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2006.05.12

「質問編」顧客視点”入門講座 第2回「SWOT分析ができません!!」

・・・どうやら、バックナンバーのアップが1ヶ月ずれていたようです。スミマセン。
「販促会議」のバックナンバーは先日アップしたばかりですが、先月号分を急遽アップします。

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「質問編」顧客視点”入門講座 第2回「SWOT分析ができません!!」

 顧客のことをよく分かるためにも、まずは「自分自身のことが分かること」が重要だ。そこで、マーケティング環境分析ということで、前連載の第8回にSWOT分析と3C分析を紹介した。しかし、「それがうまくできないんです!!」という声がよく聞こえる。
 昨今の企業では、何か社内起案をするときには、何らか社内企画書を書き、SWOT分析を盛り込むことが義務付けられていることが多いようだ。試しに、筆者が社内研修を担当した企業で社内企画書のSWOT表を見てみた。・・・確かにダメだった。

■「ダメなSWOTの共通点」とは?
 前連載で「SWOTも顧客視点で」と注意事項を挙げたが、やはりそれができていない。項目によって「顧客の視点」だったり、「自社の視点」だったり、はたまた「競合の視点」だったりと、入り交じってしまっているのだ。
 第二にダメな点は「時間軸」。記述内容が「現在のこと」と「将来的なこと」。もしくは「過去の事実」など時間軸がバラバラになっている。
 そして第三に極めつけとして、S/W/O/Tの各々の分解を強引にしていることだ。確かにこの表を埋めていくと、「この事実は果たして強みなのか?弱みになるのか?」「これは機会なのか?脅威なのか?」と悩むことが多い。無理に分類すれば、意味はまるで逆になる。その結果で「そうか、これが当社の強みで、今が正に機会なのだな」などと経営判断がなされようものなら、目も当てられない。
 ポイントの一つ目は、悩んだのなら無理に分類せずに、線の中間にその要素を置いておけばいいのだ。「この要素は不確定要素が多く判別不明です」という分析者のメッセージが伝わる。もしくは、もう少し頑張るなら、その要素を線の中間に置き、プラス面とマイナス面を考察して線で結んで書き込んでおけばいいのだ。「判断の事実は足りないものの、分析者としてはこのように考察した」というメッセージが伝わる。何事も無理矢理と、説明不足が後に悲劇を生むのである。

■やはり「マクロ分析」から入ってみよう(図1参照)
 前回は連載の回数の都合もあり、「マクロ分析」は余り詳細には語らなかったが、やはりきちんと説明が必要なようだ。図1にあるような表を作り、まず、各々の項目がどのような環境にあるのかを列挙し、自社と競合のプラス面とマイナス面を埋めていこう。かなり体力のいる作業であるが、根性だ。
 まず、マクロ分析といえば、「PEST分析」から始めるのが本来は基本だ。「PEST」とは、P= Political:関連法案や規制など、政治的な影響はないか。E = Economical: 自社を取り巻く経済環境はどうなのか。好景気であればよい業種ばかりではない。また、自業界の先々の経済見通しも需要だ。S = Social:経済情勢だけでなく社会情勢全般を見渡すことが重要だ。人口動態や人々の関心に登っている社会問題など考慮せねばならない。T = Technological:現状の技術的な側面はどうなのか。自社にとって優位な技術、脅威となる技術などを明確にしておくことが重要だ。

 3Cは前連載で詳説したつもりであるが、もう一度おさらいしておこう。3C分析とは市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の頭文字を取ってたわけであるが、慣れてくるとPESTはらみっちり分析するのではなく、この3Cだけでかなりのことが整理できる。Customerは自社顧客だけを意味するのではなく、市場に広く存在する、顧客となりうるべき生活者を意味している、その意味からは「市場」という日本語訳の方が本来の意味に近い。市場全体を広く見渡し、自社のチャンスとチャンスロスの危険性を探ってみよう。Competitor =競合となりうる企業を洗い出し、それらの動きを観察し、市場全体の動向を把握する。Competitorといっても伝統的ライバル会社だけではなく、昨今では思いもよらぬ企業がCompetitorになることも少なくないので、できるだけ広い視野で捉えることが必要だ。Company =「自社の思い」や「将来の計画」などを廃して、現在のFACT(事実・現実)を中心に洗い出す。

■さて、この勢いでマーケティング・ミックスも洗い出そう。
 ここの時点まででかなり体力を使ったであろうが、もう一がんばり。自社と競合のマーケティング・ミックスを洗い出そう。Product = 製品:自社と競合の製品的な違い・強み弱み。Price = 価格:自社と競合の価格戦略の違い。例えば、新製品を上市するとき、高い価格で早期の資金回収を図りつつ、値崩れを防ごうとすることを「スキミング・プライシング」という。一方、値崩れは防げないと考えて、初めから安い価格で押しだし、一気にシェアを取ろうとする「ペネトレーション・プライシング」という。どちらで打って出るのかによって、価格の設定はかなりダイナミックな違いが出てくるはずだ。Place = 販路:自社と競合の流通経路の特徴と、経路に起因する売り方及び情報取得の方法の違い。特に商品の流れ「物流」と、お金の流れ「商流」、情報の流れ「情報流」は各々異なると理解すべきだ。エンドユーザーとの間に仲介者の存在の有無で、特に「情報流」は異なってくる。Promotion = プロモーション:間違ってもこの部分だけで狭義のマーケティングを考えないこと。また、メディアも多様化しており、同様にプロモーションの方法も昨今大きく変化している。とにかく幅広に考えてみること。

■マトリックスが埋まったら・・・ 
図1のマトリックスが埋まったら・・・といってもマトリックスを埋めるためには慣れたマーケターでも2時間はかかるだろう。新人マーケターであれば、一人で悩んでも仕方がないので、分からないところは、どんどん分かりそうな人に聞きに行くことをお勧めしたい。また、判断に迷ったときは、前述の通り、「仮置き」としてプラス要素とマイナス要素の中間に書き込んでおくことだ。

 さて、「SWOTはどうしたんだ?」とそろそろ言われそうなので、図2を参照されたい。ここまで苦労して書着込んできたマトリックスを、まず3Cの「Competitor」のところで上下に分けてみよう。Competitor以上の項目が「外的要因」。「Company」以下の項目が、「内的要因」である。さて、次に、各々の項目のプラス要因とマイナス要因の間に線を引いてみよう。さて、何が見えてくるか。左下の象限は「内的要因のStrong」だ。右下が「内的要因のWeakness」。左上が「外的要因のOpportunity」。右上が「外的要因のSleight」。ほら。SWOT表単独でマス目を埋めようとウンウン唸っていたのがウソのように、網羅的かつ・詳細にSWOTができあがっているであろう。
 当然、各項目をもう一度見直し、検証したり、迷ってプラスとマイナスの中間に置いた項目も、周りの項目を考慮して無理なくどちらかに入れられるなら、きちんと整理した方がよい。

 そして、この表が完成したら、S/W/O/Tの象限毎に、象限の持つ意味合い、つまり、状況は明るいのか暗いのか。原因は何か。解決するための打ち手は何かを検討する。それを四象限全て検討し、最後に全体として、自社の状況は明るいのか暗いのか。解決する打ち手は何かを検討する。つまり、この課程こそが「戦略の立案」で、マトリックスを埋めている課程は単なる「作業」にすぎない。その意味からも、単独のSWOT表などは、単なるパーツの一つに過ぎず、そこから戦略など出ようもないことが分かるだろう。
「急がば廻れ」なのだ。

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