思うあまり、言葉足らずになる。口頭による補足説明なしで、相手が読めば理解できるレベルで記述することが肝要なのである。


ここまでSWOT分析を例に、フレームワークからきちんと「意味合い」を抽出することの重要性と、実行に際して求められるレベル感をまとめてきた。「なるほど」と納得していただければありがたい限りだが、しかし、「ではこの手順通りに進めてみよう」と考えるのはちょっと待ていただきたい。ここに記した手順は一つのフレームワークでもある。
フレームワークを鵜呑みにせず、一度自分なりに咀嚼して使いこなすことこそが重要なのだから。


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