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8 posts from October 2005

2005.10.31

”顧客視点”入門講座:第7回

「販促会議」の12月号が本日発売になりましたので、前号の連載のバックナンバー原稿を掲出します。

「”顧客視点”入門講座:第7回」

 さて、前回はロージャースとムーアのイノベーション普及学、キャズム理論を使って顧客が新たな商品を受け入れていくのかを詳説した。では、今回は「購入を決めるまでに顧客の心の中はどのように揺れ動くのか」について考えてみたい。

■広告業界の定番理論「AIDMA」
 広告やマーケティングの世界を少しでも囓ったことのある人なら、この「AIDMA」という言葉を一度や二度は聞いたことがあるだろう。生活者の商品購入に至るまでの心理変容を表した代表的なモデルである。
「AIDMA」は各々「Attention(注目)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の頭文字を取っている。つまり、顧客側の心理としては、「これは何だろう」と関心を示し、「もう少しよく知ってみよう」とその商品に注目し、「うーん、これは何だか欲しいナー」と購買欲求が起こり、「買うかちょっと考えてみよう」と一旦記憶に留め、「よし買うぞ」と購買行動を起こすという流れになるのだ。但し、そのためにはマーケターサイドのたゆまぬ努力が求められる。「(A)どうやって認知させるのか」「(I)どうやったらもっとよく理解してもらえるのか」「(D)どうやったら欲しいと思ってもらえるのか」「(M)どうやったらその人の購入リストの上位に位置させられるのか」「(A)どうやったら購入の最後の一押しができるのか」。「AIDMA」のそれぞれの段階で様々なメディアによる広告、パブリシティー、SP施策、口コミの流布、人的販売対応などを商品に合わせて最適に組み合わせて投下、場合によってはCRM的に個別にアプローチを行っていくことになるのだ。

■インターネットがAIDMAを変えた
 長く広告やマーケティングの世界で信奉されてきたAIDMAの法則であるが、インターネットの普及によって「Memory(記憶)」の段階が消失し、「AIDAモデル」になってきたという人も出てきた。ECサイトでの購買を思い出してもらいたい。例えばEメールでお勧めの商品情報が届く。メールからそのサイトにリンクして商品を確認し、説明を読んでみる。「うーん、これはいいかもしれない」などと思い、ショッピングカートに入れ、決済。商品は数日もせずに届く。確かにこれでは、「買うかちょっと考えてみよう」と一旦記憶に留めるという「Memory(記憶)」は働いていない。Amazonなどは、同じ購買傾向を持った人同士の購入データを比較して、まだ買っていない商品があった場合にもう一方の人にその商品を自動的にお勧め(レコメンド)するという、「協調フィルタリング方式」という技術を採用している。よく購入する顧客ほどデータが蓄積されるので、レコメンドも適切になる。おかげで筆者はしょっちゅう予定がなかった、つまり「Memory(記憶)」されていないモノをAmazonから購入している。

■インターネット生活者を変えてしまった
 インターネットが生活者にもたらした最大の功績は何か。それは、「売り手と買い手の間の情報格差をなくしたこと」である。インターネットのない時代、商品知識も価格相場も売り手側にイニシアチブがあった。しかし、検索や各種の比較サイトの登場で買い手は売り手と同等、いや、自分の関心のある商品に関しては売り手以上の情報を手にしたのだ。
 ある家電量販店のポスターには、以前「他店よりも1円でも高い商品があったらお値引きさせていただきます」と自信たっぷりな言葉が書かれていた。しかし、今日では携帯を片手にモバイル版の比較サイトをチェックしながら、店内の商品価格と見比べている客の姿をよく目にする。そして店のポスターの言葉は「他店よりも高い商品がございましたら、できる限りの対処をさせていただきます」と相当トーンダウンしてしまった。
 インターネットによって生活者は「購買プロセスの全てを自らコントロールする”賢い消費者”」になることができるようになったのだ。もはやモノを売り買いするときのイニシアチブは買い手側にある。インターネットでの情報検索という行為を丹念に行えばだ。
 しかし、全ての人がそれを好むかどうかは別の話しである。また、商品にもよるだろう。例えば筆者はパソコンの購入などの場合は、インターネットで徹底的に調べ上げ、店頭でも実物をさわりまくって体感し、最後はオンラインのBTO(Built To Order) コーナーでカスタマイズモデルを注文する。(ちなみにこの原稿を打っているノートPCは、真っ赤な色をしたこだわりのカスタマイズモデルだ)。しかし、靴を買う場合は、なじみの店、自分をよく知っている店員と談笑しながら、彼の見立ててくれた商品をほとんど言われるがままに買っている。つまり、これからは、商品や生活者の志向によって様々な購買行動が展開されることになるのだろう。つまり、一律の「AIDMA」や「AIDA」では語れなくなってくるのだ。

■それでもインターネットの影響は大きい:「AISAS」モデルの登場
 前述の通り、インターネットで一番大きな力を発揮したのは「検索」だ。それに加えて購入した後の商品情報を他人に伝播させる「口コミ力」である。その考え方を入れたのが「AISAS」モデルである。AとIは従来と同じ。次のSは「Search(検索)」だ。次のAも購買のアクションで、最後のSは「Share(共有)」である。このモデルは本誌発行元の宣伝会議社の「ホリスティック・コミュニケーション」という書籍で詳説されているので一読されたい。
 確かにインターネットの検索を活用すれば、いつまでも「Memory(記憶)」していなくとも情報はすぐに手に入る。また、「Memory(記憶)」していたとしてもそれが最新情報であるか確認する意味でも、必ず「Search(検索)」は行われる。購買行動モデルの中で「Memory(記憶)」が「Search(検索)」に取って代わられたのは、自分の行動を考えてみてもよく分かるだろう。
 最後の「Share(共有)」は「AIDMA」の時代でも行われていた。自分が購入したものを人に自慢する。もしくはその購入は正しかったのかを人に意見を求め確認する。これはフェスティンガー(Festinger, L:1919~1989)という心理学者が1957年に発表した「認知的不協和の理論」にも記されているように、人間は誰しも自らの行為の正当性を確認したがるものなのだ。つまり、モノの購入で考えれば自分でさんざん悩んで買ったものが「正解、正解、いい買い物したじゃない!」と言ってもらいたいが故に色々な人に話す。また、その購入したものについて購入する以前よりも色々と調べたりする。それは、「失敗したと思いたくない」という「認知的不協和を低減するための行動」なのである。車を買った人が、買う以前よりカタログをよく読んだり、その車のムック本を購入したりするのはよくある話しでそれが代表的な例だ。
 しかし、「AISAS」モデルの「Share(共有)」は以前と比べ、インターネットによって掲示板やBlog、メールなどでより手軽かつ、広範に行われるため、その部分までケアすべきであるという意味で付け加えられているのだ。まあ、簡単に言えば「売りっぱなし」はダメで、売った側が「認知的不協和の低減化」まで図ることができれば顧客はファン化し、口コミによってさらに顧客拡大ができるということである。

 今回は生活者の購買プロセスによる心理変容モデルの変遷を追って、インターネットがどのように生活者を変えてきたのか。また、それにどのように対応すべきかを述べた。しかし、こうしたモデルに「絶対」は存在しない。その時々の環境の変化を通し顧客視点で常に考えていくことが必要なのである。

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2005.10.26

取材に行ってきます

今日・明日で北海道に取材に行ってきます。
日経ビズプラスの次々回の原稿のためです。

テーマを「癒しブームを覚えていますか~日本人は本当に幸せになったのか~」にしたいと思います。
70年代ににわかに起こった新興宗教ブームとは別に、90年代後半日本中の一般の人々がドップリ浸かった「癒しブーム」・・・。しかし、最近はあまりいわれない。

もはや普通のこととして定着してしまったのか、それとも景気の回復と共に日本人は元気になったのか。
しかし、以前書いたように「自殺者3万人」という暗い時代の陰もある。

そのあたりを、知り合いの「癒しのプロ」に会って取材してきます。

いや、あえて取材までするのは、すごく書きたいテーマなんですが、自分でも確信と落としどころが見つからないのです。・・・ついでに短い時間ですが観光もしますが・・・。

では、次々回の記事にご期待ください。
何か、「こんな部分に言及して欲しい」というリクエストがあれば今のうち。
コメントをください。

よろしくお願いします。

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2005.10.18

「“ビジネスセレブ”とはいうけれど~メディアの幻想とターゲティングの狭間~」

NIKKEI NET BizPlusの連載・ニッポン万華鏡(カレイドスコープ) 第8回がアップされました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm?i=2005111608onec6

前職が広告業であったので、人によっては私の仕事は「流行の仕掛け人」みたいに思われているようです。
いやいや、そんな大層なモノではないのです。今回のコラムを読んでいただければ、むしろ「流行に翻弄される日々」がおわかり頂けると思います。

それにしてもメディアの力はすごいと思います。しかも、盛り上げるだけ盛り上げて、”オチ”がなくても許されてしまうのですから・・・。(メディアの方、ごめんなさい)

というわけで、今回は体験的「メディアの作った流行との戦い」を書いてみました。
ご一読ください。


-----------<以下バックナンバー用転載>-----------


 先日、筆者はある新製品のプロモーション会議に出席していた。その会議の開口一番、プロダクトマネージャーは宣言した。「この商品は"ビジネスセレブ"にターゲットを絞って展開していく!」と。

■「ビジネスセレブ」はマーケティング上セグメントできない!

 マーケティング上のセグメントとして「富裕層」という年収や保有資産で分類するものは確かに存在する。プライベートバンキングの顧客となり得るのもこの層であり、階層が二極化してきた日本社会においては各業界、各企業とも一斉に食指を伸ばしてきているところだ。しかし、「ビジネスセレブ」は単純に「富裕層」のことを指しているとは思えない。

 そもそもの「celebrity」という言葉。辞書で引いてみると、「有名人/名士/名声/知名度」とある。この言葉が定着してきたのはここ3~4年だろうか。恐らく「有名人」や「芸能人」もしくは「high societyの人」というような意味合いで、その時々のシチュエーションに合わせて曖昧に使われてきたようだ。もはや本来の意味を離れた和製英語であると考えた方がよいだろう。

 しかし、「ビジネスセレブにターゲットを絞って展開」などと宣言されると非常に困る。「セレブ(celebrity)」にも増して、最近突如出現してきた「ビジネスセレブ」は全く本質が定義されていない。それゆえにクライアントに「ビジネスセレブってどんな人を指しているのでしょう」と聞きたい衝動に駆られる。しかし、「それを考えるのがプロのあなたの仕事でしょう!」と切り返されるのは明らかだ。やぶへびになりそうなので、余計なことはやめておく。

■ターゲットとなるのは「ビジネスセレブあこがれ層」?

 トヨタのレクサスブランドのターゲットは「ビジネスセレブ」だそうだ。ではトヨタの定義する「ビジネスセレブ」の条件とは何なのか。詳細に公表されてはいないので、「ビジネスセレブ」なる曖昧模糊(あいまいもこ)とした人物像を描いてみることにした。簡単に言えば、日本経済新聞紙面に登場するライブドアの堀江貴文氏、楽天の三木谷浩史氏、村上ファンドの村上世彰氏のような方々が浮かんでくる。しかし、特定人物をリスティングしたところで「セグメント」にはならない。具体的なアプローチを考えれば、個々の人物との直接的な交渉になり、一本釣りしか考えられない。

 セグメントとして定義するからには、広汎にアプローチできるようなターゲット像が描き出せなければならないのだ。そう考えると、ターゲットセグメントとしての「ビジネスセレブ」は、本来の「ビジネスセレブ」な面々にあこがれる「ビジネスセレブあこがれ層」であると考えるべきだろう。同じ車種がトヨタブランドにもあるにもかかわらず、内外装の質感が高まっている対価としてかなりのプレミアムを支払う余裕がある。その価値が理解できる。そんな自己演出をする層こそレクサスブランドの狙いなのだろう。

 とすれば、「ビジネスセレブ」攻略法は、だれもが知っている「ああ、この人はビジネスセレブと呼ばれるにふさわしいな」と思える人々を「イメージターゲット」として設定。そして「ビジネスセレブあこがれ層」を「リアルターゲット」と定義する。そうすることによってイメージターゲットの人々にその商品を使ってもらい、あこがれ層に「あの人が使っているなら・・・・・・」という「シャワー効果」を働かせ購買行動を起こさせるのが基本戦略となるのだ。

■「ペルソナ」という手法で解き明かす

 しかし、上記戦略を実行するにしても、「ビジネスセレブ」なる人物像をもっと明確化しなくてはならない。そのために、マーケティング実務の世界で1980年代頃からよく使われるようになった「ペルソナ」という手法を用いてみたい。「ペルソナ」という手法はターゲット像をより明確にするために「ファミリー層」「シルバー層」などというひと言で括ってしまうのではなく、生き生きと鮮明かつ詳細にその姿を描き出していく作業だ。例えば「年齢は? 家族構成は? 職業は? ワークスタイルは? 収入は? 可処分所得は? 可処分時間(趣味などに自由に使える時間)は? 趣味は? 好むブランドや持ち物は? ファッションスタイルは? ライフスタイルは?」など、想定に想定を重ねて、一つの人物像を作り上げていく。元々「ペルソナ(persona)」とは「人」という意味だけではなく、「仮面」とか「登場人物」という意味を持つ。つまり、仮の人格を詳細に作り上げていくのだ。

 さて、そのようにして組み上げた筆者なりの「ビジネスセレブ像」は「30代後半以上の年代で、高度のビジネススキルと豊富な人脈を身につけている。その経験・知識・スキル・人脈を活用し、仕事だけに没頭せずに高収入を得ている。可処分時間もそれなりに確保できており、自分だけの趣味や隠れ家的な店などでくつろいだりする」などといったものだろう。

■「ビジネスセレブ」ってかつて「エリート」と呼ばれていたもの?

 前述のごとく「ビジネスセレブ」のペルソナの要素には、かつて「エリート」と呼ばれていた言葉と重なる部分が多い。しかし最近「エリート」という言葉はあまり使われなくなった。ストイックな孤立した雰囲気に加えて、少々古臭い印象もあり、メディア映えしないためだろう。これに対して、セレブという言葉の持つきらびやかさが好まれるのだろう。まあ、「エリート」すら本来は「elitist =秀才」であり、とっくに和製英語になっている。時代に合わせて新たに「ビジネスセレブ」という和製英語が開発されたのだと筆者は推測する。

 マーケッターは、そんなメディアの生み出す新たなライフスタイルやコンセプトに振り回されてしまうことも少なくない。しかし、それをメディア側の意図も推測しながら解き明かしていくのはなかなか楽しい作業だ。さて、次はどんな言葉が飛び出してくるのやら・・・・・・。

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2005.10.15

【書き下ろしミニコラム】「思考法」

更新頻度が低い!というお叱りにお応えすべく、10月3日に【書き下ろしミニコラム】を始めてみました。
その第2回です。

アップしたらすぐに、「あの内容は”コラム”ではなく”エッセー”だろう」という突っ込みメールをいただきました。
(余談ですが、できればメールではなく”コメント”を付けていただけた方が嬉しいのですが・・・。どうも、小難しい内容ばかりアップしているので、コメントを書き込むのを躊躇される方が多いようで、寂しいBlogになってしまっております。コメント、トラックバック歓迎です。)

さて、まずはその突っ込みに対するお応えをせねばなりません。
一応、辞書で確認してみます。
コラム【column】
新聞や雑誌で,短い評論などを載せる欄。囲み記事。
エッセー【Essais】
自己を語りつつ、読む者を人間性一般の考察に導く。
・・・確かにBlog書き下ろしなので”新聞や雑誌で”には該当しませんが、”人間性一般の考察に導く”ほど大層なモノが書けているとは自分では思っていません。
*結論です。無責任なようですが、読まれた方の受取り方にお任せします。(すみません)。


さて、今回のテーマの「思考法」ですが、(これまたメールで・・・)「金森はどうやってモノを考えているのか」というにわかに回答に窮するご質問を頂きました。以来、自分の頭の中をのぞき込んで悩んでみた結果です。


まず、ご質問の「どうやって」という部分ですが、考えるシチュエーションから言えば、「歩きながら」が一番多いです。私は歩くのが好きです。そうしてタウンウォッチ、マンウォッチをしてネタを捜します。ネタを見つけたらすぐに手元の「ネタ帳」にメモします。
「歩きながら」と書きましたが、現代人は「・・・ながら」というシチュエーションでモノを考える人が一番多いようです。正確な数字は失念しましたが、「音楽を聴きながら」「風呂に入りながら」とか「喫茶店でコーヒーを飲みながら」とか、何らかの「ながら思考」が8割ほどであったと記憶しています。ですので、何か考えようと思ったら、机にしがみつくのではなく、何か別なシチュエーションに自分を置いてみることをお勧めします。すぐに思考が煮詰まってしまうようなこともなく、色々と浮かんでくると思います。

さてそうやって見つけたネタを熟成させる課程ですが、同じくこれも私の場合「ながら」です。歩き終わって電車に乗ったらすぐに先程の「ネタ帳」を取り出し、書けるところまで一気に汚い字で手書きします。電車が駅に着いてしまって、ホームのベンチで作業を続けることもあります。(はた目には結構変な人です)。
ただ、今回のように気楽に書いている文章は、ネタ帳に「書き下ろし・思考法・シチュエーションと熟成のさせ方」ぐらいのメモを残しておいて、PCに向かっていきなり書き始めることもあります。また、強烈に書きたい内容があった場合もPCで一気に書きます。
最後にフィニッシュする時は集中するために大学の図書館か、誰もいない休日の事務所で書き上げます。

さて、肝心の「思考形成のしかた」、つまり考える方法ですが、私の場合「帰納法」が多いようです。コラムにしろ企画にしろ、実体験の中で拾った小ネタを突き詰めたり、結合させたりしながら、本質的な部分へと遡っていきます。「帰納法」はイギリスの哲学者フランシス・ベーコン(1561-1626)が提唱したもので、経験論と実証主義が特徴です。その課程で思い込みを排し心理に到達します。(人間にありがちな4つの思いこみ=イドラというものは高校生の頃に習った方も多いのではないでしょうか。)対局にはフランスの哲学者ルネ・デカルト(1596~1650)の解いた「演繹法」があります。疑い得ない普遍的原理から理性的・論理的に個別の事柄を導き証明する思考法です。(「われ思う、故に我あり」という言葉は有名ですね)。
もちろん、どちらが思考法として優れているというわけではなく、どちらも使いこなせなければ正しい結論を導き出すことはできませんが、私の場合はやはり帰納法的思考を基盤として、補完・検証的に演繹法を頭の中で用いているようです。

最後に。「考える」という作業は楽しいものです。人間は思考する動物だからでしょう。しかし、多くの人がその思考を空中に霧散させてしまっているのが現実です。

まず、第一のお勧めです。「ネタ帳」を持ち歩きましょう。頭の中の引き出しには限界があります。
次のお勧めです。そのネタを熟成させ、文章という形で完成させ、アウトプットしましょう。単なるネタや中間段階のメモとフィニッシュされた文章ではその過程ごとに思考の重みが異なります。こんにちはこうしたBlogというアウトプットするのに最適なツールもあるのですから。

以上、少々ラフなフィニッシュ状態ではありますが、メールでのご質問に触発されて書き上げた第2回の【書き下ろしミニコラム】を終了します。

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2005.10.10

お勧めセミナー情報

「米国KM最新事情」:その後&今年も行きますが、その前に・・・

ずいぶん前の話しになりますが、昨秋ジャストシステム社のユーザー会で「KMワールド&イントラネッツ2004」というカンファレンスに参加するために、サンタクララ(シリコンバレー)まで行って参りました。

その様子を同社の依頼で週お気6連載でコラムにしました。(バックナンバーも同社サイトにあります。)

その中でも「シャドウイング」という日本にはまだ入ってきていない概念&手法が随分と話題を呼び、各種問い合せを頂いたり、各メディアから執筆やインタビューを受けました。

今年も11月に同カンファレンスには参加予定ですが、(今年は同じシリコンバレーでも隣町のサンノゼで開催のようです)。その前に、1年前に受講した数々のレクチャーや事例を整理して講演を使用となさっている方がいらっしゃるのでご紹介致します。

カンファレンスの受講で同行いただいた、「三共株式会社・原木晋氏」の講演で、ジャストシステム社の「ジャストミート」というカンファレンスの一コマとなっています。

ジャストミートは東京10月19日(水)東京国際フォーラムで10:00~18:00まで開催されますが、原木氏の講演は17:00~17::50の予定のようです。
是非、前記の私の「訪米コラム」と読み比べてみて、聴講して見てはいかがでしょうか。


その他私が興味を持ってコマは14:20~15:10の「太平洋セメント」の方の合議で、同社が3社合併したときに、各々が保持していた技術情報を統合し、相乗効果を出すかという取り組みに興味を覚えました。
各業界とも業界再編の嵐が吹き荒れているので、他人事ではないでしょう。
私もクライアンとから質問されて「いやー分かりません」では済まないので受講しようとしています。

それから前述の原木氏の講演とかぶってしまっていますが、テクノロジーオリエンテッドな方は同時刻の「ジャストシステム社植松氏」の技術情報も面白いのではないでしょうか。この業界の草分けで雄である同社がどこへ向かっているのか興味のあるところです。

というわけで、宣伝ではないのですがここまで書いて申し込み方法を書かないのは不親切というもの。
また、「レスポンスを取る」というダイレクトマーケターの血が許しませんので、下記のリンクより詳細をご確認ください。(私はもう申し込みました)。

http://www.justsystem.co.jp/jm2006/

ちなみに、大阪でも開催され11月2日(木)ヴアーレ大阪とかいうところで開催されるようです←行ったことありません。上記WEBで確認してください。

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2005.10.04

「『イノベーション普及速度』で読み解くクールビズの成功」」

NIKKEI NET BizPlusの連載・ニッポン万華鏡(カレイドスコープ) 第7回がアップされました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm?i=2005111607onec6

いやー、第2回で「社会通念の溝に阻まれて、クールビズを採用する者は”初期少数採用者(アーリーアダプター)”止まりで16%程度だろう」と大胆に予想しましたが、大外ししましたねー。
みんな涼しそうにネクタイ外してました。
「クールビズはクール(かっこいい)じゃない!」とまで言い切った私だけが暑い夏を過ごしました。

日経のデスクがカッコイイタイトルに直してくれたようですが、元々は「クールビズ顛末記」でした。

さて、冬の「ウォームビズ」はどうなりますやら。

-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

 連載第2回にて「Cool!じゃない?クールビズ」と題し、「クールビズのスタイルはいかがなものか?」と問いかけた。反響としては意外なほど「やはり男はネクタイ!」と肯定的な意見が多かった。ジェフリー・ムーアの「キャズム(溝)理論」を引っ張り出して、「社会通念がキャズム(溝)となって、クールビズは初期少数採用者以上には普及しない」と予測したが、反響はそれを裏付けてくれるようで内心ニヤリとしたものであった。

 が、しかし、予想に反してクールビズは結構な勢いで普及してしまった。「百貨店・2年ぶりの売り上げ増」とか「景気浮揚にも一役」などと各メディアにも持ち上げられ、街にはノーネクタイ族があふれてしまったのだ。「いかがなものか?」と一石を投じてしまった筆者だけが28度の室温設定の中、汗を流し続けた今年の夏であった。9月に入り残暑も一段落しつつある今日この頃、その予想が外れたわけを振り返ってみたい。

■ハイテク世界と人間の生理的欲求は違っていたか・・・

 E・Mロジャースによれば、「初期少数採用者」は別名「尊敬される人々」とも呼ばれ、この層が反応し出すと、次の「前期多数採用者」というボリュームゾーンに伝播すると説いている。それに対し、ジェフリー・ムーアの「キャズム(溝)理論」はその二つの層の間にはとりわけ大きな溝があり、簡単に伝播するものではないと反論した。

 ただし、ムーアの理論は特にハイテク産業の世界を中心に述べており、それを「やっぱり暑いのは嫌だ!」と思う人間の生理的欲求に対して適応しようとしたのが大きな敗因であったようだ。

kanamori0705

■見落としていたE・Mロジャースの「イノベーション普及速度」

 それだけではない、もう一つ筆者が見落としていた、「イノベーション普及速度」というものがあった。それは革新的なもの(イノベーション)が受け入れられるための条件をロジャースが説いたものであるが、その条件の数々が今回のクールビズには面白いように適合していたのだ。以下、それを検証してみよう。

(1)相対優位性…今まで使っていたものと比べ、その新しいものが、いかに優れているかが分かりやすいこと。これは人によっては「カッコ悪い」と思ったり、「ビジネスシーンではやはり人の目が気になる」という考えもあろうが、「涼しい!」という明確な優位性には勝てなかったようだ。

(2)両立性…当面は今まで使っていたものを捨てることなく、両立できること。やはり人間は誰しも今までなれていたものをスッパリと捨て去ることには抵抗感を覚える。しかし、クールビズは「ネクタイ禁止」ではないので、必要に応じてネクタイを脱着すればよいのだから問題はない。「スーツを"省エネ・ルック""省エネスーツ"に切り替えよう」とした、かつてのお仕着せ官製ファッションの失敗は活かされていたのだ。恐るべし環境省。

(3)複雑性…理解できないほどの複雑性を持っていないことと、逆に当たり前に見えすぎない程度に複雑であるというバランス。クールビズ用のシャツを新調してみたり、ネクタイを外したときの襟元の開き具合を気にしてみたりと、程度の差こそあれ、聞いてみると実践者たちはそれなりに気を遣っていたようだ。それが適度にこの複雑性をもたらしていたのではないだろうか。

(4)試行可能性…とりあえず、本格的な導入の前に自ら触って効果を認識できること。一番簡単なのはまずはネクタイを外してみるだけでいい。これほど簡単なことはない。また、一夏分のシャツをまるまるノーネクタイ用のボタンダウンなどに一気に買い替えるのではなく、とりあえず1枚を新調してみるぐらいであれば、さほど経済的な負担にもならないだろう。簡単に試行できたわけだ。

(5)観察可能性…目に見えない効果ではなく、明らかに効率が上がるもしくは質が向上するなどの効果が観察・実感できること。確かに襟元の空いている同僚の姿は涼しそうだし、やってみれば事実涼しい。観察だけではなく簡単に実感できてしまう。この条件も担保されていたのだ。

■クールビズは「前期大量採用者(アーリーマジョリティー)」止まり?

 上記のように一つ一つ検証していくと、「クールビズ」の普及は必然のように感じられる。しかし、普及学におけるいわゆる「普及曲線」でいえば、「革新的採用者(イノベーター)」次の「初期少数採用者(アーリーアダプター)」、その次の「前期大量採用者(アーリーマジョリティー)」の3つの層を合わせると50%である。おそらく街中の男たちの姿を見てみると、まあ、40~50%止まりではないだろうか。つまり34%の「前期大量採用者」への伝播を見誤ったので誤差としては大きかったが、それ以降の層には拡大しないだろうと筆者は考えている。来年の現実はどうだろうか。

 しかし、小池百合子環境相が8月22日に早くも打ち出されてきた秋冬・ビジネススタイルのコンセプト「ウォームビズ」の方に筆者の関心は移っている。「ワーム(worm)」と聞き間違え、さてはイモ虫のように着ぶくれさせて、「オフィスの暖房を全部切ってしまいましょう」などという乱暴な話しかと思ったが、早とちりであった。「重ね着で暖かく(warm)」ということならファッション的にもかなり幅が出るだろう。大いに賛同できるので、今度は勝ち馬に乗れそうだ。


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2005.10.03

【書き下ろしミニコラム】「慣性モーメントに気をつけて」

このBlogはただの自著のリンク集だと言われたりしたので、たまには書き下ろしのミニコラムでも書いてみようかと思いました。
あちこちで執筆をしているので、それをアーカイブ化しておけば読者の方も、自分自身でも便利ですし、金森という人間がどんな考え方をする人間なのかを知っていただくには一番良いのではないかと考えていたのですが、「もっと書け」というありがたい叱咤激励の声に答えさせていただきます。


「慣性モーメントに気をつけて」

さて皆さんは「慣性モーメント」という言葉をご存じでしょうか?
簡単に言えば「物体を運動させたときに、その物体の運動を持続させようとする力を表す値」です。
例えば、モーターやエンジンが軸(シャフト)を通して歯車を回そうとしたとき、当然、その歯車自身も慣性モーメントを持ち、回り続けようとする力が生じることになります。

唐突になぜ、この話しを持ち出したかというと、理系の友人と話しをしたときに含蓄のある話しを聴いたため、読者の皆様にもご紹介したいと思ったからです。

当然、モーター、もしくはエンジンは仕事に対する原動力であり、推進力です。
その燃料が、お金なのか、仕事自身の面白さなのか、家族や社会に対する貢献という崇高なものなのかは多々あると思いますが、ともかく、何らかの燃料を得てモーターやエンジンは動き、シャフト(軸)を回します。
そのシャフト(軸)には歯車が取り付けられていて、その歯車が他の歯車に力を伝え、機械全体が動き、目的の作業を達成していくことになります。(この際歯車以外の”カム”や”クランク”といった部品は忘れてください。)

しかし、やる気を出しすぎてエンジンをどんどん回すと、歯車は「慣性モーメント」によって、シャフト(軸)から伝えられた力プラスアルファの力で自ら回り続けようとすることになってしまいます。
すると、予想以上の力が加わることにより歯車は壊れてしまい、機械全体も動かなくなってしまうのです。

それを避けるためには、モーターやエンジンをひたすら回し続けることではなく、適度に緩急を付けて「慣性モーメント」を調整してやらなければならないということです。

さて、今まで語ってきたことは、何のアナロジーなのかもうおわかりですね。
「働き過ぎに気をつけて」です。

私自身も自戒せねばと考えております。
皆様もお気をつけください。

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2005.10.01

”顧客視点”入門講座:第6回

「販促会議」の11月号が本日発売になりましたので、前号の連載のバックナンバー原稿を掲出します。

「”顧客視点”入門講座:第6回」

 前々回、前回と筆者独自の「顧客の心の洞察法」を述べてきたが、また連載の主旨通りマーケティングの基本に立ち戻ろう。今回は「そもそも自社の商品はどのような過程を経て市場に普及していくのか」ということを俯瞰的に考えてみたい。

■E.M.ロジャースの「イノベーション普及学」
 それにうってつけなのがE.M.ロジャースの「イノベーション普及学」である。ロジャースは1931年生まれのスタンフォード大学の教授で、トウモロコシの新種等の普及過程分析など農業技術分野での25年間にわたり実証研究を行って普及学の体系化を成し遂げた。「何だマーケターじゃないのか」と言うなかれ。「どうやったら新しいもの(イノベーション)が世の中に受け入れられるのか?」ということをトコトンつきつめて考えた彼の考えは、その後の多くの社会学者やマーケターにも大きな影響を与えたのだ。その理論は1983年に冒頭述べた邦題「イノベーション普及学」に表されたが、20年以上たった今でもマーケティングの教本にはそのエッセンスが必ずといっていいほど紹介されている。しかし、その理論やキーワードが一般化しすぎたせいで誤って伝えられている例も散見されるため、できる限り基本に忠実に伝えようと思う。

 まずは図を参照してほしい。これが一般にいわれている「普及曲線」である。よくいわれている「イノベーター」とは「革新的採用者」と訳され、市場に2.5%程度存在しているとされている。
 第1の誤解は商品を上市し、普及させるためには、まずこの「イノベーター層」を取り込もうと考えることだ。「新しいもの好きに受け入れられなければ何も始まらない」と考え、その層に対する施策に頭を悩ます人は多い。しかし、本来の理論はそうではない。「革新的採用者」は別名「冒険家」とも名付けられており、何よりも自ら新しいものを取り入れる行為自体に価値を見い出す人々なのである。そうした人々の行為は時として周囲の人々には奇異に映り、必ずしもそれ以降の採用に影響を与えるものではない。
 その層を無視してよいというわけではないが、特別頭を悩ませるのではなく一般的なPR活動などによるリリースに食い付いてくる。もし、商品のリリース時にこの層が動かなかったとしたら、商品そのものか、その価値の打ち出し方が間違っているのかという先行指標にはなるが、特別、何かの施策でコントロールすることはできず、また、その意義も大きくはないと考えるべきだ。
 むしろロジャースが重要視したのは、その次の「初期少数採用者(アーリーアダプター)」である。この層は別名「尊敬される人々」と呼ばれ、あまりにも新しく、一般にはその価値判断すらできない状態ではなく、適度に新しいものを勇気を持って採用したことがそれ以降の層:「前期多数採用者(アーリーマジョリティ)」に賛辞さる。そしてさらにその後の「後期多数採用者(レート・マジョリティ)」への普及へと続かせることができると説いた。つまり「普及率16%の論理」と呼ばれるもので、勝手に食い付いてくる「革新的採用者」(2.5%)と「初期少数採用者」(13.5%)を合わせた16%の普及を達成した段階で、急激に普及拡大していくというものである。

■ジェフリー・ムーアの「キャズム(溝)理論」
 しかし、広く信奉されてきたロジャースの考えに一石を投じた人物がいる。ジェフリー・ムーアが「キャズム(溝)理論」を1991年に提唱したのだ。特にハイテク業界の普及に関して述べられているが、そのポイントを要約すると、「前期少数採用者とそれ以降の層の間には溝(キャズム)があり、その層を取り込んだとしても、普及は自動的に行われていくのではない」ということだ。ムーアはロジャースの普及論自体を否定したわけではないが、時代に合わせて修正したのだ。
 確かにロジャースが研究を重ねていたのは大量生産、大量消費の時代であり、一度はずみが付けば大ヒット商品が誕生した。しかし、時代は変わり生活者の好みは細分化し、十人十色とも一人十色とも言われるようになってきた。そんな世の中では、初期のヒットの兆候を掴んだら、前期少数採用者層もカタマリで見るのではなくセグメント化し、各々の特徴を明確にし、数々の施策で橋を掛け溝(キャズム)を超え、後の普及に繋げていかなくてはならない。特に当連載の主旨である「顧客視点」に基づけば、商品全体の普及をプロダクトアウト的に考えるのではなく、顧客の視座でどのように顧客、場合によっては「個々の顧客」に対応し、その商品を受け入れてもらうことが重要性か分かるだろう。
 
■ロジャースにおける「顧客視点」
 上記のような論旨の展開をしてしまうと、いかにもロジャースに「顧客視点」が欠落しているように思われてしまうかもしれない。しかし、一般のマーケティングの解説書では「普及学」のうち「普及曲線」の部分ばかりが取り上げられており、ロジャース流の「顧客視点」と言うべき「イノベーション普及速度」が紹介されていない。それを知るためには産業能率大学出版部から出版されている邦訳版を読むしかないが、残念ながら現在絶版状態だ。また、運良く古本屋で入手できたとしても500ページ以上ある学術書独特の文体を読み解くにはなかなか根性がいる。そこで、筆者が成り代わってそのエッセンスをお伝えしたい。
 イノベーション普及速度とは、ものが普及する速度にどのような要素が影響を与えるのか、つまり、どうすれば人は新しいものを受け入れてくれるのかを述べているものだ。それは大きく五つに分類されている。
(1)相対優位性…今まで使っていたものと比べ、その新しいものが、いかに優れているかが分かりやすいこと。これは言ってみれば当たり前なことかもしれない。新しいものが優れていないのであれば取り入れる必要はないのだから。しかし、当たり前と思わず、重要なのは「いかに優れているかがしっかり伝わるか」というチェックポイントにすることだ。
(2)両立性…当面は今まで使っていたものを捨てることなく、両立できること。やはり人間は誰しも今までなれていたものをスッパリと捨て去ることには抵抗感を覚える。しかし、その普及させようとするものが、どうしても切り替えを前提としたものである場合は、以下の(4)の試行可能性が重要となってくる。
(3)複雑性…理解できないほどの複雑性を持っていないことと、逆に当たり前に見えすぎない程度に複雑であるというバランス。言い換えればこれは「有り難み」とも言えるものだろう。新しいものを受け入れるということは、有償・無償の場合に限らず、何らかの対価を払うかリスクを負うことになる。その壁を越えさせるためには、ある種の有り難みが必要であるということだ。
(4)試行可能性…とりあえず、本格的な導入の前に自ら触って効果を認識できること。これはマーケティングやセールスプロモーションの世界ではおなじみの手法が幾つもあるだろう。デモンストレーション、プロトタイプの提供、試供品のサンプリングなどなど、枚挙にいとまがない。
(5)観察可能性…目に見えない効果ではなく、明らかに効率が上がるもしくは質が向上するなどの効果が観察・実感できること。これは普及させようとするものによっては難しい要素だ。失敗例としてロジャースは南米での殺鼠剤を挙げている。大量発生した野鼠の被害を食い止めるべく、政府は安価で効果のある殺鼠剤を農家に提供しようとした。しかし、毒餌を食べた鼠は農民の目の前でのたうち回って死に至るのではなく、どこか暗がりに逃げ込んで静かに死んでいくという遅効性の毒薬だったのだ。したがって、農民は効果を自らの目で確認できず、受け入れられなかった。これに対して、ダイレクトマーケティングの世界などでは「テスティモニアル」という手法を用いたりする。その効果を顧客に語らせるのだ。「○○はこんなに効果がありました」というような感想を顧客の顔写真付きで広告に掲載しているものを見たことがあると思うが、まさしくそれがそうだ。

 上記に紹介した「イノベーション普及速度」の五つのポイントはまさに自社商品を上市させ、マーケティング展開を図ろうとしたとするときの顧客視点でのチェックポイントとして活用できる。また、マーケティングプランを策定する際にも有用だ。是非活用してもらいたい。


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