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2007.04.19

美観と郷愁と利便性と・・・都市計画にもっと住民の声を

4月17日の日経夕刊一面コラム「あすへの話題」。
先日、当Blog「私的桜論」で、金森が「花見に対する考え方」で異論を呈した論旨を展開された教授が今度は「都市景観の美しさ」について論じられていた。
(今回はお名前を出させていただきます。国際文化研究センター教授の白幡洋三郎先生です)。

曰く(一部引用)<・・・つい先日京都の祇園町を昼間歩いた。メーンストリートの花見小路から電柱が消え、すっきりとした街並みが出現していた。けれどもどこか舞台の書き割りのといったよそよそしい印象で、ちょっと角を曲がった電柱が並ぶ路地に入ってはじめて「ああ祇園に来たと感じた」>
「花見」を巡っては持論と異なったが、今回は、先生の説に全面的に賛成だ。
「電線地中化」は国土交通省の公共工事における目玉の一つとして未だ各地で繰り返されている。金森も下町出身故、子供の頃から見上げれば蜘蛛の巣状に電線が空を覆った細い路地で遊んでいた。また、現在の近隣地区もまだ地中化されていないところが多い。しかし、何ら不都合はないし、むしろそれが自然な日常の風景である。
先生の主旨は「ガーデンシティー」たるシンガポールを例に挙げ、「何でもかんでも整然とした西洋風の都市景観を尊ぶのはいかがなものか」という説である。金森もそう思う。

確かに、路上の電線、特に既定より低い位置に這わされた電線を車が引っかけ、悲惨な事故が昨今相次いだ。そうした状況は早期に是正されるべきであろう。
しかし、「景観」という観点から考えれば、「何が美しくて、何が美しくないのか」「猥雑な風景はいけないのか」といったことは、個々人の価値観で異なるだろう。
白幡教授と金森の「花見論」が異なったのも、甚だ個人の価値観の違いによるところが大きかっただろう。
とすれば、「都市景観の価値観」は(当然安全面の担保は最低条件であるが)そこに住まう住人の価値観及び利便性が優先されるべきであろう。

銀座の建物高度制限は、松坂屋の高層化を巡って随分と論議がなされたが、結局は多くは銀座で商業を営む人々の声で高度制限が設けられたことは記憶に新しい。「自主ルール」が作られたわけである。
しかし、問題は都市景観や街並み・道路の改修などは、住民の意見が吸い上げられる前に、かなり綿密な計画は固められ、「これでいいですね!」とばかりに行政側から確認の儀式だけが行なわれ、その後は凄まじい勢いで工事に突入していく。

実は金森の住居前には二つの幹線道路をまたぐ、巨大な歩道橋が架かっている。それが、一方の幹線道路を立体交差化することになり、撤去することとなった。
その立体交差化に関しては、前述のような「儀式」としての住民説明会が数回開かれたが、既に綿密に練られた計画と、「そこに住まう住民のためでなく、道路を利用する全ての人の利便性向上のため」という大義名分の前には反対意見をはさむ余地は既になかった。

確かに、昔は「歩道橋下は自転車のみ通行可で、歩行者は歩道橋を渡ること」となっており、走って横断すると警官に怒られ、「人のための道路ではないか。なんと理不尽な。」と憤ったこともある。
しかし、数年前、区議(確か民主党)が頑張って、横断時間を調整するなどして、人も自転車も通れるようになった。それでも、急ぐときには歩道橋を駆け上がれば早く横断ができるなど、時々に応じて便利に使われていた。

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「住民説明会」の前に通行量調査もやっていたようなので、「利用者も少ないので、撤去」という理由も付けやすかったのだろう。しかし、「普段使わずとも、必要なときに利用する」という住民は多かった。
そのあたりの意見を吸い上げずに、数字だけでなぜ判断するのか。
加えて、「景観」の論に戻せば、決して美しくはないかもしれないが、子供の頃から見慣れた、「巨大な歩道橋のある交差点」は既に見慣れた風景であり、たまにそこに登って四方に行き交う車眺めることも好きだった。

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その歩道橋が一昨夜、ついに解体されはじめた。数ヶ月後には、その歩道橋を遙かに上回る立体交差が空を覆うことになる。
工事の総額は確か35億円あまりだったと記憶している。誰のための35億円なのだろうか。
「景観」で考えれば、歩道橋にあがりさえすれば望めた空は、もう失われることになる。変わって、眼下に見下ろした車は頭の上を通行していくことになる。どうにもなじめない景色に変貌していくことになるのだ。

「日本橋に空を」ということで、日本橋の上に架かる高速道路を地下に移す大工事の計画は、その後どうなったのかニュースを追いかけていないのでわからない。
しかし、日本橋には空を取り戻しても、下町からは空が失われていくのだ。何ともやるせない。


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