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2007.06.22

金森努の「定番のヒミツ」第5回

昨日は少々政治色が強かった(?)ので、週末に向けて今日はお気楽ネタで。

日本実業出版社の季刊誌「ザッツ営業」好評発売中です。

ザッツ営業 http://www.njh.co.jp/that/that.html

同誌に連載中のコラム第5回が掲載されています。

今回はいささか強引ですが、「江戸和竿」です。思いきり金森の趣味の世界です。
本誌には自宅近くにある有名な職人さんにもご協力いただいて、写真が載っているのです。
以前、文中にある「タナゴ竿」を一本作っていただきました。
「竿しば」のご主人、芝崎稔さん。
03-3696-0848 です。 ご興味のある方は是非。


以下、転載。

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金森努の「定番のヒミツ」第5回
「“江戸和竿”に“使い手への心遣い”を学ぶ」
世の中には常に売れ続ける「定番」と呼ばれるものがある。なぜ定番は売れ続くことができるのか。当連載はその謎をマーケティングのセオリーから考察する。


前回、モンブラン社の万年筆を例に、工業的なスペックでは表せない価値である「知覚品質」について述べた。今回もその「知覚品質」にスポットを当ててみたい。

筆者も多少釣りを嗜むのであるが、釣りの世界では、ここ数年「たなご釣り」が静かなブームとなっている。理由はどうやらブラックバスなどの外来魚に脅かされ、失われようとしている小さな魚の生息に対する憐憫と懐古の情にあるようだ。さらに好事家は、その釣りを職人の作った「和竿」で楽しむ。というわけで、今回は江戸時代中期からの「定番」、「江戸和竿」である。

今日の一般的な釣り竿はグラスファイバーでできており、多少乱雑に扱っても折れることはまずない。メンテナンスも簡単だ。多くは中国製であり、1,000円ちょっとから購入できる。一方、「江戸和竿」は各種の天然の竹を使って作られる継ぎ竿で、基本は顧客の使用用途と、しなり具合など、求める使い勝手に合わせたオーダーメイドだ。当然、一般の竿に比べれば非常に高価であり、手入れにも気を遣う。しかし、職人の数も随分減ってしまった今日、それに人気が集っているのである。

両者の決定的な違いは「味わい」である。カーボンの竿は、あくまで魚を釣るための「道具」であり、使い心地は「可もなく不可もなく」といった感じだろう。
和竿愛用者の中でも、たなご釣りの愛好家が一番和竿を用いる人が多いようだ。とりわけ小さな魚である、たなご。その微妙な感触を、職人がいかに釣り人の求める感触で伝えるか竹を選び、工夫し抜いて作った竿で楽しむ。実は和竿で楽しむたなご釣りは、「魚を釣り上げること」だけが目的ではなく、「その竿を使うこと」も目的なのだ。
単に多く魚を釣だけなら、工業的スペックに優れた道具を用いればいい。しかし、ほんの数センチしかない小さな魚とのやりとりを楽しむには、スペックで表せない「味わい」である「知覚品質」が重要なのである。そしてその陰には、釣り人にいかに「味わい」を感じられるかを工夫しぬいた職人の「心遣い」が隠されている。
「モノが売れない」と嘆く前に、その使い手のことをどこまで考え抜いたもの作りをしているかを見直してみたい。「売る」というセールスの現場においてもまた同じである。


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