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2007.03.09

追加版:どうもイタダケなく感じるAERAの特集

久々に「オモシロイ!」と感じたコピーに出会った。
200704_l


販促会議 2007年4月号(3月1日発売)の特集タイトル。

「大臣もよろこぶ!女性は消費を生む機会だ。」

いうまでもなく、”マシーン”柳沢厚労相を揶揄したものである。
ちょっと危ない気もするが、金森の感覚としてはギリギリセーフで、そのギリギリ感が面白さを感じさせている。


それに対して、AERA 2007年3月12日号の特集記事、
「DINKS 近ごろ肩身狭し」
はどうもイタダケナイ気がする。
(私はメディア批判はめったにしない人なんですけどね)。

http://www.aera-net.jp/aera/pickup.php

こちらはコピーの問題ではない。内容だ。

リードとして、以下のように続く。

少子化対策時代ですから
大きな声では言えませんが、ちょっと居心地悪いです。
ワーキングマザーたちが、すごくかっこいい感じになってるからです。
日本を救ってくれる、大切な存在だと、心から思ってます。ほんとです。だけど……。


一連の記事の論拠は<AERA編集部は2月下旬、株式会社インフォプラントの協力で、子供のいない30~40歳代の働く既婚男女200人へインターネットで調査を実施。「DINKSって肩身が狭くありませんか?」と問いかけ、男性95人、女性105人の回答を得た>となっている。
その結果、「子供のいないことで、肩身の狭い思いをしたことはありますか?」という質問に対し、「常に肩身の狭さを感じる:4.0%」「時々意識をする:47.5%」を合わせて<半数強が「肩身の狭さ」を感じると回答した。>としている。


・・・正確にに調査の質問項目全文を見ていないので何とも言えないが、<「子供のいないことで、肩身の狭い思いをしたことはありますか?」という質問>はリサーチ的には「誘導的な質問」ではないだろうか。
また、<「常に肩身の狭さを感じる:4.0%」「時々意識をする:47.5%」を合わせて<半数強が「肩身の狭さ」を感じると回答した。>は逆に言えば、「そうした経験はない:43.0%」「分からない:4.0%」「その他:1.5%」を合わせれば48.5%が「肩身の狭さを感じていない」事になる。その差3%。
たった3%の差でこんな大々的に特集記事を構成して良いのだろうか。
いみじくも、リード文で<少子化対策時代ですから>と書いている。「世論操作」とまでは言わないが、どうも不自然さを感じてならない。

特集の最後は<さて勝敗はいかに>という小見出しがあり、結論としては、心理学者の小倉千加子さんの言葉で「(前略)結局、トントンですよ」と締めくくっており、DINKS=負け組の烙印は押していないものの、全体の論調としては明らかに「DINKSもう古い」と感じさせる。

「誘導質問」的調査結果で、3%の差を持って「DINKSはもう古い」と感じさせる特集を組む。で、<少子化対策時代ですから>とくれば、もはや”マシーン”発言に近いと感じてしまうのは私だけだろうか。

私自身は専業主婦の妻と一人娘という家族構成だが、DINKSだろうが何だろうが、個人の価値観の問題なので、こんな特集自体の意義を感じない。
朝日は”マシーン”発言には随分厳しかった気がするが、それも完全に鎮火していない時期にこの特集とは、なんだかタイミング悪すぎという気がする。

------------------<以下追加部分>-----------------


コメントをいただいた内容に触発されて、以下の部分を追加します。

コメントありがとうございます。
おっしゃるように、「ファクト」と「メッセージ」の問題ですね。

良くある例ですが、ファクトとして「コップに半分の水が入っている」。
メッセージとしてはそれを「まだ半分も残っている」とも「もう半分しか残っていない」とも伝えることができるというヤツですね。

この特集を「イタダケナイ」と感じたのは、AERAのメッセージが私の考え方にマッチしなかったからでしょう。

ただ、この記事を読ませた上で、再度インフォプラントに、”子供のいない30~40歳代の働く既婚男女200人に対して「DINKSって肩身が狭くありませんか?」”という調査をしたらどんな結果になるのだろうと興味が出てきました。
記事に影響され「やっぱり肩身狭いよなー」という率が増えるのか、「そんなのこっちの勝手だろう!」と反発して「肩身は狭くない!」という率が増えるのか。

しかし、問題なのはこの特集によって、「あの夫婦、今時まだDINKSなのよ、くすっ」。とかいう差別的風潮が起らないか懸念されます。

実は記事中にQ1として「現在までチャイルドレスできた理由は何ですか?」というものがあり(回答は複数回答)、45%が「子供が欲しいが授からなかった」と回答。さらに27.5%が「経済的な理由から」。「年齢的に無理だと考えた」が、6.5%その他が15.5%あるものの、「子供が欲しくなかった」は27.5%だけなのです。

いわゆるDINKSは狭義で考えれば「子供が欲しくない夫婦」ではないのでしょうか。
それ以外の理由の「チャイルドレス」な夫婦までもが後ろ指を指されるようなことがあれば何とも気の毒でなりません。

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Comments

おそらく(というよりは間違いなく)、「DINKSはもう時代遅れだよね」というテーマ設定(いわば仮説)が最初にあって、その裏づけとして調査をやったということですよね。

質問自体は誘導的とは言い切れません。
しかし、明らかに上記仮説を肯定したいという思いが透けて見える言い回しになっていますね。(笑)

これは、テレビの例の捏造番組と同じ構図。
(この記事を捏造と言っているわけじゃないですよ)

問題は、調査結果をどう見るかですが、YES/NOが半々というのはどちらにも強調できる都合の良い数字でした。

ただ、標準的な解釈としては、半数、つまり2人に1人が肩身の狭い思いをしたことがあるというのは、現象としては多いという判断になると思います。

もちろん、たとえば調査結果でYESの人が30%だったとしても、おそらく、最初のテーマ設定に沿って、

「なんと30%ものDINKSが、肩身の狭い思いをしたことがあると答えた」

といった文章になったでしょうね。

Posted by: 松尾順 | 2007.03.09 06:41 PM

松尾さん、コメントありがとうございます。
触発されて、さらに考察した内容を本文の方に加筆しました。
ありがとうございました。

Posted by: 金森努 | 2007.03.09 08:30 PM

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