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2007.07.25

最近気になること:災害だけではなく事故も忘れた頃にやってくる

最近気になることを少々。
先日、道路公団の方と知り合いになった。普段どんな仕事をしているのか詳細には知らなかったので、中々興味深いお話を伺えたのだが、気になるのは、各種報道でも聞いていた、シートベルトの着用率の低下である。中でも子供の着用率低下が気になる。
読売新聞が7月11日に報じた所によると、「警察庁と日本自動車連盟(JAF)が今年5~6月に行ったチャイルドシート着用状況の全国調査では、着用率は46・9%にとどまり、合同で調査を始めた2002年以降では最低となった。」とのことだ。
同紙によれば「非着用の子供の致死率は、着用していた場合に比べ約9・8倍に上る」とのこと。
数字にして示されれば「着用しない理由がない」ように思える。

しかし、少々腑に落ちないのが逆に子供用の自転車同乗のための安全器具はどんどん進化・普及している事だ。
金森の自宅前の交差点は東京で一番自転車の交通量が多い交差点であると以前も紹介した。朝などはまるで十数年前の中国のようだ。
当然、自転車の接触事故や転倒などもよく起る。それ故の、地域独特の防衛策なのか。
親の自転車に同乗している子供のヘルメット着用率はざっと7割近いのではないか。娘が自分で自転車に乗る前、自転車のチャイルドシートに乗せていたほんの5~6年前はほとんど見なかったのだが。
調べても情報が見つからないのだが、確か東京都かどこかの団体がヘルメット1つに付き1,000円ぐらいの助成金を出していたような気もするが、だからといってそれだけでそんなに普及するものなのだろうか。
また、荷台に取り付ける自転車用チャイルドシートも子供の背当て部分が強化され、高くなり、首や頭の部分まで保護するような形状になっている。頭の横側までフレームが回り込んで、しかもクッションパットがついたものまで登場している。
そうした製品はメーカーが上市している以上、一地域限定モデルではなかろう。

車のシートベルトは子供の着用率が減少し、自転車の安全装備は強化され、どんどん普及している。この違いは何だろう。同じ子供を護ものであるにも関わらず。
考えてみると、それは恐らく「発生頻度」ではないか。
交通事故を起こす、または巻き込まれる。そうめったにあるものではない。加えて、ここ数年来、警察庁の発表によれば、平成9年から18年で死亡者は全国で9,640人から6,352人へと約34%減だ。
「万が一」の感覚が希薄になってはいまいか。
それに対して、自転車乗用中の交通事故死亡者数も減じてはいるものの、自転車同士の接触・転倒や、自損事故などはしょっちゅう目にする。荷台に載せられた子供も結構な勢いでダメージを負っている。
今年3月に警視庁はやっと重い腰を上げ、取り締まり強化に乗り出したほど、無謀運転の自転車も増加している。
要するに、車の事故は減り「まさか私が」という感覚が蔓延し、それに対して自転車事故は頻繁に起り、増加傾向にすらある。その差が安全装備に対する差に出ているのだろう。

金森がよく引合いに出す、E.M.ロジャースの「イノベーション普及学」にある「普及速度の5要件」に「観察可能性」というものがある。
観察可能性とは、「目に見えない効果ではなく、明らかに効率が上がるもしくは質が向上するなどの効果が観察・実感できる」という条件である。
目の前で事故が起り、子供が重篤な状況になっていることを見る機会などめったにない。しかし、自分自身が自転車で転ぶ。うっかり目を離して、止めておいた自転車が転倒し、子供が荷台から投げ出される。子供が泣く、怪我をする。そちらは日常茶飯事だろう。
目に見えないものは信じない。採用しない。人間の心理ではある。しかし、減少しているとはいえ、事故は起る。弱いものの命から先に危険にさらされていく。

目に見えないからシートベルトを着用しないのであれば、いっそ、免許の書換でみせられるような事故の写真やビデオをもっと頻繁に見せる機会を作るべきなのか。ところが、その写真やビデオさえも、免許更新期間が年数が長くなっているため見る機会が減っている。
緩んだ危機意識を再び喚起させることは難しいものである。
当Blogで指摘しているように、近頃とみに箍が緩んできているこの社会においては。
自分にできることは、少しでも気になったことについて警鐘を鳴らすことぐらいか。


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