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2007.03.28

「"仕事PM"で時間管理を励行しよう!」

日経BizPlusの連載が更新されました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm

前回は「マーケティングのど真ん中・直球勝負」でしたが、今回は「戦略論の定番を元にした”変化球”」のつもりです。
とはいえ、いつものごとく、実体験からの発想ではありますが・・・。

では、ご覧ください。


----------------<以下バックナンバー用転載>---------------------

 大阪出張の帰りの新幹線車中でこの原稿を書いている。行きの車中から執筆を始めたかったのだが、新幹線が東京駅を発車すると同時に不覚にも熟睡。隣席の男性が降車支度を始めた気配でようやく目覚めたものの、既に名古屋の手前であった。車中で済ませたい仕事は他にもたくさんあったのだが、眠さには克てず。「軽くまどろむ」というレベルではない、「気絶」に近い感覚とでも言うのだろうか。

 今改めて周りを見回しても、「気絶者」が大勢いる。前日の仕事の疲れが取れていないのだろう。斜め前の男性は頭がガックリと通路にはみ出し、カートを押す車内販売員の女性が困っている。それにしても、日本のビジネスパーソンは、どうして皆こんなに疲れているのだろう。

■「ホワイトカラー・エグゼンプション」は見送られたが・・・

 大きな論争を呼んだ「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」だが、「労働時間規制がなくなれば長時間労働を助長する」などと労働者側の反発を招き、今国会での法案提出は見送られた。日本人の働き過ぎは、新幹線車内の「惨状」を見ればよく分かる。

 ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されれば、時間の使い方や配分は個々人の判断に委ねられ、賃金は労働時間ではなく、成果や能力で決まる。企業の国際競争力の観点からは、長時間働く日本のホワイトカラーの生産性(仕事の効率)の低さも問題になっている。ホワイトカラー・エグゼンプションが今後どうなるかはわからないが、上司や会社の命じるままひたすら仕事をこなすのではなく、自らの意志で仕事に取り組んだり、労働時間を管理したりすることが重要になっていくのは間違いないだろう。

 そこで今回は自戒の念も込めて、自律的な働き方が問われる時代の「時間管理術」を考えてみたい。


■プロダクトポートフォリオマネジメントを思い出してみよう

 自己の保有資産をいかに効率的に運用するかという意味で使わる「ポートフォリオマネジメント」(PM)。1960年代、ボストンコンサルティンググループがこれにプロダクトライフサイクルの考え方を取り入れて開発したのが、「プロダクトポートフォリオマネジメント」(Products Portfolio Management=PPM)だ。

 一度は見たり聞いたりしたことがある人も多いだろう。有名な四象限のマトリックスは図1の通りである。

1_4


基本的な考え方は以下の通りだ。


●問題児…… 成長率が高いものの、市場占有率が低く成長の可能性は未知数である。これを育てるには投資が必要となる。
●スター…… 成長率も占有率も高く、利益が上がっている状態だが、そのポジションを維持するためにはまだ適切な投資が必要。
●金の生る木…… 市場が成熟し成長率は低下しているものの、占有率は高い。つまり、投資も必要なく利益が上がっている状態。
●負け犬…… 成長率も占有率も低く、投資が回収できないため、基本的には順次撤退すべき状態。

 ここでの“キモ”は、「金の生る木」にはできるだけ手をかけず、生み出した“利益”を「問題児」に投資し、「スター」に育てていくことである。

 このPPMを自らの仕事の優先順位付けの方法として転用しようというのが、今回の筆者からのメッセージである。仕事に対する評価が労働時間の長さとは関係なくなれば、いかに時間を有効に使うかという“中身”が問われる。となれば、どの業務に注力するのかを意識的に取捨選択する必要がでてくるし、場合によっては「割に合わない仕事」は断るというようなシーンも出てくるだろう。それが「自己管理」だ。そのための判断基準作りにPPMを転用してみたい。仮に「仕事PM」と呼ぼう。

■自己の時間管理術=「仕事PM」を考えてみよう


 「仕事PM」を考える上で、自らの仕事における「市場成長率」は「その仕事の魅力度」と解釈できるだろう。「魅力度」の基準は人によって異なるはずだ。自分にとって「キャリア計画に欠かせない」「スキルアップにつながる」とか、単純に「やりがいがある」と解釈する人もいるだろう。一方の「市場占有率」は「実際にどれだけ会社(上司)から評価されるか」と置き換えてみよう。


2_2


 この定義に従って、各象限の仕事の意味を考えてみよう。「金の生る木」は、「仕事の魅力度」は低下しているものの、すでにルーティン化しており、かつ、一定の評価も得られる仕事であると解釈できる。だとすれば、その仕事は従来のやり方を見直してできる限り無駄を省き、時間をかけないことが肝要だ。「やりがいはないが、評価はされるので時間をかけざるを得ない」という考え方に固執しないこと。でなければ、評価は未知数ではあるが、「魅力度」が高い「問題児」の仕事を作り出せない。それ故「魅力も評価も高い」という「スター」のポジションの仕事を育てることができず、ひたすらマンネリ仕事の面倒を見るはめになり、モチベーションも一段と下がる悪循環に陥ってしまう。

 もう一度繰り返すが、PPMのキモは「金の生る木」にはできるだけ手をかけず、生み出した“利益”を「問題児」に投資し、「スター」に育てていくことである。「仕事PM」でも「金の生る木」は時間をかけず効率よく済ませる。そして、ねん出した“時間”を将来的に可能性を秘める「問題児」に振り向けていく。将来の「スター」予備軍である「問題児」を積極的に作り出すチャレンジ(自己投資)をしていくのだ。もちろん、評価が低く魅力もない、「負け犬=割に合わない仕事」はさっさとお断りである。

 実際の企業のPPMにおいても、「問題児」のポジションに製品が1つもない場合、将来性における大きな不安点として指摘される。「問題児」の不在は、次期「スター」不在につながり、やがて「金の生る木」が衰えたとき、全ての事業が「負け犬」になっていくからだ。変化とスピードの時代、「仕事PM」においても積極的に「問題児」にチャレンジして欲しい所以である。

 「そうは言ってもしがらみが・・・」「誰かがやらなければならない仕事だから」などと言っている場合ではない。「自己管理」の時代なのだから。新幹線の中で気絶状態にならないためにも。


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