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2005.11.01

「ビニール傘が象徴、若年層のファッション志向と高級ブランドの課題」

NIKKEI NET BizPlusの連載・ニッポン万華鏡(カレイドスコープ) 第9回がアップされました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm?i=2005111609onec6

北海道取材を敢行した原稿の掲載はまだです。(2週間後を予定:まだ書いてません)。

今回はまさに10月15日に書いた【書き下ろしミニコラム】「思考法」通りに書き進めた原稿です。街で見かけたものがふと、気になる。徹底的に観察する。他のものと比較する。ネタ帳にメモをする。熟考する。そして原稿として文章化する。そんな典型的なパターンで書いてみました。

ちょっとその書き方の「型」にこだわってみた結果、内容的には今一歩踏み込みが浅くなってしまったかなぁ?と反省しておりますので、突っ込みの書き込み、歓迎です。

では、ご一読ください。


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

 その日、筆者は待ち合わせの時間を間違え、原宿ラフォーレの入り口の前で40分ほどたたずんでいた。天気は朝から陰鬱な雨。だが、元々タウンウオッチングやマンウオッチングが趣味であるため苦ではなく、むしろ楽しい時間であった。そしてある一つの発見をしたのだ。

■傘が彩る街の景色


 「この街の人々はビニール傘の利用者が異様に多い」。・・・正確にカウントしたわけではないが、注目してみるとビニール傘60%、500円で駅の売店で買える中国製のナイロン傘30%、ノーブランドではあるが少なくとも1000円以上はする傘10%、自分のファッションに合わせてこだわって買ったであろうブランドの傘10%というところか。

 その日は前の晩から雨。天気予報も一日中雨と繰り返していた。急な雨にあわててビニール傘を急遽購入したわけではない。家から持ってきたのだろう。

 そのまま所用があって次に銀座に向かったところ、景色が一変した。同じく「傘」についてだ。同様に比率で言えばビニール傘は僅か10%程度、500円傘も20%、ノーブランド傘が30%、ブランド傘とおぼしきものが40%程度もいる。

 当然、モノの購買は生活者の可処分所得との密接に関係している。確かに「若者の街・原宿」対「大人の街・銀座」ではブランド傘が銀座で多く見られるのは当たり前だろう。しかし、ビニール傘の60%:10%に注目すれば、可処分所得による差だけではなく、「ファッションなり持ち物に対するポリシーの差」がそこに存在すると考えた方がいいように思われる。

■「傘」とはどのような存在か

 傘は一義的には「雨をしのぐ物」であればよく、日本は降雨量が多いとはいえ毎日降るわけではない。傘は「非日常性を持った持ち物」であるとも言えよう。さてそこで、前述の「ファッションなり持ち物に対するポリシーの差」が出てくる。

 原宿や最近注目の裏原宿などのエリアの流行の変化は激しく、その年の大きなファッショントレンドに加え各店なりの多様性を持っている。その流行の変化を追い、さらにバリーエーションを取りそろえるには、かなりの労力と費用を要する。日々服を着るのも大変なのだ。あくまで想像ではあるが、その「日々」の中で「雨の日」という「非日常」に対応するのはビニール傘で十分というのが原宿の人々の本音なのではないだろうか。

 一方、高級ブランドが大型旗艦店を投入し続けている銀座~丸の内の人々はどうか。そのエリアでのファッションは、ある程度のトレンドの変化はある物の、基本はオーセンティック(本物・正統・真正・本格的等の意)である。トレンドに左右されないいわゆる「一生物」が扱われている。つまり流行を追う時間の流れが違うのではないかと思われる。長期的に見れば雨の日も「日常の一つ」であり、自分好みのブランドのアイテムに傘を加えるのは当たり前のことと考える人が多いのだろう。

■原宿の「財布」と「鞄」に注目してみれば・・・

 上記のような論法でいくと「原宿の人々はオーセンティック嫌い」と読み取れてしまうかもしれない。しかし、筆者は興味を持ってビニール傘の人々の後を追って購買行動を見てみた。両肩に大きな紙袋を担ぎきれないほどの服を買い込んだ人(結局はオーセンティックな服を数少なく買ったのと同じぐらいの金額だろう)がカードを取り出したのは、いわゆる高級ブランドの財布からだ。その人だけではなく、かなりの割合の人が高級ブランド財布を所持している。

 また、待ち合わせ場所に戻って傘だけでなく、「鞄」にも注目してみた。すると、財布ほどではないが、比較的年齢が上の人はやはり高級ブランド鞄をビニール傘と一緒に持ち歩いていた。どういうことか?これは傘に対し、財布・鞄は「日常的に使う物」なので、一つくらいオーセンティックな高級ブランドの物を取り入れているのではないかと推察される。


■高級ブランドにおける大きな課題

 話は少し変わるが、例外もあるものの多くのオーセンティックな高級ブランドが抱える問題の一つに「固定化による縮小均衡」がある。「スーパーロイヤル」や「ロイヤル顧客」「コアなファン層」を抱え、現在商売はうまくいっている。しかし、絶対数が伸びず、縮小均衡に陥ってしまうことだ。旗艦店を新規出店したときには行列ができるぐらいの来店客がある。だが、それが一巡すると店構えの割にはまばらな来店客数になる。商品単価が高いのでそれでもやっていけるが、もう一つの問題といての「コアなファン層」以下に裾野が広がっていかないことを象徴している。

 新規出店時に一度だけ来て覗いて帰った人や、財布や鞄の一つを思い切って買って帰った人は二度目の来店がない。そうすると、「コアなファン層」以下の裾野が広がらず、縮小均衡に陥る。顧客の年齢層もやがて上がっていき、それに対応しようとすればブランド自身が高齢化していく。財布や鞄一つを買って帰った「Onetime buyer (一度きりの購入客)」をいかに「2 time 、3 time buyer 」として囲い込み「コアなファン層」まで引き上げていくのかが大きな課題なのである。

■ビニール傘と購入ブランド小物の組み合わせ

 「ビニール傘と購入ブランド小物の組み合わせ」のような姿はブランド側から見れば好ましくないかもしれない。ブランドにとって最も望ましいのは「そのブランドに心酔して、全身くまなくそのブランドで身にまとう」いわゆる「スーパーカスタマー」であろう。しかし、そうした固定観念に縛られていては前述の「固定化と縮小均衡」からは逃れられない。日本もやがて来る階層二極化が固定すれば、そうした「スーパーカスタマー」の絶対数も増え、その層だけを相手にしていれば商売は成り立つだろう。しかし、現在はまだ二極化への移行期入り口であり、いわゆる「自称中流」は日本を支えている。とすれば、いかにそうした層を「Onetime buyer」ではなく「2 time 、3 time buyer 」に徐々にしていくかがポイントなのだ。

 荒唐無稽なアイディアかもしれないが、ビニール傘の人々にまず、財布を購入させ、やがて鞄、そしてその次と続けさせる「入りやすく、買いやすい小物専門のショップ」を原宿に開いてはどうか。確かにルイヴィトンなどは原宿に隣接した表参道に巨大な店を開いた。しかし、それでは狙える層も違うであろうし、敷居も高い。

 裾野を広げていくには、あえて「ビニール傘と購入ブランド小物」を是認し、小さな所からコツコツとやっていくのが解決策につながると筆者は考える。何しろ、銀座にしろ丸の内にしろ高級ブランド鞄を抱えて闊歩しているのは「自称中流(=庶民)」であり、それは日本ぐらいなのだから。もう少し敷居を下げてみるのも手ではないだろうか。

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Posted by: hunter wellington | 2013.10.15 12:56 PM

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