« 毎日新聞社「週刊エコノミスト」2007年問題特集 | Main | 「プロジェクトチーム立ち上げの必須要件とは?」 »

2005.07.19

「都心回帰かもたらすものは?(2)」

以前執筆した「都心回帰かもたらすものは?(1)」の続編です。

といっても、実は1と2は続けて書いたのですが、どうしても掲載の間に「クール・ビズ」の話が書きたくなって、泣く泣く離ればなれになってしまいました。お読みになる前に(1)を振返っていただけると幸いです。

内容的にはじぶんでも「極論かな?」と思っていますが、どうも近い将来的にはここに書いたような「階層社会」が日本にもやってくる(もうやってきている?)ように思えてなりません。

どうぞご意見を頂ければ。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm?i=2005111603onec6

-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

 第1回で、企業の遊休地に次々と出現している駅近や再開発地区のマンション群が街の風景を変え、人々の行動も、企業の競争戦略も変え始めているという現状を指摘した。今回はさらに、人々の暮らしの変化を掘り下げてみたいと思う。

■駅近マンションの住人はどこからやってくるのか?

 マンションが林立する。さて、そこに住む住人はどこからやってくるのか。今まで何もなかったような所に突然出現した大規模再開発の場合、元の居住エリアに関わらず、広い範囲から人々が集まってくる。まさに新しい街に新しい住人が集まってくるのだ。

 しかし、駅近の小規模な工場や企業の倉庫などの跡地に虫食い状態にできたマンション群の場合、実は多くの住人はそこから1.5㎞以内に居住していたか知人・親類縁者がいる場合が8割を占める。これは数年前、長谷工コーポレーションが調査した結果である。要するに、以前から地縁・血縁のあるエリアの駅近くに利便性を求めて居を構えたというわけだ。

 駅近マンションが古くからの住人を吸引する。そしてその周辺にはさらなる利便性を提供すべく、24時間の大規模スーパーやドラッグストアなどが続々と進出してくる。やはり、利便性を求めて転居してきた住人層であるが故、駅に背を向けて今まで買い物をしていた商店街や小規模地元スーパーに戻ることはない。その利便性と、豊富な品揃え、今まで見たことのないような食材の数々に一気にファンになってしまうのだ。

■買い物客は二極分化する

 上記のごとく、駅近のマンション住人は新しい店に吸引されていくが、従来からの住宅地の住人がわざわざそこに出てきて買い物をすることはあまりない。距離的問題もさることながら、駅近はやはり物価が高いのだ。同じ品物を比べてみれば地元商店街との価格差は歴然である。しかし、新たな駅近マンションに転居した住人たちは、従来の商店街に戻っていくようなことはしない。価格以前に利便性と豊富な品揃え、珍しい食材・商品に魅了されているからだ。さらに、多少価格が高かったとしても、前回紹介したような「マイカーあきらめ族」や100%全室駐車場付きの物件を手にし、その駐車場を貸しに出しているような場合、可処分所得は高くなっており商品価格が大きなボトルネックにはなりにくい。かくして、同じ駅でもその駅からの距離で、商業施設も利用者も二極分化していくのだ。

■階層二極化を象徴する駅近マンション

 少々話は飛ぶが、米国においてはGIS (Geographic Information System=地理情報システム)を活用したエリアマーケティングが盛んに行われている。「この地区はどの程度平均所得があり、このような人種が多く、消費性向はこのようなパターンだ。だから、こんなプロモーションを投下してみよう」といった検討を、地図上の500メートル~1キロのメッシュの中に込められた各種統計データを元に解析し、展開するのである。しかし、今まで日本においては、なかなかこれが普及しなかった。なぜなら、日本においては人種がほぼ画一であることに加え、居住地区による所得や消費性向がきれいに分かれておらず、分析しても施策が展開できるレベルまではっきりした傾向を出すことができなかったからだ。

 だが、これからは前述のように駅周辺部であるか否かで 米国のようにはっきりと色分けができるようになってくるに違いない。駅近マンションが地元の街に平均的に散らばっていた高可処分所得層という、上澄みの部分だけを駅周辺に集めてしまったからだ。おそらく今後はGISでの分析結果もきれいに分布が描けるようになり、異なったプロモーション施策がエリアごとに展開されるようになってくるのだろう。

■所得格差社会到来の先駆け

 日本の「総中流社会幻想」は崩壊し、「階層二極化社会」が到来すると言われて久しい。しかし、森永卓郎氏の一連の「年間所得300万円時代にいかに生きるか」を説いた書籍が多くのサラリーマンに読まれている一方、長者番付一位輝いたタワー投資顧問の清原達郎・運用部長もサラリーマンだ。また、当たり前なサラリーマン人生への出発を嫌う起業家志向の学生も年々増加している。そんな世の中の変化と共に、あちらこちらの街の風景やそこでの住人の暮らし・買い物の姿によく目を凝らしてみると、「階層二極化社会の到来」という言葉がにわかにリアリティーを持って見えてくる。

 前回からの「都心回帰と変わる街の風景」という局所的な事象でここまでの結論を出してしまうのは近視眼的に過ぎるかもしれない。しかし、これも一つの事実であり、変わりつつある日本の風景の一片を覗いてみた結果なのだ。

|

« 毎日新聞社「週刊エコノミスト」2007年問題特集 | Main | 「プロジェクトチーム立ち上げの必須要件とは?」 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 「都心回帰かもたらすものは?(2)」:

« 毎日新聞社「週刊エコノミスト」2007年問題特集 | Main | 「プロジェクトチーム立ち上げの必須要件とは?」 »