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2007.11.27

移ろうCommon Senseその2:人々の許容性は低下していないか?

スターバックスが日本に初上陸したのは1996年。今でも営業している銀座・松屋裏の二階建て店舗からスタートした。スターバックスの店内といえばどんな風景を思い出すだろうか。コーヒーの香りを損なわないために全席禁煙。オシャレなBGMと少しゆとりのある店内空間・・・。


筆者は原稿を書くときに気分転換のため、事務所を出てカフェを利用することも多い。
値段が高い割には店員が水を頻繁に持ってくるので落ち着かない旧来型の喫茶店。たばこ臭くて狭くて落ち着かないドトールなどの低価格カフェ。それに比べれば、スターバックスに代表される「シアトル系」といわれるカフェは落ち着く。タリーズ、ブレンズもいい。だが、やはり並んでいるとスタバを選んでしまうのはブランドが刷り込まれているからだろうか。

今では少々手狭な点も多くなってしまったが、スターバックスといえば、コーヒーの味わいだけでなく、ゆったりとした店内空間も商品のうちだ。そこではおしゃべりをする人以上に、読書や勉強、仕事というような個々人の時間を過ごしている人々が多いことも特徴だ。その風景はこの10年あまりで完全に定着したといっていいだろう。
と、思っていたらそうでもない場合もあるようだ。

「ここ空くのかい?」原稿が一区切りしてそろそろ退席しようかと、マグカップのさめた最後のコーヒーを口に含んだ時声をかけられた。
60代半ばとおぼしきの白髪の男。ベージュのブルゾンにウールのパンツ。手にはセカンドバック。あまりおしゃれな感じはしないが、カジュアルさ加減はリタイヤ組か。
「あ、はい。」ちょうど席を立とうと思っていたところなので、返事をして片付けを始める。パソコンをシャットダウンしながら、資料をまとめ、アタッシュケースにしまおうと知る。
ふと男を見ると、目が合ったのを合図にするように「早くしてくれないか。こっちは時間がないんだ」と言う。
せっかちなやつだなと思い、資料をしまうも、パソコンをスリープではなくシャットダウンにしてしまったので少し時間がかかってしまう。
すると男は追い打ちをかけてくる。「何をパソコンなんかやっているんだ。ここはコーヒーを飲むところだろう。人の迷惑を考えろ!」。
ちょうどパソコンの電源が落ちたことだし、無用なトラブルを避けたいので黙って席を立ったが、どうにも間尺に合わない気持ちで一杯になった。


ふと考えると前回のトラブル、新幹線で弁当を広げた際に、「食べ物のにおいをさせるな」と言われたことと通底する部分を感じた。
今回のスターバックス。男は「スターバックス(喫茶店)はコーヒーを飲むところであり、パソコンをするところではない」という主張だ。前回の新幹線のビジネスマンは「新幹線は食事をするところではない」という主張。
しかし、周りを見回せばスタバでパソコンを開いている人間は他にもたくさんいる。新幹線車中でも駅弁を開いている人は数多い。
本来的には喫茶店は「コーヒーを飲む空間」、列車は「移動のための空間」である。しかし、原理原則だけではなく、世の人々は時と場合に応じてcommon senseを形成し、お互いに許容しあって暮らしているのが現実だろう。それは新幹線のビジネスマンも、スタバの初老の男にもわかるのではないだろうか。だとすれば、「俺の周りではやるな」ということか。

自分の周りを絶対空間として、自分のルールを押しつける。スタバでも、新幹線でも筆者はあえて反論しなかったが、言われた方もまた、絶対空間を持って抵抗すれば確実に衝突、トラブルになるだろう。
最近、世の中には些細なことで発生するトラブルが多い。ひどい場合は傷害にまで発展している。なにやらcommon senseの崩壊と、許容性のない絶対空間を持った人々の増加を表しているように感じる。まして、昨今流行のKY、「空気読め」はどうだろうか。周りの空気やその場で求められるcommon senseに適合できなかったとしたら、それは本人の問題もあるだろうか、許容性が極度に低く、自分の絶対空間を主張する人間にKYを振りかざされたのではたまらない。

今回の原稿はどうにもオチが付けられないが、人々、もしくは人々全体でないにしても、許容性が低下しているのは確かな気がする。その解決策は思いつかないが、少なくともそうした人々が増加しているとしたら、より無用なトラブルを避ける自己防衛をするしかないのが悲しい現実なのだろう。


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Comments

今回の初老の男とのケースは、金森氏の気配りというか一言で、
簡単に解決したのではないかと感じました。新幹線の場合と違い
長時間居合わせる訳ではないので、コミュニケーションによる説明
で対応する方法もあったと思うんですよ。確かに周囲を気になるという気持ちも分かります。そして、意味不明になるかもしれません
が、この一言が最近足りないと感じています。
 
ジェネレーション・ギャップがあるのは仕方ありません。
純喫茶から始まった従来の喫茶店のイメージと同じ感覚で初老の
男は利用しているのでしょう。近年の改革の影響で資金難により
閉店に追い込まれた従来の喫茶店からブランドチェンジを迫られ、
出店数の多いスターバックスを利用するようになったと容易に想像
できるからです。最近は、このスターバックスにも老人の姿が増加
傾向にあるようです。そして、喫煙率の比較的高い、その世代も
ターゲートとして、お店側も認識している様子で、最近は喫煙席も
設けられている、お店もあるようです。それにしても、上野駅界隈の
出店数の多さには驚きました。ちょっと歩くと、もう一店舗・・・発見。
 
とにかく老人が増え過ぎました。日中は不良中高生か老人かって
くらいに街中に蔓延っています。うまく付き合うか、思い切って、
思いの内を開示するか、戦うのか、どれを選択するかと言えば、
自分は、前者が一番良いと思っています。お互い同じ言葉を持った
同じ人間なんですから。当たり前のことです。コミュニケーションが
大切ではないでしょうか。

Posted by: たぁ坊 | 2007.11.27 10:38 AM

スタバの利用者の世代間ギャップに加えて、Common senseの問題が複合的に絡んできているでしょうねぇ。。

サービス提供者サイドからすると、絶対に本音としては言えないことですが、利用して欲しい客層と言うのが当然あります。ブランドイメージ保持のためにもある一定の雰囲気と言うか、客の人となり的なものを含めて、こう言うレイヤー、若しくはこう言うセグメントに利用して欲しい、と言うのがある筈です。

一昔、日本では女子高生がBurberryのマフラーを皆巻きました。Burberry(と言うか三陽商会)としては商品が販売されることによる売上増加はあるにしても、明らかに購買力のあるレイヤーではない女子高生が無闇矢鱈にチェックのマフラーを巻き、その女子高生のレイヤーが売春やら何やらと問題の起こす世代とマスコミが騒ぎ立て、その結果、

Burberryのマフラーは女子高生のアイコン ⇒ Burberryのマフラーの相対的な価値低下(絶対的ではないです)

を招きました。本来、アパレルとしては、クロスセルを視野に入れると望んでいるレイヤーではなかったことは明らかです。ただ、サービス提供サイドとしては、チャネルである程度コントロールできるものの、バッタ物の横行により、ブランド管理が適切に行える範囲を超えていたため、手の施しようがなかったとも言えます。

今回のスタバのケースで言えば、スタバサイドとしては、コーヒーが売れればそれで良い、と言うことではなく、ミッションステートメントとして、本来掲げているスタバ店内での雰囲気などを含めた、〝場〟若しくは〝エクスペリエンス〟の提供ができなかった訳です。通常、フロアには、特に混雑時には、バリスタが立ち、交通整理的なことをします。予算の関係上、そのようなフロアを取り仕切るスタッフを設置できなくなってきているのかも知れませんが、スタバとしては、ヘビーユーザーや本来望むセグメントに心地良く利用してもらうためには、そういった努力が必要となってくるでしょうねぇ。。。

Posted by: KEN | 2007.11.27 12:06 PM

えー、一言足りない(?)金森です。
うーん、その場に適応したナイスな一言をご教示いただければ幸いです。
修行が足りないもので、売り言葉を買ってしまわないようにするのが精一杯でした。
まぁ、買っていたら記事中に記したように新聞ダネになっていたかもしれないので、自分としては合格かなと。

今回は「オチがない」と宣言しているように、スタバも思惑通り客を選べないし、来店客も同じ空間に入ってくる、従来いなかったストレンジャーを排除できはしない。
とすれば、トラブル回避をしつつ、いずれの哲人か賢人が回避策を考案してくれるのをとしては祈るのみです。

Posted by: 金森 | 2007.11.27 11:18 PM

スタバは出店数が増えたのが祟って、一部店舗ではジリ貧状態に
陥っています。昨日のマックの話ではありませんが、同じブランド
の店舗が乱立して問題が生じても売上下降は店長の責任になる
ので、本部の許可の上で、いろんな策が採られるんだと思います。
 
その一つに老人の囲みいれがあるようで、新聞か雑誌でその旨の
記事を拝見したことがあり、さらに自らの経験も鑑み先のコメントを
したんです。
 
どれだけブランドイメージが大切だと言っても、そのブランドが意識
されなくなったときには、最後は売上さえあれば良いということに
段々経営者の考えはシフトして行くのだと思います。そう考えると
ちょっと悲しいですね。落ち着いた高級なイメージで一世を風靡した
スタバが低迷期に入っている一つの証拠が金森さんや自分を含む様々な経験な訳ですから。

Posted by: たぁ坊 | 2007.11.28 10:56 AM

スタバは一時、大量出店で業績悪化し、その後全体としては復活しましたが、その頃から「スタバらしいスタバ」がなくなったように思います。
狭い店内に座席を詰め込んだ様はまるでドトール。
最近のエクセルシオールカフェの方がゆったりしている所もあります。
店内空間も商品のうちのはずなんですが。

あ、論点はスタバではなく、変わる人々のコモンセンスなのですが・・・。

Posted by: 金森 | 2007.11.28 12:46 PM

>ナイス一言
これは・・・小生の考えを述べますね。

これは「コトバ」では解決しません。
恐らく、先生が感じておられるように、この老人にしても、
前回の東海道鰻事件の人にしても、彼らのセンスというものは
(この記事を見て違和感を覚える)私のような読者とは、明確に異なります。
つまり生きているベースメント、パラダイム、道、そういったものが違うように感じます。

今回、彼らが発した反応=アウトプットは、
彼らの人生経験=インプットの中で生み出されたものであると。
個々人の価値観・経験は人によってバラバラですから、恐らくそうした異なる価値観を
どうにかして繋げられないか・妥協点を見出せないか・共存できないか
そういう調整活動が、今回で言う「コモンセンス」という言語の
存在意義かなとも思いました。

言わば今回の方々は、そもそもこうした「調整活動」の価値を
否定しているのではなかろうか、というのが小生の視点です。
なのでコトバでかわすはキツいんじゃないの、と。

ただ、そういう価値観に至るまでには(偏見が含まれますが)
苦労なり、何かなりをしてきたのだろうとも思うのですね。
その辺りに触れられればまた違うのかなと思った次第です。
そのメディアはコトバではないんじゃないの、ということであります。

Posted by: G名古屋壱号 | 2007.11.28 05:59 PM

あの世代と仕事で長年過ごしてきたことがあります。
しかも、役員たちで、普通と違う雰囲気が漂っていました。
 
従って、同じような話は実に沢山の経験があります。
 
正に名古屋壱号さんのおっしゃる通りで、自らの視点経験でモノを
言います。特に、地位を極めた人に多いようで普通の人の場合は
話せば、「最近の若い奴は・・・・」っていう一言はおそらくあるかも
しれませんが、無理やり事情は理解してくれます。つまり、言葉が
メディアとして成立する実体験があるんですよ。
 
地位のある人がリタイヤすると嫌われるのは、この点なんです。
でも、自分の方が優秀だと理解する努力に欠ける人種が多いんで
困るんですね。年少者としては。
 
金森さんの話題に関連する例として挙げると、驚きますよ。
もちろん、前者の例です。インターネット常時接続が許せないと、
20歳の社員に言い放った訳です。豆にモデムの電源を切れと。
それに対して、止せば良いのに、若者は、こう切り返したんです。
 
「常時接続で契約すれば、課金は同じです。消費電力だって
 微弱なもので、月に、そして、年に換算したら、いくら違うんで
 しょうか。それで、よくも役員やってますね。」
 
そう言ったんです。当然、役員からのイジメが始まり、その後は
労組の役員に若年ながら立候補して対抗する始末で困ったのを
思い出しました。自分に言わせれば、「コモン・センス」がない
両者はどっちもどっちです。要は、中間管理職の気持ちにならない
とダメってことのようで、それはそれで肩身が狭い気もしています。

Posted by: たぁ坊 | 2007.11.28 06:58 PM

私の伝えたかったことは、「言葉も通じない、端的に言えば意味自己中心的な人々の増加」です。
なので、やはり言葉では共有出来ないと思います。
今日は「非言語」のコミュニケーションについて書いたつもりです。
まぁ、共有出来ない人々とは言語でも非言語でもやはり無理なものは無理だと思いますが。
困った事です。

Posted by: 金森 | 2007.11.29 07:27 AM

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