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2007.03.20

金森努の「定番のヒミツ」第4回

日本実業出版社の季刊誌「ザッツ営業」好評発売中です。

ザッツ営業 http://www.njh.co.jp/that/that.html

同誌に連載中のコラム第4回が掲載されています。

以下、転載。

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 世の中には常に売れ続ける「定番」と呼ばれるものがある。なぜ定番は売れ続くことができるのか。当連載はその謎をマーケティングのセオリーから考察する。


「最高峰の誇りをかけた新たなる挑戦 モンブラン」

 「モンブラン」と言えば誰もが知る万年筆の逸品である。1908年の設立以来、百年の歴史を持っている。ロゴマークでもあるキャップの六角形の白いマークは、ホワイト・スターと呼ばれ、ヨーロッパの最高峰モンブランに残る氷河を意味し、ペン先にはモンブランの標高である「4810」の刻印がなされている。

 そのモンブラン、最近ではウォッチ、レザー、ジュエリー、アイウエア、香水などファッション性の高い製品への進出が顕著である。これはマーケティングの世界では「ブランド・エクステンション」と呼ばれる戦略だ。

 ブランド・エクステンションとは、生活者に認知されている既存ブランドを元に、異なるカテゴリの商品やサービスに参入することを意味する。しかし、それは元となるブランドにとってはかなり危険な賭でもある。元ブランドとの関係が希薄な商品やサービスにそのブランドの名を冠することによって、ブランドの価値が希釈されてしまう恐れがある。また、新たに投入された商品やサービスが不評であった場合、ブランドが被るダメージは大きい。故に、既存ブランドの価値を守るために企業が新たな商品やサービスに進出する場合、別ブランドを新たに起こす場合も少なくない。

 では、モンブランは何故、ブランド・エクステンションという賭に踏み切ったのであろうか。ここから先は筆者の推測であるが、新規に進出した商品群も「最高峰」の名に恥じることのないような「最高品質」で勝負をしようという気概の現れではないだろうか。筆者も愛用している万年筆の代表作「マイスターシュティック」は、1924年の発売以来、今も高い支持を集めている。また、その存在は単なる筆記具ではなく、所有する喜びを与えてくれ、また、ひとたび文字を綴り出せば書く喜びを感じさせてくれる。恐らく、新たな商品群もそうした物理的な要素を超えた価値を提供してくれるのであろう。

 ブランド論の大家であるデビット・A・アーカーは工業的なスペックでは表せない価値を「知覚品質」という言葉で表している。技術の進歩はあらゆる製品をコモデティー化させている。これからの時代、単なるスペックでは表せない価値をいかに創造していくかが勝負となろう。

 それは「ビジネスパーソン」という存在が、いかに顧客に価値を提供していくかにおいても同じ事が言える。

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