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2005.08.03

「リストラに負けない!! 目標を直接狙う『飛び級』作戦とは」

NIKKEI NET BizPlusの連載・ニッポン万華鏡(カレイドスコープ) 第4回がアップされました。
この連載、「なるべく幅広い切り口やテーマで書いて欲しい」と日経のデスクから依頼されているので、なかなか毎回のテーマ選びがチャレンジングなものになっています。
今回のテーマは、なんと「中高年の自殺問題」です。タイトルも元々は「生きろ!」だったのですが、ちょっと直接すぎて直されてしまいました。自殺問題をマズローとフランクルの理論で解いてみました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm?i=2005111604onec6

ちなみに、私の密かなこだわりは一つめの小見出し、「暗い月曜日(Gloomy Monday)」。
気づいていただけた方、いらしたでしょうか?
元ネタは「暗い日曜日(Gloomy Sunday)」。1930年代に作曲され世界に大ヒットを飛ばしたものの、なぜかこの曲を聴いた人々が自殺をするということで各国で発禁処分になり、「自殺の聖歌」などとも呼ばれるようになった曲です。それと引っかけてみました。(マニアックすぎてだれも気づかない?)
1999年にドイツ・ハンガリー合作で同名の映画も制作されました。この曲の誕生にまつわる男女3人と、当時第二次大戦中のナチスドイツ将校の関わりを描いた内容ですが、これがまた秀逸なのです。DVDも買いましたし、オリジナルサウンドトラックも買って繰り返し聞いています。当然、「暗い日曜日(Gloomy Sunday)」は何度も聞いてますが、しっかり私は生きてます!是非、一度ご鑑賞を。

-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

■暗い月曜日(Gloomy Monday)

 月曜の朝、また通勤電車に揺られる一週間が始まるのかと思うと憂鬱な気分になる。さらに最近は、ほかの曜日よりもさらに早く家を出なくならなくてはならない。電車が頻繁に遅延するからだ。そして今朝も駅に到着するなり「人身事故のため、ただ今大幅にダイヤが乱れております」というアナウンスで、また誰かが線路に散ったのだと知る。

■「行ってらっしゃい! 気をつけてね!」

 子供のころ、会社に向かう父の背中に毎朝「行ってらっしゃい! 車に気をつけてね!」と声をかけていたことを今でも覚えている。しかし、1997年を境に日本の自殺者総数は前年の2.7万人から一気に1万人も増え、3.7万人となり、現在も高水準で推移している。また、自殺死亡率(人口10万人対比)はバブル崩壊後の93年以降、現役世代の50代が40ポイントを超えている。(厚生労働省白書16年版より)。

 一方の「車に気をつけてね」の対象である交通事故死者は年間1万人前後。これでは子供が父親を送り出すときに、「車に気をつけて!」ではなく、「自分で死なないでね!」と言わなくてはならない、ぞっとする光景が日常になってしまう。

 前出の白書にも紹介されているが、男性自殺者と完全失業者数や負債総額の間に優位な相関関係を認める研究がある。(産業科学大「労働者の自殺に関する研究II」)。「生きがい」、「収支家計」、「家族関係」、「健康」等にストレスを感じている人の割合が、失業率が増加する以前に高まっていると自殺率が増加するようだ。(国立社会保障・人口問題研究所)

■「男は3基のエンジンで飛んでいるジェット機だ!」

 それは以前の職場でバリバリ働いていた先輩の言葉で、「なるほど」と思い今でも覚えている。曰わく、3基のエンジンとは「仕事」「金」「家族」だそうだ。何かで財産を失ったとしても、家族に支えられ仕事をがんばれば取り戻せる。離婚などで家族が壊れても、金と打ち込むべき仕事があれば自分自身はやり直せる・・・・・・。などというものだ。しかし、3基のエンジンのうち2基が同時に停止してしまうと男は墜落してしまうから、そうならないように気をつけるのだと説かれた。何か、前出の人口問題研究所の 「生きがい」、「収支家計」、「家族関係」という人を支えている項目とよく似ている気がする。

■画一的価値観に支配されていないか?・・・・・・マズローの刷り込み

 人は努力を重ねて「生きがい」「収入」「家族」などを段階的に手に入れていく。言い換えれば階段を登るごとく一つ一つ自己の欲求を満たしていくわけだ。

 それを体系的に表したのが、アブラハム・マズロー(1908~1970)の「欲望5段階説」である。第1段、第2段の「生理的欲求」「安全欲求」は人としての最も根本的な欲求であり、「衣食足りて礼節を知る」の基本でもある。しかし、昨今のデフレ不況やそれに伴うリストラや倒産はこのレベルにまでインパクトを与えることになる。つまり、「食えない」という状況に陥るのだ。

 第3段階の「親和欲求」は他者と関わり、その層(集団)と同質化して同じように振る舞うことに喜びを見いだすものだ。しかし、リストラによる会社からの強制退去や倒産などは、所属していた集団自体そのものの消滅と、収入減によるいわゆる「中流」や「中の上」と思っていた階層からの転落を意味し、「親和欲求」に大きなインパクトを与える。
 第4段階の「自我欲求」は自分が集団から認められ、尊敬されることに喜びを見いだすことを意味するが、まさにこのレベルに達している人が、その集団(企業)からリストラされる、もしくは集団そのものが消失した場合など拠るべき縁がなくなり、計り知れないインパクトに襲われることになる。

 だが、最後の第5段階の「自己実現欲求」だけはほかの欲求と少々意味合いを異にする。それは自分の能力を発揮し、創造や自己実現を図ることに喜びを見いだすことを意味している。もし、能力の発揮や創造・自己実現を、「会社」という枠の中だけに固執しているのならもはやどうにもできない。しかし、それを「社会」というもっと広い枠で考えることができれば、リストラや倒産などという憂き目を見ても、また別の所で自己実現を図ろうと頑張れるのではないだろうか。

■5段階説は人生の修行なのか?

 問題はマズローの法則はあまりに有名であり、その理論に社会通念が大きく影響を受け、個々人にも強く刷り込まれていることだ。さらにこの5段階説は「飛び級」なし。登山のごとく、一段一段上って行かなくてはならない人生の修行なのだ。

 筆者は一度それをバラバラにし、一気に5段階目の「自己実現欲求」に特に注目した価値観を今まさに考えてみることをお勧めしたい。

■「意味探求人」モデルというものも考えてみよう

 一気に5段階目の「自己実現欲求」に特に注目するというのは、実はヴィクトール・E・フランクル(1905~97)の考え方があるからだ。その理論は「人間は本来的に意味探求を目指す存在なのであり、自己実現は人生の最終目的ではない。そして、人間は真・善・美、等の価値追求と"自己超越・他者愛"を目指すものである」。というものである。何やら哲学的であるが、要するにマズローが最高位に置いた「自己実現」は企業・職業を通して成される場合が多いが、「意味探求モデル」では地域社会や趣味活動を通して成される場合が多いという違いがあるというようなのだ。

 「我慢してコツコツ修行して上っていかなくても、好きなことをまず考えてやればいいんだよ」と言われているようで救われる。そう。会社での地位向上や会社を大きくすることだけを考えるのではなく、そもそもの「自分にとっての生きる意味」をよく問い直してみることが重要だと問いかけられているのだろう。

■生きろ!

 前述の先輩の「男は3基のエンジンで飛んでいる」という言葉も、よく考えれば多分にマズローが刷り込まれている。エンジンは1基でも動いていれば飛び続けられるかもしれない。全てが止まってしまっても、「生きる意味」を見つめ直せば、「金・仕事・家族」以外の別のエンジンが見つかって人生の飛行を続けられるかもしれない。

 また、自分の希望するものに向かって一段一段階段を登る必要もない。これだけ世の中とそのルールが変わってしまっているのだ。「飛び級」でも「近道」でも何でもできることはすべきだろう。人は皆、画一的な価値観に縛られる必要はなく、人にはそれぞれの生き方があるのだから。


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