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4 posts from July 2006

2006.07.15

軽んじられている”experience”

Img_0942

写真は近所のスーパーに行ったら手渡された、新発売のビールの試飲サンプル。
少しボケて写っていますが、分量に注目。
小さなカップの底の方に少しだけ・・・ケチ。

いや、ケチという問題だけではなくて、こんな分量で「試飲」の効果があると思っているのだろうか。

手渡す際には「さわやかな・・・・の喉ごしをお試しください!」などと言っているが、
これではのどを通ったかどうかもわからない。

金森の好きな、ロジャースのイノベーション普及学でも、「試行可能性」が重要であると述べられている。

http://kmo.air-nifty.com/kanamori_marketing_office/2005/10/__700c.html

また、AMTULの法則は、特にトライアルの部分に重きが置かれた消費者購買行動モデルである。
(A=attention M=memory T=Trial U=Usage L=Loyalty)

上記からも、試行という経験(experience)が重要なことはわかるだろう。
しかし、金森が出会った店頭サンプリングは明らかにそれが軽んじられている。

明らかに無駄。むしろ、やることによって悪印象を残す店頭キャンペーンであった。 

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2006.07.10

新連載「定番のヒミツ」

日本実業出版社の季刊誌「ザッツ営業」の創刊第二号から連載を始めました。

ザッツ営業 http://www.njh.co.jp/that/that.html
同誌は「営業担当者の“心・技”を支える実践的な専門誌」と称し、営業実務の様々な話題を幅広く取り扱っています。
その誌面の巻頭コラムを担当することになりました。

1ページだけですが、巻頭でしかもカラーというのはなんだかうれしいものです。

第1回は金森の得意の持ちネタである「BMWのポジショニング」についてです。
色々なところで取り上げてきたネタですが、今までの中で一番すっきりとまとめられた気がします。

次号ではこのBlogでもご紹介した「伊東屋」さんを題材にしようかなと思っています。

以下、転載。

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世の中には常に売れ続ける「定番」と呼ばれるものがある。なぜ定番は売れ続くことができるのか。当連載はその謎をマーケティングのセオリーから考察する。

■第1回:「BMW・その ポジショニングの強さ」

 プレミアムカーの代表格といえばドイツ車の「BMW」の名前を挙げる人も多いだろう。
日経が行った「信頼できるブランド調査委」では、一般生活者が想起する「高級外国車」の代表的なブランドは「メルセデス・ベンツ」であった。しかし、昨年の日本における販売台数は、ついにメルセデス・ベンツを追い抜きBMWが第1位に輝いた。一般生活者のイメージが高くとも、実購買層の理解が高い方がメーカーにとって有り難いのはいうまでもない。
BMWの強さの秘密は何か?それは、以前、日経のコラムで語られていたBMW社パンケ社長の言葉に顕れていた。曰わく「BMWの強さは、そのポジショニングの明確さにある」と。BMWのポジショニングは「究極のドライビングマシン」と定義されている。そのポジショニングから、同社の広告コミュニケーションに常に使用している「駆けぬける歓び」という名コピーが生まれた。ポジショニングが明確ということは、物作りからコミュニケーション、販売の現場までが共通の認識の元、顧客に向かえるということを意味している。
 マーケティングのセオリーからすると、「STP」という考え方がある。市場を同質な固まりに分類するSegmentationを行い、市場の中から狙うべき層を捜すTargetingを経て、そのターゲットに対しどのような顔を見せるのか、立ち位置を取るのかというPositioningを検討する。しかし、BMWは、S→T→Pというような思考手順は取っていないはずだ。同社社長の言葉通り、「ポジショニングありき」なのだ。そのポジショニングに共感した顧客が集まってくる。顧客の期待を裏切らないよう、技術者は開発を行い、マーケターはコミュニケーション戦略を練り、セールスは接客に気を配る。「ポジショニングを元にした、全ての利害関係者の一体感」が同社の真の強さの秘密なのであろう。

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2006.07.05

マーケティングの視点で小泉政治を振り返る

日経BizPlusの連載が更新されました。

今回は得意の「タウン・ウオッチもの」ではありません!
どうしても政治がらみの原稿を書いてみたくなって着手したのですが、
どうにもマーケティングと政治は食い合わせがよくないのかかなり苦戦しました。
原稿、書き直すこと10回近く。
しかし、書き直すごとに色々と見えてきた気がします。

是非、苦心の作をお読みください。


http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm


----------------<以下バックナンバー用転載>-----------------------


 いよいよ小泉政権も残すところ3カ月を切った。9月の自民党総裁選に向け、「ポスト小泉」レースも本格化してきた。今回は趣向を変えて、「小泉劇場」「ワンフレーズ」など話題に事欠かなかった小泉政治について、マーケターの視点から振り返ってみたい。

■マーケティングの命は「ポジショニング」

 小泉純一郎首相の特徴と言えば、徹頭徹尾、有権者に対して「ポジショニング」を明確にし続けた点が挙げられる。

 伝統的なマーケティング戦略の立案は、市場を同質なカタマリに分類していく「セグメンテーション(Segmentation)」に始まる。続いて、そのセグメントの中のどれが狙いやすいかという「ターゲティング(Targeting)」を行い、さらにそのターゲットに対する立ち位置や商品の見せ方を考える「ポジショニング(Positioning)」という手順を踏む。いわゆる「STP」である。

 しかし、今日のマーケティングの世界では、このような後付けのポジショニングでは、強い商品は作れないと言われ始めている。特に「ブランド」が重要な商品においてその傾向が顕著である。

 なぜか。ブランド論の大家、デビッド・A・アーカーの「ブランド・エクイティ戦略」(ダイヤモンド社)の中にその答えがある。「丈夫である」とか、「素材がいい」など、客観的に測定可能な品質(工業的な品質)がしっかりしていることは、もちろん重要だ。しかし、工業的な品質はたいてい模倣できるため、それだけで他の商品との違いを打ち出し、ナンバーワン・ブランドの座を獲得するのは難しい。だから、「知覚品質」という「その商品ならでは」の価値を持って、顧客の主観的な評価を獲得することがブランドには必要である、とアーカーは論じている。目に見えない価値である「知覚品質」を獲得するためには、「ポジショニング」の明確さが求められるのである。

 ベストセラーになったW・チャン・キム著の「ブルー・オーシャン戦略」(ランダムハウス講談社)でも、突き詰めれば、「大胆なポジショニングの差異化」の重要性が示されているとも言えるだろう。「血みどろの戦いが繰り広げられる既存市場(レッド・オーシャン)を抜け出すためには、差別化と低コストを同時に実現し、競争自体を無意味にする未開拓の市場(ブルー・オーシャン)を創造すべし」というのが同書の主旨である。

■初めにポジショニングありき

 現在、日本での輸入プレミアムカー販売台数No1.はBMWであるが、ドイツ本社のヘルムート・パンケ社長は年初のインタビューで、「BMWの強さの秘密はそのポジショニングの明確さにある」と述べている(1月4日付日本経済新聞夕刊)。BMWのポジショニングが「究極のドライビングマシン」であることは有名だ。何とも分かりやすく力強い。

 それに対して元気のない米国車勢は相変わらず、どのターゲットにどのように製品をはめ込むかという「後付けのポジショニング」を行っている。フィリップ・コトラーは著書「コトラーのマーケティング・コンセプト」(東洋経済新報社)で、「ポジショニングとは、製品をどこに置くかという話ではない。見込み客のマインドのなかに、どう位置づけるかという話である」と指摘している。つまり、製品をどこに置くかということだけに腐心してオールラインアップでそろえられた米国車は、結果として魅力も特徴も乏しく、顧客にそっぽを向かれたというわけだ。

 翻って小泉首相はどうであったか。通常、政治家は自らの支持層を想定した上で、「公約」として、政策や、財政などの数値目標を掲げる。しかし、小泉首相の場合はまず「自民党をぶっ壊す」という強烈なメッセージで登場し、自らのポジショニングを裏付けるように行動した。その具体的な行動の成否は政治評論の専門家にお任せするとして、過去の政治家達に対し「大胆なポジショニングの差異化」をしているのは事実だ。国民からの高い支持率は、「今度の首相は今までとは違う気がする」「日本を変えてくれそう」という知覚品質を獲得していた証であろう。

■「STP」に続く「マーケティングミックス」はどうだったか

 マーケティング・プロセスの流れから考えると、STPの次は、4Pからなる有名なマーケティングミックス= Product(製品戦略) / Price(価格戦略) / Place(流通戦略) /Promotion(プロモーション戦略)を検討することとなる。

 4Pの全てに政治を当てはめるのは無理があるが、製品戦略に関しては、製品=政策ということになる。前述の通り首相は自らのポジショニングに従い、とにかく「改革・改革・改革・・・」という戦略を打ち立てた。分かりやすい「郵政民営化」を看板に、「官から民へ」という変革を断行することを製品戦略の柱としたわけだ。

 さらにプロモーション戦略であるが、毎日夕方にカメラの前に立って記者会見を開くなど、今までの政治家と明らかに異なる手法を取った。従前のような密室政治ではなく、直接国民に向かって分かりやすく問いかける。特に「郵政民営化の賛否をもう一度国民に聞いてみたい」などというセリフは、今までの政治家なら決して口にしなかったであろう。しかし、そのプロモーション効果は絶大であった。有名な「感動した!」も、政治家は腹の中をなかなか明かさないというイメージと、自らを対比させるものとして非常に有効だった。

■ トップからの大胆な権限委譲

 小泉政権のもう一つの特徴は、「大胆な権限委譲」である。「丸投げ」などとも揶揄(やゆ)されたが、竹中平蔵総務相を筆頭に、閣僚その他への大胆な権限委譲には驚かされるものも多かった。

 政治の世界に限らず、企業においてもトップが微に入り細をうがち各担当者に個別案件を直接指示していたのでは、大局を見失う。乱暴に言えば、明確なビジョン(ポジショニング)と強い意志さえあれば、ある程度「丸投げ」でもよいのだ。むしろトップが明確な方針だけを示し、後は丸投げしてくれた方が、「経営企画」「マーケティング部門」といった参謀・補佐役は、意地になってでも多数の戦略オプションを洗い出し、最良のプランをトップに提示しようという気持ちになる。

 筆者が講師をしている「グロービス・マネジメントスクール」で使用されているマーケティングの教材に、1950年代から75年頃までの本田技研工業の興味深い事例がある。カリスマ経営者の一人に必ず挙げられる故・本田宗一郎氏。彼には「世界一のバイクメーカーとして、米国でも一番になる」というビジョンがあった。そして同社は米国に自社ブランドの小型バイクを引っ提げて乗り込んだ。当時同社は既に世界一の生産量を誇っていた。そして、規模の経済を生かして海外進出を狙った先が、ハーレー・ダビットソンの牙城・米国であった。同じ海外ならば、潜在需要が大きい東南アジアの方がはるかに楽だ。しかし、あらゆるスタッフの諫言に耳を貸さず、それを断行したのは飽くなき「経営の意思」である。

 ここまで明確なビジョンを示されたら、部下達はどう思うだろう。時にトップは独善的で直感的だ。しかし、「この人が言っているのなら間違いはなかろう」「この人をいま一度男にしよう」と奮い立つ。事実、同社は小型バイクから始め、最終的にはハーレーを倒産寸前にまで追い込み、さらに再建の手をさしのべるまで市場を席巻することに成功したのであった。

■小泉首相は「優秀なマーケター」だったのか?

 さて、ここまで小泉政治を振り返ってきたが、マーケティングのセオリーからするとかなり正鵠(せいこく)を射ていることが分かる。しかし、個別の政策や首相の行動に関しては、様々な蹉跌(さてつ)があったことも事実だ。

 一体、首相は「優秀なマーケター」であったのか否か。ここからは筆者の推測の域を出ないが、小泉首相はマーケティング理論をそのまま政治に応用したように見えるものの、首相自身が理論を理解していたわけではないだろう。おそらく彼は、そのほとんどを「政治的カン」「嗅覚」に基づいて行動した。偶然とは言え、それが今日的なマーケティング理論と見事に整合していることは興味深い。

 これまでの日本の首相は「自民党派閥政治の産物」として生まれてきた。故にマーケティングのような視点より、政治力学に重きを置いていたのではないだろうか。しかし、小泉首相によって国民は「分かりやすい政治」のモデルを示され、目覚めた。米国における大統領選などは、全国民を巻き込んだ候補者のマーケティング合戦である。政治をとりまく情勢の変化、国民の意識変化や、海外の事例を考えれば、これからの政治家は意識的に政治にマーケティングを取り入れる必要があると言えよう。 

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2006.07.03

「質問編」顧客視点”入門講座 第3回「ネットユーザーの変化がめまぐるしくて・・・」

「販促会議」の8月号が発売されましたので、前月号のバックナンバーを掲出いたします。
今回は特に、昨今のネットユーザーの心理に迫ってみました。
ご参照ください。


 前連載の第7回では広告業界の定番理論「AIDMA」モデルから、ネットユーザーの台頭によって生活者の購買行動の心理変容が「AISAS」モデルへと変化していることを述べた。つまり、「AIDMA」のAとIは従来と同じであるが、「検索」という手段を手に入れた生活者は、関心を持った物・サービスがあれば必ずといっていいほど何らかの検索エンジンで「Search(検索)」をする。その結果、購買=「Action(行動)」に至った後、今度は買った物・サービスに対して、友人・知人だけでなく第三者にも掲示板やBlog、SNSサイトなどを通して情報を広く「Share(共有)」するようになったのである。
 確かにこのモデルはネット社会である今日の代表的な生活者の購買行動モデルとして理解できる。しかし、前連載時に「代表的なパターンは理解できたが、もう少しどのようなタイプの生活者がいて、それぞれにどのような打ち手があるのかを知りたい」。というご要望を頂いた。そこで今回は、生活者のタイプ分類とその特徴、打ち手を解説しよう。

■モノの購入に対する意思決定と情報収集の態度に注目してみる
まずは図を参照してほしい。縦軸に生活者のモノの購入に対する意思決定能力の強弱を置いた。「誰かに相談しなければ購入の意思決定ができない人」。つまり「依存的な生活者」だ。周りにそのような人はいないだろうか?「あ、自分がそうだ」という読者もいるかもしれない。しかし、逆に何も人に相談せずに突然何かを購入して、人を驚かせるような人もいる。それを「自立的な生活者」と呼ぶことにする。ちなみに筆者は後者である。 
次に横軸を見てもらおう。情報収集の態度が受動的であり、あまり積極的な情報収集を行なわずに、自然と入ってくる情報に身を委ねている人々である。その逆に、常に能動的にアクティブな情報収集を行なっている人々もいる。
こうすると、四つの象限の中に四タイプの生活者のセグメントができる。以下、そのタイプ毎にその特徴と適切なコミュニケーションの方法を考えてみよう。

■「我が道を行く生活者」
左上の「自立×受動」の象限の生活者は人の話しもそこそこにしか聞かないし、ネットからの情報収集も行なわない。企業やマーケターの立場からすれば非常に手強い相手だといえよう。では、どのようなコミュニケーションの打ち手があるのだろうか。
はっきり言って、「打つ手なし」である。何を伝えようとしても自分の中の価値基準が絶対なので、何らかの心理変容や態度変容をコミュニケーションによって促そうとしても動かない。このような層にマーケティングコストを投下しても費用効率が非常に悪い。結論からすれば、「手を出さないことが一番」である。幸いにして、このような特性を持った生活者の比率は高くない。他のタイプの生活者を狙うべく、話しを先に進めよう。

■「昔気質の生活者」
情報過多の時代といわれて久しい。ネットに触れなくてもテレビは多チャンネル化し様々な情報を送り込んでくる。街ではこれでもかと思うほどフリーペーパーが振り撒かれ、しかも多くの人が「タダだから」とつい受け取ってしまっている。「情報の洪水」。既に個人の「可処分時間」の中では処理できない情報量が生活者の周りには流れ込んでくる。
その情報の取捨選択に精一杯で、自分から能動的にネットに情報を取りに行くことなどできないし、モノの購入も自分の意思だけでは決定できない。とすると、何を基準に判断しているかと言えば、数多の情報の中でも一番権威がありそうな情報源(メディア)を信用する。つまり、このタイプの生活者とのコミュニケーションは、今まで通りのマスのコミュニケーションで十分であるといえる。但し、このタイプの生活者も徐々に「希少種」になりつつあるだろう。

■「賢い生活者志向」
「賢い買い物をしよう」とネットで能動的に情報収集をする。しかし、モノの購入意思決定が人の意見に左右されがちなタイプの生活者は、ネットで拠り所とするのが「口コミサイト」だ。購入予定商品の話題が取り上げられている掲示板やblogを覗いてまわり情報収集をし、そして最終的には現実の友人・知人などに相談して態度決定をするというのが代表的なパターンだ。このタイプの生活者は現在の所、かなりの数が存在すると推測される。
 では、この層に対する有効なコミュニケーション方法とは何だろうか。それは本誌の2月号でも取り上げられた「ネット口コミ」である。個人の掲示板やblogでは自社商品に対してネガティブな評価や誤解、根も葉もない中傷などが巻き起こっていることも少なくない。
そのため、最近は企業自らが自社商品に関するblogサイトを立ち上げ、生活者にそこで思い思いに個々のblogを立ち上げさせて、各blogの新着情報やランキング情報を提供し盛り上げている。本誌2月号の特集でも紹介されたキリンウェルフーズの「リエータカフェ」http://www.lieta-cafe.com/ などは「あなたのD(ダイエット)ライフを楽しく賢くサポートする無料BLOGサイト」と宣言がなされ、明るく楽しい世界観をうまく作り出している。今まで企業は「自社のサイトでユーザーに自由に書き込みさせて、ネガティブな話しでも盛り上がったら大変である」と二の足を踏んでいた。しかし、うまく明るい世界観を演出することができれば、全体としてポジティブな話題が多くなり、仮にネガティブな話しが多少出ようともサイト全体として自浄作用が働き、やがて消えていく。同サイトが貢献したのか、「リエータ」は前年比4.5倍の売上を記録したそうだ。もはやこうした取り組みを見送る手はないだろう。

■「自称賢い消費者」
購買プロセスの全てを全て自己管理し、「賢い生活者」たらんとする層も最近はずいぶん増えてきた。前連載で紹介した、家電量販店の店先で「kakaku.com」の携帯版で当該商品の最安値を検索し、店員と交渉するような人々だ。何でもネットでガンガン検索して価格だけでなく、商品の性能や競合商品との比較など、あらゆる情報収集をして、全て自己判断で購入を決定する。
 このパターンの生活者は企業にとっては強敵であろう。しかし、増加するこの層に対して何か打ち手を考えなくてはならない。答えは「誠意ある情報開示」である。具体的に言えば、WEB-FAQの整備だ。WEB-FAQはメールでの質問を劇的に削減させることができるなど、オペレーション面での効用も大きいが、365日、24時間情報収集ができ、しかもそれが非常にわかりやすくできていたとすれば、この層の情報取得欲求にはもっともマッチすると言えよう。FAQは既購入者からの使い方や故障などに関する質問に対応するものという固定観念を捨て、むしろ購入検討層への訴求に効果的であると認識し、それに見合うFAQコンテンツの整備を行なうことをお勧めしたい。

■WEB-FAQによる「エモーショナルなブランド訴求」
 「賢い消費者志向」層は前述の通り手強い。しかも今後どんどんそちらに生活者はシフトしていく気配がある。とすれば、「誠意ある情報開示」はいいとして、もっと企業として積極的な打ち手はないのかという質問が寄せられそうだ。あるのだ。打ち手は。それも前述のFAQをうまく応用して「エモーショナルなブランド訴求」をするということが可能となる。
 なにより事例を見た方が分かりやすいだろう。BMW Japanサイトの1クラスのコンテンツにそれがある。http://www.bmw.co.jp/1series/ このサイトの「One World. One Philosophy」というコンテンツ、BMWのこだわり通している哲学をフラッシュを用いたQ&A形式で紹介しているのだ。例えば、「誰にでも一目でBMWとわかる顔つきにこだわるのは、なぜですか?」というQuestionが掲出されている。そのAnswerをクリックすると、詳細な答えが表示される。回答の全文は文字数の関係で紹介できないが、主旨としては「速度無制限のアウトバーンを走っているとき、車のバックミラーに特徴的なBMWのフロントマスクを認識したら、先行している車は速やかに車線を譲るだろう。アウトバーンでは高性能な車が後方からきたら道を譲るのが暗黙のルールとなっているからだ」。というような内容である。BMWのポジショニングは「究極のドライビングマシン」と自社で規定しており、そこから「駆け抜ける歓び」という名コピーも生まれている。こうしたBMWの世界観に関心のある人にとっては、このAnswerはたまらなくグッとくるだろう。他にも数々のエモーショナルなブランド訴求を目的としたQ&Aが多数展開されている。

 今回は「自立×依存」「能動×受動」という軸で生活者のネット利用と購入態度形成過程を整理してみた。前述の通り、世の中の流れとしては右上の象限に生活者は徐々にシフトしてきているが、まずは自社の顧客がどの象限に多いのかを見極め、適切な打ち手を考えて欲しい。

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