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2007.03.05

販促会議 「質問編」顧客視点”入門講座 

販促会議の連載を掲出します。
BtoBについての第2回連続です。
3月1日発売の本誌では第12回(通算第24回)が掲載されていますので、連載終了です。
長い間ありがとうございました。
最終回は4月1日に当Blogにバックナンバーとして掲出します。

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第11回「B to Bマーケティングのキモ・その2」

 前回、読者の方からのご要望に応じて法人顧客向け(B to B:Business to Business)マーケティングの基本的な留意事項として、企業内に存在するDMU(Decision Making Unit =意思決定構成単位)を中心として解説した。今回もB to Bのその他の重要事項についてお届けしよう。

■見込み度を的確に把握せよ
 顧客が個人であった場合(B to C)でも、いわゆる「見込み度の把握」は当然重要だ。特にダイレクトマーケティングやCRMなどにおいては、個々の顧客の見込み度に応じたフォローや、最後の一押しを狙ったアプローチが極めて効果を発揮する。しかし、B to Bにおいて、見込み度の把握はさらに重要な意味を持つ。なぜか。それは、B to Bの場合、アプローチの多くを「人的販売」に頼ることが多いからだ。前回、B to Bの場合購買担当者は、企業の利益を目的として、計画的かつ合理的な判断の下に購買を決定すること。そしてその担当者は取引の内容によって、自身の業務評価にかかわる場合もあるため真剣であること。さらにその担当者の周辺には購買意思決定に影響を与える複数の関係者(DMU)が存在することを述べた。そのような環境の中で、購入者個人が納得すればよいB to Cとは異なり、広告や各種プロモーションなどの、いわば「空中戦」で購入まで踏み切らせることは難しい。売る側の担当者が、信頼され、説得し通してようやく契約にいたる場合がほとんどである。そうした「人的販売」は強いセールスパワーを発揮する代りに高コストになってしまうという弱みを持つ。だからこそ、適切に見込み度を把握し、その見込み度に応じた戦力配分(人員配置)を行わなければならないのだ。
例えば、まだ見込み度があまり高まっておらず、もう少し暖めなくてはならないような見込み客に対しては、毎回営業担当者を向かわせるのではなく、コールセンターからの電話と交互にアプローチを組み立てても良いだろう。その代り、見込み度が高く、もう一押しの見込み客には、価格交渉にも耐えられるような権限を持った人間を同行させることなども必要になってくる。その場合、「空振り」は許されないだろう。

■見込み度把握の判断基準とは
 では、どのように見込み度を測るのか。それには自社なりの「基準」を設定しておくことが必要となる。例えば、「見込み」=「ニーズ」であるが、そのニーズが相手先の企業で購入計画としてオーソライズしているものなのか、担当者個人が関心を持っているレベルなのか。また、それに関連して、購入計画に購買意思決定者が関与している状況なのか、担当者が上申しようとしている段階で、まだ決定レベルが低いのか。「いつまでに」という購入に向けたスケジュールが確定しているのか否か。購入予算がきちんと確保されているのか、これから予算取りをするところなのか。など基準となる指標はいくつか探せるはずだ。そして、営業担当者は接触する中で、それらの情報を収集し、見込み度を測ることが第一歩であると認識しなければならない。

■さらに「シェア」を把握せよ
 前項の内容は主に新規獲得の場合のポイントであるが、購入にこぎ着け、契約が取れて顧客化できたとしても、まだまだ情報収集を怠るわけにはいかない。既存顧客との取引においてキーとなる情報はいくつかあるが、その顧客の中での「自社シェア」を把握することは極めて重要となる。
例えば、自社の製品を年間1億円購入してくれている企業があったとしよう。そしてその金額は、トップクラスの上顧客であったとする。単純に考えれば「こんな良い顧客企業に納入できて、めでたし、めでたし」であるが、情報を収集してみると、同種の商品をライバル企業が2億円納めているという。さて、そうなると、第一にさらにライバルを追い出せば、さらに2億円のポテンシャル、合計3億円の取引ができるかもしれない。しかし、現在の所、ライバルの方が2倍の取引をしていて深く入り込んでいることになる。値下げをするなどして追い出そうとしてくるのはライバルの方が早いかもしれない。一気に取引がゼロになりかねない。と、いうように、自社の売上の数字だけで安心していると、大きな機会も脅威も見逃してしまうことになるので注意が必要だ。

■顧客企業内でのシェア向上を目指せ
 B to Cの場合でも同じく顧客の維持・育成によって上顧客、ロイヤル顧客化していくことは重要であるが、B to Bではそれは必須要件であると言えよう。なぜなら、冒頭述べたように、人的販売に依存度が大きいため、その企業に入り込むまでに多額の営業費が投入されているからだ。それを単発の取引で終わらせては、利益率がよいはずもない。前号で述べたように、DMUとしての購買部門は、取引コスト削減のために複数の発注先に競わせようとするだろう。しかし、それをかいくぐって取引先企業内でのシェア向上を目指していくことが求められる。
 ではどの程度のシェアを獲得することを目標とすればよいのだろうか。それは、取引先企業の考え方次第だ。取引先を絞り込んで優位な取引条件を引き出そうとする場合。した逆にコンプライアンスを重視して、特定の企業に取引を集中するのを嫌う企業もある。そのため一概には言えない。しかし、ある程度の目安をここで提示しておこう。通常は、市場全体におけるシェアとそのシェアを取っていることの意味合いを現わすものであるが、企業内シェアで考えれば、どの程度、安定的取引を継続させられそうの目安になるだろう。

「クープマンの目標値」といわれるものがある。それはシェアの持つ意味を大きく6つに類型化している。

①73.9%=独占的市場シェア:ほとんど安泰なシェアであり、よほどの事情がなければ短期間にシェアを逆転されることはない。但し、ほとんど寡占的な状況なので、前述の「特定企業に取引が集中している」と購買部門に目を付けられるという事態も考えられる。
②41.7%=相対的安定シェア:このシェアを取っていれば二位以下が逆転することはかなり困難なシェアと言える。実際の市場全体においては、このシェアを取っている企業はその業界のガリバーと呼ばれる企業であり、不動の地位を占めている。
③26.1%=市場影響シェア:このシェアではトップを取っていてもいつ、二位以下に逆転されるかわからない不安定な状況である。また、二位以下もそれがわかっていて、価格攻勢や新製品の上市、キャンペーンなどで影響を与えてくる。
④19.3%=並列的上位シェア:トップと二位、三位あたりまでが拮抗している状況が多く、常に入れ替えが起こっている状況と言える。その企業も、何らかの大きなアクションを起こして③の26.1%のポジションを取り、頭一つ抜け出すことを狙っている状況だろう。
⑤10.9%=市場的認知シェア:市場内でようやく認知されるギリギリのシェアである。企業内シェアで考えれば、その企業全体に取引先として認知されている最低限の状態であり、このシェアを失えば、当者の異動などと共に継続発注がなくなってしまうことも考えられる。
⑥6.8%=市場的存在シェア:市場において存在が認められている最低限のシェア。このシェア以下であれば、大手企業であればその市場から撤退を考えるレベルである。企業内シェアで考えれば、ほとんど一見の取引先であり、早く実績を重ねてシェアを拡大しない限り、継続的な取引先とは認められなくなってしまうと考えられる。

■水平展開を目指せ
 前述の通り、顧客企業と継続的な取引をし、さらに取引額を上げていくには、ただ足しげく通いつめるだけではダメだ。前述の通り、情報収集に注力することは言うまでもないが、その情報の中に、顧客企業内の他部門の情報を収集することも忘れてはならない。特に、相手の企業規模が大きく、また、購買部門などで発注が一元管理されていないような先であれば、それは貴重なビジネスチャンスをつかむことができる情報になるからだ。自社の扱っている商材が何かで、取引先の部門が固定されてしまう場合はやむを得ない。しかし、ある程度ビジネスにおいて汎用的に使用される、何らかのシステム(ハード・ソフト)、ビジネス用品、通信、サービスなどが商材である場合は、一つの部門に入り込み、そこから他部門の担当者を紹介してもらい、さらに取引部門を拡大していくといった活動が重要となる。しかし、そのためには、既に当連載で何度も述べているように、B to Cの場合の「顧客による顧客の紹介」は、満足度が最大化している場合でなくては起こりにくのと同である。即ち、顧客企業の担当者」から最大級の信頼を獲得していることが必須要件となるのだ。
B to BはB to Cと比べると、特殊な要因は多い。しかし、「顧客を中心に考えること」は同じであり、B to Cでの鉄則は同じように適応できることも数多いと認識することが大切なのだ。

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