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2007.06.12

サントリー「黒烏龍茶」のサンプリング施策

冷蔵庫に日本ハムの「水餃子」があった。自家製した中華風のスープに入れれば、水餃子に変身する。主婦にとっては、作りすぎたスープの目先を変えるに便利なものだろう。
そのパッケージに何やらシールが貼ってある。「黒烏龍茶1ケースプレゼント」だそうだ。
そういえば、先週の日経MJに製品サンプリング・タイアップ花盛りというような記事が一面トップに掲載されていた。
特に、サントリーの「黒烏龍茶」はラーメンチェーン店など、「脂っこい外食」とタイアップして、店頭でサンプルを配布しているようである。
だいぶ前であるが、サントリーは飲料「DAKARA(ダカラ)」登場期に、「老廃物の体外排出」という新たな切り口をアピールするため、一杯飲んだお父さん達に街頭サンプリングを行い、大成功の一因となったという逸話もある。
サンプリングはまさにサントリーの「お家芸」でもあるのだろう。しかし、食品メーカーとタイアップして、プレゼントキャンペーンまで仕込むとは、きめ細かい。
水餃子といえば、焼き餃子ほど油は使わないが、少しでも「脂っこいものを食べた時には、黒烏龍で油の体内吸着を防ぎましょう」という徹底した刷り込みには有効だろう。
特にサントリーは飲料といえば、高収益が確保できる「特定保健食品(特保)」に全力投球している。
ところが、特保飲料で最初に注目されたのは「花王・ヘルシア緑茶」。高濃度カテキンにより、体脂肪率を減少させるという効果に注目が集まり、継続して効果を上げたユーザーも多い。しかし、あまりにも飲みにくい味に挫折した人も少なくない。(金森もその一人)。
「効果がある」はマス広告でも十分訴求できるが、本当に飲み続けられる味であるかは、実感できない。また、試行するには勇気がいる。そこでサントリーは、まずはサンプリングで一度飲ませ、抵抗感を払拭することに注力しているのであろう。事実、黒烏龍は「ちょっと濃いめの烏龍茶」といった感じで、人にもよるであろうが、金森個人としてはむしろこちらの方が美味しく感じる。

さて、こうした「サンプリング(お試し)」という手法はマーケティング的にも、社会学的にも極めて正解であることが分かる。
消費者の購買行動の態度変容プロセスを表すものとしては「AIDMA」が有名であるが、「AMTUL」というものもある。
AIDMAは、Attention(注目)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)(Motive:動機付けとの説もあり)→Action(購買行動)である。
AMTULは、Attention→Memory→Trial(試用)→Usage(使用)→Loyal(愛用)であり、特に試す→本格使用→継続的な愛用という、「試用」を重要視するモデルである。

一方、金森の好きな、E・M・ロジャースの「イノベーション普及学」にある、「イノベーション普及速度の5条件」にも、「試行可能性」というものがある。未知の新しい存在を受入れるためには、「お試し」という要素が必ず必要であるという考え方だ。
さらにこの「普及速度」のもう一つの要件である「両立性」も実は「黒烏龍」はクリアしている。「両立性」とは、「今まで慣れ親しんだものからすぐに完全代替するのではなく、(当面は)両方を使い続けることができること」である。つまり、(ちょっとだけ高いが)飲みやすい、またはむしろオイシイ黒烏龍であれば、普段は普通の烏龍茶もしくはお茶系飲料を飲み、その気になった時、あるいは「脂っこいものを食べた」という自覚がある時に飲むという両立性が確保されているわけだ。

何だか、サントリーの片棒を担ぐような本日の記事になってしまった。まさかこのようなネットでの口コミまでを狙っているのではないだろうが、ともあれ、金森は今日の昼食後にも黒烏龍を飲むであろうことは間違いない。

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