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2007.08.22

中華航空機炎上:基本の励行なき奇跡は続かない

「奇跡の」「間一髪」という文字が紙面に躍る中華航空機炎上からの脱出劇。
結果として「90秒ルール」は守られた。
90秒ルールとは、米連邦航空局が制定した「機内の全非常用脱出口の半数以内を使って90秒以内に、乗員・乗客全員が脱出できるような機体の設計を航空機メーカーに求る」としたもので、欧州各国や日本も準じたルールを取り入れているという。

全員無事という、奇跡の結果はありがたいことだが、個人的にはこの90秒ルールが守られたこと自体が一番の奇跡だと考えている。
ここしばらく、航空機に乗る度に「危ないな」と思っていたことがあるからだ。

以前だと客室乗務員が機内のアナウンスに合わせ、安全確認のデモンストレーションを行っていた。
通路で非常口の場所を指し示したり、非常灯の説明。シューターからの脱出姿勢や、救命胴衣や酸素マスクの着用法などだ。
いつしかそれは客室内のスクリーンにビデオが投影されるだけになり、省略された。
しかし、実態は誰も見ていない。
シートポケットの安全のしおりを手に取る人もほとんどいない。

先日の夏季休暇中に、ハワイ・オアフ島とハワイ島をローカル線で移動した。
その時は客室乗務員は、先に記したデモンストレーションを通路でやっていた。
実際、人間が実演するのと、ビデオが投影されるだけなのとでは、乗客の注目度が全く異なる。
乗り合わせたローカル線の乗客の視線は、きちんとデモンストレーションを行う乗務員に向けられていた。

「どうせそんなものを見ても、墜落したら助からないんだから」という半ば諦念もあるのかもしれない。
しかし、今回の事故のように脱出の際のスムーズさが生死を分けることもあるのだ。
果たして、中華航空機が客室乗務員のデモンストレーションを行っていたのかは分からない。
そうでなければ、今回の迅速な脱出劇は正に「奇跡」なのかもしれない。

マーケティングの分析作業でもそうだが、慣れてくると本来の手順を省略して結論を急ぎたくなる。
習熟度が上がれば、それでもさほど問題は起きないが、時として大事な部分でモレ・ヌケが発生し、
結果に大きく影響して痛い目を見ることもある。

やはり何事も基本の励行が重要なのだ。

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Comments

金森本人コメントです。
読者の方からメールを頂きました。

>安全指導は、画面と同時に複数のスチュワーデスが必ず通路でデモンストレーションしています

とのご指摘でした。

ただ、どうもしばらく前から記憶を辿ってみても、デモンストレーションの姿が思い出せません。
画面を何となく眺めてしまって、実際のデモを見ていないのでしょうか。
(画面すら見ていない人も多いですが)
また、「そういえばでも見ていない」「夏休みに複数の航空会社に乗ったが、デモがなかった」という声も頂いています。

金森も次回、搭乗の際に確認してみます。
他にお気づきの方、いらっしゃいませんでしょうか。

ただ、デモが行われているのにみんなの記憶に残っていない。
それは、注目させられていないということではないでしょうか。

デモが行われているのに、乗客に注目を喚起していないのはもったいないことですね。
「90秒ルール」は機体設計に関するもの。その効果は今回の中華航空機で実証されたことになると思います。
では、さらに機内での運用も徹底すれば、さらに安全は確実なものになるのではないでしょうか。

興味がさらに出てきたので、航空会社にも質問をしてみようと思います。

Posted by: 金森努 | 2007.08.24 09:42 AM

再び本人コメントです。
日本の航空会社大手2社に問い合せのメールを送ったところ、
1社からは、
「ビデオスクリーンのない機体では、デモンストレーションを行っている」
もう1社からは、上記に加えて、
「スクリーンが見えない角度の座席付近では実演を行っている」
という回答がありました。

ご指摘のメールをお送りいただいた方は、上記のいずれかの条件でご覧になったのかと思います。

だとすれば、ビデオへの注目をさらに促すか、デモンストレーションを復活させた方が安全面からすれば良いのではないかと思います。

Posted by: 金森努 | 2007.08.27 05:27 PM

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