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2005.06.22

日経BizPlus新連載開始!

今まで、同サイトの「営業」カテゴリーにて「IT&マーケティングEYE」を連載していましたが、看板カテゴリーである「トレンド」に出世しました。

過去、木村剛氏なども連載されていたコーナーなので非常に光栄です。

「IT&マーケティングEYE」の時と異なり、マーケティングの理論的なものを全面に出すのではなく、世の中のトレンドを幅広く独自の視点で切り取って紹介して欲しいとの日経のデスクからの依頼でした。

確かに私はタウンウオッチング、マンウオッチングは大好きなのですが、どこまで「独自の視点」とやらで語れるのか少々心配なところではあります。

とはいえ、第1回原稿がアップされ、隔週で更新されますので是非ご覧ください。

初回と第2回は「都心回帰かもたらすものは?」と題し、最近の駅近マンションの林立や、構想巨大マンションの開発によって何が変わっていくのかを予測してみました。

http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/kanamori.cfm?i=2005111601onec6

-----------<以下バックナンバー用転載>-----------

「都心回帰がもたらすものは?(1)」


■都心に人々が帰ってきた!

 ここ数年前から起こっている、人々の「都心回帰現象」は何をもたらすのかを考えてみたい。かつて少しでも広く環境のよい「理想のマイホーム」を夢見、過酷な長距離通勤も厭(いと)わず郊外の住宅を競って購入した日本のビジネスマンたち。しかし、ここ数年その平均通勤時間が短くなりつつある。つまり、郊外から都心に人々の暮らしの舞台が戻ってきているのだ。ビジネスマンだけではない。エンプティー・ネスト(empty nest)と呼ばれる子供たちが独立したリタイア後の夫婦たちも帰ってきている。

 彼らを引きつけるものは何か。ビジネスマンにとってはやはり通勤時間の短さが魅力であろう。リストラで人が減っても変わらぬ仕事量。心身への負担はいやが上にも増す。さわやかな郊外のマイホームで過ごす週末も魅力であろうが、日々の負担は週末まで体力を温存させてはくれない。

 その彼らの受け皿となっているのが、都心のしかも駅近くに次々と建設されるマンション群や、新しい街が突然出現したような大規模都市再開発である。これらも元々はリストラによって企業が放出した資産や遊休地である。つまり、ビジネスマンにとってはリストラの影響で疲れた体を、リストラによって生まれた街や我が家で休めるという皮肉な構図が生じているのだ。

 一方のリタイア層は少々事情が違う。郊外暮らしの不便さや戸建てのメンテナンスから解放され、強固なセキュリティーと都心の利便性を求め都心に戻ってくるのだ。一部でマンションは既に供給過剰ともいわれ始めているが、当分この都心回帰傾向は変わりそうにない。

■「Less is more:持たざる豊かさ」が生まれる

 都心のマンション、特に駅近くの生活は便利だ。通勤だけでなく、買い物、行楽などにおいても全ての移動時間が短縮できる。ただ、一つだけ困るのは駐車場の確保だ。全戸駐車場付きを売り物にしている物件もあるが、全てがそうではない。駅近くであるが故、駐車場の賃貸相場はかなりの値段になる。

 だが、駅に近い生活に慣れてくると車に乗らなくなっている自分に気づく。もちろん、手段としてではなく、「車に乗るのが趣味」というようなエンスー(車好き)は別として、電車の方が渋滞もなく便利だという事実の前には車に乗る理由が自然と消失してしまうのだ。さらに、新たに増額される駐車場代を筆頭として、車の維持にかかる年間の諸費用を冷静に計算してみるとその額に呆然とする。そして、愛車との別れに踏み切る人も少なくない。

 さて、そうして車を手放して得た家計の余剰資金はどこに回るのか。堅実に貯蓄する層もいるだろう。しかし、家の近くには日本そば屋とラーメン屋と寿司屋が一軒ずつしかなかったような、いわゆる住宅地の暮らしと異なり、駅近くや再開発された新しい街に存在する飲食店は非常な魅力を放って誘ってくる。また、車を手放して浮いた家計の総額を考えれば、毎年車で渋滞と戦いながら帰省していたのを「夏のレジャー」であると称していたのから、一気に「海外旅行」までランクアップさせることも十分可能であることにも気づく。

 「Less is more」という言葉をご存じだろうか。「持たざる豊かさ」とも訳されるが、これはドイツ生まれの建築家、ミース・ファン・デル・ローエ(Mies van der Rohe、1886~1969)の言葉だ。ミースは古典的な建築様式を脱し、鉄・コンクリート・ガラスを用いた新しく合理的な様式を広めた。その言葉を知ってか知らずか、まさに今、かつては豊かさの象徴であった「マイカー」を手放し、持たざるより豊かな生活を手に入れる人々が密かに増えてきているのである。

■それは「業際競争」の様相も見せている?

 かつて自動車会社は「課長になったら○○、部長になったら△△、役員になったら□□」と、顧客のライフステージの変化に合わせて商品をフルラインナップで揃え、アップグレードさせ、囲い込むと同時に収益を伸ばすことを戦略の主軸としていた。

 それが今日では突然、「車を手放す」という選択肢を顧客が持ってしまったのだ。競合他社にブランドスイッチされたのであれば、車の買換えサイクルが長くなっているとはいえ、自社の顧客として再度取り返すWin-Backも可能だろう。

 しかし、顧客の価値観が変わってしまったのではいかんともし難い。自動車メーカー・販売会社のライバルは同業他社だけではなく、「貯蓄」「外食」「海外旅行」とどこに敵が潜んでいるのかわからない状況だ。つまり業界の境を喪失した「業際競争」の様相を見せ始めているのである。

 今までは車の性能のアピールや他社との差別性が、自動車会社が行う顧客とのコミュニケーションの中心であった。しかしこれからは、第一に「車のない生活」を選択することを阻止し、「車を使った豊かな暮らし」というライフスタイル提案なども必要になるのだろう。この傾向がさらに顕著になっていくとしたら、「呉越同舟」で自動車メーカーの連合広告でも展開することになるのだろうか。

 人々の街の風景が変わり、人々が都心回帰し、その心の中までが変化していく。この「都心回帰」がもたらすものについては、次回も引き続きどんな姿が覗けるのか見てみたい。

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