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【マーケティング講座】

お勧めマーケティング関連書籍

  • 金森 努: 3訂版 図解よくわかるこれからのマーケティング(DOBOOKS)
    初めての人から実務者まで、「マーケティングを体系的に理解し、使えるようになること」を目的として刊行した本書は、2016年に「最新版」として第2版が発売されました。 それから6年が経過し、デジタル技術の進化やコロナ禍という大きな出来事もあり、世の中は既に「ニューノーマル」に突入しています。 その時代の変化に合わせて本文内容の改訂、新項目の追加や事例の差し替えなどを大幅に行ないました。
  • 金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)

    金森 努: 9のフレームワークで理解するマーケティング超入門 (DO BOOKS)
    「マーケティングって、なんとなく知っている」「マーケティングのフレームワークは、わかっているつもりだけど業務で使いこなせていない」・・・という方は意外と多いのが実情です。 「知っている」「わかっている」と、「使える」の間には、結構大きな溝があるのです。 その溝を、最低限の9つのフレームワークをしっかり理解し、「自分の業務で使いこなせる」ようになることを目指したのがこの書籍です。 前著、「最新版図解よくわかるこれからのマーケティング」は、「教科書」的にマーケティング全体を網羅しているのに対して、こちらの「9のフレームワーク・・・」は、「実務で使いこなすための「マニュアル」です。 もちろん、フレームワークをしっかり理解するための、実事例も豊富に掲載しています。 「よくわかる・・・」同様、多くの企業研修テキストとしてもご採用いただいています。

  • 金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)

    金森 努: 最新版 図解よくわかるこれからのマーケティング (DOBOOKS)
    旧版(水色の表紙)は6年間で1万部を販売し、それを機に内容の刷新を図りました。新章「ブランド」「社内マーケティングとマーケティングの実行」なども設け、旧版の70%を加筆修正・新項目の追加などを行っています。本書最新版は発売以来、10ヶ月で既に初版3千部を完売。以降増刷を重ね、約1万部を販売していおり、多くの個人の方、大学や企業研修で「マーケティングのテキスト」としてご愛顧いただいております。

  • 金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)

    金森努(監修): あのヒット商品はなぜ売れるのか? ─気軽に読むマーケティングのツボ─ (TACビジネススキルBOOK)
    ヒット商品ネタ51連発!このブログ記事のネタを選りすぐってコンパクトで読みやすく図表付きに再編集しました!

  • 金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)

    金森 努: 「売れない」を「売れる」に変える マケ女<マーケティング女子>の発想法 (DO BOOKS)
    打倒「もしドラ」!を目論んだ(笑)ストーリー展開のマーケティング本。初心者にもわかりやすいマーケティングの全体像に基づき、実践・実務家も納得のリアリティーにこだわりました!

  • 金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える

    金山宇伴(著)・金森努(監修) : ペンギンが考える
    ペンギンの世界を舞台に「考えるとはどういうことか」「論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か」を考える、スラスラ読めて身につく本です。初心者の入門書として、一度学んだ人の復習にと活用できます。

  • 金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本

    金森努: ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本
    マーケティングをストーリーで学び、「知っている」が「使える」になる本。1つ1つのフレームワークが、面白いように「つながっていく」感覚を実感してください!

  • 金森 努: “いま”をつかむマーケティング

    金森 努: “いま”をつかむマーケティング
    7編の取材を含む、2010年のヒット商品など約30事例をフレームワークで切りまくった「マーケティング職人・金森」渾身の1冊。フレームワークを学びたい人にも、フレームワークの具体例を知りたい人にも、朝礼で話せるコネタが欲しい人にも役に立つこと間違いなしです!

  • 長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語

    長沢 朋哉: 世界一やさしい「思考法」の本―「考える2人」の物語
    「分かるとできるは違う」と言われるが、両者間には距離がある。実業務のどこで使えるのか気づけない。だから使えない。本書はお菓子メーカーのマーケティング部を舞台にした「若者2人の成長物語」を通して、戦略思考、論理思考、クリティカル・シンキングなどの、様々な思考法が展開されていく。ストーリーで「使いどころ」をつかめば、実践できない悩みの解消が図れるだろう。 (★★★★★)

  • ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」

    ダン アリエリー: 不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」
    フレームワークの「使用上の注意」は、「人の心はフレームワークだけでは切れない」を常に認識することだ。「行動経済学」に注目すれば、経済合理性に背く人の行動の謎の意味が見えてくる。謎の解明を様々なユニークな実験を通して、著者ダン・アリエリー節で語る本書は、「フレームワーク思考」に偏りすぎた人の目から何枚もウロコを落としてくれるはずだ。 (★★★★★)

  • セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践

    セオドア レビット: レビットのマーケティング思考法―本質・戦略・実践
    「顧客はドリルが欲しいのではない、穴が空けたいのだ」や、「マーケティング近視眼(Marketing Myopia)」で有名なレビット教授の名著。製品とは何か。サービスとは何か。顧客とは何か。そして、マーケティングとは何かと問う、今まさに考え直すべき原点が克明に記されている名著。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則
    コトラーはマーケティングは「製品中心(Product out)=1.0」「消費者中心(Customer Centric)=2.0」。それが「人間中心・価値主導(Social)=3.0」にバージョンアップしたと論じている。本書は「マーケティング戦略」の本というよりは、今日の「企業のあるべき姿」を示しているといえる。その意味では、「では、どうするのか?」に関しては、新たなソーシャルメディアの趨勢などに考慮しつつ、従来のコトラー流2.0を十分に理解しておくことが必要だ。 (★★★★)

  • 鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)

    鈴木 準・金森 努(共著): 広告ビジネス戦略―広告ビジネスの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ 1)
    広告に関する本は、いわゆる広告論や広告制作の手法を述べていても、マーケティング理論を前提としたものは少なかったように思います。「マーケティングの中における広告ビジネス」を具体的にまとめました。さらに、当Blogで「勝手分析」した事例を企業取材によって、マーケティングと広告の狙いを検証しました。多くの現役広告人と広告人を目指す人に読んでいただきたいと思います。

  • 金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)

    金森 努: 図解 よくわかるこれからのマーケティング (なるほど! これでわかった) (DO BOOKS)
    金森の著書です。フレームワークやキーワードやセオリー、事例をマーケティングマネジメントの流れに沿って102項目で詳説しました。フレームワークの使いこなしと事例には特にこだわりました。金森のオリジナル理論もあり!

  • 山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える

    山田 英夫: 新版 逆転の競争戦略―競合企業の強みを弱みに変える
    リーダーの戦略や、チャレンジャーがリーダーを倒す方法など、ポーター、コトラーの理論を更に実践的な事例と独自フレームワークで解説した良書。事例がちょっと古いが、今、読み返してもためになる。在庫が少ないので、中古本でも出ていれば即買いをお勧め。 (★★★★)

  • 金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)

    金森 努: 実例でわかる!差別化マーケティング成功の法則 (ビジマル)
    このBlog記事一話一話が見開きで図解されたわかりやすい本になりました。ヒット商品のヒミツをフレームワークで斬りまくった、ネタ56連発。是非一冊!

  • 後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて

    後藤 一喜: 費用対効果が見える広告 レスポンス広告のすべて
    「レスポンス広告」とは資料・サンプルの請求や商品の注文を消費者から獲得するための広告のこと。そのための方法論は、ブランドイメージをよくするといった目的とは全く異なる。本書は多数の広告サンプル(精度の高いダミー)を用いてレスポンス広告のキモを具体的かつ詳細に解説している。「レスポンス広告の鬼」たる筆者ならではの渾身の1冊。 (★★★★★)

  • ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン

    ジョン・P・コッター: カモメになったペンギン
    どんなすばらしいマーケティングプランも、結局は人が動かなければ成功しない。故に、リーダーシップ論が重要となる。本書はコッター教授の「企業変革8ステップ」が寓話の中でわかりやすく記されている良書である。金森絶賛の一冊です。 (★★★★★)

  • マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則

    マルコム・グラッドウェル: 急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則
    2000年発売の良書。旧タイトル「ティッピング・ポイント」が文庫本化されたもの。クチコミの本ではなく、イノベーションの普及が何かのきっかけで一気に進む様を、各種の事例を元に解明した、普及論にも通じる内容。(うっかりリストに入れ忘れてました)。オススメです。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学

    野中 郁次郎: イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学
    経済分野最強のジャーナリスト勝見 明紙と、経営学の大家野中 郁次郎先生という黄金コンビによる傑作。いくつもの企業でのイノベーション事例を物語風に紹介しながら、その変革の要諦を解明、さらなる提言をメッセージしている。読み応え十分。 (★★★★★)

  • 野中 郁次郎: イノベーションの本質

    野中 郁次郎: イノベーションの本質
    最新刊の「イノベーションの作法」に比べると、少々こちらは「野中理論」の難しい部分が表面に出ているように思えるが、発売当初、ナレッジマネジメントの観点からしか読んでいなかったが、読み返してみれば、本書の1つめの事例である「サントリー・DAKARA」はマーケティングでも有名事例である。むしろ、本書での解説は、マーケティングのフレームワーク上の整合ではなく、そのコンセプト開発に力点が置かれており、その精緻な記述は圧巻であった。読み直して得した気分になったので、ここで併せて紹介する。 (★★★★)

  • グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業

    グレン・アーバン: アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業
    だいぶ発売されてから時間が経ってしまったのですが・・・。 二度目に読んで、「お勧め」しようと思いました。 そのわけは、一度目は「いかに顧客と優良な関係を構築することが重要か」という当たり前なことを力説しているだけの本だと思ったからです。 事実、そうなんです。アドボカシー(advocacy=支援)という新しい言葉を遣っただけで。 ただ、その「当たり前なこと」のまとめ方が秀逸であり、我々マーケターにとっては「当たり前」でも、その考え方がどうしても理解できない石頭な人に読ませると、なかなか効果的だと分かりました。 さて、皆さんもそんな人が周りにいたら読ませてみては? (★★★)

  • レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」

    レスター・ワンダーマン: ワンダーマンの「売る広告」
    ダイレクトマーケティングの創始者であり、金森の心の師でもある、レスター・ワンダーマンの「BEING DIRECT」(英文名)が12年ぶりに改訂されました。 詳しくは、Blog本文の10月16日の記事を参照ください。 必読の書です。 前版は電通出版だったので入手が少々面倒でしたが、今回は一般の出版社からの刊行なので、アマゾンで購入できます。この本の画像をクリックすれば、アマゾンのサイトにリンクしますので、是非! (★★★★★)

  • フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式

    フレドリック・ヘレーン: アイデア・ブック スウェーデン式
    実は、この本は金森の入院中の頂き物。結構はまりました。 スウェーデンの売れっ子セミナー講師が自らのセミナーで用いている30の設問を、気の利いたイラストに載せて紹介している。「レンガの使い方を10通り挙げなさい」のような、「ん?どこかの自己啓発セミナーで聞いたな~」というようなネタもありますが、ひねりの効いた問いかけもいっぱい。ざっと流し読みしたら20分で読み終わってしまう絵本になってしまいますが、本気で問いかけの答えを考えると、なかなか論理思考も鍛えられます。金森もお気に入りの問いかけは出典を明らかにして、自分の企業研修で使わせてもらっています。 ちなみに、この本の2(続編)も出ています。2冊揃えば送料も無料。「あわせて買いたい!」。 (★★★★★)

  • パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う

    パトリシア ジョーンズ: 世界最強の社訓―ミッション・ステートメントが会社を救う
    重要な本をお薦めするのを忘れていました。この本も結構、私の座右の書となっています。「ミッションステートメント」の重要性もコラム等で繰り返し述べてきました。それがしっかりしていないが故に、会社自体が方向性を見失い、社員も求心力をなくす。また、顧客のことも忘れてしまう。ミッションステートメントは壁に黄ばんだ紙に書いてあるものを、朝礼で呪文のように唱和するためのものではないのです。社員全員、全階層がそれを本当に理解し、行動できれば会社に強大なパワーが生まれるはずです。この本は「強い企業の強いステートメント」が紹介・解説された良書です。 (★★★★)

  • エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学

    エベレット・M.ロジャーズ: イノベーション普及学
    もはや絶版でプレミアがついて現在ユーズドで3万円!(昨年までは2万円以下でした。定価は8千円弱)。 しかし、一度は翻訳版とはいえ原書を読みたいもの。 私のコラムでもよく取り上げています。 様々なマーケティングの入門書にも部分的に取り上げられていますが、誤った解釈も多く、「イノベーションの普及速度」などの重要項目も抜けています。 ただ、基本的には社会学の学術書なので、完読するのはチトごついかも。(それで星4つ。内容的には断然5つですが。)3万円ですが、手にはいるならラッキー。 10万円にならないうちに・・・? (★★★★)

  • ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業

    ジャストシステム・エンタープライズソリューション協議会/JECS: 思考停止企業
    すみません。これは宣伝です。 Blogにも「共著で実践的なナレッジマネジメントの本を出しました」と紹介いたしましたが、この度第二版(重版)ができました。 初版で終わったしまうことの多いビジネス書において重版はうれしい! まだお読みになっていない方は是非! (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪

    フィリップ・コトラー: マーケティング10の大罪
    これも分かっている人向き。 コトラーの中では「最も今日的な本」であると言えるでしょう。コトラー大先生と私ごときを並べて語るのは不遜の極みですが、私が旧社電通ワンダーマンのニューズレターや日経BizPlusの連載でしきりに訴えてきた内容が集約されている気がします。うーん、大先生と何か視点が共有できているようで読んでいて嬉しくなってしまった一冊でした。 (★★★★★)

  • フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト

    フィリップ・コトラー: コトラーのマーケティング・コンセプト
    今度は分かっている人向け。そういう人はたぶんもう買っていると思いますが・・・。 コトラー特有の大作ではなく、マーケティングの中でも重要なコンセプトを80に集約して解説を加えた、ある意味他のコトラー本の「攻略本」とも言える。 常にデスクサイドに置いておき、用語集として使うもよし、ネタに困ったときにパラパラと眺める「ネタ本」としてもよし。マーケター必携の本であると言えましょう。 (★★★★★)

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September 2005の3件の記事

2005.09.13

「もう一つの2007年問題:引退できない経営者たち」

NIKKEI NET BizPlusの連載・ニッポン万華鏡(カレイドスコープ) 第6回がアップされました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm?i=2005111606onec6

現在私はオーナー企業の二代目の方々とお付き合いが結構あります。
もちろん、私がお付き合いさせていただいているのは、本文記事中にあるような困った状況にある企業様ではなく、順調に二代目オーナーへの道を歩まれていますが、世の中にはなかなか「引退の決断の付かない創業者」、「自分の路線で突き進めない二代目」というご苦労をなさっているケースも数多く散見します。

実は、私がパートナーとして参画している「青学コンサルティンググループ株式会社」では、そのような企業様に対して「二代目移行プロジェクト」をコンサルティングメニューとして持っております。

マーケティング的側面、財務面、等様々な切り口からコンサルティングを展開いたしますので、お困りの際は是非お問い合わせください。
・・・と今回はかなり営業モードでお伝えしました。済みません。

-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

 一般に言われている「2007年問題」は「2007年に団塊世代が定年退職のピークを迎える。彼らが蓄えてきたナレッジやノウハウをどうやって企業と後継者に残すのか」ということだ。これは日本のすべての産業で共通の問題となっている。しかし企業の多くが「5年間の定年延長」や「嘱託で5年間程度再雇用」など、「問題を2012年に先送り」しているのが現実だ。

時代についていけない経営者たちはどうすべきか

 今回紹介する「もう一つの2007年問題」は少し趣きが異なる。「引退する」あるいは「引退したい」のは経営者自身なのだ。こうした傾向は、中小から中堅企業、特に流通系オーナー企業に顕著だ。彼らは団塊の世代よりも十数歳上。高度成長期に企業を立ち上げ、拡大路線をひた走ってきた。ふと気づくと70歳を超えている。かつては「生涯現役」と宣言していたものの、昨今の市場や生活者の消費行動の変化に行けなくなっていることに気づく。

 そこで頼りにしたいのは、団塊ジュニアよりも十数歳上、40代前半~中盤の二代目である。社外で修行に励んできた人もいるし、父親である経営者の下でずっと働いていた人もいる。初代経営者としては、彼らの「若い経営感覚」に委ね、引退したいところだ。しかし、経営を禅譲する決心がなかなかつかないのだ。

思い切って古参役員もろとも退任の決断も

 外で修行してきた二代目は、外の流儀を持ち込もうとする。しかし、初代は自分の「勘と経験と度胸」で企業を牽引してきた感覚とは合わないものを感じてしまう。確かに昨今の市場や生活者の消費行動の変化に対応しようとした場合、店舗デザインや品揃え、パッケージデザインなどに手を入れようと考え、初代にそう上申する。しかし、初代はどうも納得できない。

 この手のオーナー企業の問題は「管理会計」にあることが少なくない。初代の経営の本質は大体「勘と経験と度胸・丼勘定」だ。丼勘定も商売が拡大期でキャッシュフローがうまく回っているときには通用する。

しかし「金融ビッグバン」の柱として、2003年3月決算期からキャッシュフロー計算書の作成開示が求められるようになった。中小~中堅企業も融資を受ける際などには必須のものとなった。

もはや、丼勘定、もしくは損益計算書だけ見て済む時代ではない。が、二代目がその知識を持ち合わせているケースは意外と少ない。

 この場合、引退したいと考えている初代には気の毒であるが、外部からも新しい会計知識を持った人間を入れ補強しつつ、二代目を初代の元でしばらく修行させる必要があるだろう。

 一方、ずっと父親の下で修行をしてきた二代目の場合、「勘と経験と度胸」もおぼろげながら受け継ぎつつある。しかし、初代と同じことをしても意味がない。自分なりの考えでマーケティンや会計分野にも外部の意見を取り入れながら改革に踏み切ろうとする。

 問題は古参の初代の取り巻き役員たちだ。「それはおかしい」「初代はそんな判断はしなかった」など口をはさまれれば、二代目は身動きができなくなる。こんな場合、初代は腹をくくって一気に引退してしまい、取り巻き役員たちも殉死(退任)させるぐらいの決断が必要だ。

二代目の年齢も考えて引継ぎのタイミングを

 初代から二代目に引き継ぐ際に重要なのは「一度会社をバラバラにして組み立て直す」という設計をしてみることだ。それは「リストラクチャリング」という意味ではないし、「BPR(Business Process Reengineering)」というプロセスレベルの問題でもない。「自社は何のために存在し、どのような顧客が自社にとって望ましい顧客(戦略的ターゲット)であり、さらにその顧客に対してどのような価値を提供するのか」という根源的な部分から定義をし直すことだ。

 最初に述べたように大企業の多くの2007年問題への対応は「先送り」しているだけだ。しかし、オーナー経営者が感じている「自分の感覚と市場・消費者がズレている感覚」はほぼ間違いない。例えば5年間先送りしたら、二代目も脂の乗った時期を過ぎてしまうかもしれない。それだけに「経営者の2007年問題」こそ、先送りが許されないのだ。

2005.09.10

「アドバタイムズ」の九州版9月7日号

8月29日に「九州地方の方へ」というタイトルで予告いたしましたが、宣伝会議発行「アドバタイムズ」の九州版9月7日号にて「ワン・トゥ・ワンマーケティングと九州の現状」という特集企画が掲載されました。

そこで、大胆にもダイレクト戦略マーケティングラボの中澤功氏のとなりの囲みで拙稿が取り上げられました。
他にも、CRM協議会の匠英一事務局長、同協議会九州支部長の大井氏らが、これからのCRMにおける個人情報保護法への対応、などについてのコメントを寄稿いたします。

話題としては4月の同法の完全施行前後に盛り上がったもので、「今の時期になぜ?」と東京の感覚では思ってしまうかもしれませんが、恐らく通販の盛んな九州という土地柄、完全施行からはんとした経って点検の意味も含めて振返りが必要なのだろうと推察されます。事業者の方々にとっては本当に死活問題ですから・・・。

私の原稿は600字程度の短いものですが(この文字数に押し込むのが大変なんですが)、同紙届かない地域の方のために以下に転載いたします。


「個人情報保護法下のCRMは、より一層の洗練と長期的視点が必要」

 個人情報保護法が完全施行され、罰則規定が設定された。法学者的な見地で言えば罰則が整備され、同法は始めて本当の法律になったのだ。しかし、その後も個人情報の流出は後を絶たず、生活者は企業にパーミッションを与えることに対して以前よりデリケートになってきている。

 企業として第一に認識しなくてはならないのは、安易な個人情報の保持は大きなリスクであるということだ。販促キャンペーンを行い、「何かの役に立つだろう」と何となく個人情報を含めた詳細なアンケートを取得してしまう。論外である。

 どのような目的で、どのようにして個人情報を活用していくのかというCRMとしての精緻な「ロードマップ」がまず必要だ。また、そのロードマップには、「どの段階でどの程度のコミュニケーションを行うために、どの程度の情報取得が必要なのか」が定義されている必要がある。単に情報を送るだけなら、氏名もないメールアドレスだけでいい。趣味志向に合わせたメールを送りたいなら、その情報を合わせて取得が必要になる。さらに、資料請求や購入実績のある顧客で、継続的かつ、深いコミュニケーションを行う場合は厳重な管理の下詳細な個人情報を取得する。このような段階的な設計が欠かせないのだ。

 しかし、同法の完全施行は安易、もしくは混沌としていたダイレクトプロモーションやCRMを考え直し、洗練させるチャンスでもある。肯定的に捉え、再設計することをお勧めしたい。

2005.09.01

”顧客視点”入門講座:第5回

「販促会議」の10月号が本日発売になりましたので、前号の連載のバックナンバー原稿を掲出します。

「”顧客視点”入門講座:第5回」

 今回は前回の続編とも言うべき内容なので、まずはおさらいから入ろう。「顧客の心の中を洞察し、しっかりと離さない」ためには以下の3つの要素が欠かせないと論じた。Recognition =顧客の存在を適切に認知・評価する。Time saving =利便性を提供する。Peace of mind =本質的な価値・安心・満足の提供。この3つの要素から構成された、「顧客との関係性を深めるためのフレームワーク」を活用し、第3回の「企業は顧客との関係性の中から利益を出す5つのポイント」と併せて、「顧客を優良顧客へと進化させる方法」を今回は提示したい。5つのポイントとは、ライフステージの変化に対応する、アップセリングを図る、クロスセリングを図る、アフターマーケティングでさらに収益を拡大する、お客様紹介(MGM)で顧客の拡大再生産を図る、である。

■顧客は三段階で進化する?
 「顧客が進化する」とは、企業が行う各種施策によって徐々に顧客を優良顧客化することができるという考え方で、論者によって3段階だったり5段階だったりする。しかし、何段階であるかより重要なのは、本来、「”顧客が進化する”のではなく企業側が懸命に各種の働きかけをすることによって、”顧客との距離が縮まる”」のだという基本認識だ。冒頭では分かりやすくするためによく使われている表現を使用したが、顧客は決して勝手に進化などしてくれない。顧客視点で考えれば簡単に分かることであるが、ともするとマーケティング的表現は誤解を誘発する。注意が必要だ。
 さて、その3段階での「顧客への働きかけ」の具体的な内容を見ていきたい。

■Step 1:最低限のCSの達成段階
 企業にとっての最大のダメージは、マーケティングコストを投下し、せっかく商品の購入などの関係が構築できた顧客が離れていくことである。そうなってしまっては、せっかく顧客化のために投下したコストも水泡に帰してしまう。そうならないためには”Recognition”つまり、「顧客を理解し、適切なケアを行う」というポイントを怠らないことが重要だ。そうすれば最低限のCS(Customer Satisfaction =顧客満足)は達成され、少なくとも顧客の不満が解消でき、離反は防げる。例えどんなマーケティングプログラムを先々用意していたとしても、関係構築ができたばかりの顧客が離れていっては何にもならない。ここが基本ポイントである。そのためには顧客の人生の節目(ライフステージ)、もしくは何らかの”きっかけ”をきっちりとフォローしていくことが重要なのだ。

■Step 2:満足度の向上段階
 一度顧客になってもらったら、その顧客には再度購入してもらいたい。そのために前のステップが存在したのだから当然だ。収益構造(レベニューモデル)として再購入を前提としてマーケティングプログラムが構築されている場合も少なくない。例えば、PCメーカーのデルコンピュータの収益モデルは、一人の顧客に5年間の間に3台のPCを購入してもらうことで成立するよう組み立てられているという。デスクトップPC→ノートPCの追加購入→デスクトップPCの買い換えという具合だ。つまり反復購入なくして早期に離反が起これば、マーケティングコストのROI(Return On Investment = 投資対効果)が赤字となってしまうのだ。
 確かに一度自社の商品・サービスを購入し、使用体験を持つ顧客であれば、初回購入に踏み切らせることよりも壁は高くはないだろう。しかし、再購入・反復購入という壁は一見低そうに見えるが厚く、突き破ることは難しいのである。
 ではどうすればいいのか。Recognitionは当然として、Time savingの要素を忘れないことが肝要だ。顧客に対してタイミングよく適切なお勧め(レコメンデーション)を行い、その商品の買い換え、または買い増し(アップセリング)、もしくは関連商品の購入(クロスセリング)の必要性を感じさせ、納得してもらい、購入結果に満足してもらうのだ。そのためには、むやみやたらとお勧めを繰り返すのではなく、「顧客に最も必要なものを提供する」という基本精神を忘れないことである。また、反復購入のほかにも、例えばプリンタやコピー機の場合のように、サプライ品や保守メンテナンスなどで収益を上げる(アフターマーケティング)ことも可能となる。

■Step 3:満足度の最大化段階
 反復購入を続けてくれる顧客と企業の間には次第に信頼関係が生まれ、強固になっていく。そして顧客がファン化する。この段階までくれば、顧客と企業の最適な関係が維持されさらに拡大されていくことになる。つまりPeace of mindが達成された状態だ。ここに至るまでには前段階でいかに努力したかが重要であり、前段階を飛び越したり、最初からこの段階を狙ってできるものではない。一段抜かしや二段抜かしで階段を駆け上がることはできないのだ。
 この段階に至ると企業にとって嬉しいことに、顧客が企業(もしくは企業側の担当者)に対して積極的にコミット(関与)してくれることだ。つまり、顧客自身が満足している商品・サービスを友人に勧めてくれるのだ。前回生命保険の契約を例として述べたが、筆者の生保の担当営業は非常に優秀でサービスもよく、とても緻密に設計されたプランを提案してくれた。それがきっかけでファン化した筆者は、実は新入社員や結婚した知人に、人生の節目に保険の加入や見直しを勧め、その担当者に紹介している。(今までに4人ほど加入したようだ)。 さらにこのタイミングを見計らって、何らかの紹介インセンティブを付与するMGM(Member Get Member =知人紹介)のプログラムを行うと非常に効果的である。
 逆に間違った例として、全顧客に対して一律にこのMGMのプログラムを投下していることをよく目にする。”紹介”は、紹介者が程度の差こそあれ、ある程度のリスクを負う行為であると理解すべきだ。例えば自分が勧めたものが被紹介者である友人・知人に気に入られなかったら、恐らく気まずい思いをするだろう。それが高額なものであったら関係が悪化するかもしれない。そのリスクを冒してまで紹介という行為に踏み切るのは、顧客自身がその商品・サービスに満足し、間違いないと確信しているからにほかならない。つまりPeace of mindが達成されていなければ、いくら紹介を依頼してもそれが達成されることはない。故に、全顧客に対して一律にMGMの施策を投入することは甚だ効率が悪いものになるのである。しかし、企業側の都合で「お客様紹介キャンペーン!」なるものを全顧客に対し展開している例は数多い。自らの立場に置き換えて顧客視点で考えれば明白なのに、やはりその基本を忘れてしまっているのだろう。

 以上が顧客との距離を縮め、優良顧客化するための3段階の方法である。連載の第3回4回の集大成といった感じであるが、マーケターという視点ではなく顧客視点で読み返せばごく当たり前なステップであることがわかるだろう。しかし、この連載の主旨である顧客視点でマーケティングを捉え直すには有用なフレームワークである。一度、自社の施策全体をこのフレームで俯瞰して見直してみていただきたい。

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