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【マーケティング講座】

お勧めマーケティング関連書籍

  • 金森 努: 3訂版 図解よくわかるこれからのマーケティング(DOBOOKS)
    初めての人から実務者まで、「マーケティングを体系的に理解し、使えるようになること」を目的として刊行した本書は、2016年に「最新版」として第2版が発売されました。 それから6年が経過し、デジタル技術の進化やコロナ禍という大きな出来事もあり、世の中は既に「ニューノーマル」に突入しています。 その時代の変化に合わせて本文内容の改訂、新項目の追加や事例の差し替えなどを大幅に行ないました。
  • 金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)

    金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)
    「マーケティングって、なんとなく知っている」「マーケティングのフレームワークは、わかっているつもりだけど業務で使いこなせていない」・・・という方は意外と多いのが実情です。 「知っている」「わかっている」と、「使える」の間には、結構大きな溝があるのです。 その溝を、最低限の9つのフレームワークをしっかり理解し、「自分の業務で使いこなせる」ようになることを目指したのがこの書籍です。 前著、「最新版図解よくわかるこれからのマーケティング」は、「教科書」的にマーケティング全体を網羅しているのに対して、こちらの「9のフレームワーク・・・」は、「実務で使いこなすための「マニュアル」です。 もちろん、フレームワークをしっかり理解するための、実事例も豊富に掲載しています。 「よくわかる・・・」同様、多くの企業研修テキストとしてもご採用いただいています。

  • 金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)

    金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)
    旧版(水色の表紙)は6年間で1万部を販売し、それを機に内容の刷新を図りました。新章「ブランド」「社内マーケティングとマーケティングの実行」なども設け、旧版の70%を加筆修正・新項目の追加などを行っています。本書最新版は発売以来、10ヶ月で既に初版3千部を完売。以降増刷を重ね、約1万部を販売していおり、多くの個人の方、大学や企業研修で「マーケティングのテキスト」としてご愛顧いただいております。

  • 金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)

    金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)
    ヒット商品ネタ51連発!このブログ記事のネタを選りすぐってコンパクトで読みやすく図表付きに再編集しました!

  • 金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)

    金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)
    打倒「もしドラ」!を目論んだ(笑)ストーリー展開のマーケティング本。初心者にもわかりやすいマーケティングの全体像に基づき、実践・実務家も納得のリアリティーにこだわりました!

  • 金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える

    金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える
    ペンギンの世界を舞台に「考えるとはどういうことか」「論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か」を考える、スラスラ読めて身につく本です。初心者の入門書として、一度学んだ人の復習にと活用できます。

  • 金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本

    金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本
    マーケティングをストーリーで学び、「知っている」が「使える」になる本。1つ1つのフレームワークが、面白いように「つながっていく」感覚を実感してください!

  • 金森 努: “いま”をつかむマーケティング

    金森 努: “いま”をつかむマーケティング
    7編の取材を含む、2010年のヒット商品など約30事例をフレームワークで切りまくった「マーケティング職人・金森」渾身の1冊。フレームワークを学びたい人にも、フレームワークの具体例を知りたい人にも、朝礼で話せるコネタが欲しい人にも役に立つこと間違いなしです!

  • 長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語

    長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語
    「分かるとできるは違う」と言われるが、両者間には距離がある。実業務のどこで使えるのか気づけない。だから使えない。本書はお菓子メーカーのマーケティング部を舞台にした「若者2人の成長物語」を通して、戦略思考、論理思考、クリティカル・シンキングなどの、様々な思考法が展開されていく。ストーリーで「使いどころ」をつかめば、実践できない悩みの解消が図れるだろう。 (★★★★★)

  • ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」

    ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
    フレームワークの「使用上の注意」は、「人の心はフレームワークだけでは切れない」を常に認識することだ。「行動経済学」に注目すれば、経済合理性に背く人の行動の謎の意味が見えてくる。謎の解明を様々なユニークな実験を通して、著者ダン・アリエリー節で語る本書は、「フレームワーク思考」に偏りすぎた人の目から何枚もウロコを落としてくれるはずだ。 (★★★★★)

  • セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践

    セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践
    「顧客はドリルが欲しいのではない、穴が空けたいのだ」や、「マーケティング近視眼(Marketing Myopia)」で有名なレビット教授の名著。製品とは何か。サービスとは何か。顧客とは何か。そして、マーケティングとは何かと問う、今まさに考え直すべき原点が克明に記されている名著。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
    コトラーはマーケティングは「製品中心(Product out)=1.0」「消費者中心(Customer Centric)=2.0」。それが「人間中心・価値主導(Social)=3.0」にバージョンアップしたと論じている。本書は「マーケティング戦略」の本というよりは、今日の「企業のあるべき姿」を示しているといえる。その意味では、「では、どうするのか?」に関しては、新たなソーシャルメディアの趨勢などに考慮しつつ、従来のコトラー流2.0を十分に理解しておくことが必要だ。 (★★★★)

  • 鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)

    鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)
    広告に関する本は、いわゆる広告論や広告制作の手法を述べていても、マーケティング理論を前提としたものは少なかったように思います。「マーケティングの中における広告ビジネス」を具体的にまとめました。さらに、当Blogで「勝手分析」した事例を企業取材によって、マーケティングと広告の狙いを検証しました。多くの現役広告人と広告人を目指す人に読んでいただきたいと思います。

  • 金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)

    金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)
    金森の著書です。フレームワークやキーワードやセオリー、事例をマーケティングマネジメントの流れに沿って102項目で詳説しました。フレームワークの使いこなしと事例には特にこだわりました。金森のオリジナル理論もあり!

  • 山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える

    山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える
    リーダーの戦略や、チャレンジャーがリーダーを倒す方法など、ポーター、コトラーの理論を更に実践的な事例と独自フレームワークで解説した良書。事例がちょっと古いが、今、読み返してもためになる。在庫が少ないので、中古本でも出ていれば即買いをお勧め。 (★★★★)

  • 金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)

    金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)
    このBlog記事一話一話が見開きで図解されたわかりやすい本になりました。ヒット商品のヒミツをフレームワークで斬りまくった、ネタ56連発。是非一冊!

  • 後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて

    後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて
    「レスポンス広告」とは資料・サンプルの請求や商品の注文を消費者から獲得するための広告のこと。そのための方法論は、ブランドイメージをよくするといった目的とは全く異なる。本書は多数の広告サンプル(精度の高いダミー)を用いてレスポンス広告のキモを具体的かつ詳細に解説している。「レスポンス広告の鬼」たる筆者ならではの渾身の1冊。 (★★★★★)

  • ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン

    ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン
    どんなすばらしいマーケティングプランも、結局は人が動かなければ成功しない。故に、リーダーシップ論が重要となる。本書はコッター教授の「企業変革8ステップ」が寓話の中でわかりやすく記されている良書である。金森絶賛の一冊です。 (★★★★★)

  • マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則

    マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則
    2000年発売の良書。旧タイトル「ティッピング・ポイント」が文庫本化されたもの。クチコミの本ではなく、イノベーションの普及が何かのきっかけで一気に進む様を、各種の事例を元に解明した、普及論にも通じる内容。(うっかりリストに入れ忘れてました)。オススメです。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学

    野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学
    経済分野最強のジャーナリスト勝見 明紙と、経営学の大家野中 郁次郎先生という黄金コンビによる傑作。いくつもの企業でのイノベーション事例を物語風に紹介しながら、その変革の要諦を解明、さらなる提言をメッセージしている。読み応え十分。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの本質

    野中 郁次郎: イノベーションの本質
    最新刊の「イノベーションの作法」に比べると、少々こちらは「野中理論」の難しい部分が表面に出ているように思えるが、発売当初、ナレッジマネジメントの観点からしか読んでいなかったが、読み返してみれば、本書の1つめの事例である「サントリー・DAKARA」はマーケティングでも有名事例である。むしろ、本書での解説は、マーケティングのフレームワーク上の整合ではなく、そのコンセプト開発に力点が置かれており、その精緻な記述は圧巻であった。読み直して得した気分になったので、ここで併せて紹介する。 (★★★★)

  • グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業

    グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業
    だいぶ発売されてから時間が経ってしまったのですが・・・。 二度目に読んで、「お勧め」しようと思いました。 そのわけは、一度目は「いかに顧客と優良な関係を構築することが重要か」という当たり前なことを力説しているだけの本だと思ったからです。 事実、そうなんです。アドボカシー(advocacy=支援)という新しい言葉を遣っただけで。 ただ、その「当たり前なこと」のまとめ方が秀逸であり、我々マーケターにとっては「当たり前」でも、その考え方がどうしても理解できない石頭な人に読ませると、なかなか効果的だと分かりました。 さて、皆さんもそんな人が周りにいたら読ませてみては? (★★★)

  • レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」

    レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」
    ダイレクトマーケティングの創始者であり、金森の心の師でもある、レスター・ワンダーマンの「BEING DIRECT」(英文名)が12年ぶりに改訂されました。 詳しくは、Blog本文の10月16日の記事を参照ください。 必読の書です。 前版は電通出版だったので入手が少々面倒でしたが、今回は一般の出版社からの刊行なので、アマゾンで購入できます。この本の画像をクリックすれば、アマゾンのサイトにリンクしますので、是非! (★★★★★)

  • フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式

    フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式
    実は、この本は金森の入院中の頂き物。結構はまりました。 スウェーデンの売れっ子セミナー講師が自らのセミナーで用いている30の設問を、気の利いたイラストに載せて紹介している。「レンガの使い方を10通り挙げなさい」のような、「ん?どこかの自己啓発セミナーで聞いたな~」というようなネタもありますが、ひねりの効いた問いかけもいっぱい。ざっと流し読みしたら20分で読み終わってしまう絵本になってしまいますが、本気で問いかけの答えを考えると、なかなか論理思考も鍛えられます。金森もお気に入りの問いかけは出典を明らかにして、自分の企業研修で使わせてもらっています。 ちなみに、この本の2(続編)も出ています。2冊揃えば送料も無料。「あわせて買いたい!」。 (★★★★★)

  • パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う

    パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う
    重要な本をお薦めするのを忘れていました。この本も結構、私の座右の書となっています。「ミッションステートメント」の重要性もコラム等で繰り返し述べてきました。それがしっかりしていないが故に、会社自体が方向性を見失い、社員も求心力をなくす。また、顧客のことも忘れてしまう。ミッションステートメントは壁に黄ばんだ紙に書いてあるものを、朝礼で呪文のように唱和するためのものではないのです。社員全員、全階層がそれを本当に理解し、行動できれば会社に強大なパワーが生まれるはずです。この本は「強い企業の強いステートメント」が紹介・解説された良書です。 (★★★★)

  • エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学

    エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学
    もはや絶版でプレミアがついて現在ユーズドで3万円!(昨年までは2万円以下でした。定価は8千円弱)。 しかし、一度は翻訳版とはいえ原書を読みたいもの。 私のコラムでもよく取り上げています。 様々なマーケティングの入門書にも部分的に取り上げられていますが、誤った解釈も多く、「イノベーションの普及速度」などの重要項目も抜けています。 ただ、基本的には社会学の学術書なので、完読するのはチトごついかも。(それで星4つ。内容的には断然5つですが。)3万円ですが、手にはいるならラッキー。 10万円にならないうちに・・・? (★★★★)

  • ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業

    ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業
    すみません。これは宣伝です。 Blogにも「共著で実践的なナレッジマネジメントの本を出しました」と紹介いたしましたが、この度第二版(重版)ができました。 初版で終わったしまうことの多いビジネス書において重版はうれしい! まだお読みになっていない方は是非! (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪

    フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪
    これも分かっている人向き。 コトラーの中では「最も今日的な本」であると言えるでしょう。コトラー大先生と私ごときを並べて語るのは不遜の極みですが、私が旧社電通ワンダーマンのニューズレターや日経BizPlusの連載でしきりに訴えてきた内容が集約されている気がします。うーん、大先生と何か視点が共有できているようで読んでいて嬉しくなってしまった一冊でした。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト
    今度は分かっている人向け。そういう人はたぶんもう買っていると思いますが・・・。 コトラー特有の大作ではなく、マーケティングの中でも重要なコンセプトを80に集約して解説を加えた、ある意味他のコトラー本の「攻略本」とも言える。 常にデスクサイドに置いておき、用語集として使うもよし、ネタに困ったときにパラパラと眺める「ネタ本」としてもよし。マーケター必携の本であると言えましょう。 (★★★★★)

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2007.01.03

販促会議「質問編」顧客視点”入門講座 

新年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。


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年末に販促会議の最新号が届きましたので(年末進行)、バックナンバーを掲載します。
この連載も本稿で第9回。残り3回です。
実際の連載では10回まで進んでおり、11回まで原稿を入稿しています。
10回、11回はBtoBについてで、12回は総まとめでもしようかと考えています。

---------------------<以下バックナンバー>-------------------
 「ネットによってもたらされる多くの情報をどう取捨選択し、どうコントロールをすればいいのか?」・・・この「質問編」が始まってから何度か読者の方からいただいた質問である。これは企業と生活者との関係だけでなく、ネットユーザーである生活者同士の関係についても悩む方が多いことを物語っている。が、正直筆者は答えあぐねていた。突き詰めれば、「ネット時代における今後の情報の取り扱い方」「今後の商売のしかた」に行き当たってしまうからだ。それを今回は突き詰めてみようと思う。 
援軍は8年ぶりに改訂第2版が刊行された、我が心の師であり、ダイレクトマーケティングの開祖である、レスター・ワンダーマンの著書「BEING DIRECT」(邦題:ワンダーマンの「売る広告」)である。

■レスター・ワンダーマンと「BEING DIRECT」
 同氏は筆者前職のグループ会社のファウンダーであり、1967年11月29日にマサチュセーッツ工科大学にてダイレクトマーケティングを広く世界に紹介した開祖でもある。また、タイム誌が選んだ「20世紀の最も偉大な広告人」の一人にも列せられている。
その同氏の著書、「BEING DIRECT」が8年ぶりに加筆改訂され、日本版も発売された。同書を筆者が人に紹介するときには、「ビジネス冒険小説」と例えているが、正に冒険小説のように読み進めて行くにふさわしい生き生きとした彼の体験談と共に、ダイレクトマーケティングの真髄が記されている。そして今回の第2版では旧版の最終章にさらに一章、「第27章・インターネット」が加わっている。全編を読み直しつつ、最後はこのあたりを手がかりにしようと思う。

■ネットがもたらした情報格差の消失、そして氾濫
 ワンダーマン氏はかねてより「成功する全ての会社が知る19のルール」を提唱しており、その中に「The Customer, Not the Product, Must Be the Hero (主人公は製品ではなく顧客である)」と語り、中心的思想としてきた。しかし、今日その関係はどうなっているだろう。かつてはモノの売り手と買い手の間には厳然たる「情報格差」が存在し、それが売り手の利益の源泉にもなっていた。しかし、インターネットはそんな格差を根底から破壊し、売り手と買い手は対等になった。いや、ともすれば買い手の方が情報をたくさん持っているような時代に。つまり、ワンダーマン氏が予言した「顧客が主人公の時代」は既に達成されたのだ。例えば「kakaku.com」などのような比較サイトの登場は、売り手の利益構造を白日の下に晒すことに成功した。
 しかし、見方を変えれば格差は残っていることもわかる。「売り手」と「買い手」という関係においてではなく、情報を「持つ者」と「持たざる者」という新たな関係においてだ。「情報検索能力は現代のリテラシー(読み書きの能力)である」とまで言われ始めている。しかし、例えば情報を収拾することはできても、「判断」することは能力だけでなく、個々人の性格や今までの経験に依存する部分も少なくない。
集まってくる情報。その中の企業発の情報を除けば、それは、「売り手と買い手」という対立構造という判断軸を持たない、「個人が発信した情報」である。それが膨大になっている。さらに、個人が発信した情報は基本的には「個人自らが購入・使用し、そのファンになり、自主的に他者に勧めている」という情報である。元東京大学大学院教授・丸の内ブランドフォーラム代表の片平英貴氏が提唱している消費者行動モデル「AIDEES(Attention・Interest・Desire・Experience・Enthusiasm・Share)」がそれだ。(Experience(経験)し、対応の良さにEnthusiasm(惚れ込み)、人にShare(推奨)するというモデル)。ただし、これはさしずめ「性善説モデル」と言えよう。ここに推奨する個人の「商売っ気」は考慮されていない。
 ネットの世界では今日「アフィリエートブーム」である。ちょっとした「商売っ気」で本当に自分が気に入ったモノを人にも勧めてお小遣いにもなるというレベルならまだ良い。しかし、「アフィリエイトで月○百万円!」などという書籍が店頭に並ぶようになったら、ネット上で個人が推奨しているからといって、その情報の発信者はその商品にEnthusiasm(惚れ込み)という状態になっているか疑わしくなっている。
推奨情報の氾濫によって、再び生活者は判断基準を喪失してしまいつつあるのだ。

■どうすれば信用できる推奨関係を作れるのか
 以前、筆者は旧連載「顧客視点入門」の第3回にて推奨行為に関して、以下のように述べた。(この時は“推奨”ではなく“紹介”という語句を用いた)
『”紹介”は、紹介者が程度の差こそあれ、ある程度のリスクを負う行為であると理解すべきだ。例えば自分が勧めたものが被紹介者である友人・知人に気に入られなかったら、恐らく気まずい思いをするだろう。それが高額なものであったら関係が悪化するかもしれない。そのリスクを冒してまで紹介という行為に踏み切るのは、顧客自身がその商品・サービスに満足し、間違いないと確信しているからにほかならない。』
しかし、上記は主にリアル(オンフライン)の場合に限定される。ネットはその匿名性や伝播の範囲が広いこと、利用や情報の発信が気軽なことなどが相まって、以前筆者が述べたリアルの場合ほどシリアスな気持ちなくして推奨行為が繰り返されている。そして、それが今日の情報氾濫につながっているのだ。
では、どうしたらいいのか。一つの解決策は、「情報として置いておけば、誰かがクリックするであろう」という、垂れ流し的発信をネットユーザーは避けるべきなのだ。「自分は、このような理由で、このような人に、この商品を勧める」という「推奨の背景情報」を明確にすることだ。そうすれば推奨する側も成果が上がるだろう。
再びワンダーマン氏の「19のルール」の中から紹介しよう。「Answer The Question “Why should I?” (「なぜ私に?」に答えること)」。
つまり、情報を発信する者は責任を持って、「その商品をどのような理由で、どのような人に勧めるのか」を明確にすることを暗黙のルールとする文化の形成が望まれる。もちろんそこに悪意や虚偽が混在しないことは当然である。

■企業の場合の推奨(レコメンデーション)
 では、企業が行なう顧客への推奨(レコメンデーション)を考えてみよう。企業が顧客に行なうレコメンデーションはダイレクトマーケティング、CRMの華と言っていい。その成否で収益は大きく変わるし、顧客が一層、Enthusiasmするような推奨が実現できれば、顧客ロイヤルティーは高まり長期間の関係構築も望める。その答えこそが『「なぜ私に?」に答えること』である。これはワンダーマン氏が元来、企業と生活者との関係について述べたものである。一つの成功例としてはAmazonのやり方であろう。Amazonから推奨のメールや、Webサイトでの表示がある場合、必ず、本人に関連した推奨理由が明記されている。過去に購入した本と同じ筆者の新刊、同じジャンル、同じようなジャンルの購入パターンが多い商品等々、一見「なぜこれを私に勧めるのか?」と思っても、その理由が明記されているため、それをそのまま購入するか否かはともかく、納得はできるし推奨されたものの内容をよく吟味してみようという気にもなる。また、Webサイトにおいては、レビュアーといわれる読者であり推奨者の評価も記され、さらにその推奨文がどれくらいの人に参考にされたかの情報まで付加されている。少なくとも、筆者自身はこのやり方は非常に理に適っていると感じ、一ユーザーとしても気に入っている。

■レスター・ワンダーマンの説く「商売の原点」
 同氏は実は西アフリカ・マリ共和国に住むドゴン族の研究家としても名高く、氏の撮影した写真、収集した美術品はニューヨークのメトロポリタン美術館の永久コレクションとなっている。
注目すべきは、この度加筆改訂されたワンダーマンの「売る広告」の最終章、「インターネット」の中に記されているドゴン族の市におけるやりとりの様子だ。(以下抜粋)・・・「個々のセールスは、議論、値引き交渉、おしゃべりの混じったアフリカ的商談の儀式である。買い手と売り手の要望と期待が合って、交渉が合意された時、彼らは拍手と同時に『バハマ』という。文字通り『我々はよくやった』がその意味である」・・・つまり、情報を出す側、受ける側、売る側、買う側もお互いの手の内を出し合って、対話を重ね、十分納得と満足のいく着地点に至り商売が成立するのだ。何と、根源的ではあるが、忘れられている重要なことであろう。
 どうも、今日のネット文化は、急速に広がった空間的広さから「出会い頭」的な情報交換や商売が多く、また、利便性ばかり追求され、「納得・満足の形成」が情報の送り手と受け手、売る側と買う側の双方とも軽視し性急になっている。
 冒頭の読者からの質問、「ネットによってもたらされる多くの情報をどう取捨選択し、どうコントロールをすればいいのか?」には、レスター・ワンダーマン氏の紹介するドゴン流を筆者なりに解釈してお答えしたい。つまり、情報の送り手と受け手、売る側と買う側の双方が納得と満足が得られるまで、お互いの手の内を出し合って、対話を重ね「バハマ!」と言えるようになることだ。

※出典:ワンダーマンの「売る広告」 顧客の心をつかむマーケティング
レスター・ワンダーマン・著  藤田 浩二・監訳  株式会社電通ワンダーマン 監修
翔泳社・刊

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